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古賀オール見学記…4

(『古賀オール見学記…3』のつづき)

106016.jpg前回の写真よりちょっと手前から、南側を見たところ。第一工場に入る線路とは別に、第二工場へのそれが運河と平行に伸びていました。この線路は、二つのクレーンから荷を受けられるように造ってあるようです。

ちなみに運河畔のクレーン、ご存知のように3つあって、北側からそれぞれ「第一工場ヤードクレーン」、「第二工場ヤードクレーン」、「第三工場ヤードクレーン」と呼ばれているとのこと。私が今立っているのは、第一工場ヤードクレーンの下というわけです。

106017.jpg柵に近づいてみると、ご覧のような看板が掲げられていました。安全スローガンのたぐいはえてして、あまり顧みられず薄汚れたものとの先入観がありましたが、さすが古賀オール、屋外の小さな看板であってもきれいに保たれています。

工場内を拝見しているときに気づいたのが、社員の皆さん同士の挨拶は、敬礼と「ご安全に!」という引き締まったかけ声だということ。設備全般の手入れのよさもさることながら、その基本はやはり人にあるのだなあ、と実感したことではありました。

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…で、柵の外をのぞき込むと…。
初めて見下ろすバージのホールド!

夏の陽射しを浴びて、白く乾いた木甲板の上に、まだいくつかの巻取鋼板が残されていました。ヤードクレーンでの荷役は、まだ終わっていないようですね。稼働の様子が見られるかもと、期待に胸がふくらみます。

106019.jpgこちらは同じバージの船首側。イグアナクレーンが指呼の間にのぞめ、スカイツリーもうっすら見える曙北運河畔。対岸に木々が茂っているとあって、のどかな眺めではあります。

甲板上は緑色の滑止ペイントで塗り上げられていましたが、船首甲板のみコンクリートで被覆されていました。眺めているだけで辛抱たまらず、「乗っていいですか?」とお願いすると、岸壁に設けられたハシゴに案内してくださいました。

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いや~…。長年艇から眺めてきたバージの甲板上に立つ日が来ようとは! 感無量かつ、古賀オールの皆さんへの感謝の気持ちで一杯です。

ちなみに船名は第七高取丸。後ほどうかがったデータによると、全長37.50m、全幅8.15m、400総t、昭和59年の建造で、株式会社スミリクさんが運航されているそうです。


(24年8月2日撮影)

(『古賀オール見学記…5』につづく)

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タグ : 古賀オール曙北運河

古賀オール見学記…3

(『古賀オール見学記…2』のつづき)

106011.jpg第一工場の西端(運河側)近くまで来ると、おりしも天井クレーンが、梱包された巻取鋼板を吊り上げて移送中でした。

あっ、クレーンガーダーの裏に、「東西南北」と方角を書いた板が貼られている! イグアナクレーンにも、同様のもの(『2月18日の運河風景…2』参照)が付いていましたよね。やはり安全上、移動方向の呼び方を決めておくのは大切なことなのでしょう。

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巻取鋼板は、大きなもので一巻2~30tはあるとのこと。なるほど、クレーンの力量も構内最大で、30tと表記されています。ちなみにNo.3は15t、No.4は10tでした。

ん? このクレーンはNo.2…、No.1はどこに?

106013.jpg巻取鋼板の集積が途切れたあたりには、二本のレールに乗った移送台車がありました。これが運河から荷揚げされた鋼板を受けて、工場内まで運ぶのですね。

簡単な2軸トロッコのように見えますが、大きな重量がかかるとあって造りは頑丈そのもの。軸受けも、貨車のように外側だけでなく、内側にもあって計8ヶ所で支えています。台車が載っている場所は台貫(秤)も兼ねていて、奥にもその指針が見えますね。
台車の線路が目指す先は……。

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お待ちかね、運河畔のクレーンです! 

