大島川西支川を歩く…1

富岡八幡宮の骨董市を見に行ったのですが、もちろんそれだけで帰るはずもなく、ご当地名物の狭水路を、陸路のぞき見て楽しもうというわけです。
門前仲町から首都高深川線に沿って歩き、「最狭水路」大島川西支川に架かるポニートラス・緑橋が第一の目的地。まばゆい冬の陽光を反射して、その名にたがわぬ緑に塗りあげられたトラスが輝いていました。

親柱はご覧のとおり、四角錐のトンガリ帽子をかむった石張りのもの。銘板は、以前紹介した茂森橋のそれと同様、「余白」があったので、後年新たに掲げたものでしょう。

もともとここは、油堀川の流路を埋め立ててできた道ですから、二つの橋が妙に隣り合っているのもむべなるかな。また緑橋がトラスなのも、十字流を示す「目印の橋」として架けられたと考えれば、不自然ではありません。
(過去ログ『大島川西支川…1』~『大島川西支川…2』、『最狭水路を抜けてみたい!…1』~『最狭水路を抜けてみたい!…3』参照)

●目を見張ったのが、何て言うんでしょう、この側面にある支材の、曲線美といってもよいかたちの面白さ。これはさすがに、陸上からの視点でなくては味わえますまい。

●しつこいようですが、反対側からもう一枚。管楽器のアルペンホルンを思わせる、流れるようなラインに加工された、アングル材の曲線美に惚れ惚れ。
冬の低い陽射しも手伝って、リベットがくっきりと陰影を刻み、魅力をいや増しているようです。
【撮影地点のMapion地図】
(23年1月9日撮影)
(『大島川西支川を歩く…2』につづく)

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日本橋が洗われたらしい…3
(『日本橋が洗われたらしい…2』のつづき)

●くぐって上流側に出ると、こちらの方が光線の塩梅がよいのか、よりさっぱりと清められた感じがします。橋詰近く、高欄に陽のあたった部分などは、まさに「まぶしい橋」の片鱗を見たような美白(?)の輝き。
●少し離れて見ると、橋脚の右側近く、アーチリングが欠けたようになっているのがわかりますが、こちらもだいぶきれいにはなっているものの、凸凹のせいか黒ずみが残っていますね。
伊藤孝氏の「東京の橋」によると、これは関東大震災時に受けた傷跡とのこと。橋の下にいた船に、沿岸の火事が燃え移り、その熱で輪石の表面が剥落したのでしょう。こうした歴史が読み取れるのは、改築などではない、原形を保ったリニューアルである「丸洗い」ならでは。

●要石を厳めしく飾る、獅子面君も心なしかさっぱりした表情。
「名橋『日本橋』保存会」の皆さんによって、毎年水洗いはされていますから、他の橋にくらべればずっと良い状態ではあるものの、ここまで徹底的に洗われたのは、竣工100年目にして初めてのことでしょうから、さぞビックリしたことと思います。
●上流側から、橋台地を含めた全景を見て。やはりこちらの方が、陽が射していることもあって、洗われぶりが一目瞭然。
陽の当たっている部分の輝きを見ると、やはり今回ばかりは、一瞬でもよいから首都高を取り外して、お天道様の下で本来の姿を眺めてみたい…そんな気にさせられました。いや、取り外さなくとも、もうあと5m桁下が高ければ、陽当たりも良くなって、より洗った甲斐のある眺めになった気がします。
●側面や高欄はご覧のとおりで、まず文句のつけどころがない仕事ぶりでしたが、「橋の裏側」愛好者としては、アーチの裏の洗われぶりも気になるところ。
写真がブレてしまったのは痛いところながら、まだらに付いた煤、目地から垂れ下がる石灰質のツララもそのままで、まず手が入っていないと思って間違いない状態でした。
「フネから目線」でしか見られないのは、橋の裏側のみならず、洗われる前の、100年の垢をまとった日本橋の姿。皆さん、通られる際はお見逃しなく!
(23年2月13日撮影)
(この項おわり)

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●くぐって上流側に出ると、こちらの方が光線の塩梅がよいのか、よりさっぱりと清められた感じがします。橋詰近く、高欄に陽のあたった部分などは、まさに「まぶしい橋」の片鱗を見たような美白(?)の輝き。

伊藤孝氏の「東京の橋」によると、これは関東大震災時に受けた傷跡とのこと。橋の下にいた船に、沿岸の火事が燃え移り、その熱で輪石の表面が剥落したのでしょう。こうした歴史が読み取れるのは、改築などではない、原形を保ったリニューアルである「丸洗い」ならでは。

●要石を厳めしく飾る、獅子面君も心なしかさっぱりした表情。
「名橋『日本橋』保存会」の皆さんによって、毎年水洗いはされていますから、他の橋にくらべればずっと良い状態ではあるものの、ここまで徹底的に洗われたのは、竣工100年目にして初めてのことでしょうから、さぞビックリしたことと思います。

