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水路をゆく・第二運河 22年10~12月のご案内



水路をゆく・第二運河にようこそ!
モーターボートなのになぜか艪がついている、全長わずか21ft(約6m)の木っ端ブネに乗る道楽船頭は、川や運河をうろつくのが大好き。いにしえの水運全盛期に思いを馳せつつ、閘門・水門や橋、フネブネの姿を楽しみながら、各地の水辺や博物館、遊覧船を訪ね歩くブログです。東京とその近郊にある可航水路の、全線ご紹介を目指しています。

【ご案内】
幅192ピクセルの小さい画像は、クリックすると別窓で拡大表示できます。
当ブログ掲載の本文、画像の無断使用はご遠慮ください。
いただいたコメントは、承認後の表示となります。
各記事と関連のないコメントは、できれば、この「ご案内」のコメント欄にお願いいたします。
ボートオーナーの方へ…当ブログに掲載された水路を航行され、事故を起こされても、管理人は責任を負いかねますので、航行にあたっては、各艇長の責任で安全航行をお願いいたします。

当ブログは、Doblog「水路をゆく」の姉妹編として、20年4月6日に開設、「航行水路メモ」を主な記事にしてまいりましたが、21年2月8日以降、Doblogに障害が発生、更新が不可能になったため、本文記事をこちらで継続することとなりました。
なお、閉鎖されたDoblog「水路をゆく」の記事は、FC2ブログ「水路をゆく 過去ログ」に移設しました。

【更新履歴】
【12月31日】今年もお陰さまで、無事故で川走り、水辺探訪を楽しむことができ、またさまざまなご縁に恵まれて、忙しくも楽しい、忘れられない1年となりました。お世話になった皆様、ブログにお越しくださった皆様に、御礼申し上げます。良いお年をお迎えください。
【12月26日更新】タイトルバック画像を更新しました。汐見運河から見た、東京レールセンター(旧越中島貨物駅)の通称イグアナクレーンです。22年11月21日撮影。
【12月25日更新】三土氏と水路行…5」に追記。三土氏がご一緒した際のことをデイリポータルZ「御茶の水分水路ツアー」に書かれています。
【12月19日更新】タイトルバック画像を更新しました。第三航路上、東京港臨海大橋改め、東京ゲートブリッジの若洲側橋脚に近づく揚錨船です。22年11月21日撮影。
【12月13日更新】タイトルバック画像を更新しました。日本橋川から見上げた、首都高江戸橋ジャンクションです。22年11月3日撮影。
【12月5日更新】タイトルバック画像を更新しました。竪川、塩原橋付近です。22年11月3日撮影。
【11月28日更新】タイトルバック画像を更新しました。亀島川、南高橋です。22年11月3日撮影。
【11月21日更新】タイトルバック画像を更新しました。曙運河から見上げた、京葉線の曲線トラス(橋梁名不明)です。22年11月21日撮影。
【11月16日】豆予告。明17日、FM東京で朝8時30分より放送されるBlue Ocean(パーソナリティ・望月理恵さん)に出演させていただきます。ラジオはもちろん初めてなので今からきんちょうしておるです。
【11月13日更新】タイトルバック画像を更新しました。隅田川、両国橋下流で出会った、警備艇「ゆりかもめ」です。22年9月19日撮影。
【11月1日更新】タイトルバック画像を更新しました。江戸川区、三枚洲の水路から東方、旧江戸川河口を見たところ。22年10月11日撮影。
【10月16日更新】タイトルバック画像を更新しました。日本橋川、首都高西神田出入口付近です。22年9月19日撮影。
【10月9日更新】タイトルバック画像を更新しました。江戸川区、葛西臨海公園と三枚洲の間の水路です。22年7月8日撮影。

年の瀬の荒川…2

(『年の瀬の荒川…1』のつづき)

46006.jpg首都高向島線の1本上流、堀切橋でまたも曳船に遭遇。さすがお仕事ブネにとっての平日と、嬉しくなる連続反航。今度の曳かれ船は、ホールドをぴっちりと閉ざしたバージです。

