阿玉川閘門…4
(『阿玉川閘門…3』のつづき)
●国道の橋がゲートに迫っているので、少し南へ下がるとご覧のとおり。艇で通行するときは、少々見通しの悪い場所かもしれません。いや、夏に通るときは、桁下にできた日陰で、涼しい水位調整待ちになる利点はありますね。
眺めながらあれこれ妄想していたら、右の堰柱に、ようやく竣工年の刻まれたプレートを発見。昭和34年9月「竣功」とのこと、四隅に締め込まれた、太いマイナスネジの頭にシビレてしまいました。

●橋の下で、ふと水際に目をやると、黒い小さなブイが。感心したのは「暗礁有り」と注意書きがあったこと。文字の書かれた球形ブイというと、新芝川のアレを思い出してしまいましたが、こちらは1個で完結しているのが違います。
簡単ではありますが、航行の安全を思うと、効果は決して少なくないことでしょう。東京の水路でも、マネをしていただきたいくらいです。

●前々回触れた、堤防と国道の築堤に挟まれた「谷間」からの眺め。見えるのは二つのゲートと青空のみ、誰もいない紡錘形の枯れた草原を、閘室が二つに割るという、何とも不思議で、静かな空間です。
川風に吹かれながらの閘門見物、楽しいひとときでした。未訪の「兄弟閘門」はまだ一つ、この東に笹川閘門があるのですが、これは次回のお楽しみとし、帰途につくことにしました。
(26年1月2日撮影)
(この項おわり)

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眺めながらあれこれ妄想していたら、右の堰柱に、ようやく竣工年の刻まれたプレートを発見。昭和34年9月「竣功」とのこと、四隅に締め込まれた、太いマイナスネジの頭にシビレてしまいました。


簡単ではありますが、航行の安全を思うと、効果は決して少なくないことでしょう。東京の水路でも、マネをしていただきたいくらいです。


川風に吹かれながらの閘門見物、楽しいひとときでした。未訪の「兄弟閘門」はまだ一つ、この東に笹川閘門があるのですが、これは次回のお楽しみとし、帰途につくことにしました。
(26年1月2日撮影)
(この項おわり)

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阿玉川閘門…3
(『阿玉川閘門…2』のつづき)
●この手の管理標識は、他の兄弟閘門でも見かけましたが、今回初めて意識したのが最下欄、「操作受託者 直轄管理」の項目。
本閘門は通航艇の乗員が把手を引いて動かす、セルフ操作ですから普段は無人ということですが、十六島にある仲江間閘門のように、近在の住人の方へ管理・運転が委託されている場合は、受託者の名前または、「委託管理」などと記入されるのでしょうね。

●管理橋から閘室を見下ろして。繰り返しになりますが、ゲート設備のゴツさ(?)にくらべると、閘室は実にちんまりと、ささやかなものに見えます。右は閘室側壁の操作把手と、非常停止の手順を説明したボード。
このくらいの規模の閘門が、江戸川の行徳可動堰や新川排水機場、旧中川~荒川間の木下川排水機場などに併設されたら、楽しいだろうなあ‥‥などと、例によって妄想がむくむく。

●南側に下りて、陽射しに輝く両ゲートを一枚。国道の橋の下から撮るかたちになりましたが、ぎりぎり橋桁が入らないポジションで、フレームに収めることができました。
●ほぼ同じ位置から、はじめましての阿玉川。利根川と平行する黒部川を結ぶ、全長0.8kmほどの水路ですが、ご覧のとおり釣り人さんで賑わっていました。ヘラブナ釣りの有名スポットのようですね。
大利根本流から、堤防と閘門で守られたいわば「堤内地」とあって、河畔の眺望は開け、逆光にキラキラ輝く川面も穏やか。艪走したら気持ち良さそうな川だなあ、というのが第一印象でした。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…4』につづく)

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本閘門は通航艇の乗員が把手を引いて動かす、セルフ操作ですから普段は無人ということですが、十六島にある仲江間閘門のように、近在の住人の方へ管理・運転が委託されている場合は、受託者の名前または、「委託管理」などと記入されるのでしょうね。


このくらいの規模の閘門が、江戸川の行徳可動堰や新川排水機場、旧中川~荒川間の木下川排水機場などに併設されたら、楽しいだろうなあ‥‥などと、例によって妄想がむくむく。

●南側に下りて、陽射しに輝く両ゲートを一枚。国道の橋の下から撮るかたちになりましたが、ぎりぎり橋桁が入らないポジションで、フレームに収めることができました。

大利根本流から、堤防と閘門で守られたいわば「堤内地」とあって、河畔の眺望は開け、逆光にキラキラ輝く川面も穏やか。艪走したら気持ち良さそうな川だなあ、というのが第一印象でした。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…4』につづく)

