富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…2』のつづき)
●舟通し水門の前から南側を向き、高水敷を流れ下る水路の下流側を見たところ。両岸はススキがそよぐ法面、地表との比高は思ったよりあり、向こうには頑丈そうなRC橋が架かっていて、独立した小河川のおもむきです。
橋の上から流れを見てみたくなり、ふたたびざくざくと草むらを踏んで脱出、下流へ向かってみることに。

●水門を前にしていたときから気になってはいたものの、こうして改めて橋の上から眺めてみると、本当に浅いな‥‥。水底はある種のブロックなのか、石を並べてコンクリートで固めたのか、浅い水を透かしてパターンが見えています。
どう見ても子供が入って遊ぶたぐいの、親水施設の流れそのもの。ここ、本当に舟通しを設けるような、可航水路なのかしら?
●橋の上から下流側をのぞいてみると、右側には玉石できれいに法面を固め、水路より一段低く造った池のようなスペースが。水路がもう少し増水すれば、手前で池に越流して、水が満たされるしくみのようです。
水路は池の向こうでぐっと屈曲して、もう一つの橋をくぐり、神通川に注いでいるようですね。しかし、こうして眺めたかぎりでは、本当に親水施設そのもので、舟航は毛ほども考えれていないような雰囲気。なぜ舟通しが設けられているのか、謎は深まるばかりでした。

ホンモノのGoogleマップで松川舟通し水門付近を見る(上は単なる画像)
●流路の探索を垂れ流すと長くなるので、ここでGoogleの航空写真をお借りして、結論を急いでしまいましょう。
舟通しを出たところで急カーブし、いったん南下した水路は、橋の先でさらに180度の大屈曲、その先でまた直角近く曲がってようやく、神通川に注ぐという長大な流路を擁していたのです。
●これだけ道のりを稼げれば、同じ高水敷の幅でも、直線で流下する放水門のそれより、水位差は確かに少なくなります。以前「6月14日の目黒川…4」でも触れた、「三湾一閘」ということわざの意味するところを、目の当たりにしたわけです。
しかし、水位差を屈曲で吸収する、という意味では理にかなっているものの、水深の浅さと、親水施設然とした床固めは、どうにも矛盾しているように思えてなりません。だいたい、せっかく閘門設備があるのに、水位差を少なくするのは意味が薄いような気もします。もしかしたら、元の舟通しは、単なる樋門だったのかもしれませんね。
●妄想するなら、元から閘門設備なしで松川~神通川間の舟航のため、わざと屈曲させていた流路があり、通船量が衰えたところで、親水施設の整備がなし崩しに進み、数少ない通航舟は軽荷状態で引きずるようにして、何とか出入りをしている現状‥‥といったあたりでしょうか。

●橋の上から見た、舟通しと放水門。こんなに近いのに吐口の水位差があれだけできるとは、改めて屈曲河道の効果の大きさを、思い知らされます。
というわけで、かえって謎が深まってしまった結果となりましたが、閘門の機能を持つことはほぼ確実であることがわかり、意気挙がる思い。松川側に飛んで戻り、前扉室をなすゲートを見てみるとしましょう!
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…4』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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橋の上から流れを見てみたくなり、ふたたびざくざくと草むらを踏んで脱出、下流へ向かってみることに。

●水門を前にしていたときから気になってはいたものの、こうして改めて橋の上から眺めてみると、本当に浅いな‥‥。水底はある種のブロックなのか、石を並べてコンクリートで固めたのか、浅い水を透かしてパターンが見えています。
どう見ても子供が入って遊ぶたぐいの、親水施設の流れそのもの。ここ、本当に舟通しを設けるような、可航水路なのかしら?

