fc2ブログ

10月4日の新中川…2

(『10月4日の新中川…1』のつづき)

180021.jpgでまあ、新中川といえば明和橋ということで、何度も恐縮なんですが、秋晴れの下とくれば、なおのこと魅力に抗しきれず、ずるずるとここまで来てしまいました。

折よく、桁下ギリギリですり抜けてきた、クルーザーの通航シーンもものすることができて、ちょっとトクした気分。久方ぶりの邂逅とあって、鼻腔はふくらむばかりであります。


180022.jpg
迫って仰げば、はすになった構造がことさら強調されて、その交錯するさま、実に魅力的です。

見上げたときの佳さは、径間長にくらべ、構造の天地寸法を高めに取ってあるところが大きいでしょう。また桁下高が低いのも手伝って、間近に眺めた際、実際より雄大に感じられることもあるように思えます。もしこれが、視点を計算しつくされてのデザインだとしたら、敬服のほかありません。

180023.jpg
毎度のことながら、この六角柱も効いているよなあ‥‥。

明和橋、各所にライトアップのための照明が仕込まれているのですが、この六角柱も側面を照らすライトが各4組収められた、いわばランプケースを兼ねています。このあたりも実に几帳面というか、周到な感じがして、好感を抱いてしまうのです。

180024.jpgさて、いい加減寄り道を切り上げて、旧江戸川に復さなければなりません。新中川名物の一つである、河畔の繋留場を眺めながら下航。

プレジャーが目立つ杭列の中に、好みのごつい小型曳船‥‥いや、通船かな? とにかく、鋼製の業務船を発見。トラロープなど資材がところ狭しと積まれた甲板、高々と船尾周りを囲うブルワークと、働き者の風情。船名は「オーシャン1」と、少々ハイカラではあります。

180025.jpg
ふたたび今井水門をくぐり、扉体の裏側というか小口というか、本でいう卦下の部分を見上げて一枚。洗浄装置のノズルがズラリと並ぶさま、艇からでなくては味わえない、水上の贅の一つ、といってもいい過ぎではないでしょう。


(27年10月4日撮影)

(『10月4日の旧江戸川…4』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 新中川曳船今井水門明和橋

10月4日の新中川…1

(『10月4日の旧江戸川…3』のつづき)

180016.jpg
ちょっと河口をつつくだけのつもりが、水門の威容を前にするとやはりもう少し、という気持ちが強まってきて、舵そのままに。くぐるならやはりど真ん中、中央径間ということで、4番ゲートをゆるゆると仰ぎつつ通過。

こうして間近で眺めてみると、ずいぶん扉体の色があせてきたように見えました。ほぼ真南を向いているということもあり、他の水門より日照時間(?)は多いに違いありません。

180017.jpg

180018.jpgくぐりざま、裏側を眺めるとご覧のとおり。日陰であることを差し引いても、褪色ぶりをまざまざと見せつけられたようなこの差、陽の光の偉大さを感じたといったら、大げさでしょうか。

直線的な橋灯がスマートな新今井橋の向こう、瑞江大橋、明和橋と魅力的な橋の姿をチラ見すると、もういけません。さらに舵そのまま、もうちょっと寄り道を長引かせてしまうはめに。

180019.jpg地図上で見ると、河道に対し45度かと思えるくらい、急角度で架かっているのもさることながら、径間が短かったり、継手がリベット組みだったりと、古い橋梁の味わいも残しているのが魅力の瑞江大橋。

河上から遠目に見ても、その斜めっぷりが感じられて面白いものですが、近寄って仰ぎ見ると、また別の魅力があるのです。


180020.jpg
この、持ち送りがズラリと並んだ美しさ‥‥。

いや、持ち送りはどこの橋にもあるのでしょうが、パーツとして独立度(?)が高いことと、大部分は溶接で組まれながら、継手のみリベットを用いているという、過渡期的な手法にも惹かれているのかもしれません。塗装がまだきれいなのも、魅力を引き立たせていますよね。
撮影地点のMapion地図

(27年10月4日撮影)

(『10月4日の新中川…2』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 新中川今井水門橋の裏側

10月4日の旧江戸川…3

(『10月4日の旧江戸川…2』のつづき)