下航船優先の原則に従い、邪魔をしないように橋下流で待機しつつ、席を離れてカメラを構えます。


46007.jpg
曳船の船名は、タイヤのフェンダーに隠れてわかりませんでしたが、キャブ側面に「NIKO」の文字。どこへ向かうのでしょうか。

46008.jpgお次の東武伊勢崎線鉄橋まで来ると、おおお、黒い船体が魅力的な独航艀が。もう入れ食い状態です! 朝早く出てきた甲斐があったなあ(といっても、この写真の時点で9:40だから、大したことはないですが)。

船名は第五常盤丸、140tクラスの油槽船ですね。キャブ上端のハッチが途中まで開かれ、船長さんが顔を出して操縦しています。

46009.jpg遡上約1時間で、芝川河口前につきました。芝川水門の写真を撮ったら、そのまま通過しようと思っていたのですが、よく見るとちょっと様子がおかしい。

少し寄り道してみよう…ついでに、この奥の領家水門にも挨拶してみたくなり、久しぶりの新芝川へ。


46010.jpg
扉体に「調整中」と表示されて、少なくとも何年かたつ芝川水門、「調整」が終わるのはいつなのでしょうね。

それはともかく、ちょっと様子がおかしい部分、真下から見上げてみてはっきりしました。裏から見れば、さらによくわかるでしょう。
撮影地点のMapion地図


(22年12月29日撮影)

(『年の瀬の荒川…3』につづく)

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タグ : 荒川新芝川曳船独航艀芝川水門

年の瀬の荒川…1

46001.jpg
今年もいよいよ押しつまってまいりましたが、年末休みの恒例にしている「川走り納め」は、久々に荒川の可航区間を、通しで遡上してみることにしました。

あまりにも慣れ親しんだ水路ということもあり、詳しい紹介をしないまま今日まで来てしまい、特に笹目あたりから上流は、旧ブログの初期以来という放置ぶりも気になっていました。そこで、たびたび触れてきた可航区間の中下流部はかいつまんで、最奥部は少し念入りに紹介できればと思います。

この日の予報では、最高気温は11℃、北西から西の風がやや強く5mとのこと。スロットルを開けると、流速の負荷も手伝ってか、バウを叩く波は予想以上に硬い感触で、骨に響いてきそうな感じすらします。

46002.jpg都営新宿線・荒川中川橋梁のあたりでは、似たようなタイプの小型漁船が、何隻も走り回っていました。漁船が固まっている西岸のあたりは、干潮になると砂洲の露出するところ。シジミ漁ですね。

荒川のシジミ漁は、水の冷たくなる秋から冬にかけて盛んに行われ、竿先につけたカゴを沈めて手ですくうやり方と、ロープの先につけたカゴを船で牽引するタイプがありますが、写真の漁船たちは後者なのでしょう。

46003.jpg
平井大橋をくぐったところで西を見ると、冬の低い陽射しを浴びて輝く墨田タワー…でなく、スカイツリー。大きくなったなあ。

46004.jpgV字橋脚の目立つ、首都高向島線の橋の下流で、曳船が台船を曳いて下ってくるのを発見。橋の手前で待つことに。

これも毎年恒例ですが、我々にとっては年末休みとはいえ、業務船にとっては平日ですから、どんなフネブネに出会えるのか、楽しみなのです。


46005.jpg曳船は七号千羽丸、曳かれ船の台船は、ユンボ搭載の浚渫船でした。

前にもこんな場面を見たような気がするのですが、ユンボ式の浚渫船が、ショベルの部分を水中に沈めつつ曳かれているのが印象的です。ショベルについた泥を洗っているのでしょうが、曳く方の抵抗も相当なもののように思われ、気になってしまいます。
撮影地点のMapion地図


(22年12月29日撮影)

(『年の瀬の荒川…2』につづく)

