古賀オール見学記…1

思えば、過去ログ「9月2日のフネづくし」で、曳船「第3東海丸」を紹介したのが初出だったでしょうか。以来、横付けするフネブネや「曳船犬」クンに始まり、次第に美しく手入れされた揚搭設備にも惹かれるようになって、通るたびにカメラを向けたものでした。
都内の運河や川から、業務船やクレーンが日一日と数を減じてゆく今日、世の趨勢などどこ吹く風の面持ちで、艀輸送を活用している古賀オールは、水運趣味の目から見ても、実に頼もしい存在だったのです。
●今回ありがたいことに、その古賀オール株式会社より、何と、工場見学のお誘いをいただいたのです! これは万難を排してお訪ねせねば、と想い焦がれながらも、予定の調整にしばらくかかってしまい、ようやく猛暑にうだるこの日、丸に「古賀」の二文字を描いた、赤い社章を仰ぐに至ったのであります。
【撮影地点のMapion地図】

●事務所棟の前に降り立つと、間髪いれずに、制服を着た社員の方から名前を呼ばれビックリ。「いつもお顔を見ていますから、すぐわかりました」とのこと、ハテ? と思っていたら、私が古賀オールを紹介させていただいた回の「タモリ倶楽部」(『水路の立役者たち、揃い踏み!』参照)の録画を、見学者のあるたびに見せているため、すっかり覚えてしまったとのことで、恐縮しきり。
工場長をはじめ、幹部社員の方々とご挨拶の後、お借りしたヘルメットと作業着に着替え、現場へ向かいます。「構内は暑いですから、これをどうぞ」と渡されたのが、首に巻くタオルに包んだ保冷材。細やかなお気遣いに感激です。

三棟ある工場の建屋は、奥行き約170~180mもある長大なもの、建屋の間に伸びる通路をのぞき込んでも、その巨大さが実感できます。
各棟の妻板にも、丸に「古賀」のマークと社名が鮮やかに記され、引き締まった雰囲気。「テレビで『古賀さんキレイ』と紹介されてから、いつ見られても恥ずかしくないようにと、塗り直したんですよ」と工場長。
イヤ、嬉しいというか申しわけないというか…縮こまってしまうばかりでしたが、拝見しお話をうかがうにつれて、この高い即応性こそ、古賀オールの社風の一つなのだと気づかされるようになりました。

●第一工場に入り、眼前に広がった光景…シャーリングが音を立てて鋼板を断ち、頭上を天井クレーンが唸りを上げて走る、「これぞ現場」といった眺めに息を呑みます。写真がブレ気味なのは、感動のあまり手が震えているからかしら。
ちなみにこちら側は、製品にとってはいわば出口で、通路の脇には加工済みの鋼板が、クラフト紙に梱包されてスキッド(パレットのように用いられる木枠)に載せられ、積み上げられていました。何しろ鋼板ですから、ほんのひと抱えの紙包みでも、数百kgから1t超もあるとのこと。取扱いには気を遣うことでしょう。

●おおお、天井クレーンが頭上に! ウォオーンと、ちょうど昔の釣掛式電車のような、ハートをわしづかみにするイイ感じのモーター音をさせながら、空間を圧して走るさまは迫力満点! 運転室のゴンドラには人が見えませんが、遠隔操作なのでしょうか。
(24年8月2日撮影)
(『古賀オール見学記…2』につづく)

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タグ : 古賀オール
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