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大洗磯前神社にて

(『中丸川水門…3』のつづき)

117016.jpg中丸川水門を離れて那珂川を渡り、大洗磯前神社に参拝することにしました。その名のとおり、太平洋の波が洗う磯を足下に、小高い丘の上におわすお社で、表参道に建つ一の鳥居も立派なもの。石段の上から望む海の眺めも素晴らしく、今までご挨拶しなかったことが悔やまれました。

海にゆかりが深そうな神社ともなれば、海事や船舶に関連した奉納物や石碑があるかも…と、例によってよこしまな期待をしつつ境内へ入ったところ、予想を上回る発見に、驚かされることになったのです。
撮影地点のMapion地図

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タグ : 大洗磯前神社

中丸川水門…3

(『中丸川水門…2』のつづき)

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中丸川から見て右の堰柱に、各施工会社の銘板がありました。01年12月の竣工。扉体は西田鉄工、寸法13×7.094m…と思いきや、右に掲げた不動建設の銘板では、幅13.5m。はて、この違いは? 堰柱から戸溝が、出っ張った造りになっているという意味なのでしょうか。

しかし、天地寸法の項目に、「呑口高」という言葉が出てきたのは新鮮でした。今まで見た水門の銘板では、この表現はなかったような…。

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堤防を下りて、那珂川の高水敷からいいお顔を一枚。…う~ん、実際眺めてみると、思ったより「カッパっぽさ」が薄いなあ…。佐藤氏が撮られたときより、巻上機室の塗装が色あせてしまっているのが、大きいかもしれません。

カッパの飄々とした風情よりは、どちらかといえばがっしりとした、頼もしさを感じました。巻上機室はお互いを管理橋(?)で結ばれており、扉体の前にも太い梁状の構造が走っていて、天地方向に抜きん出た部分が少ないのが、そう思わせるのでしょうか。

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下流側に出て、少し離れたところから。ちなみに巻上機室の壁面、遠目にはコルゲート鋼板か何かで造ったように見えますが、近くで観察してみると、溝を彫ったコンクリートパネルのようでした。

佐藤氏の写真では、水門のすぐ脇に船溜が見られたのですが、ご覧のとおり跡形もありませんでした。津波の被害に遭われたのでしょうか…。

117015.jpg那珂川の下流側を望むと、那珂湊入りするたびに、中丸川水門をチラ見しつつ渡っていた、湊大橋の姿が遠望できました。

もっとも、前回渡った、あの強烈なランガートラス(『萬右衛門川の面影…4』、過去ログ『那珂湊には…』参照)はすでに使用が止められていて、今回渡ってきたのは、手前に架かった新しい湊大橋。あの独特の構造を眺めながら、渡る楽しみがなくなったと思うと、寂しいかぎりではあります。


(25年4月14日撮影)

(『大洗磯前神社にて』につづく)

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タグ : 中丸川水門中丸川那珂川

中丸川水門…2

(『中丸川水門…1』のつづき)

117006.jpg水門に向かって堤防道を歩いてゆくと、またも引っかかる物件が。先ほどの船溜にいたのと、同タイプの舟が上架されていました。

高さを同じくして眺めると、胸のすくようなスマートさが際立って、実に格好よく見えます。よくある一本ミヨシより、小さくまとめた戸立ての船首の方が、どちらかというと頑丈そうな、頼もしさを感じさせますね。美しい塗装の様子から見て、竣工間もないおろしたてなのでしょう。

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タイトルの少し前に撮ったもの。水門目指して、土手を登らんとするこの軽い高揚感、何度味わってもよいものですね。春とあって、冬のように抜けるような青空とはいきませんが、ご覧の上天気とくれば、足取りも軽くなろうというものです。

ちなみに、この時点で風はかなり強く、低い堤防を越えて、那珂川を抜けてきた風が頭上の電線を揺らし、びゅうびゅうと音を立てていました。

117008.jpg中丸川から向かって、左側の堰柱には、黒地に真鍮磨き出しの立派な銘板が。諸元を記したメーカーズプレートは、反対側の堰柱にあるかしら。

強風になぶられながら歩いていると、どこからか管楽器を鳴らしたような、不思議な音が断続的に聞こえてきました。那珂川の対岸あたりで、ブラスバンドの練習でもしているのかな? と思っていると…。


117009.jpg管理橋の上で、耳をすませてキョロキョロしていると、音は、風が強まったときに、すぐ横の扉体から聞こえてくることが判明。パイプオルガンのような、胸に沁みる哀調のある音色で、しばし聞き惚れてしまうほど。

おそらく、扉体の構造が笛の役目をして、風が抜けるときに音を出しているのでしょう。単なる偶然とはいえ、水門の新たな面白さを発見した気分でした。


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管理橋の上から、撮らずにはおれなくなるこのS字屈曲。堤防は法面半ばまでブロックや砕石で固められ、河道内には浅瀬や岩も見えず、のどかながらもさっぱりと整備された、いかにも走りやすそうな可航河川を見下ろすこの嬉しさ。

地勢からして、遡上限界点までは、ほんのわずかな距離なのでしょうが、実にそそる川ですよ中丸川! ご当地の戸立て造りFRP和船で、艪漕ぎしてみたくなるような、静かで落ち着いたよい雰囲気。ううむ、意識を吸い寄せられるものが多くて、なかなか水門に集中できないのが何とも。
撮影地点のMapion地図

(25年4月14日撮影)

(『中丸川水門…3』につづく)

