浪花濃厚水路…12
(『超弩級最低橋? 』のつづき)
●堂島川も佳境に入り、都心の高層ビル群が見えてきました。天気はご覧のとおりなものの、風がないおかげで水面は鏡のよう。
写真の玉江橋、田蓑橋と、おとなしい(?)桁橋を過ぎると、阪神高速環状線が北岸に寄り添う、商都ナニワの中心部に差しかかります。

●田蓑橋をかわしたところで、南岸にはかつての丸ビルを思わせる、「ビルヂング」と呼んであげたくなるような、戦前の匂いのするビルが。しかし、外壁は美しいものの、よく見ると明かりのついている窓は皆無、中もがらんとして、いかにも取り壊しが決まりました、と言った雰囲気…。
帰宅してから調べてみると、これは中之島ダイビルといって、大正14年竣工の、大阪の大規模オフィスビルの嚆矢で、その筋では有名なビルなのだとか。う~ん、知りませんでした。まさに丸ビルと同世代なのですね。
中ががらんどうなのもそのはず、産経ニュースの「大阪・中之島のダイビルを建て替えへ」によると、一帯の再開発が決まり、今月(11月)より解体なのだそうです。
●渡辺橋、中之島ガーデンブリッジと過ぎ、日本銀行大阪支店の、重厚な建屋が見えてきました。
このあたりはよく本にも出ているので、もちろん実見するのは初めてですが、見慣れた風景でもあります。
よく本に出てくるといえば、この橋(↓)もそうですね。

●絢爛たる…と言うと大げさかもしれませんが、華やかな装飾で水の都の中心部をいろどる、昭和10年竣工の大江橋。写真がうまく撮れなかったのが残念…。
大阪市は、大正10年に都市計画事業を始めた際、同じ御堂筋を渡す土佐堀川の淀屋橋とともに、当時としては珍しいデザインコンペを行い、全国的にこの2橋についてのデザインを募ったことも、この橋の名を高めているのでしょう。当時の大阪市が、橋梁行政にいかに力を入れていたかが髣髴されるお話です。
現在では、ご覧のとおり沈下が進んでしまい、ちょっとアンバランスな感じがするのがかわいそうですが…。さんざんその手の本で写真を見ていただけに、この橋の低さについては、堂島大橋ほどの驚きはなく、気持ちにだいぶ余裕がありました(笑)。
いや、有名な古い橋をくぐるのは、もちろん嬉しくてしょうがないのですよ。写真で初めて見た時は、「この下は絶対、船ではくぐれまい」と思っていただけに、楽しさもひとしおです。
●すり抜け時のスナップ。コンクリートアーチだけに、左右の空間に余地が少なく圧迫感はあるものの、頭上はけっこうなゆとりが。
船長さんが身を屈めていないことからも、少なくとも堂島大橋よりは、桁下高があることがうかがえます。大阪都心部での連続すり抜け、まことに悦楽のきわみ。イヤ、本当に来てよかった!
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…13』につづく)

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写真の玉江橋、田蓑橋と、おとなしい(?)桁橋を過ぎると、阪神高速環状線が北岸に寄り添う、商都ナニワの中心部に差しかかります。

●田蓑橋をかわしたところで、南岸にはかつての丸ビルを思わせる、「ビルヂング」と呼んであげたくなるような、戦前の匂いのするビルが。しかし、外壁は美しいものの、よく見ると明かりのついている窓は皆無、中もがらんとして、いかにも取り壊しが決まりました、と言った雰囲気…。
帰宅してから調べてみると、これは中之島ダイビルといって、大正14年竣工の、大阪の大規模オフィスビルの嚆矢で、その筋では有名なビルなのだとか。う~ん、知りませんでした。まさに丸ビルと同世代なのですね。
中ががらんどうなのもそのはず、産経ニュースの「大阪・中之島のダイビルを建て替えへ」によると、一帯の再開発が決まり、今月(11月)より解体なのだそうです。

このあたりはよく本にも出ているので、もちろん実見するのは初めてですが、見慣れた風景でもあります。
よく本に出てくるといえば、この橋(↓)もそうですね。

●絢爛たる…と言うと大げさかもしれませんが、華やかな装飾で水の都の中心部をいろどる、昭和10年竣工の大江橋。写真がうまく撮れなかったのが残念…。
大阪市は、大正10年に都市計画事業を始めた際、同じ御堂筋を渡す土佐堀川の淀屋橋とともに、当時としては珍しいデザインコンペを行い、全国的にこの2橋についてのデザインを募ったことも、この橋の名を高めているのでしょう。当時の大阪市が、橋梁行政にいかに力を入れていたかが髣髴されるお話です。
現在では、ご覧のとおり沈下が進んでしまい、ちょっとアンバランスな感じがするのがかわいそうですが…。さんざんその手の本で写真を見ていただけに、この橋の低さについては、堂島大橋ほどの驚きはなく、気持ちにだいぶ余裕がありました(笑)。
いや、有名な古い橋をくぐるのは、もちろん嬉しくてしょうがないのですよ。写真で初めて見た時は、「この下は絶対、船ではくぐれまい」と思っていただけに、楽しさもひとしおです。