おおお、このクレーンがNo.1だったんだ! 運河のクレーンが第一号とは、これまた粋なことを…いや、冷静に考えたら、工程順に番号を割り振っただけのような…。興奮のあまり、あらぬことに妄想が及びましたが、正直このクレーンが栄えある(?)第一号だと気づいたときは、嬉しかったものです。

106015.jpgさあどうぞ、とうながされて、いよいよ工場を出てクレーンの下へ。よもや、こちら側からクレーンを愛でる日が来ようとは、思ってもみなかっただけに、感動もひとしおであります。はい。

間近から仰ぐクレーンのトラスは、水面から見上げるのとまた違った、力強さと美しさが感じられました。強烈な夏の陽射しに輝く構造、じりじりと焼けて熱をおびた鉄の肌。緑濃い運河畔に、思い切りよく突き出したその威容。どれを取っても、現役の揚搭設備独特の、生き生きとした魅力にあふれていたのです。


(24年8月2日撮影)

(『古賀オール見学記…4』につづく)

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タグ : 古賀オール

古賀オール見学記…2

(『古賀オール見学記…1』のつづき)

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頭上を圧するクレーンを見上げていたら、端部に光るランプの列が目に入りました。

「無線」と「高速」のランプ二つが灯っています。ははあ、遠隔操作なのかな…と思っていたら、「クレーンは地上からリモコンで動かしているんですよ」との説明が。なるほど。

106007.jpg振り返って、入ってきた方(東側)を見たところ。ううむ、相変わらずピンが甘いというか、ブレ気味の写真ばかりで申しわけないです。

天井クレーンは手前がNo.3、奥が先ほど頭上を通り過ぎたNo.4の番号が振られていました。床の上には、幅広の鋼板からスリッターで加工した帯材が、鉄の肌を鈍く光らせて、巻き取られた状態で整然と並べられているのが見えますね。

106008.jpgスリッターから出てきた直後の鋼板は、まるで潮汐グラフのような曲線を描いて、鋼板とは思えないしなやかさを見せています。

イヤ、鋼(ハガネ)だからこそしなやかなのか…。表面に何か引いてあるのではなく、まして錆などない、正真正銘の「鉄の生地」を目の当たりにして、改めて「キレイなものだなあ」と、惹かれるものがありました。


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各加工ラインのフィーダーは、ご覧のとおり巻取鋼板がオートローダーによって軸に装着されています。輪転印刷機の給紙部にも似た構造ですが、軸受け周りだけ見ても堅牢かつ重厚で、扱うものの重さが桁違いなのがわかりますね。

こんなに大きな鉄の塊が、芯をブレさせることなく高速で回転しているというだけでも凄い光景で、克服してきた技術的課題の多さが想われるようです。
この「巻取鋼板」という形態を採ったことにより、鋼板輸送が格段に容易になったそうですが、反面、鋼板の曲がり癖を取って、平坦にならす技術が要求されるようになったそう。古賀オールはこの点でも、業界随一の品質を誇っているのだとか。

106010.jpgこちらはレベラーシャーのライン。バァン、バァンと大きな音をたてて、鋼板が連続切断されてゆく豪快な光景。刃物の取り付けられた枠の部分は、鋼板の進行に合わせて追従しつつ切断するため、振り子のような運動をするのが印象的です。

鋼板を加工する工場ということで、機械油や鉄粉にまみれた現場を想像していたのですが、意外や構内は非常にきれいで、清掃・整頓が行き届き、機械も新旧問わずさっぱりと拭きあげられ、可愛がられていることがわかりました。「キレイ」なのは、運河から見上げるクレーン群だけでなく、工場全体だったわけで、大いに納得させられたのでした。


(24年8月2日撮影)

(『古賀オール見学記…3』につづく)

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タグ : 古賀オール

古賀オール見学記…1

106001.jpg8月2日、私は古賀オール・東京工場の前に立っておりました。このブログでは幾度となく紹介してきた、曙北運河畔に3基のクレーンを擁して存在感を放つ、あの古賀オールです!

