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ちょっとした川っプネ乗り魂

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「川や運河って、勝手に走っていいんですか? 届け出たりしなくていいんですか?」
「川を走る際の決まりとか、交通ルールってあるの?」


こちらが「川走り者」ということをカミングアウトすると、決まってお受けするのが、上のような質問です。

まあ、届け出云々に関しては、こうして長年漫然と徘徊していて、警察や保安庁の艇に出会っても、一切おとがめを受けたことがない、よって問題ないであろう…という以上のことは言えない頼りなさなのですが…。
こと、川独特の交通ルールに関しては、この遊びを始めたころから、どこで覚えたのかよく思い出せないのですが、なぜか一つだけ、ハッキリと意識していたことがありました。

それは、下航船優先ということ。

流速のある川では、上りと下りで、舵効きに差が出てくるわけです。
流れに逆らって上る分には、舵効きがちょっと大げさになり、少し舵を切ると頭が振られやすくなるくらいで、さしたる影響はないのですが、下りの船は、流れに乗って走っているので、舵効きが鈍感になり、思ったほうへ船が進む前に、そのままの姿勢で、ずっと下流まで流されてしまうのです。

ですから、上の写真のように、橋脚で可航幅が狭まる区間などでは、上航船が速度をゆるめて、下航船が橋を抜けるまで待ってあげる気遣い、これが下航船優先です。

これ、明文化された法律か条例なのかしら、と、だいぶ前に検索してみて、見つけたのが以下のサイト。
裁決事例分析 河川で発生した衝突の事例」(運輸安全委員会

なるほど、「河川慣行」とありますから、古くから慣習として行われてきたもので、言わば川船乗りの間で自然に生まれた知恵、不文律といったところですね。

現在では、トン当たりのエンジン出力も増していますし、櫓舟や帆船のように、運動力が乏しい船もほとんどありませんから、一見時代にそぐわないように思えますが、川という澪筋がつねに変化し、しかも障害物の多い水面を航行するルールとしては、右側通行に固執するよりずっと合理的で、事故防止の効果も大きいように思えます。

6118.jpg引用先にもあるように、その他は、海上衝突予防法に照らして考えられているようですから、交通ルールという点では、海の船舶と大きな違いはないのでしょう。

しかし、面白いじゃないですか。川には川船なりのオキテがいにしえよりあって、今も続いている、というだけで、興味をそそられるものがあります。
船乗りの矜持を、シーマンシップと呼び習わして誇るのなら、川船乗り魂、リバーマンシップというのも、もちろんあったのでしょうし、今後もあってほしいものです。

実用水運が激減した今、その継承はむしろ、プレジャーボートに乗る人たちに、担われるように思えてなりません。さて、川船乗り魂が、私を含めた道楽の川っプネ乗りさんたちに、受け継がれるや否や…。


(写真はそれぞれ、20年12月30日中川にて、21年4月5日旧江戸川にて撮影)

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タグ : 下航船優先河川慣行独航艀中川旧江戸川