水路は池の向こうでぐっと屈曲して、もう一つの橋をくぐり、神通川に注いでいるようですね。しかし、こうして眺めたかぎりでは、本当に親水施設そのもので、舟航は毛ほども考えれていないような雰囲気。なぜ舟通しが設けられているのか、謎は深まるばかりでした。

ホンモノのGoogleマップで松川舟通し水門付近を見る(上は単なる画像)
●流路の探索を垂れ流すと長くなるので、ここでGoogleの航空写真をお借りして、結論を急いでしまいましょう。
舟通しを出たところで急カーブし、いったん南下した水路は、橋の先でさらに180度の大屈曲、その先でまた直角近く曲がってようやく、神通川に注ぐという長大な流路を擁していたのです。
●これだけ道のりを稼げれば、同じ高水敷の幅でも、直線で流下する放水門のそれより、水位差は確かに少なくなります。以前「6月14日の目黒川…4」でも触れた、「三湾一閘」ということわざの意味するところを、目の当たりにしたわけです。
しかし、水位差を屈曲で吸収する、という意味では理にかなっているものの、水深の浅さと、親水施設然とした床固めは、どうにも矛盾しているように思えてなりません。だいたい、せっかく閘門設備があるのに、水位差を少なくするのは意味が薄いような気もします。もしかしたら、元の舟通しは、単なる樋門だったのかもしれませんね。
●妄想するなら、元から閘門設備なしで松川~神通川間の舟航のため、わざと屈曲させていた流路があり、通船量が衰えたところで、親水施設の整備がなし崩しに進み、数少ない通航舟は軽荷状態で引きずるようにして、何とか出入りをしている現状‥‥といったあたりでしょうか。

●橋の上から見た、舟通しと放水門。こんなに近いのに吐口の水位差があれだけできるとは、改めて屈曲河道の効果の大きさを、思い知らされます。
というわけで、かえって謎が深まってしまった結果となりましたが、閘門の機能を持つことはほぼ確実であることがわかり、意気挙がる思い。松川側に飛んで戻り、前扉室をなすゲートを見てみるとしましょう!
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…4』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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富山の極小閘門! 松川舟通し水門…2
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…1』のつづき)

●息せき切って走り寄ったそのゲートは、先ほど放水門を見に降りたときから、視界の端に入っていたもの。白塗りの扉体でラック式巻上機という、何の変哲もないごく普通の樋門といった風体で、後回しにするのも無理はないような、地味な造作です。
はて、これが閘門の機能を持っているのか‥‥。首をかしげながらも、もっと近くでよく見てみようと、生い茂る草むらの中へざくざくと踏み込んで前進。ちなみに、水路は神通川の高水敷を、半径の小さいカーブで写真右手に屈曲しており、水は松川から流れ出ていて、ゲート下の低い落差で水音を立てていました。
近づいてみて、アッと声を上げました。樋門の中に
舟がもやってるよ!

●いきなり「舟航の証拠だ!」といわんばかりの光景を突き付けられて、嬉しくはなったものの、引っかかるところがいくつもあり、いま一つすっきりしない、というのが正直なところでした。以下、観察した印象をいくつか。
●手前の戸当たりには低い落差があって、このままではどう見ても、こちら(神通川)側に出られる水深があるようには思えませんでした。首をかしげながらよく見てみると、扉体の戸溝のすぐ手前に、もう一対、背の低い戸溝が切ってあって、落差はそこにできているようです。
これ、もしかしたら角落しか何かがはめ込まれていて、わざと落差を作っているのではないでしょうか。考えられる理由としては、船溜(?)として用いている閘室(??)内の水深を確保し、舟が着底しないようにするためとか‥‥。ともあれ、この角落しを抜けば、軽荷状態なら舟を引きずって、手前の水路に出られるであろうと、一人納得しました。
●奥のゲートは越流しているのはわかりますが、これが本物の扉体なのか、手前同様角落しなのかは、反対側に行ってみないかぎりわかりません。しかし、隣の放水門とさしたる距離もないのに、水位差がえらく少ないのは気になりました。これは後で高水敷の水路を眺め、半ば納得することになります。
●おっさんが腕組みをして、一人ブツブツ不気味な思索を巡らしている間も、舟は流水に身を踊らせて、ガコン、ガコンという鈍い音をたて続けています。
舟はタテイタ式の角ばった船首を持った、平底細身の一階(舷側が段差のない一枚板で作られていること)造りで、いかにも川舟らしいそそるスタイル。おそらく漁舟でしょう、中には木製の櫂と、青竹の棹らしいものが見え、左舷に二つあるフェンダーは、L字金具で引っ掛ける構造なのが変わっていました。