船長さんが身を屈めていないことからも、少なくとも堂島大橋よりは、桁下高があることがうかがえます。大阪都心部での連続すり抜け、まことに悦楽のきわみ。イヤ、本当に来てよかった!
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…13』につづく)

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超弩級最低橋?
(『浪花濃厚水路…11』のつづき)

●堂島大橋に接近してみると、まあ、息を呑むスレスレっぷりです。桁についている緩やかな反りがなければ、水面との距離は、板子一枚のスキ間しかないのではないかと思わせるほど。もちろん、通れる余地があるからこそ、船は進んでゆくのでしょうが…。
今さらながら気づかされたのは、下路式―道の上部に支える構造のある橋―だからこそ、桁下の低さが視覚的に強調されて、禍々しさすら感じるサイテーぶりを発散しているのでは…ということ。
もし、愛しの最低橋・茂森橋がタイドアーチやトラスだったら、あの桁橋ゆえの哀愁は薄れこそすれ、もっと鬼気迫る、佐藤淳一氏言われるところの、「ビジュアル的に迫力のある」橋になっていたかもしれません。
●下路式ゆえの、視覚的な錯覚もさることながら、禍々しさを振りまいていた原因の一つが判明。近づいてから気づいたのですが、両端に茂森橋同様の、ラーメン橋台がある! 「タイドアーチのラーメン橋台橋」だ!
古びていることもあるのでしょうが、親柱付近のデザインが、何かおどろおどろしていて、歴史を感じるとかそういう以前にコワイ…(私だけ?)。

●これはまずいだろう…。
すみません、目前に迫った瞬間に口走った、正直な感想を書いてみました。
上で触れたような、さまざまなパーツが発する毒素(失礼)に、完全に呑まれているところに持ってきて、この、律義にも小さく書き込まれた橋名に、何かノックアウトされた気が。
低さに加えて、戦前(昭和2年)の竣工、ラーメン橋台橋、そしてこの規模と、雰囲気、条件ともに十二分。最低橋趣味者としてですね、堂島大橋を超弩級最低橋に推薦したいと愚考するのであります。
●…まあ、ざれ言はともかくとして、楽しいすり抜けの瞬間をご覧いただきたく。
向こう側、手すりと桁下の距離が非常にシビアなのが見て取れるかと思いますが、緩やかに見えても橋の反りはかなりあり、船の中央部では、まだ少し余裕が感じられました。
●後席の老紳士など、イスの間にしゃがんで横向きに丸くなり、まったく周りを見ていないあたり、堂島大橋が乗客にあたえた恐怖(笑)が見て取れる一枚。
何分、水路幅や橋の規模が違うので、目測には相当の錯覚があるとは思うのですが、実際の桁下高は、1.8mくらいだったでしょうか。満潮に向かう時間帯だったは言えこの低さ、大阪の艇長さんたちが、うらやましく思えるサイテーっぷりでした。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…12』につづく)

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●堂島大橋に接近してみると、まあ、息を呑むスレスレっぷりです。桁についている緩やかな反りがなければ、水面との距離は、板子一枚のスキ間しかないのではないかと思わせるほど。もちろん、通れる余地があるからこそ、船は進んでゆくのでしょうが…。
今さらながら気づかされたのは、下路式―道の上部に支える構造のある橋―だからこそ、桁下の低さが視覚的に強調されて、禍々しさすら感じるサイテーぶりを発散しているのでは…ということ。
もし、愛しの最低橋・茂森橋がタイドアーチやトラスだったら、あの桁橋ゆえの哀愁は薄れこそすれ、もっと鬼気迫る、佐藤淳一氏言われるところの、「ビジュアル的に迫力のある」橋になっていたかもしれません。

古びていることもあるのでしょうが、親柱付近のデザインが、何かおどろおどろしていて、歴史を感じるとかそういう以前にコワイ…(私だけ?)。

●これはまずいだろう…。
すみません、目前に迫った瞬間に口走った、正直な感想を書いてみました。
上で触れたような、さまざまなパーツが発する毒素(失礼)に、完全に呑まれているところに持ってきて、この、律義にも小さく書き込まれた橋名に、何かノックアウトされた気が。
低さに加えて、戦前(昭和2年)の竣工、ラーメン橋台橋、そしてこの規模と、雰囲気、条件ともに十二分。最低橋趣味者としてですね、堂島大橋を超弩級最低橋に推薦したいと愚考するのであります。

向こう側、手すりと桁下の距離が非常にシビアなのが見て取れるかと思いますが、緩やかに見えても橋の反りはかなりあり、船の中央部では、まだ少し余裕が感じられました。

何分、水路幅や橋の規模が違うので、目測には相当の錯覚があるとは思うのですが、実際の桁下高は、1.8mくらいだったでしょうか。満潮に向かう時間帯だったは言えこの低さ、大阪の艇長さんたちが、うらやましく思えるサイテーっぷりでした。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…12』につづく)

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