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行徳可動堰の改修…1

(『6月23日の江戸川閘門…2』のつづき)

127011.jpg独特の風貌を持つ堰柱群と、回転しながら上下する円筒形の扉体・ローリングゲートという貴重な形式のゲートを備え、東京周辺の水門の中でも特異な存在である、行徳可動堰。

竣工から50年以上が経ち、閘門を備えた可動堰を上流側に新設、現可動堰は撤去という計画もあったようですが、さまざまな理由から、現在の設備を大改修して引く続き運用してゆくことになり、平成23年度から工事に着手したとのこと。

閘門設置の計画が取り止めになったのは、閘門バカとしては残念ではありましたが、巡洋艦の艦橋を思わせる堰柱に惹かれていることもあり、工事の進み具合は如何と、寄り道してみることに。

近づいてみると、上流側から見て左側2基の堰柱が白くなっており、周りに足場や台船などは見られず、思ったより片付いた印象。第一期工事が終了し、中休み中といったところでしょうか。

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さらに接近して、右2基の堰柱から検分。こちらは外観にほとんど変わりはないものの、正面下にスリットが設けられていました。

国交省・関東地方整備局の「江戸川特定構造物改築事業(行徳可動堰改築)」(PDF)によれば、工事は可動堰だけでなく、堰柱を橋脚としている現在の行徳橋を撤去し、上流側(!)に新しい行徳橋を架設するとのこと。スリットは、新設橋に関連するものでしょうか。

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そしてこちらが、コンクリートの肌も真新しい、改築された堰柱。

鉄筋を打ち込み補強したとのことで、旧来の艦橋ぽい印象は保たれていますが、外壁にコンクリートが盛られた分、巻上機室が頭でっかちになり、窓が相対的に狭く見えて、少々鈍重な感じを受けました。

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左から2番目の堰柱を見上げて。独特のスタイルが失われなかったのは喜ばしいものの、閘門併設が成らなかったのは、まことにもって残念無念であります。

初夢大妄想・ここに閘門が欲しい!」でも触れましたが、ここに閘門ができると、千葉方面への行動範囲が、飛躍的に広がるんですがねえ…。

127015.jpg左径間の扉体は、すでにシェル式ローラーゲートへ取り替えられていました。中央・右径間はまだ、旧来のローリングゲートのままです。

水門図鑑「鋼製ゲート百選」(技報堂出版)の行徳可動堰の項に、「この形式は長径間ゲートとして大正年間から設置されてきたものの、この行徳可動堰を最後に他の形式に変わってきた。その意味で、このゲートは貴重な水門遺産である。」とありました。

先のPDFの予定表によれば、中央・右径間(2号・3号ゲート)の工事は、25~26年度に行う予定とのこと。国内水門史上、希少なこのローリングゲートも、あとわずかで見られなくなるわけですね。
撮影地点のMapion地図

(25年6月23日撮影)

(『行徳可動堰の改修…2』につづく)

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タグ : 江戸川行徳可動堰