高瀬舟の写真があった!

●少し遅くなりましたが、6月19日からのタイトル画像について。
●先日、「川蒸気の絵葉書二題」で、「いずれ、利根川高瀬舟のいい写真にも出会えたら、同様にタイトルにして楽しんでみたい」と書いたら、願いが通じたのか、なな何と、我が家で高瀬舟の絵葉書が発見されたのです! まあ、「発見された」というのは大げさで、単に気づいていなかっただけのことですが。
連れが以前手に入れた、昔の絵葉書ホルダーの中の一枚にあったのですが、まさかそんなところに高瀬舟の絵葉書があるとは誰も思わず、「これ、高瀬舟じゃないの?」と見せられたときは、驚きかつ嬉しくなったものです。まさに灯台もと暗し。気づいてくれた連れに、大いに感謝しつつ、さっそくタイトルに掲げさせてもらいました。

水郷を写した絵葉書も、高瀬舟を含め何枚かありました。写真は香取神宮の津宮と、息栖神社の浜鳥居の絵葉書です。
(過去ログ『津宮』『息栖船溜…1』ほか参照)
●さて、絵葉書の写真ですが、帆をいっぱいにふくらませて追風で快走する姿を見事にとらえており、大きく反った船首尾、扇形の巨大な舵の羽板、角張った船首と、高瀬舟独特のディテールも判別できる、素晴らしい写真です。
ちょっと残念なのは、光の加減か、または製版時のボカシ加工によるものか、かなり白飛びしてしまっているのと、高瀬舟の特徴の一つである、船首付近のセイジ(居住区)が、帆布か何かにおおわれているのか、ディテールが判然としないこと。ですが、一反一反に山を作りつつ、はちきれそうに風をはらんだ帆の躍動感は、それらを打ち消して余りあります。
撮影地は、背景だけではなんとも判別しがたいので、「利根の風景 香取ヶ浦」というキャプションに従い、香取付近の利根川としましたが、いかがでしょうか。違っていたらご教示をいただきたいものです。
●この写真を見て、オッと目を引かれたのは、艫車立(帆柱を倒したときに、支えとなるコロ付きの柱で、船尾にあるもの)に艫帆として、小さな洋式の縦帆を上げていることでした。
このタイプの縦帆は、先日「川舟の帆のかたち」でご覧に入れましたが、横帆と縦帆を併用した川舟の写真は初見で、珍しいものと思います。横帆から縦帆に置き換わる、過渡期の姿なのかもしれませんね。
川舟には、切り上がり性能はさして求められないでしょうから、あるいは、橋が次第に増えてきたことにより、橋をくぐる際、主帆柱を倒した際の補助帆として使われたのかも…。積荷の高さにくらべて喫水が深いのは、石でも積んでいるのかしら?…などと、妄想はとどまるところを知りません。
●利根川高瀬舟! 各地に存在した同名の川舟とはまったく異なる、大きなものでは長さ約30m、1200俵積みの船もあったといわれる、国内最大級の川舟。浅喫水と柔構造を身上とし、年々浅くなる河床に苦しめられながらも、昭和に至るまで「歩き」続けた、関東大水運時代の立役者!
まさに順風満帆、帆のはためきが聞こえてくるような、見事な帆走姿の高瀬舟に出会えた嬉しさ、ちょっと言葉ではいい尽せないものがあります。

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