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阿玉川閘門…2
(『阿玉川閘門…1』のつづき)
●基礎部分の水路側側面に掲げられていた、通航可能な艇の寸法表示。数字を見てもおわかりのように、いわゆる小型船舶を対象として造られたもので、東京の3閘門のように、大型のバージや水上バスといったたぐいを通すようにはできていません。
両岸4ヶ所の「量産型」閘門は、これと略同の閘室寸法を採っています。竣工時すでに、下流域をロングランするような旅客船の需要は、絶えていたことを示しているといえるでしょう。
●こちらは堰柱南側にあった、石板製の銘板。読みづらいので内容を書きだすと、
「設計監督 建設省関東地方建設局 利根川下流工事事務所 施工 鉄道建設興業株式会社」
あれ? 竣工年が書いていない‥‥。

●堤防に面した南側は、陽がよく当たってディテールもくっきり。巻上機室の周囲、こちら側3面にのみ回廊が張り出しているのは、他の兄弟閘門と一緒ですね。
堤防道を渡す管理橋は、床板が鉄板製。写真では誰も写っていませんが、自転車や徒歩の人の交通量は、かなりありました。

●閘室を挟んで、いま一つのゲートを。背後に国道の橋が迫っているので、少々窮屈な印象ですが、閘室長の短さにくらべて、不釣り合いなほど堂々とした感じですよね。
閘室の左右は、堤防と国道の築堤によって谷間ができており、刈り込まれた草の平地が細長く続いていて、一種独特の雰囲気でした。子供だったら、駆け下りて行って遊びたくなるような、秘密の空間ぽい魅力があったのです。
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…3』につづく)

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両岸4ヶ所の「量産型」閘門は、これと略同の閘室寸法を採っています。竣工時すでに、下流域をロングランするような旅客船の需要は、絶えていたことを示しているといえるでしょう。

「設計監督 建設省関東地方建設局 利根川下流工事事務所 施工 鉄道建設興業株式会社」
あれ? 竣工年が書いていない‥‥。


堤防道を渡す管理橋は、床板が鉄板製。写真では誰も写っていませんが、自転車や徒歩の人の交通量は、かなりありました。

●閘室を挟んで、いま一つのゲートを。背後に国道の橋が迫っているので、少々窮屈な印象ですが、閘室長の短さにくらべて、不釣り合いなほど堂々とした感じですよね。
閘室の左右は、堤防と国道の築堤によって谷間ができており、刈り込まれた草の平地が細長く続いていて、一種独特の雰囲気でした。子供だったら、駆け下りて行って遊びたくなるような、秘密の空間ぽい魅力があったのです。
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…3』につづく)

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阿玉川閘門…1
(『草林樋門を訪ねて…4』のつづき)
●草林樋門を離れた後は、利根川北岸を下って小見川大橋を渡り、国道356号線沿いにある、阿玉川閘門を訪ねてみました。初訪ということで、とりあえず利根川河畔から、両ゲートが並ぶところを一枚。
過去ログ「小見川閘門…1」、「萩原閘門…1」ほかでも紹介したように、この付近の閘門は、同じ図面から起こしたのか「量産型」といっていいくらい、よく似た外観をしています。

●すみません、閘門へ向かう道々、一つ引っかかってしまいました。河中に立つ、水位観測所です。上のように、枯れススキ越しに見ると、ちょっと風情のある雰囲気でしたが‥‥。
●閘門の近くで水辺に出てから眺めたところ、水上に突き立ったそのさま、何ていうんでしょう、思った以上に力強くて、孤高感(?)が半端なく伝わってくる!増水したときなどは、また濁流に耐えている感じがして、もの凄いんだろうなあ‥‥。
ちなみに、真っ黒に見える妻面には、「26」の数字が大書きされていました。国交省「川の防災情報」の「観測所検索」によると、数字のとおり「26km地点(上層)」という名前だそうです。

●閘門に戻って、掲げられた「文字もの」から愛でることに。堰柱のかなり高いところにあった銘板。対岸の閘門たちは横書きでしたが、こちらは縦書きなのですね。信号の灯器や電路、大小のスピーカーなどに囲まれて、少々窮屈そうではありました。
右は、基礎部分に掲げられた注意事項。貼り替えてまだ年月が経っていないのか、カスレや色あせもありませんね。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…2』につづく)