陽の当たっている部分の輝きを見ると、やはり今回ばかりは、一瞬でもよいから首都高を取り外して、お天道様の下で本来の姿を眺めてみたい…そんな気にさせられました。いや、取り外さなくとも、もうあと5m桁下が高ければ、陽当たりも良くなって、より洗った甲斐のある眺めになった気がします。

写真がブレてしまったのは痛いところながら、まだらに付いた煤、目地から垂れ下がる石灰質のツララもそのままで、まず手が入っていないと思って間違いない状態でした。
「フネから目線」でしか見られないのは、橋の裏側のみならず、洗われる前の、100年の垢をまとった日本橋の姿。皆さん、通られる際はお見逃しなく!
(23年2月13日撮影)
(この項おわり)

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日本橋が洗われたらしい…2
(『日本橋が洗われたらしい…1』のつづき)
●江戸橋の橋側灯が、さりげなく恰好がよろしいことに今さらながら気づき、見とれてしまう船頭。
一見シンプルながら、最近の造形ではない感じがします。竣工当初からのものでしょうか。水面から見上げると、配線とその下のボックスがちょっと違和感がありますが、こちらは後年の補修かもしれません。
●日本橋が見えてきました。左手には、船着場工事のための台船が二隻、大きく張り出して、良くない視界をさらに遮る形になってしまっていますが、これは致し方ありますまい。
ここから眺めてみても、はたして「丸洗い」された効果はあったのか、今一つわかりづらいのですが、そう意識してみれば、以前よりだいぶ白っぽいような…。
●右径間に接近。う~ん、白い。確かにキレイになっている! もっとこう、煤っぽい汚れがあったものなあ…。
この「日本橋丸洗い」、2月8日の日経産業新聞によると、ドイツの清掃機器大手ケルヒャーが、社会貢献活動の一環として、同社の負担により行ったものなのだそう。
高圧洗浄機で落ちない汚れは「洗浄パウダー」なるものも使って洗ったといいますから、竣工当初を髣髴させる白さも、うなずけようというものです。

●この上下二枚、向きは違いますが、おなじ下流側の側面を取ったもの。下の写真は、18年9月2日の状態です。こうして見くらべてみると、まだらに黒ずんだところや、緑色にコケが生えた部分が、すっかりキレイになっているのがわかりますね。

●洗剤の宣伝なら、ここで「タッタこれだけで驚きの白さに!」などとくるところですが、まさに宣伝としても大いに効果があったでしょう。
新聞の記事では、「日本橋は昔は『まぶしい橋だ』と言われていたんです」と、「名橋『日本橋』保存会」永森昭紀事務局長の言葉を紹介していますが、花崗岩を主な素材として造られた橋ですから、陽光の下では、文字通りキラキラ輝く橋だったに違いありません。
●煤けた汚れの一つ一つにも、あるいは歩んできた歴史や、地元なりの思い出があるのでしょう。
しかし、都内の古い橋のいくつかで見られるように、タイルを張るなどして化粧した結果、かえって本来の持ち味を損ねた例もあります。原形を損ねずに石材の美しい肌が取り戻せたことは、やはり喜ばしいことに違いありますまい。
(23年2月13日撮影)
(『日本橋が洗われたらしい…3』につづく)

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一見シンプルながら、最近の造形ではない感じがします。竣工当初からのものでしょうか。水面から見上げると、配線とその下のボックスがちょっと違和感がありますが、こちらは後年の補修かもしれません。

ここから眺めてみても、はたして「丸洗い」された効果はあったのか、今一つわかりづらいのですが、そう意識してみれば、以前よりだいぶ白っぽいような…。

この「日本橋丸洗い」、2月8日の日経産業新聞によると、ドイツの清掃機器大手ケルヒャーが、社会貢献活動の一環として、同社の負担により行ったものなのだそう。
高圧洗浄機で落ちない汚れは「洗浄パウダー」なるものも使って洗ったといいますから、竣工当初を髣髴させる白さも、うなずけようというものです。

●この上下二枚、向きは違いますが、おなじ下流側の側面を取ったもの。下の写真は、18年9月2日の状態です。こうして見くらべてみると、まだらに黒ずんだところや、緑色にコケが生えた部分が、すっかりキレイになっているのがわかりますね。

●洗剤の宣伝なら、ここで「タッタこれだけで驚きの白さに!」などとくるところですが、まさに宣伝としても大いに効果があったでしょう。
新聞の記事では、「日本橋は昔は『まぶしい橋だ』と言われていたんです」と、「名橋『日本橋』保存会」永森昭紀事務局長の言葉を紹介していますが、花崗岩を主な素材として造られた橋ですから、陽光の下では、文字通りキラキラ輝く橋だったに違いありません。
●煤けた汚れの一つ一つにも、あるいは歩んできた歴史や、地元なりの思い出があるのでしょう。
しかし、都内の古い橋のいくつかで見られるように、タイルを張るなどして化粧した結果、かえって本来の持ち味を損ねた例もあります。原形を損ねずに石材の美しい肌が取り戻せたことは、やはり喜ばしいことに違いありますまい。
(23年2月13日撮影)
(『日本橋が洗われたらしい…3』につづく)