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タグ : 荒川曳船浚渫船

水運時代のフネブネぎっしり写真

鉄道の急速な発達によって、長距離水運は廃れながらも、市内や近郊とを結ぶ近距離の水運は、むしろ最盛期を迎えていたといってよい明治末~昭和初期の水路の賑わいは、今に残された各種の統計によっても明らかではあります。

しかし、やはり水運バカとして、数字の上などでなく、映像でその殷賑ぶりを味わってみたい気持ちが強くあり、例によって古写真や絵葉書を漁り続けていたら、幸いにして、その賑わいが聞こえてくるような絵葉書に、何枚か出会うことができました。
いずれもフネブネが舷をこすらんばかりに行き交い、また岸にもやう興奮(私にとってね)の写真、今回は4枚を紹介させていただきます。


明治37(1904)年竣工、中央径間は亀島川の南高橋に流用されたことで知られる先代両国橋と、大正9(1920)年竣工の「大鉄傘」・旧両国国技館をバックを写されたこの写真は、私にとってもなじみ深い神田川河口、おそらく柳橋の上から見た情景。

震災前の撮影のようですが、旧両国橋は震災での被害はなく、旧国技館も焼けたものの震災翌年に復旧していますので、あるいは昭和に入ってからの撮影かもしれません。

写真に写っているフネブネは、岸にもやっているものも含めて合計19隻、注目すべきは、実に一隻も動力船がなく、すべて和船か同系統の船だということ。潮時よろしく、満潮時に流速が緩むのを待って、いっせいに神田川とその派川に向かわんとするシーンといったところでしょうか。

左手前と中央の、こちらに向かってくる船は、船首部にセイジ(居住区)を備えており、数日にわたる長距離航行をする船か、もしくは船頭一家が居住しながら移動する船であることがわかります。左端、隅田川に出てゆくの船の、人の背を越えるほどうず高く積まれた満載ぶりに、当時の荷役がしのばれますね。

ちなみに、大正10(1921)年3月5・6日の7時~17時に、東京市によって行われた通船調査によると、神田川河口の通船数は5日270隻、6日355隻を数えたとのこと。

隅田川に面した派川の河口では、小名木川・萬年橋の635/539隻、箱崎川支川の607/441隻に次いで多く、神田川が物流路として、いかに高度利用されていたかが見て取れます。この写真はその輻輳ぶりの一端を目の当たりにできる、貴重なシーンに思えたものです。


これは見事な人着写真で、豪壮な洋館の美しさが目に沁みますが、惹かれたのは洋館ではなく、もちろん手前の水路にぎっしり詰まるフネブネ。キャプションは「逓信省」とあります。

手元に資料がないので、Wikipediaの助けを借りると、逓信省庁舎は関東大震災まで京橋区木挽町、現在の中央区銀座八丁目(Mapion地図)にあり、初代のレンガ造り庁舎が明治40(1907)年に火災で焼失後、同じくレンガ造り3階建ての新庁舎が明治42(1909)年に竣工したそうですから、そのどちらかでしょう。

現在は埋め立てられてしまいましたが、ここはかつて江戸以来の堀割、汐留川と築地川が交わったデルタ状の土地。今の海岸通りを汐留川が曲流しており、首都高都心環状線は築地川を利用して造られたものです。さて、写真の庁舎がどちらに面していたか、資料がないので判じかねるのですが、岸の石垣がなんとなく緩い曲面を描いているように見えたことから、汐留川に面していたと仮定しましょう(ご教示を乞う)。

汐留川は、現在の東京高速線のルートそのものを流路として、土橋で外濠に接続、途中から三十間堀川も分岐していた、港湾部と都心を結ぶ重要な水路でしたから、この「大渋滞」もむべなるかなといったところ。空の荷馬車や大八車が数台見られるのみの、陸上の閑散ぶりとの落差がもの凄い(笑)のも気に入っている点です。

