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江戸川散歩…6

(『江戸川散歩…5』のつづき)

7069.jpg今さらではありますが、江戸川で最も知られた建造物と言えば、やはりこの、金町浄水場の2基の取水塔でしょう。

背後の金町市街にも、大きなビルが林立するようになり、眺めとしてはややノイズが入った感じにはなったものの、そのシンボル然とした存在感は、初めて見たときから変わっていません。

7070.jpg下流側、第三取水塔のアップ。昭和39年竣工だそうです。

回廊に並べられた機器類や、取水口ゲートのレールが壁面から隔てられて取り付けられているなど、少々物々しい雰囲気ではありますが、23歳先輩である、第二取水塔とデザインを揃えた慧眼は、さすがとしか言いようがありません。



7071.jpgこちらは昭和16年竣工の、第二取水塔。第一取水塔はすでに撤去されたそうで、欠番になっています。

トンガリ帽子をいただいた姿は愛嬌がありますが、しっとりと落ち着いた風格も感じさせます。周囲に付属物がなく、すっきりとまとまっているせいでしょうか。
ちなみに二つの取水塔とも、流れに対して抵抗がないように、平たくつぶれた楕円形の断面をしています。

7072.jpg
上流側から眺めた、二つの取水塔。ビルの林に埋もれがちな姿よりは、青空と緑の土手をバックに、天を突く堂々たる雄姿が似合う気がします。

おりしも、「歩け歩け大会」でもあったのか、リュックをしょった団体さんが、河川敷を下流に向かって行進してゆきました。

7073.jpgそろそろ、約束の時間が迫ってきたようです。川走りを始めてまだ間もなかった、初訪問時のあれこれを思い出しながらの小1時間でしたが、楽しいひとときでした。

航路としては、残念ながら、ますます難しくなっていきそうな雲行きではあるのですが、下流部を気軽に訪ねる分には、多摩川のような澪筋の複雑さもなく、お散歩コースとしても好適なように思えます。今度はお弁当持参で、のんびり「里帰り」したいものです。
撮影地点のMapion地図

(21年6月7日撮影)

(『6月7日のフネブネ』につづく)

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タグ : 江戸川金町浄水場取水塔

江戸川散歩…5

(『江戸川散歩…4』のつづき)

7064.jpg澪筋を確かめて、ゆっくり遡上していると、矢切の渡しの矢切側から、一艘の和船が機走して下ってきました。これはどう見ても、対岸への渡しではありませんね。遊覧コースがあるのでしょうか。

我が艇に気づいた船頭さん、やおら立ち上がってハンドスピーカーを構え、「船着場につけるんなら、エンジン跳ね上げていかないと、つかえるよ!」とわざわざ注意してくれました。あ、ありがとう…。
船頭さんの口ぶりからすると、どうやら、柴又の船着場で一息入れるボートが多いようですね。

7065.jpg矢切側の渡し場。旗が掲げられているのが、「渡し舟運航中」のサインなのだとか。ご覧のとおりの満員ぶりで、桟橋には、まだ順番を待っている人の姿も見られました。引き波を立てないように、そろそろと失礼します。

状況いかんによっては、機走になる場合もあるそうですが、このときは櫓走でした。風や流速に逆らって、これだけの人を乗せた舟を歩かせる腕はさすが大ベテラン、と、その櫓さばきに見惚れてしまいました。

7066.jpg柴又の渡し場も同様、なかなかの盛況です。繁忙期とあって、二艘の渡し舟でピストン輸送のようですね。

矢切のそれより、若干上流側に位置していますから、舟は流れに逆らって、一旦上った後、少し下るような形で、柴又につけるのでしょう。


7067.jpg渡し場を過ぎたあたり、千葉県側の高水敷は、美しく芝を手入れした、ゴルフ場が続きます。

岸辺には木立があって、まるでデスクトップの壁紙に出てきそうな眺めですが、手入れの行き届いたコースとは対照的に、水際は土留めもほとんどない状態。増水したら崩れてこないか、ちょっと心配になりました。