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過去ログ「小見川閘門…1」、「萩原閘門…1」ほかでも紹介したように、この付近の閘門は、同じ図面から起こしたのか「量産型」といっていいくらい、よく似た外観をしています。

●すみません、閘門へ向かう道々、一つ引っかかってしまいました。河中に立つ、水位観測所です。上のように、枯れススキ越しに見ると、ちょっと風情のある雰囲気でしたが‥‥。

ちなみに、真っ黒に見える妻面には、「26」の数字が大書きされていました。国交省「川の防災情報」の「観測所検索」によると、数字のとおり「26km地点(上層)」という名前だそうです。


右は、基礎部分に掲げられた注意事項。貼り替えてまだ年月が経っていないのか、カスレや色あせもありませんね。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…2』につづく)

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草林樋門を訪ねて…4
(『草林樋門を訪ねて…3』のつづき)

●高水敷を沖へ歩き、少し離れたところから。他の樋門のように、寄る辺のない孤立感が感じられないのは、堤防の向こうに立木や屋根がのぞけて、人の気配が感じられるからでしょうか。
ちなみに二本の木は、下で触れる三峯神社の祠に併設された、小公園に植えられたものです。
●高水敷を割る水路には、繋船用の杭や桟橋が見られ、最近まで船溜として、盛んに利用されていたことがうかがえます。
昭和29年から、利根川とこのエンマを見つめ続けてきた樋門‥‥。逆光の中、たたずむ後ろ姿を眺めていたら、今は昔となった賑やかな時代を、思い出しているようにも見えました。

●そして堤防上から、エンマと集落を眺めて。抜けるような冬晴れの下、広大な十六島の田圃と、一直線に伸びるエンマ、盆景のように水辺を彩る集落‥‥。大好きな水郷風景の一つが、そこにありました。
●上の写真で左手、三角形の小さな地所には、秩父の三峯神社を祀った石の祠と、ブランコや鉄棒を備えた小公園が設けられていました。三峯講は、関東の各地で今なお見られますが、石鳥居の立派さからして、この地にも有力な講社がある(あるいは、あった)ようですね。
堤防を控えてエンマをはさんでいるというだけでも、失礼ながらジオラマ的な魅力で一杯なのに、ささやかながら、集落の中心たる公の場所まで有しているとは! 家並みの美しさに加えて、道具立ての揃ったこの集落が、ますます魅力的に見えてしまうのでした。

●最後に、エンマにもやわれていた舟2隻を間近で。右はタテイタ造りなので、サッパといってよいようですが、左はとがった一本ミヨシらしい船首。こうしてたった2隻でも、可航水路の香りが段違いに濃くなるのですから、やはりおろそかにはできません。
一見したところ、だいぶくたびれているようでしたが、今でも竿さしてエンマに繰り出すときは、あるのでしょうか。もしかしたら、樋門の管理を委託されたお宅で使っている、樋門の点検用といったところかもしれませんね。
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…1』につづく)

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●高水敷を沖へ歩き、少し離れたところから。他の樋門のように、寄る辺のない孤立感が感じられないのは、堤防の向こうに立木や屋根がのぞけて、人の気配が感じられるからでしょうか。
ちなみに二本の木は、下で触れる三峯神社の祠に併設された、小公園に植えられたものです。

昭和29年から、利根川とこのエンマを見つめ続けてきた樋門‥‥。逆光の中、たたずむ後ろ姿を眺めていたら、今は昔となった賑やかな時代を、思い出しているようにも見えました。

●そして堤防上から、エンマと集落を眺めて。抜けるような冬晴れの下、広大な十六島の田圃と、一直線に伸びるエンマ、盆景のように水辺を彩る集落‥‥。大好きな水郷風景の一つが、そこにありました。

堤防を控えてエンマをはさんでいるというだけでも、失礼ながらジオラマ的な魅力で一杯なのに、ささやかながら、集落の中心たる公の場所まで有しているとは! 家並みの美しさに加えて、道具立ての揃ったこの集落が、ますます魅力的に見えてしまうのでした。

●最後に、エンマにもやわれていた舟2隻を間近で。右はタテイタ造りなので、サッパといってよいようですが、左はとがった一本ミヨシらしい船首。こうしてたった2隻でも、可航水路の香りが段違いに濃くなるのですから、やはりおろそかにはできません。
一見したところ、だいぶくたびれているようでしたが、今でも竿さしてエンマに繰り出すときは、あるのでしょうか。もしかしたら、樋門の管理を委託されたお宅で使っている、樋門の点検用といったところかもしれませんね。
(26年1月2日撮影)
(『阿玉川閘門…1』につづく)

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