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タグ : 中丸川水門中丸川

中丸川水門…1

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4月14日は、那珂湊へお墓参りにいった帰り、いくつか寄り道してお散歩を楽しんできました。まず向かったのは、那珂湊にほど近い、那珂川に注ぐ支流・中丸川の河口を守る、中丸川水門。

佐藤淳一氏がブログ「Das Otterhaus」の「カッパに見えるぜ」という記事で紹介されており、那珂湊入りするときに必ず渡る湊大橋からも、その緑色の巻上機室がよく見えることもあって、一度訪ねてみたいと思っていたのです。

幸いにも、中丸川の河畔で行き止まる舗装道路を見つけ、難なく水門を間近に望む堤防上に立つことができました。おお、いたいた…。と、その前に、手前にあるイイ感じの手製桟橋と、船溜に引っかかってしまうはめに。

117002.jpg手前にもやっていた、3隻のFRP和船に目が吸い寄せられました。小さいながら船首が戸立て造り、梁の配置や、艫の舷側のちょっとした高め方など、いくつかの特徴に共通性があります。この地域特有の和船のデザインを、受け継いだFRP舟かもしれません。

雨水は少々溜まっているものの、さっぱりとした様子から、現役で使われている舟でしょう。漁舟としてはかなり細身の船体で、艪漕ぎにもよさそうですね。

117003.jpgその隣に、フェンダーに引っかかって、ちょっと傾きながら休んでいたのは、先代艇と同型の君! かつてのベストセラー艇だけあって、発売から30年以上を経た今も、各所で出会えるのは嬉しいものです。

船首やハンドレールの撤去跡に、パテ埋め補修が見られるほかは状態も悪くなく、漁船として愛用されているようです。操舵席前、干してあるのか、ゴム手袋がニョッキリ立っているのがユーモラス。元気で長生きするんだよ…。

117004.jpg船溜から、上流方を振り返って。S字屈曲と草の生えた法面が、のどかな感じを醸し出す川景色で、可航区間がまだ奥まで続いているのも好印象。

ちなみに、ここまでクルマですんなり入れたのは、奥に見える水管橋のおかげ。右の橋詰まで、細いながら舗装された管理道路が伸びており、転回に十分なスペースもありました。


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おっと、引っかかり過ぎてしまった…。堤防上を続けて前進、中丸川水門の裏側が、正面に見えるところで一枚。扉体のスキンプレートは、管理橋側を向いているのですね。

こちらは巻上機室の壁面と、下部の堰柱がツライチのためか、思ったより「カッパっぽさ」は感じられません。いや、それより、カッパらしさの源である緑色ですが、佐藤氏の写真で見たときより、ずいぶん薄い気が…。光の加減かな?
撮影地点のMapion地図

(25年4月14日撮影)

(『中丸川水門…2』につづく)

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タグ : 中丸川水門中丸川

生きている大運河・佐陀川…9

(『生きている大運河・佐陀川…8』のつづき)

115093.jpgこんな肌寒い時季に、水面を飛び回るツバメの姿が珍しく、その行方を追ってゆくと、神名火大橋の桁裏へしきりに出入りしているのがわかりました。桁裏をのぞくと、ちょうど古巣にしがみついて、もしゃもしゃと修繕に余念のないツバメ君を発見。

尾羽が短くて二つに割れておらず、ノドの赤い部分がありません。自宅の近所に渡ってくるツバメとは違った種類のようです。地元の方のお話では、これはイワツバメといって、普通のツバメよりずっと早く営巣を始めるとのこと。その可愛らしいしぐさに、しばし見惚れるトリ好き一名。

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115095.jpgツバメはさておき、神名火大橋の上から河口の眺望を楽しんでみましょう。橋の中央から西側、恵曇港を望んで。幾重にも重ねられた新旧の防波堤と、左側はるかに見える切り立った海岸線が、冬の季節風の厳しさを感じさせます。

河口一帯は、近年かなり改築が進んだと見えて、橋上から眺めたかぎり、歴史を感じさせるものは少なかったのですが、北側(写真右)には、わずかに木造の建屋と、石垣護岸が残されていました。合同汽船が発着した場所も、こんな石組の水辺だったのかも…と、妄想が湧きあがります。

115096.jpg河口南岸は北と対照的で、コンクリートの色も真新しい、フェンダー付きの岸壁が見られ、その向こうも更地となって、工事まだ半ばといった様子。大型の自走式クレーンや、積み上げられたテトラポッドの姿があることから、防波堤改修工事の拠点として使われているようにも見えました。

写真左手奥は、古浦海水浴場のあるところですね。夏休みになると、合同汽船に乗って海水浴へゆくといった記事がありましたが、なるほど港からもほど近く、松江近郊の手軽な行楽地として、人気のあったのもうなずけます。

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すでにタイトルにも掲げましたが、上流側の眺望も改めて。護岸は一部新しくなっているものの、両岸沿いに伸びる古そうな家並が、漁港としての歴史と、佐陀川の果たしてきた役割を象徴しているように思えたものです。

山間を縫って島根半島を縦断し、今なお可航水路として生きる運河・佐陀川! 海跡湖や潟湖の排水を兼ねて、舟運路を開こうと開鑿された水路は全国に数あるとはいえ、ここまでよい状態を保ち、しかも舟航が維持されている例は、ほとんど唯一といってよいのではないでしょうか。駆け足ながら、そんな希少な川景色を、起点から終点まで眺める機会を得られた幸せ、言葉にはいい尽くせないものがありました。
撮影地点のMapion地図

(25年3月16日撮影)

(『合同汽船・佐陀川航路覚え書き』につづく)

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タグ : 佐陀川水辺の鳥たち