南前堀…1
(『富士見橋架橋成る』のつづき)
●ええと、道々を時系列順にご紹介しようと思っていたのですが、長くなりそうなので、やはり本題から先にやってしまおうと思います。私は本当にこらえ性がない…。
冒頭にも触れたように、羽田周辺の未踏破船溜群を目指して、海老取運河に進入。久しぶりに見る羽田可動橋は、手入れが行き届いているのか、相変わらず端正な表情。
しかし、雲が厚くなって、まるで夕方のような空模様になってきましたね。天気予報では「晴れのち曇り」だったのですが、雲の動きが少し早まったようです。
●今回の探索水域である羽田周辺…大田区東部は、多摩川によってつくられた沖積低地で、多くの澪筋や小河川が、東京湾に開口していたところ。沖合いに広がる羽田洲によって、外海の波から守られていたこれらは、船溜としても格好の条件を備え、漁業や海苔養殖の拠点として栄えた、江戸以来の長い歴史を持つ水路たちなのです。
今では新呑川をのぞいて、ほとんどの水路が埋め立てられ、かつての全長のうち一部が、短い船溜として水面をのぞかせているに過ぎませんが、小さな水門に守られた船溜群には独特の風情があり、都心の小水路とは、一味違った雰囲気を楽しむことができました。
●船溜めぐりの一発目は、東糀谷と羽田旭町の境界に位置する、南前堀です。
水門をくぐったら、すぐ終端が見える他の船溜と異なり、結構な延長を有する、今回唯一の大物(?)と言ってよい水路。わざわざ大物を冠するわけは、もう一つあります。ここが、全区間を首都高に覆われた、
東京最南端の高架下水路だからです!

●まるで首都高を避けるかのように、はすに口をあけた南前堀水門へ。強くなった北西風で船尾が振られ、針路が定まらない…これは、「呼ばれていない」のか?
接近中は、一瞬「呼ばれていない」ような抵抗を感じたものの、水門に頭を突っ込むと、イヤな感じがスッと抜けて、気持ちよく突入することができました。ヨシ、これならイケそう!
●突入前と一転して、気持ちに余裕ができたのか、水門の裏側を振り返って一枚。ゼブラ塗装の信号が、何だか懐かしい…。
水門のかたわらにあった、官舎というか、管理者さんの住居らしき建物にも、惹かれるものがありました。後ほどまとめてご紹介したいと思います。常駐の管理者がおられるせいか、水門も築年数の割に小ぎれいな印象でした。

●水門を撮って向き直ると、
きましたよ高架下。しかも狭くて低い高架下水路。
日本橋川、神田川、古川、竪川、そして先般の大阪…高架下可航水路をさんざっぱら眺めていながら、いっぺんでハートをわしづかまれてしまう、この独特の空気は何でしょう?
これは南前堀と、ウマが合ったに違いない! 根拠の薄い妙な思い込みに力を得て、勇躍前進微速、さらに奥へ。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『南前堀…2』につづく)

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冒頭にも触れたように、羽田周辺の未踏破船溜群を目指して、海老取運河に進入。久しぶりに見る羽田可動橋は、手入れが行き届いているのか、相変わらず端正な表情。
しかし、雲が厚くなって、まるで夕方のような空模様になってきましたね。天気予報では「晴れのち曇り」だったのですが、雲の動きが少し早まったようです。
●今回の探索水域である羽田周辺…大田区東部は、多摩川によってつくられた沖積低地で、多くの澪筋や小河川が、東京湾に開口していたところ。沖合いに広がる羽田洲によって、外海の波から守られていたこれらは、船溜としても格好の条件を備え、漁業や海苔養殖の拠点として栄えた、江戸以来の長い歴史を持つ水路たちなのです。
今では新呑川をのぞいて、ほとんどの水路が埋め立てられ、かつての全長のうち一部が、短い船溜として水面をのぞかせているに過ぎませんが、小さな水門に守られた船溜群には独特の風情があり、都心の小水路とは、一味違った雰囲気を楽しむことができました。

水門をくぐったら、すぐ終端が見える他の船溜と異なり、結構な延長を有する、今回唯一の大物(?)と言ってよい水路。わざわざ大物を冠するわけは、もう一つあります。ここが、全区間を首都高に覆われた、
東京最南端の高架下水路だからです!