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日本橋が洗われたらしい…1

●2月13日は、用事があってマリーナへ。用足しと艇の掃除が済んだらすぐに帰るつもりだったのですが、この時季としては暖かで、しかも好天だったこともあってムズムズしだし、やっぱり小1時間でも走ってこようと、もやいを解くことに。事実上の本年初出航です。
風は少しあったので、隅田川など広いところへ出ると、さすがに寒風が身に沁みますが、お天気とあって水辺の人出も多く、おなじみ永代橋も陽射しに輝いて、ディテールもくっきりのいい表情です。

雨の降らない日が続いたこともあって、水の透明度も高く、浮流物も少ないので、気持ちの良い川走りが楽しめます。

日本橋水門が更新工事中ということもあり、積んであるものが気になります。扉体にしては厚みもなく、一枚の幅も狭いですから、巻上機室の側壁か何かかしら。

巻上機室の載るガーダーはすでに架設を終え、すでに上屋の工事に取り掛かっているようです。やはり台船に積んであったのは、側壁だったのでしょうか。
足場に隠れてよく見えませんでしたが、扉体はすでに差し込まれたのでしょうか、それとも単なる角落とし?
【撮影地点のMapion地図】

●建て替え決定の報道がされたこともあって、カメラを向けずにはおられない三菱倉庫本社ビル(三菱倉庫/本店ビルを125億円で建替え 物流ニュースのLNEWS)。
水上からではアングルが限られてしまいますが、こちら側からでも十分鑑賞に堪えるこのディテールを、こうして仰ぎ見られるのはあとどのくらいなのでしょう。報道では、外観を保存しながら、とのただし書きがついていますので、あるいは丸の内のいくつかのビルで見られるようなやり方が、採用されるのかもしれません。
【撮影地点のMapion地図】
(23年2月13日撮影)
(『日本橋が洗われたらしい…2』につづく)

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新左衛門川散歩…3
(『新左衛門川散歩…2』のつづき)
●岸近くに並んだ、朽ちかけの木杭たちの頭に雑草が生い茂り、まるで小さな島のよう。特に手前の一本、よほど栄養がいいのか成長いちじるしく、その逞しい生命力に惹かれて一枚。
水際に階段のあるところだけ、杭をターンバックルで支えているのが妙です。もっとも、杭はご覧のとおり腐朽が進んでおり、ターンバックルが宙に浮いてしまっているものもありました。

●テラスの端から見た、対岸のまっすぐに延びる道路。
緑に乏しい冬枯れの風景なのに、寂しさを感じさせないのが、水郷の不思議なところです。
●なで肩黒眼のカッパ君より警告。合併以前の「佐原市」表記なのも佳し。
柵はもとからなかったと思いますが、以前は設ける予定があったのでしょうか。いずれにせよ、水郷の水辺に柵は似合いますまい。

●新左衛門川畔で静かな水辺を堪能した後は、大割水路にも寄り道。閘門でなくなった後も、つい吸い寄せられてしまう、旧扇島閘門…現香北東部幹線水門(『その後の扇島閘門…1』ほか参照)。
天端の柵周りは少々ゴツくなり、機器類も新調間もないとあってピカピカですが、大割水路側ゲートの間からのぞき見る風景は変わっていません。

●ゲートがなくなったのはもちろん寂しいですが、刈り取られた田の間を、消失点まで真っ直ぐにのびるエンマの爽快さに救われて、毎回同じような写真を撮ってしまうあたり。
せめて、水郷らしいこの風景が、とこしえのものでありますように。
【撮影地点のMapion地図】
(23年1月2日撮影)
(この項おわり)

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水際に階段のあるところだけ、杭をターンバックルで支えているのが妙です。もっとも、杭はご覧のとおり腐朽が進んでおり、ターンバックルが宙に浮いてしまっているものもありました。

●テラスの端から見た、対岸のまっすぐに延びる道路。
緑に乏しい冬枯れの風景なのに、寂しさを感じさせないのが、水郷の不思議なところです。

柵はもとからなかったと思いますが、以前は設ける予定があったのでしょうか。いずれにせよ、水郷の水辺に柵は似合いますまい。

●新左衛門川畔で静かな水辺を堪能した後は、大割水路にも寄り道。閘門でなくなった後も、つい吸い寄せられてしまう、旧扇島閘門…現香北東部幹線水門(『その後の扇島閘門…1』ほか参照)。
天端の柵周りは少々ゴツくなり、機器類も新調間もないとあってピカピカですが、大割水路側ゲートの間からのぞき見る風景は変わっていません。

●ゲートがなくなったのはもちろん寂しいですが、刈り取られた田の間を、消失点まで真っ直ぐにのびるエンマの爽快さに救われて、毎回同じような写真を撮ってしまうあたり。
せめて、水郷らしいこの風景が、とこしえのものでありますように。
【撮影地点のMapion地図】
(23年1月2日撮影)
(この項おわり)

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