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川蒸気の絵葉書二題

昨日10日からのタイトル画像のお話を…。
水運時代の風景やフネブネの表情が見たくて、絵葉書や古写真をぼつぼつ探しているんですが、以前からひとつ、いつかはと考えていることがありました。

それは、川蒸気が引き波を立てて走っているような、躍動感あふれる航走シーンが入手できたら、ぜひタイトルに大きく掲げて悦に入ってみたい、ということ。以前も何度か触れたように、川蒸気の写真は絶対数が少ないだけに、その上航走中の写真となれば、そうそうご縁もなかろうと、なかばあきらめていたのです。

ところが、思ったより早くその日がやってくることとなりました。潮来の近く、すなわち常陸利根川を外輪からの白波も勇ましく走り来る、通運丸を写した絵葉書を、我が家に迎えることができたのです!

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(水郷十六景)潮來附近の眺め」と題したこの絵葉書、水に映る立木の影と、遠景に霞む台地の稜線といかにも水郷らしい風景の中を、荷が偏っているのか、または転舵中なのか、船体を傾がせて走ってくる通運丸の姿を、見事にとらえています。

タイトルで拡大した画像を見るとわかりますが、屋根の上、煙突から前に横木を渡し、オーニングをかけた下には休憩中の船員なのか、座って涼を取る白服の人物が見られ、左舷外輪の直前にも、手すりに身を預けて乗り出す人がいますね。

オーニングの日よけに加えて、船室の窓は全開なのを見ると、撮影時季は夏の盛りなのでしょう。水面にはかすかな縮緬じわのような細波があるものの、ほぼ無風といってよい状態のようで、船の状態から見てもよく晴れた、暑い日だったことと思われます。

実はこの写真、関東川蒸気の百科全書「図説・川の上の近代」(過去ログ『川蒸気本の決定版』参照)の扉ページに、同じ原版と思われる写真が掲載されています。

本を手にして、この写真を初めて見たときは「こんなにダイナミックで、素晴らしい通運丸の写真があったのか!」と大いに感動し、折りに触れては何度も眺めていたので、同じ絵葉書に出会えたと知ったときは、涙が出るほど嬉しかったものでした。

ちなみにこの絵葉書、裏側の体裁から見て、恐らく大正半ばから昭和初期の製品と思われるので、すでに全盛期は遠く去ったころの撮影でしょう。印刷は活版やオフセットなどのアミ点によるものでなく、コロタイプ(?)であったことは幸いで、拡大しても細部が崩れず、十分鑑賞に堪えるのも嬉しいところです。

老いたりといえど、なお矍鑠と外輪で水を蹴っていた通運丸! 川の動力船の大先輩に敬意を表し、タイトルにしばらく掲げさせていただければと思います。
いずれ、利根川高瀬舟のいい写真にも出会えたら、同様にタイトルにして楽しんでみたいものです。

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上の通運丸と前後して、我が家にやってきた絵葉書をもう一枚。「銚子名所 川口汽船發着所
続・川蒸気のイメージを求めて」でも紹介した銚子の桟橋を、別アングルから写したものです。二隻の蒸気船が写っていますが、煙突の白線がどちらも3本なので、銚子丸船隊ですね。今度は修正ではないようです。

こうして少し離れた岸から見てみると、手前にもやう小舟たち、沖がかりする航洋船と周囲も賑やかで、まだ商港として栄えていたころの銚子の雰囲気が味わえます。3隻見える2檣船は、帆装などの洋式化を進めた和船、「合の子船」かもしれませんね。

63003.jpg左手、桟橋の先端にもやう川蒸気を拡大したところ。拡大しても、桟橋や小舟の影になってるため、ディテールがいま一つ判然としませんが、スプラッシャー側面に見える放射状の切り抜きパターンや、屋根の上に外したような板が立てかけられているのがわかります。

屋根の上の板は、缶(ボイラー)室の直上を外したものでしょうか。さらによ~く見ると、外輪近くに荷役中なのか、人影がありますね。ともあれ、河港の賑わいが感じられる写真で、こちらも楽しく眺めました。


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タグ : 通運丸銚子丸川蒸気船利根川常陸利根川水郷絵葉書・古写真

イグアナクレーンが!…3

(『イグアナクレーンが!…2』のつづき)

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曙北運河を南下しつつ、イグアナクレーンの方をチラリと見やると…おおおお! 
バージと曳船がいる! 荷揚げ中だ!

私の願いが通じたのでしょうか、越中島レールセンター岸壁が稼働中の姿を、ついに目にする日がやってこようとは!

62012.jpg用足し中といえども、ここは是が非でも寄り道しなければと、汐見運河へ舵を切り、近づいて堪能させていただくことに。

曳船とバージの乗り組みの皆さんが、岸壁の上の人と何かしきりにやり取りしています。残念ながら荷役は済んでしまったようで、クレーンは静まり返ったままでしたが、バージが接岸しているシーンを見られただけでも、十二分に嬉しいものがありました。

62013.jpg我が艇が近付くと、乗り組みの皆さんに、いっせいにうろんげな目線を注がれたので気圧されたものの、ここは負けじと会釈しながら、カメラを向けて撮る、撮る!

曳船は微速前進をかけたまま、船首をバージに押し付けていました。ゆるい噴流が船尾から流れてきて、艇をわずかに左手へ押しやります。


62014.jpg彼らの前を航過し、西へ少し離れたあたりで、乗り組みの方から掛け声がかかり、にわかに爆音が高まりました。曳船が後進をかけ、離脱し始めたのですね。

まろやかな曲線を描き、ブルワーク上端が少し内舷へ巻き込んだような形の船尾がキュート。キャブに船名は書いてあったのですが、読み取れませんでした。


62015.jpgバージを岸壁に残し、爆音を高めて離れゆく曳船。バージの名前はわかりました、第十七観音丸です。

もう少し待っていれば、あるいは荷役が始まり、イグアナクレーンの動くところも見られたのかもしれませんが、残念なことにここで時間切れ。わずか数分の滞在だったものの、貴重なシーンに出会えて感激でした! 運河の名物・イグアナクレーン、まだまだ現役でいてくれそうですね。


(23年5月31日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 汐見運河イグアナクレーン曳船