臨港消防署の異変
(『水門先生と江東運河地帯…8』のつづき)
●亀島川を出て、ふたたび隅田川を下り、臨港消防署の前まで来てみると…あれ? 何か様子がおかしい!
最初に気づいたのは、特徴ある艇庫に、一隻も消防艇がいないことでした。いや、それどころか、手前の水面にあった桟橋群が、全て外されて跡形もない…。よく見ると、庁舎の中も何かがらんとして、灯りがともっておらず、人気が感じられません。
●以前、伊根の舟屋になぞらえて、「超弩級舟屋」などと書いたことがありましたが、川面に張り出して造られ、3連の艇庫を持つその独特な構造は、都内の水辺でも異彩を放っており、少なくとも私にとっては、この上なく魅力的な建物だったのです。
この様子だと、もはや取り壊しも間近と見なければなるまい…。いや、これは最初で最後のチャンスかも! 頭に血が上った私は、佐藤氏ら同乗者の同意も取り付けず、いきなり宣言「あそこに入ってみます!」。
(…ゴメンナサイ、ほんの1分ほどで出ましたので…。)
●流速があることを考えて、少し上流側に上がってから、進入開始。
エンジンを絞ると、やはりスターンが振られ、達着はなかなか難しそう。う~ん、消防艇の乗り組みの方にとっては、決して使い勝手の良い艇庫とは言えなかったかも、と勝手に想像。
特に、庁舎の建造時より、消防艇も大型化していますから、いかな現代では珍しい、屋根つきの「船蔵」とはいえ、出入りには神経をすり減らしたことでしょう。まあ、何事も慣れてしまえば、意外と大丈夫だったのかしら…。
●一番左の艇庫に、鼻先を突っ込みました。
柱の裏にある階段は、なぜか中央に向けて、V字を描いて降りている不思議な構造。かつては手前の頭上にも、板でも渡した通路があったのかしら?
柱の表面には、2本づつ赤錆びたレールが這わせてある…。昔は水門のような、扉か何かがついていたとも思わせるパーツでしたが、もちろん根拠はありません。
●天井には、クレーンのたぐいが備えられているものと期待したのですが、ご覧の通りあっさり。
壁にも、表示類などは特に見られず、がらんとした印象でした。撤収した際に取り外したのでしょうか。
●上流側の壁面。さすがに星霜を感じさせる風化の具合でしたが、ゴムフェンダーなども一切取り付けてなく、アイがぽつりぽつりと下がっているのみで、こちらもあっさりです。
あちこち見回していたら、うかつにも流速に回されて、右舷が壁に触れそうになり、F氏に壁を押してもらって、からくも脱出。興味深く拝見はしたものの、やはり艇のいない「超弩級舟屋」は、さびしい限りでした…。
【撮影地点のMapion地図】
●帰宅後、検索してみると、もうすでに各所で話題になっている…。ううむ、勉強不足でした。
まず、臨港消防署のオフィシャルサイトをのぞくと、「臨港消防署庁舎移転のお知らせ」で、大きく告知されているのを発見。移転は8月3日からで、仮庁舎は朝潮運河とのこと。しかし、なぜ移転するのかについては、特に説明がありませんでした。
「庁舎の老朽化により」くらい、書いてあってもよさそうなのにな…と思っていたら、ブログ「勝どき倉庫(仮)」に、なるほどと思った記事がありました。
「【新聞】臨港消防署移転改築基本設計を綜で開始」によると、春海運河に建設中の、豊洲大橋から延びる道路、環状2号線の計画域に、臨港署が重なるための移転なのだそう。ということは、何年も前から、すでに計画されていたことなのですね。
(21年8月9日撮影)
(『ジェットフォイル入港!』につづく)

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最初に気づいたのは、特徴ある艇庫に、一隻も消防艇がいないことでした。いや、それどころか、手前の水面にあった桟橋群が、全て外されて跡形もない…。よく見ると、庁舎の中も何かがらんとして、灯りがともっておらず、人気が感じられません。
●以前、伊根の舟屋になぞらえて、「超弩級舟屋」などと書いたことがありましたが、川面に張り出して造られ、3連の艇庫を持つその独特な構造は、都内の水辺でも異彩を放っており、少なくとも私にとっては、この上なく魅力的な建物だったのです。
この様子だと、もはや取り壊しも間近と見なければなるまい…。いや、これは最初で最後のチャンスかも! 頭に血が上った私は、佐藤氏ら同乗者の同意も取り付けず、いきなり宣言「あそこに入ってみます!」。
(…ゴメンナサイ、ほんの1分ほどで出ましたので…。)

エンジンを絞ると、やはりスターンが振られ、達着はなかなか難しそう。う~ん、消防艇の乗り組みの方にとっては、決して使い勝手の良い艇庫とは言えなかったかも、と勝手に想像。
特に、庁舎の建造時より、消防艇も大型化していますから、いかな現代では珍しい、屋根つきの「船蔵」とはいえ、出入りには神経をすり減らしたことでしょう。まあ、何事も慣れてしまえば、意外と大丈夫だったのかしら…。

柱の裏にある階段は、なぜか中央に向けて、V字を描いて降りている不思議な構造。かつては手前の頭上にも、板でも渡した通路があったのかしら?
柱の表面には、2本づつ赤錆びたレールが這わせてある…。昔は水門のような、扉か何かがついていたとも思わせるパーツでしたが、もちろん根拠はありません。

壁にも、表示類などは特に見られず、がらんとした印象でした。撤収した際に取り外したのでしょうか。

あちこち見回していたら、うかつにも流速に回されて、右舷が壁に触れそうになり、F氏に壁を押してもらって、からくも脱出。興味深く拝見はしたものの、やはり艇のいない「超弩級舟屋」は、さびしい限りでした…。
【撮影地点のMapion地図】
●帰宅後、検索してみると、もうすでに各所で話題になっている…。ううむ、勉強不足でした。
まず、臨港消防署のオフィシャルサイトをのぞくと、「臨港消防署庁舎移転のお知らせ」で、大きく告知されているのを発見。移転は8月3日からで、仮庁舎は朝潮運河とのこと。しかし、なぜ移転するのかについては、特に説明がありませんでした。
「庁舎の老朽化により」くらい、書いてあってもよさそうなのにな…と思っていたら、ブログ「勝どき倉庫(仮)」に、なるほどと思った記事がありました。
「【新聞】臨港消防署移転改築基本設計を綜で開始」によると、春海運河に建設中の、豊洲大橋から延びる道路、環状2号線の計画域に、臨港署が重なるための移転なのだそう。ということは、何年も前から、すでに計画されていたことなのですね。
(21年8月9日撮影)
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