●まるで首都高を避けるかのように、はすに口をあけた南前堀水門へ。強くなった北西風で船尾が振られ、針路が定まらない…これは、「呼ばれていない」のか?
接近中は、一瞬「呼ばれていない」ような抵抗を感じたものの、水門に頭を突っ込むと、イヤな感じがスッと抜けて、気持ちよく突入することができました。ヨシ、これならイケそう!

水門のかたわらにあった、官舎というか、管理者さんの住居らしき建物にも、惹かれるものがありました。後ほどまとめてご紹介したいと思います。常駐の管理者がおられるせいか、水門も築年数の割に小ぎれいな印象でした。

●水門を撮って向き直ると、
きましたよ高架下。しかも狭くて低い高架下水路。
日本橋川、神田川、古川、竪川、そして先般の大阪…高架下可航水路をさんざっぱら眺めていながら、いっぺんでハートをわしづかまれてしまう、この独特の空気は何でしょう?
これは南前堀と、ウマが合ったに違いない! 根拠の薄い妙な思い込みに力を得て、勇躍前進微速、さらに奥へ。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『南前堀…2』につづく)

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富士見橋架橋成る
(『東雲水門の工事』のつづき)
●東雲運河を下って南西口に近づくと…、おお、富士見橋の橋桁が、ついに架かったんだ!
11月28日からのタイトルでもご覧に入れましたが、長い間、コンクリートの肌の色も新しい橋脚だけが、オブジェのようにぽつんと立っており、運河入口で孤独に悪目立ち(笑)していたのですが、不遇の日々にもついに終止符が打たれたようです。

●橋名は桁中央でなく、天地寸法がある橋脚の真上に書かれているのが変わっています。桁が細身なので、真ん中では書きようがないのはわかるのですが、ちょっとアンバランスな感は否めませんね。
橋名は他の橋と同じく、上流側を平仮名、下流側が漢字とされていました。
●桁下からレインボーブリッジを望んで。周りにさえぎるものがありませんから、きっと橋上からの眺望は素晴らしいでしょう。竣工後は、眺めの良い橋として、新しい名所になるのではないでしょうか。
震災復興橋では、各河川の第一橋を、船舶からの目印も兼ねて、下路式の個性的な橋にする傾向がありましたが、豊洲大橋、そしてここ富士見橋と、最近の第一橋たちは上路式の、しかもおとなしめの橋が好まれるようです。橋のデザイン云々より、橋上からの眺望が優先されるということなのでしょうか。

●架かったばかりの橋の下に入り、さっそく橋の裏側を一枚。初物を口にする嬉しさに近いものが…と言ったら大げさでしょうか。
桁の裏が、橋脚や水面を映していて、塗装のま新しさが感じられます。
●富士見橋をくぐり、漢字表記の橋名を振り返って。向こうに有明北橋が見えます。東雲運河を初めて通って十数年、新たに3つも橋が架かる時代が来ようとは、夢にも思いませんでした。
各橋には、充分な桁下高がとってあるとは言え、上空高に制限ができたということは、東雲水門のセクターゲートも、宝の持ち腐れになってしまうなあ…などと、妙なところで感慨を深くする船頭でありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『南前堀…1』につづく)

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11月28日からのタイトルでもご覧に入れましたが、長い間、コンクリートの肌の色も新しい橋脚だけが、オブジェのようにぽつんと立っており、運河入口で孤独に悪目立ち(笑)していたのですが、不遇の日々にもついに終止符が打たれたようです。

●橋名は桁中央でなく、天地寸法がある橋脚の真上に書かれているのが変わっています。桁が細身なので、真ん中では書きようがないのはわかるのですが、ちょっとアンバランスな感は否めませんね。
橋名は他の橋と同じく、上流側を平仮名、下流側が漢字とされていました。