7068.jpg矢切付近の浅水域を抜けると、少し水深も安定してきました。

ところで、江戸川下流域の名建造物といえば、映画の寅さんシリーズでもおなじみ、そう、アレ…。前方に見えてきました。これも久しぶりに、挨拶してゆくとしましょう。
撮影地点のMapion地図

(21年6月7日撮影)

(『江戸川散歩…6』につづく)

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タグ : 江戸川矢切の渡し

江戸川散歩…4

(『柳原水門の表情』のつづき)

7059.jpg柳原水門の前から、上流側を見たところ。先ほどまでたくさん浮かんでいた白雲たちが、急に少なくなり、空を映した水面とともに、視界のほとんどが青く染め上げられたようになりました。

吹く風も穏やかで、その分暑さも厳しくなり、最初の江戸川行を思い出させます。

7060.jpg北総線の鉄橋の手前にある、茶色い丸屋根でおしゃれをした小さな樋門。栗山浄水場の取水施設なのだとか。

ここにも釣り人さんの姿が何人か見られます。水の流れの関係で釣果がよいのか、それとも寄る辺のない河原では、やはり建物のかたわらが、安心できるということなのでしょうか。

7061.jpg北総線の江戸川橋梁をくぐります。これも他の橋同様トラスですが、コンクリートの桁を備えた道床のある橋のため、列車が通ってもゴォッという音がせず、静かなものです。

この先あたりから、流れは少しゆるやかになるため、洲ができやすい区間が続きます。魚探の感に注意しつつ、ゆっくり進むとしましょう。

7062.jpgはるか向こうに、お客さんを満載して横切る和船が見えてきました。矢切の渡しです。
このお天気ですから、渡し舟も大盛況でしょう。

河道ほぼ中央を直進していると、案の定、ここで魚探の感が急速に怪しくなり、1mを切り始めました。写真にも、左右の端にぽつぽつとブイが写っていますが、やはり以前にくらべて、洲が多くなり、全体的に河床が上がってきているようです。

7063.jpgジグザグの針路を取り、澪筋を探りながらの航行。少し千葉県側に寄ったほうが良いようです。

写真は柴又の船着場ですが、すぐ下流側に洲ができてしまったらしく、ブイで水面を囲ってありました。肝心の船着場で、水深を確保できていないとは…、航路としては、ずいぶん荒廃してしまったなあと、考え込んでしまいました。
撮影地点のMapion地図

(21年6月7日撮影)

(『江戸川散歩…5』につづく)

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タグ : 江戸川矢切の渡し

柳原水門の表情

(『江戸川散歩…3』のつづき)

7054.jpg国府台下を離れてしばらく進むと、右手に見えてくるのが、派川坂川を守る、柳原水門。

一昔前、三浦から遠路はるばる江戸川に艇を持ってきて、この水門に初めて出会ったときは、まるで一時期のお役所建築のような、水門らしからぬデザインに驚かされたものです。母港を都内に移して、荒川筋などのこの手の豪華水門(?)をいくつか目にしてからは、慣れたせいか、それほどでもなくなりましたが…。

今改めて眺めてみると、排水機場樋門が一歩出た形で左手に配され、水門自身も右手に大げさな階段のシャフトを持っているなど、非対称の配置の妙で、見る角度によって表情ががらりと変わり、なかなか面白いものだと思いました。

7055.jpg
真正面から眺めても、手前の樋門、水門自身ときて、左手に排水機場の建屋、さらに右手にはぽつりと、千葉県水道局・栗山浄水場の給水塔が古風な姿をのぞかせているなど、奥行きのある構図が楽しめます。

そうそう、15年前に訪れたとき、まったく同じ角度から撮った写真があるんだった…。以下にご覧に入れましょう。

7056.jpg
平成7年8月、おそらく2日の柳原水門。この日はほとんど無風で、陽射しも強く、とにかく暑さが堪えたことを思い出します。影の状態からして、撮影時刻は昼近くでしょうか。

