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中島閘門ふたたび…2

(『中島閘門ふたたび…1』のつづき)

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前扉室のバイパス管が開かれ、水音を立てて注水が始まりました。ここで辛抱たまらず、コンソール左舷側のハッチからバウに出て、沈みゆく扉体の裏側をものせんと膝をついて、カメラを構えました。もっとも無断というわけではなく、あらかじめお願いして「停まっている間のみ」ということで、了解は得ておいたのです。

河水の匂いに包まれながら、古典型マイタゲートの注水シーンに陶然。私と同じ気持ちだったのか、同乗の外人さんも出てきてスマホを構えたので、右にずれて場所を譲ると、満面の笑顔でお礼をいわれました。じりじりと満たされゆく水面を眺めつつ、ひたすらシャッター音を響かせる二人‥‥。

175052.jpgふと右舷側を振り返ると、鼻先に迫る側壁と船の間には、注水による波が白く泡立っているのが見えました。露出した骨材と幾多の擦過痕が、星霜を感じさせる側壁を間近に見られて、ちょっと得した気分。

閘程(水位差)は約2.5mあるので、足下がじりじりと上がって、周りの風景が開けてゆく充実感は相当なもの。閘門の醍醐味を味わえるボリュームがあるといってよいでしょう。ガイドさんはしきりに、「水位差は国内最大級」であることを強調しておられました。

‥‥ええと、もちろん現場では無粋なことはいいませんでしたが‥‥、ねえ?

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注水も終わりに近づいて、周囲が見渡せるようになってきました。前扉室のゲートが低く、開放前にしてすでに、前方の水面も視界におさめることができるのは、マイタゲートの贅といってよいでしょう。ローラーゲートではこうはいきません。

ここで、右岸側の側壁上に係の方が現れて、「お客さん、中に入れて!」と船長に指示が。動き出すので、もう戻った方がよいですね。空気を察したのか、船長から声がかかるより早く、外人さんも名残惜しそうに船内へ。

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175055.jpg自分の席に戻ったところで、モーターの唸りとともにゲートが開放開始。いや~、堪能した! しかし、注水による乱れた流れの中、もやいも取らずに船位を保った見事さ、船長は名人級とお見受けしました。

閘室から出るまぎわ、操作室(中島閘門操作所)を振り返って一枚。前回訪ねたとき(過去ログ『中島閘門…3』)とくらべて、崩れていた壁面は山吹色に塗りなおされ、窓枠もアルミサッシから、昔風のものに替えられたようで、すっかり装いを新たにしていました。

(27年6月20日撮影)

(『中島閘門ふたたび…3』につづく)

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タグ : 富岩運河中島閘門閘門富岩水上ライン水上バス