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草林樋門を訪ねて…4

(『草林樋門を訪ねて…3』のつづき)

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高水敷を沖へ歩き、少し離れたところから。他の樋門のように、寄る辺のない孤立感が感じられないのは、堤防の向こうに立木や屋根がのぞけて、人の気配が感じられるからでしょうか。

ちなみに二本の木は、下で触れる三峯神社の祠に併設された、小公園に植えられたものです。

143017.jpg高水敷を割る水路には、繋船用の杭や桟橋が見られ、最近まで船溜として、盛んに利用されていたことがうかがえます。

昭和29年から、利根川とこのエンマを見つめ続けてきた樋門‥‥。逆光の中、たたずむ後ろ姿を眺めていたら、今は昔となった賑やかな時代を、思い出しているようにも見えました。


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そして堤防上から、エンマと集落を眺めて。抜けるような冬晴れの下、広大な十六島の田圃と、一直線に伸びるエンマ、盆景のように水辺を彩る集落‥‥。大好きな水郷風景の一つが、そこにありました。

143019.jpg上の写真で左手、三角形の小さな地所には、秩父の三峯神社を祀った石の祠と、ブランコや鉄棒を備えた小公園が設けられていました。三峯講は、関東の各地で今なお見られますが、石鳥居の立派さからして、この地にも有力な講社がある(あるいは、あった)ようですね。

堤防を控えてエンマをはさんでいるというだけでも、失礼ながらジオラマ的な魅力で一杯なのに、ささやかながら、集落の中心たる公の場所まで有しているとは! 家並みの美しさに加えて、道具立ての揃ったこの集落が、ますます魅力的に見えてしまうのでした。

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最後に、エンマにもやわれていた舟2隻を間近で。右はタテイタ造りなので、サッパといってよいようですが、左はとがった一本ミヨシらしい船首。こうしてたった2隻でも、可航水路の香りが段違いに濃くなるのですから、やはりおろそかにはできません。

一見したところ、だいぶくたびれているようでしたが、今でも竿さしてエンマに繰り出すときは、あるのでしょうか。もしかしたら、樋門の管理を委託されたお宅で使っている、樋門の点検用といったところかもしれませんね。


(26年1月2日撮影)

(『阿玉川閘門…1』につづく)

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タグ : 草林樋門水郷利根川