思えば、過去ログ「9月2日のフネづくし」で、曳船「第3東海丸」を紹介したのが初出だったでしょうか。以来、横付けするフネブネや「曳船犬」クンに始まり、次第に美しく手入れされた揚搭設備にも惹かれるようになって、通るたびにカメラを向けたものでした。

都内の運河や川から、業務船やクレーンが日一日と数を減じてゆく今日、世の趨勢などどこ吹く風の面持ちで、艀輸送を活用している古賀オールは、水運趣味の目から見ても、実に頼もしい存在だったのです。

今回ありがたいことに、その古賀オール株式会社より、何と、工場見学のお誘いをいただいたのです! これは万難を排してお訪ねせねば、と想い焦がれながらも、予定の調整にしばらくかかってしまい、ようやく猛暑にうだるこの日、丸に「古賀」の二文字を描いた、赤い社章を仰ぐに至ったのであります。
撮影地点のMapion地図

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事務所棟の前に降り立つと、間髪いれずに、制服を着た社員の方から名前を呼ばれビックリ。「いつもお顔を見ていますから、すぐわかりました」とのこと、ハテ? と思っていたら、私が古賀オールを紹介させていただいた回の「タモリ倶楽部」(『水路の立役者たち、揃い踏み!』参照)の録画を、見学者のあるたびに見せているため、すっかり覚えてしまったとのことで、恐縮しきり。

工場長をはじめ、幹部社員の方々とご挨拶の後、お借りしたヘルメットと作業着に着替え、現場へ向かいます。「構内は暑いですから、これをどうぞ」と渡されたのが、首に巻くタオルに包んだ保冷材。細やかなお気遣いに感激です。

106003.jpgまず案内されたのが、敷地北側にある第一工場、熱延鋼板…読んで字のごとく、加熱して圧延した鋼板を専門に扱う工場。古賀オールは、鋼板を裁断加工して卸売りする、鉄鋼商社なのです。

三棟ある工場の建屋は、奥行き約170~180mもある長大なもの、建屋の間に伸びる通路をのぞき込んでも、その巨大さが実感できます。

各棟の妻板にも、丸に「古賀」のマークと社名が鮮やかに記され、引き締まった雰囲気。「テレビで『古賀さんキレイ』と紹介されてから、いつ見られても恥ずかしくないようにと、塗り直したんですよ」と工場長。

イヤ、嬉しいというか申しわけないというか…縮こまってしまうばかりでしたが、拝見しお話をうかがうにつれて、この高い即応性こそ、古賀オールの社風の一つなのだと気づかされるようになりました。

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第一工場に入り、眼前に広がった光景…シャーリングが音を立てて鋼板を断ち、頭上を天井クレーンが唸りを上げて走る、「これぞ現場」といった眺めに息を呑みます。写真がブレ気味なのは、感動のあまり手が震えているからかしら。

ちなみにこちら側は、製品にとってはいわば出口で、通路の脇には加工済みの鋼板が、クラフト紙に梱包されてスキッド(パレットのように用いられる木枠)に載せられ、積み上げられていました。何しろ鋼板ですから、ほんのひと抱えの紙包みでも、数百kgから1t超もあるとのこと。取扱いには気を遣うことでしょう。

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おおお、天井クレーンが頭上に! ウォオーンと、ちょうど昔の釣掛式電車のような、ハートをわしづかみにするイイ感じのモーター音をさせながら、空間を圧して走るさまは迫力満点! 運転室のゴンドラには人が見えませんが、遠隔操作なのでしょうか。


(24年8月2日撮影)

(『古賀オール見学記…2』につづく)

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タグ : 古賀オール

月刊IKKI 10月号「新・鉄子の旅」に…

105007.jpg小学館発行の漫画雑誌「月刊IKKI」に連載中の「新・鉄子の旅」(ほあしかのこ氏作)、本日25日発売の10月号掲載「第30旅」の取材を、我が艇とともにお手伝いさせていただきました。

ご存知の方も多いと思いますが、「新・鉄子の旅」は、アニメ化もされた「鉄子の旅」の新シリーズで、サブタイトルは「実録鉄道旅漫画」! トラベルライター・横見浩彦氏が案内人を務める、鉄道旅行のコミックです。

意外なご縁があって、今回のお話をいただいたのですが、これまでのお手伝いと少々勝手が違うのは、「実録」の文字どおり、取材の結果がほぼそのまま漫画になること。つまり、不肖船頭も、漫画に登場させていただけることになったのです!

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タグ : 春海運河神田川汐見運河隅田川曳船独行艀新・鉄子の旅IKKI小学館