●川舟臭さに惹かれながらも、「閘門たる証拠」の方に意識をひゅっと吸い寄せられるのは、無理もないところ。右の側壁にあるスイッチボックスみたいなもの、これは扉体を遠隔操作するものでは?
ボタンらしき出っ張りが3つある! これ「上昇・下降・非常停止」だよね? 足かけ金具を利用した、衝突防止ガードがあるのもそれらしく、脳内ではもう、通航艇用のリモコンに決定。
ここで反対側に走って、もう一つの扉体を眺めたくなる気持ちを抑えながら、水位差の少なさという謎を解くべく、神通川に続く高水敷の水路を見てみることにしました。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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はて、これが閘門の機能を持っているのか‥‥。首をかしげながらも、もっと近くでよく見てみようと、生い茂る草むらの中へざくざくと踏み込んで前進。ちなみに、水路は神通川の高水敷を、半径の小さいカーブで写真右手に屈曲しており、水は松川から流れ出ていて、ゲート下の低い落差で水音を立てていました。
近づいてみて、アッと声を上げました。樋門の中に
舟がもやってるよ!

●いきなり「舟航の証拠だ!」といわんばかりの光景を突き付けられて、嬉しくはなったものの、引っかかるところがいくつもあり、いま一つすっきりしない、というのが正直なところでした。以下、観察した印象をいくつか。
●手前の戸当たりには低い落差があって、このままではどう見ても、こちら(神通川)側に出られる水深があるようには思えませんでした。首をかしげながらよく見てみると、扉体の戸溝のすぐ手前に、もう一対、背の低い戸溝が切ってあって、落差はそこにできているようです。
これ、もしかしたら角落しか何かがはめ込まれていて、わざと落差を作っているのではないでしょうか。考えられる理由としては、船溜(?)として用いている閘室(??)内の水深を確保し、舟が着底しないようにするためとか‥‥。ともあれ、この角落しを抜けば、軽荷状態なら舟を引きずって、手前の水路に出られるであろうと、一人納得しました。
●奥のゲートは越流しているのはわかりますが、これが本物の扉体なのか、手前同様角落しなのかは、反対側に行ってみないかぎりわかりません。しかし、隣の放水門とさしたる距離もないのに、水位差がえらく少ないのは気になりました。これは後で高水敷の水路を眺め、半ば納得することになります。

舟はタテイタ式の角ばった船首を持った、平底細身の一階(舷側が段差のない一枚板で作られていること)造りで、いかにも川舟らしいそそるスタイル。おそらく漁舟でしょう、中には木製の櫂と、青竹の棹らしいものが見え、左舷に二つあるフェンダーは、L字金具で引っ掛ける構造なのが変わっていました。

●川舟臭さに惹かれながらも、「閘門たる証拠」の方に意識をひゅっと吸い寄せられるのは、無理もないところ。右の側壁にあるスイッチボックスみたいなもの、これは扉体を遠隔操作するものでは?
ボタンらしき出っ張りが3つある! これ「上昇・下降・非常停止」だよね? 足かけ金具を利用した、衝突防止ガードがあるのもそれらしく、脳内ではもう、通航艇用のリモコンに決定。
ここで反対側に走って、もう一つの扉体を眺めたくなる気持ちを抑えながら、水位差の少なさという謎を解くべく、神通川に続く高水敷の水路を見てみることにしました。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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