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「隅田川橋梁」初くぐり

(『「橘丸」を眺めて…2』のつづき)

154101.jpg去る5月8日、中央径間がクレーン船で一括架設されたことにより、橋としての姿を現した仮称「隅田川橋梁」。くぐり初めしながら、その威容を堪能してみるとしましょう。

逆光気味の中、中央径間の下に、すでに第一橋でなくなった勝鬨橋をのぞき見て、まずはしみじみ。橋一つ増えるということは、大川口の印象をこんなにも大きく変えるとことなのだなあ‥‥と、感慨を新たにしたことではありました。

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さて、前後に通航船のないことを確認してから、おもむろにほぼ真ん中を失礼して、初くぐり。

アーチは垂直でなく、外側に倒れこんだような格好で造られているため、見上げるとちょっと不安定だなあ、というのが第一印象。はなからくさすようで恐縮ですが、アーチ同士を結ぶ梁がないのも、どこか華奢な感じで、不安定さを助長しているのかもしれません。クルマで渡るときは、かえって圧迫感がなくて、いいかもしれませんね。

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154104.jpg初くぐりということで、気になるのはやはり、裏側を仰いだときの光景です。おお、これは面白い造りですね。両側の歩道が、持ち送りで主桁から離されて設けられており、裏から見るとハシゴ状をなしています。

桁裏のほとんどは、ご覧のとおり足場でおおわれていましたが、どことなく軽快でつるりとした印象。桁下高は先輩の各橋にくらべても余裕がありそうで、通航船艇にとってはありがたいことではありますね。

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くぐり終わり、上流側に抜けたところで、陽射しに輝くいいお顔を。ええと、写真右手の築地側が低く、左の月島側に向かって、ゆるく勾配がついている‥‥んですよね? 

ううん、じっと見ていると、自分の中の垂直・水平の基準がアイマイになってきそう‥‥。ともあれ、これから末永くお世話になりますので、どうぞよろしく。
撮影地点のMapion地図

(26年6月14日撮影)

(『隅田川派川にて』につづく)

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タグ : 隅田川橋梁隅田川橋の裏側

「橘丸」を眺めて…2

(『「橘丸」を眺めて…1』のつづき)

154096.jpgこれが「橘丸」! 写真で何度か見てはいましたが、実物を目の前にするとやはり違うのは、全長118m、5681総tの威容。船首尾を通しての高い乾舷とあいまって、実に迫力がありますね。

電動アジマスペラを備えたハイブリッド船であることを始め、艤装にはさまざまな新機軸が盛り込まれているとのこと。詳しい要目は、「橘丸ご案内」(東海汽船)に掲載されています。

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いやしかし、斬新な塗装ではあります。基本色は先代「橘丸」のそれを継承したとのことですが、濃い色でまとめた上、独特の塗り分けも手伝って、水平線まで離れていても、一発で特定できるに違いありません!

客船というより、どこか海洋調査船とか、極地観測船を思わせるカラーリングだなあ、というのが第一印象でした。乾舷が高く、開口部も少なめで、全体的に線が太い感じがすること、水線付近の舷側に見える、3列のフェンダーらしき凸部が走っていることなどに、客船らしからぬ、マッチョな雰囲気(?)を勝手に感じとったこともあります。

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目に沁みるような鮮やかな塗装の装載艇、エッジの立った精悍な格好よさもさることながら、スリングポイントが1点というのも実にスマート。

この装載艇の存在も、「観測船ぽさ」を助長しているように思えます。ブログ「東海汽船新船プロジェクト」によると、膨張式救命筏を曳航するために、備えられているのだとか。

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左舷後方から眺めると、トランサム・スターンの広大な平面が目立ち、その上の船尾甲板には、繋留関連の装置が集中しているさまが見えて、さらに「客船離れ」している印象を強く感じました。
どうも、自分の中での近海航路客船は、「7月15日の出船入船」で出会った「かめりあ丸」のように、遊歩甲板が中ほどから船尾までのぐるりを占めたような、ふた昔ほど前のイメージで止まってしまっているようです。

ともあれ、ピカピカの新造船を眺めるのは気分の良いもので、大いに楽しめました。何よりこの個性的な風貌、水上バスから眺めても注目を集めそうで、東京港の顔として親しまれることでしょう。

154100.jpg「橘丸」と別れた後は、そのまま隅田川に入り、干潮時の流速を感じながら遡上。お次は建造中の、隅田川橋梁の初くぐりとまいりましょう。初モノが続く、うれしい近場回りではあります。

浜離宮前のあたりで、ぶち当たったらタダでは済まなさそうな、えらく太い流木が流れ去ってゆくのに目を奪われて、思わず一枚。この日の隅田川、どういうわけだか流木の目立つ日だったなあ。豪雨の翌日など、木っ端くずや水草のかたまりがたくさん流れてくるのには、よく出くわしたものですが、流木が多いのは初めての経験でした。
撮影地点のMapion地図

(26年6月14日撮影)

(『「隅田川橋梁」初くぐり』につづく)

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タグ : 東海汽船竹芝埠頭隅田川東京港

「橘丸」を眺めて…1

(『6月14日の目黒川…10』のつづき)

154091.jpg目黒川を下って河口を左折、芝浦運河地帯を楽しみながら帰ろうと、高浜運河をゆるゆる北上。

写真は、海洋大品川キャンパス近くに架かる楽水橋ですが、こうして見上げると、桁の塗装がきれいなだけでなく、橋脚の耐震補強、落橋防止装置もしっかり取り付けられて、 すみずみまで新品のようにピカピカです。この前後の橋たちも、耐震関連の整備が順次終わり、足場も取り去られて、だいぶ落ち着いてきました。

