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関宿再訪…3

(『関宿再訪…2』のつづき)

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中之島公園の小径をたどって、水門に向かいます。陽射しがかなり強いので、木陰がありがたく、水門の落差から流れてくる水の冷気もかすかに感じられて、気持ちの良い散歩道です。

60042.jpg道の脇のところどころに、ベンチ代わりにするにはちょっと小さい石材が置かれていますが、これはかつての江戸川流頭部にあった、関宿棒出しの一部を構成していたものだそうです。
何でも、栃木県岩舟山から切り出された岩舟石なる石材で、渡良瀬川を下って遠路はるばる関宿までやってきたのだとか。

棒出しは、水閘門完成後、昭和4年に撤去されたとのことですが、人工の狭窄部は当然ながら急流となり、舟航上の大変な難所で、高瀬舟の時代は、船を引き上げるための神楽算(ウィンチ)まで備えてあったそう。水位差を克服する設備としてはかなり特異で、閘門とはまた違った面白さがありますね。

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東詰から水門を眺めて。見下ろすと、底が透けて見える水たたきから、水音とともに冷気が吹き上がってきて、爽快この上なし。80年余の星霜を経たコンクリートの肌は相応に古びていますが、まだまだ働けそうで頼もしい雰囲気ですね。

60044.jpg東詰には「土木学会選奨土木遺産 関宿水閘門」と記されたレリーフと、認定書のコピーが掲げられていました。平成15年に認定されたのですね。
関宿水閘門は、関宿水堰とも呼ばれ、昭和2年の竣工。かつては結構な通船量を誇った可航河川だっただけあり、後ほど触れる閘門を併設した水防施設です。

閘門なら何でも好きなのですが、私の脳内でより興味をそそられる点は、河口からどのくらい遡上した位置にある閘門か、ということ。この点関宿は、河口から遠く60kmを隔てた内陸にあるので、興奮も倍加しようというもの。

以前紹介した三栖閘門や、それに続く琵琶湖疏水の閘門群(ほとんど撤去されていますが)と並んで、国内でも有数の内陸に設けられた閘門なのではないかと、一人で胸を熱くしているのです。まあ、すでに稼動できる状態にないのが、残念ではありますが。

60045.jpg水門の上は、対岸に渡れる遊歩道が設けられているので、川景色を楽しみながら閘門に向かいましょう。

このあたり、サイクリングの名所でもあるので、結構な量の自転車が渡ってきます。
撮影地点のMapion地図



(23年5月4日撮影)

(『関宿再訪…4』につづく)

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タグ : 中之島公園関宿水閘門江戸川