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生きている大運河・佐陀川…9

(『生きている大運河・佐陀川…8』のつづき)

115093.jpgこんな肌寒い時季に、水面を飛び回るツバメの姿が珍しく、その行方を追ってゆくと、神名火大橋の桁裏へしきりに出入りしているのがわかりました。桁裏をのぞくと、ちょうど古巣にしがみついて、もしゃもしゃと修繕に余念のないツバメ君を発見。

尾羽が短くて二つに割れておらず、ノドの赤い部分がありません。自宅の近所に渡ってくるツバメとは違った種類のようです。地元の方のお話では、これはイワツバメといって、普通のツバメよりずっと早く営巣を始めるとのこと。その可愛らしいしぐさに、しばし見惚れるトリ好き一名。

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115095.jpgツバメはさておき、神名火大橋の上から河口の眺望を楽しんでみましょう。橋の中央から西側、恵曇港を望んで。幾重にも重ねられた新旧の防波堤と、左側はるかに見える切り立った海岸線が、冬の季節風の厳しさを感じさせます。

河口一帯は、近年かなり改築が進んだと見えて、橋上から眺めたかぎり、歴史を感じさせるものは少なかったのですが、北側(写真右)には、わずかに木造の建屋と、石垣護岸が残されていました。合同汽船が発着した場所も、こんな石組の水辺だったのかも…と、妄想が湧きあがります。

115096.jpg河口南岸は北と対照的で、コンクリートの色も真新しい、フェンダー付きの岸壁が見られ、その向こうも更地となって、工事まだ半ばといった様子。大型の自走式クレーンや、積み上げられたテトラポッドの姿があることから、防波堤改修工事の拠点として使われているようにも見えました。

写真左手奥は、古浦海水浴場のあるところですね。夏休みになると、合同汽船に乗って海水浴へゆくといった記事がありましたが、なるほど港からもほど近く、松江近郊の手軽な行楽地として、人気のあったのもうなずけます。

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すでにタイトルにも掲げましたが、上流側の眺望も改めて。護岸は一部新しくなっているものの、両岸沿いに伸びる古そうな家並が、漁港としての歴史と、佐陀川の果たしてきた役割を象徴しているように思えたものです。

山間を縫って島根半島を縦断し、今なお可航水路として生きる運河・佐陀川! 海跡湖や潟湖の排水を兼ねて、舟運路を開こうと開鑿された水路は全国に数あるとはいえ、ここまでよい状態を保ち、しかも舟航が維持されている例は、ほとんど唯一といってよいのではないでしょうか。駆け足ながら、そんな希少な川景色を、起点から終点まで眺める機会を得られた幸せ、言葉にはいい尽くせないものがありました。
撮影地点のMapion地図

(25年3月16日撮影)

(『合同汽船・佐陀川航路覚え書き』につづく)

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タグ : 佐陀川水辺の鳥たち