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芝浦西運河、夕凪橋の改架工事現場を通過。昨年5月、「夕凪橋の架け替え工事」のときは、まだ旧橋が一部残っていましたが、撤去作業も終わったのか、錆色の仮橋のみとなって、以前より片付いた印象です。

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芝浦運河から、新芝運河・芝浦東運河との変則十字流を右折、港内に出ることにしました。

芝浦東運河は、長さはほんの250mほどしかありませんが、南岸にはこんな風景も。ビルをかすめて走る高架、その下には歴史を感じさせる石垣護岸に、鋼製のポンツン桟橋がもやい‥‥。狭いところにごちゃっと、積み重なったようなさまが、面白く思えたのでした。
撮影地点のMapion地図

154094.jpg左に折れてさらに北上、日の出埠頭をかすめ、レストラン船や東海汽船のフネブネがもやう、竹芝埠頭を望む位置に。今日は会えるかな‥‥。

おお、いたいた! ようやくお題のモノが近づいてまいりました。




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東海汽船の新造船、「橘丸」が!

(26年6月14日撮影)

(『「橘丸」を眺めて…2』につづく)

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タグ : 高浜運河芝浦西運河芝浦東運河東京港竹芝埠頭東海汽船橋の裏側

6月14日の目黒川…10

(『6月14日の目黒川…9』のつづき)

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ゆるい左カーブの向こうに、目指す目黒新橋が姿を現わしました。青空と緑の桜並木を映す鏡のような水面に、くっきりと倒立像をつくる肉厚なコンクリートアーチ、本当に久しぶりです!

154087.jpgさて、このあたりからますます、足下の水深を警戒せざるを得ません。見れば先ほどよりわずかに上がって、1.6m‥‥この日の芝浦の推算潮位では、7時の時点で1.54m、8時で1.13mと、急速に干いてゆく時間帯。

7時30分を過ぎた現時点では、1.3mほどでしょうか。遡上距離のタイムラグを加味するにせよ、A.P.0mまで下がれば、もはや可航水深とはいいがたい状態です。大干潮時に太鼓橋から上流へ入ることは、まずかなわないと見てよいでしょう。


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ともあれ、今なら水深もあるので、ぐっと近づいて楽しめそう。水面に映った目黒新橋(タイトル参照)を何枚か収めながら、ニュートラルと最微速を繰り返し、もう少し、もう少し、とじりじり接近。

神田川の聖橋と並び称したくなる、均整のとれたハンサムなその姿。アーチの下にのぞく、上流側の河道が一直線であることも手伝って、吸い込まれそうなくらい奥行きのある、独特な河川風景が味わえるのもまた佳し。
撮影地点のMapion地図

154089.jpg今にも急上昇しそうな水深におびえながらも、これなら橋の直下までいけるかな、と思っていた矢先、平らかだった水面が、一陣の微風で乱されて、倒立像がかき消されてしまいました。

何ともいくじのないことながら、この風が「呼ばれていない」知らせのような気がして、あっさりきびすを返してしまったのです。

好天と高潮位という、なかなかそろわないチャンスに恵まれたこの日、今考えると惜しいことをしたような気もするのですが、目黒新橋には会えたし、河底の現状も記録できたりと、大いに楽しめたうえ成果もあったので、よしとしましょう。

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帰路に上流側から眺めた、「五反田ふれあい水辺広場」の全景。こうして見ると堂々たるもので、もし船着場として使えれば、中型の水上バスクラスも接岸できそうな雰囲気。もっとも、水路幅から転回は難しそうなので、2~30人乗りの観光船ならいけそう、といったところでしょうか。

(26年6月14日撮影)

(『「橘丸」を眺めて…1』につづく)

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タグ : 目黒川目黒新橋

6月14日の目黒川…9

(『6月14日の目黒川…8』のつづき)

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154082.jpg最後の屈曲を過ぎると開けるのは、都内有数の桜密度を誇る目黒雅叙園のあたり。ご覧のとおり、空を写す水面以外は黒々と影に沈んで、ひんやりとした冷気すら感じられるほど。まったく、街中であることを忘れさせそうな静謐さです。

いったん回復した水深は、このあたりからふたたび、じりじりと上り坂を描き始め、現在3.6m。水位が高い時間帯とはいえ、そろそろ足下に気をつけつつ歩かせねばなりません。


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ようやく木漏れ日ならぬ、ビル漏れ日が回復してきたあたりで、最終区間の入口たる、太鼓橋に近づきました。名は体を現わさず、一径間のしかも平たい鋼桁橋ですが、側面を飾る石張りが陽射しに目地を浮き出させて、どこか誇らしげな印象でした。

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154085.jpg太鼓橋の裏側を仰いで一枚。桁裏から新旧何本か、鎖がぶら下がっていたのが気になりました。清掃船などをもやうため、桁裏にアイをつくったロープが下がっているのはよく目にしますが、これはどんな用途があるのでしょう。もやいにするには、ちょっと長さが足りなそうではありますね。

太鼓橋に意識を吸い寄せられて、魚探の感を見るのがすっかりお留守になってしまい、気づいたらもう、1.7m! う~ん、以前より浅くなったような気がするのですが、気のせいかな? ともあれ、ゴールまであとわずか、魚探の見張りを怠らずに、微速前進。
撮影地点のMapion地図

(26年6月14日撮影)

(『6月14日の目黒川…10』につづく)

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タグ : 目黒川橋の裏側