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中島閘門見学…5

(『中島閘門見学…4』のつづき)

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操作室を軒の裏まで眺めまわして、さて、艇に戻る時間も近づいてきました。閘室や関連機器を見て歩きながら、桟橋へぶらぶらと。閘室はすっかり水が抜かれて、水面ははるか下まで下がっています。

前扉室の近くまで来ると‥‥あっ、通航時はよく見えなかった階壁が! しかも、その形がただならぬ香気(?)を発散しているのに吸い寄せられて、思わず駆け寄りました。

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何と、階壁の下流側は優雅なカーブを描いており、しかも角には面が取ってある! 中までムクの石材かどうかはわからないものの、見たところ少なくとも石張りのようです。

ほとんど水面下に隠れてしまうところにまで、意匠的な気遣いがなされているとは! すごいぞ中島閘門! 「テルマエ・ロマエ」のルシウスばりに打ちのめされる船頭。単に私が知らないだけで、他の同世代の閘門も同様なのでしょうか、機会があったら調べてみたいものです。

175108.jpg中島閘門とお別れする前に撮った、銘板二題。こちらはバイパス設備に設けられた、注排水用スライドゲートのそれです。

設備のほとんどが地中にあることとて、銘板を貼り付ける場所に窮したのか、鋼材の短い足を生やし、まるで花壇の立看板のように、ちょこなんと立っている姿が印象的でした。


175109.jpgこちらは後扉室ゲートの扉体にあったもの。復元新製されたとはいえもう16年、ベテランとはいかないまでも、そろそろ中堅いったところでしょうか。

ちなみに佐藤鉄工、我が艇の行動範囲内では、朝霞水門も手がけられています。同社サイト、「水門・鉄管・除塵機」のページをご覧ください。


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名残惜しく中島閘門を辞して、ふたたび「もみじ」で環水公園へ。美しく整備された昭和一桁生まれのマイタゲート、これからも末永く活躍してほしいものです。

桟橋を離れた直後、船長は巧みに舵を切り、放水路の水門ギリギリまで寄せてサービスしてくれました。吸い込まれそうなスリルと、水位差を実感できる眺めの面白さ、運河観光はこうでなくては! と膝を叩いたことではありました。

(27年6月20日撮影)

(『環水公園を眺めて』につづく)

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タグ : 富岩運河富岩水上ライン中島閘門閘門

中島閘門見学…4

(『中島閘門見学…3』のつづき)

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待望の操作盤とご対面。いかにも昔風の計器や、側面に施された装飾など、こげ茶一色の塗装とあいまって重厚そのもの!

水平面は分厚い大理石の板で、左端の角のみ塗料がはげて、白い生地がのぞけています。盤上、ボタンやパイロットランプのみ最近のもので、計器類や大理石のそれと違和感があり惜しい感じがしましたが、見方を変えれば、これは最近まで現役だった何よりの証しなのでしょう。

175102.jpg大理石は軟質で加工がしやすく、熱にも強く湿気も喰らわないとあって、かつては絶縁体として電気製品に盛んに用いられました。模型用電源のトランスも、高級なものになると、大理石のタップ盤をおごったものがあったのを思い出します。

閑話休題、ここまで立派な操作盤とくれば、メーカーが気になります。銘板は‥‥簡単に見つかりました。正面ど真ん中、「芝浦製作所製造」! 現在の東芝ですね。

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計器類は、すべてに説明のシールが貼ってあったものの、針やガラスが失われていたり、あっても無造作にネジで固定されていたりして、ちょっと寂しいものが。写真は閘室の水位計ですが、よく見ると右下、11の目盛のところに「SHAKU」と小さく書かれているのに気づきました。この文字盤、単位が「尺」なんだ!

ちなみに、右側に少し見える額縁は、皇太子殿下が富岩運河を訪れられた際の写真です。以前、見沼通船堀を見にいったとき(過去ログ『通船堀に寄り道…3』参照)、記念植樹があったのを思い出しました。関心のある分野が近しいだけに、これからも行く先々でニアミス(でも何でもない)するのかも。

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175105.jpgこちらが現在の操作盤です。何ともこじんまりとまとまっていて、81年間の技術の進歩を実感させるものが。計器のたぐいは一切なく、作動ステップは、一番上のランプ群で確認するようですね。扇橋閘門のそれ(『満漢全席小名木川…5』参照)と比較しても、ずいぶん簡素な感じがします。

操作室を出て、他の部屋も見せていただきました。和室の宿直室に、大小のお手洗いとお風呂場、どれもきれいにリニューアルされていましたが、やはり近年まで現役だった建物だけに、厳密な意味での復元ではなさそうです。右の写真はお風呂場で、タイル張りの可愛らしい浴槽のみが、ぽつんと置かれていました。

(27年6月20日撮影)

(『中島閘門見学…5』につづく)

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