この写真も潮時がよろしいのか、中央の2隻以外は、みな画面左に向かい竿をついて航行中であるのがわかります。左手前、こちらに船首を向けている荷足は、胴の間に角材のようなものを斜めに積んでいますね。
しかしこの渋滞では船頭さんもイライラさせられて、さぞかし罵声でかまびすしかったことだろうと、勝手に想像しています。


こちらは震災後、日本橋から築地に移転して、恐らく間もないころの魚河岸の水揚げ風景。現在の築地市場は昭和10(1935)年竣工、陸上には大型トラックが何台か見え、手前の船も発動機船であることから、昭和戦前も二桁に入ったころとみて間違いありますまい。

しかし、荷ほこりにまみれた喧騒が聞こえてくるような、「河岸の中の河岸」らしい写真ですね。手前中央の発動機船は、近場の浦々から魚を運んできたのでしょうか、ラットやひょろ長い排気管といったディテールもうかがえて楽しくなります。

小型舶用エンジンは、戦後は大抵、数馬力・2サイクルの電気着火式ガソリン機関で、逆転機構なしのクラッチのみ。一時期舶用エンジンの代名詞として知られた焼玉エンジンは、買出し船など大型船向けだったとのことですが、このころはどうだったのでしょうか。


最後は水運ではありませんが、もう水路に船ぎっしりというだけでグッとくるものがあって…。海苔船ぎっしりの近郊漁村風景です。
これも「海苔を採る舟」とある以外、特にキャプションはありませんから、大森なのか羽田なのか、詳しいところはわかりません。しかし、遠くにガスタンクの枠が見えることから、おおむねの場所は特定できそうな気がするのですが。

母船たる発動機船の海苔親船、そのすき間にもやう可憐なベカたち。陸上には海苔ヒビとして利用する粗朶がうず高く積まれていることからも、網ヒビ普及以前の時代、少なくとも戦前であることを感じさせます。

このあたりは以前紹介した、大田区立郷土博物館で発売されている資料に詳しいのですが、現在湾岸の埋立地となっている水域は、航路以外ほぼ海苔ヒビで占められていたといってもよい一大海苔養殖地帯でしたから、戦後しばらくまではこのような水路風景が、都内でもごく当たり前に見られたことでしょう。

【参考文献】
近代庶民生活誌12 農民・漁民・水上生活者(南 博 編)三一書房
浦安のベカ舟 浦安市教育委員会

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タグ : 神田川隅田川汐留川和船絵葉書・古写真

11月21日の運河風景

(『11月21日の東雲水門』のつづき)

11月21日の帰路に見た、フネブネなどをいくつか。

45026.jpg東雲水門をくぐったら、保安庁の監視取締艇「かぺら」と遭遇。乗組みのお二人が、ジッとこちらを見つめており、思わず緊張。

何分あちらは40ktオーバーを叩きだす大馬力艇、ここで増速されたらちょっと…と思っていたら、本当に急加速され、盛大な引き波にしばし翻弄されるはめに。

45027.jpg東雲北運河、木村造船所前の桟橋化バージにもやう、通船らしき「かもめ」なる艇。

船首尾が垂れ下がったような甲板のラインに、少し頭でっかちな上構が乗っかった、まるでマンボウのようなおっとりとした雰囲気の艇です。


45028.jpg曙運河、おなじみ古賀オールの岸壁前では、港湾局の監視船「はやみ」と反航。

全高が低く、低い橋のある運河走りも得意そうな平べったい船型ながら、決して鈍重ではないシルエット。3年前、過去ログ「9月5日のフネブネ…3」でも紹介しましたが、こちらで会ったのは初めてです。


45029.jpg
東雲北運河で。いやもう、ごもっともでございますですよ。

45030.jpg
12月26日からのタイトルでもご覧に入れた、イグアナクレーンのド真ん中バージョン。

慣れ親しんだ物件でも、見る角度を変えると、一粒で二度美味しい楽しみ方ができますね。
撮影地点のMapion地図

(22年11月21日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 東雲運河東雲北運河曙運河汐見運河イグアナクレーン通船監視取締艇古賀オール