180011.jpg
午前中の陽を浴びて、まだまどろむような風情の新川東水門。

通航船は引きも切らないので、川面は引き波で少しざわつき気味ですが、向こうにある船溜の雰囲気も手伝ってか、あくびの出そうなのんびりとした空気を発散していました。

180012.jpg視界がぐっと開ける新中川との合流点といえば、東岸にある三共油化の桟橋。この日も二隻の独航艀がもやい、乗り組みさんの姿も見られました。

船影はたびたび紹介(『10月11日の旧江戸川…2』ほか参照)しているので、少し引いた位置の下流側、真後ろから一枚。今日のしんがりは、船籍港伊東市の「新川丸」。黒くつややかなクルーザー・スターンが素敵です。

180013.jpgちょっと色気が出て、ほんの少し新中川へ寄り道してみる気になりました。

瑞穂大橋を前にしたとき、ちょうどこの角度の空だけ、雲一つなく、薄靄でグラデーションのかかった本当にきれいな青空! この季節を待っていた! と、諸手を挙げて叫びたくなるような美しさでありました。週末ごとの悪天候、長かったですからねえ。


180014.jpg
川面が光で満ちていれば、橋の裏側もおのずと明るくなるもの。仰ぐ梁の一本一本、アイやボルトの一個一個まで輝いて見えますわい。佳き哉、よきかな。

180015.jpg
そして合流点のヌシ(?)、今井水門。いつもながら、この径間数は見ごたえがあるというか、圧倒されるというか。すべての扉体が全開になっているのを目にしたのは、数年ぶりかもしれません。
撮影地点のMapion地図

(27年10月4日撮影)

(『10月4日の新中川…1』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 旧江戸川新中川新川東水門今井水門橋の裏側独航艀

10月4日の旧江戸川…2

(『10月4日の旧江戸川…1』のつづき)

180006.jpg京葉線江戸川橋梁・湾岸線舞浜大橋をくぐり、秋晴れの下の河口風景に胸のすく思い。下航船もいないし、少しプレーニングで飛ばしてもよいでしょう。

と、間もなく白くウェーキを引いて、続々と下ってくる一群が。屋形船を先頭に、複数のプレジャーも航跡をたどるかたちで、ぐんぐんと速度を上げつつあります。浦安まで、断続的にこの状態が続きました。午前中早い時間とあって、ちょうど出港する時間帯に当たったのでしょう。

180007.jpg
徐航区間に入り、東西線・第一江戸川橋梁の裏を仰ぎながら、妙見島の東にさしかかりさらに減速。ここから流頭部に至るまで、ほぼ全区間が船溜を擁する徐航必須の水路であるのが、旧江戸川の特徴でもあります。

180008.jpg東岸に見えた、まだ新しい感じのする桟橋や繋船杭を眺めていると、杭の頭に、竹ぼうきをくくりつけたものがあるのに気づきました。全部ではありませんが、結構な数です。

お決まりのトタンで造った帽子や、その代用であるポリバケツ(いずれも小口の腐食防止のためでしょう)でなく、竹ぼうきだけというのがどこかシュールな光景。何かのお呪いのように見えますね。

180009.jpg
まあ、おわかりとはおもいますが、お呪いなどではなく、水鳥よけのいわば「新しい嫌がらせ」(笑)なのでした。水鳥の糞はおしなべて濃そうなので、杭の痛みを加速しそうではありますから、対策は必須でしょう。

竹ぼうきのない杭の頭に、ちゃっかり羽を休める鵜の姿が‥‥。そういえば、もうすぐ冬の水鳥たちが渡ってくる季節、可愛らしい姿を見られるのが、楽しみです。

180010.jpg
妙見島といえば、気になるものとして油槽船(?)の揚搭設備があるのですが、いつもその船名を見逃していました。船首の表記はタイヤフェンダーに隠れてよく見えないことが多かったので、今回ようやく船尾にカメラを向けて、確認に成功。

第三新興丸」。これも今や貴重な実用河川舟運の一つ、これからも通るたびに記録してゆきたいものです。
撮影地点のMapion地図

(27年10月4日撮影)

(『10月4日の旧江戸川…3』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 旧江戸川妙見島橋の裏側水辺の鳥たち独航艀

活字の中の川蒸気

久しぶりになじみの古書店を訪ね、ペラものやパンフレットの入った棚をあさっていたら、ふと目に留まったものがありました。古びた薄い紙の表裏が、かすれ気味の印字でびっしりと埋まっているもの。用紙、印刷とも、あまり質のよくなさそうな雰囲気に、妙に惹かれるものがあったのでした。

176039.jpg

176040.jpg
「鉄道小荷物並滊船馬車發着賃金表」
172×248㎜、二ツ折表裏刷。

「続きを読む」をクリックしてご覧ください

続きを読む »

タグ : 川蒸気船絵葉書・古写真