震災復興橋では、各河川の第一橋を、船舶からの目印も兼ねて、下路式の個性的な橋にする傾向がありましたが、豊洲大橋、そしてここ富士見橋と、最近の第一橋たちは上路式の、しかもおとなしめの橋が好まれるようです。橋のデザイン云々より、橋上からの眺望が優先されるということなのでしょうか。

●架かったばかりの橋の下に入り、さっそく橋の裏側を一枚。初物を口にする嬉しさに近いものが…と言ったら大げさでしょうか。
桁の裏が、橋脚や水面を映していて、塗装のま新しさが感じられます。

各橋には、充分な桁下高がとってあるとは言え、上空高に制限ができたということは、東雲水門のセクターゲートも、宝の持ち腐れになってしまうなあ…などと、妙なところで感慨を深くする船頭でありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『南前堀…1』につづく)

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東雲水門の工事
(『東雲運河の工事』のつづき)

●鋼管を積んでいた台船のサイドビュー。背後のビルに陽光が反射して、手前の水面がキラキラ輝き、黒い船体と赤錆びた鋼管を浮き上がらせて、いかにも工事用船舶、といった精悍な表情。
「イ3号」の船名も、どこか旧海軍の潜水艦を思わるなあ…、などと、あらぬ方に妄想が及び、何やら興奮する船頭。
●1~3号径間の水面近くには、旗をつけたロープが渡され、管理橋の手すりには「閉鎖中」「工事中」の黄色い横断幕、電光掲示板には「通行止」と表示され、賑やかです。
3号径間には、錆色の角落しがはめ込まれて完全閉鎖。以前の工事より、一段と物々しさが増していますね。
●左側には、背高ノッポの杭打ち機を載せた台船が。
日曜日に通ったからよかったようなものの、これが平日だったら大変な騒ぎで、仮に通航ができるとしても、近づきがたい雰囲気だったに違いありません。まあ、そんな血湧き肉躍る場面も、見てみたい気持ちはあるのですが。
●セクターゲートの4号径間を通って、さらに南下。
昔は、ここから向こうをのぞくと、遮るもののない水路がスカーン、といった感じで広がっていて、いかにも臨海部であることを感じさせたものですが、橋が二本架かってからは、運河の空気ががらりと変わり、内水の雰囲気が色濃くなったようです。
●水門の南側にも、クレーンバージや台船が停まっており、3号径間の前を塞いでいました。
今回、来年3月までの工事で、基礎はもとより、外観も変えられるのでしょうか。長い付き合いの水門だけに、やはり気になります…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『富士見橋架橋成る』につづく)

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●鋼管を積んでいた台船のサイドビュー。背後のビルに陽光が反射して、手前の水面がキラキラ輝き、黒い船体と赤錆びた鋼管を浮き上がらせて、いかにも工事用船舶、といった精悍な表情。
「イ3号」の船名も、どこか旧海軍の潜水艦を思わるなあ…、などと、あらぬ方に妄想が及び、何やら興奮する船頭。

3号径間には、錆色の角落しがはめ込まれて完全閉鎖。以前の工事より、一段と物々しさが増していますね。

日曜日に通ったからよかったようなものの、これが平日だったら大変な騒ぎで、仮に通航ができるとしても、近づきがたい雰囲気だったに違いありません。まあ、そんな血湧き肉躍る場面も、見てみたい気持ちはあるのですが。

昔は、ここから向こうをのぞくと、遮るもののない水路がスカーン、といった感じで広がっていて、いかにも臨海部であることを感じさせたものですが、橋が二本架かってからは、運河の空気ががらりと変わり、内水の雰囲気が色濃くなったようです。

今回、来年3月までの工事で、基礎はもとより、外観も変えられるのでしょうか。長い付き合いの水門だけに、やはり気になります…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年12月13日撮影)
(『富士見橋架橋成る』につづく)

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