水門と樋門の上屋は、名前が入っていないのっぺらぼう。背後の排水機場も建設中、周りの法面にもコンクリートが打たれておらず、草ぼうぼうのままなど、まだまだ工事半ばといった感じが伝わってきますね。
撮影地点のMapion地図

7057.jpg現在の写真に戻って、上流側から。

樋門のゲートが水門をさえぎって、二つの位置関係がよくわかる角度。樋門の管理橋(?)が、虹のように湾曲しているのも変わっていますね。
水門周囲の法面は、昼寝をする人、談笑する人と結構な人出で、格好の憩いの場となっていることがうかがえます。手前の茂みは、釣り人さんの穴場のようですね。

7058.jpgほぼ真横から見ると、まるで親子連れといった雰囲気で、ちょっとユーモラス。水門と樋門の、会話が聞こえてくるようです。

背景に国府台の、分厚い布団のような緑が横たわって、白亜の水門たちをくっきりと浮かび上がらせているのも、なかなか佳し。
初見のときは、少々凝り過ぎではとも思えたデザインも、こうして眺めると、周囲との調和を考えて造られたように感じられ、ちょっと見直したものです。

(21年6月7日撮影)

(『江戸川散歩…4』につづく)

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タグ : 柳原水門江戸川

江戸川の模型?

まさに灯台下暗しで、自分の観察力のなさを暴露するようなお話なのですが、恥を忍んでご報告申し上げますデス…。
先日、Googleマップを開き、見るとはなしに旧江戸川流頭部付近をスクロールしていたら、江戸川水閘門の東側に、妙なモノがあるのに気付きました。

こ、これは!

大きな地図で見てみなされ

ぐっと拡大して、仔細に眺めまわしてみると…。どうやら川の水理模型というヤツのようですね。以前、埼玉県立川の博物館を見学したとき、荒川の全流域を模型化した展示を見たことがあったので、ピンときました。

もちろんこちらは、純粋に水理研究のためのもので、展示はしていないのでしょう。ここは国交省・江戸川河川事務所・江戸川河口出張所の敷地内のようですから。

しかし、この河道のうねり具合、分流点のカタチ…どう見ても、この模型があるご当地、私にとってもなじみ深い、新旧江戸川分流点付近を模型化したものにしか見えません。

そうなると、気になるのはただ一つ。閘門も模型化されているのか?さらに拡大して検分してみると…。

あった(嬉)
赤矢印のところに、閘門がちゃんと造ってある! もうこれだけでも、ゼヒ見てみたい!

さっそく検索してみて、この模型を紹介したオフィシャルサイトや、見学した方のブログでも見つかればと思っていたら、やり方が悪いのか、まったくと言ってよいほど成果なし。
唯一、この模型の存在に触れておられたのが、kincyan氏のブログ、河川事務所鉄塔江戸川の畔)でした。

記事によると、「その昔、この鉄塔の下の敷地には、このあたりの川の模型が作ってあり、水を流してなにやら実験をしていたようです。」とのこと。
この記事が書かれたのがもう5年前、その時点での「その昔」ですから…。河川事務所のサイトでも、特に触れていないところを見ると、もうすでに役割を終えて、放置されているのか、すでに撤去されてしまったかもしれません。

残念、気付くのが遅すぎたか…(遅すぎるよ!)。
ええ…、この模型のことが掲載されているサイト、または来歴など詳細をご存知の方、ぜひご教示いただきたく、情報をお待ちしております。

ちなみにこのあたり、東京と千葉の境界錯綜地として、その筋の趣味の方には有名なようですね。検索していると、江戸川の模型のことはヒットしないかわり、河原番外地について触れたサイトは多く、関心の高さがうかがえました。

@nifty:デイリーポータルZでも、「番外地・境界未定地・飛び地2006」 に、河原番外地の記事があります。ご参考まで。

【23年6月11日追記】久しぶりにこの記事を開いて気づいたんですが、上のはめ込んだGoogleマップ、いつの間にか新しい画像に更新されていたのですね。使われなくなって久しいとあれば当然ですが、すでに埋め立てられていたようです。というわけで、下の部分画像とは矛盾が生じてしまっていますが、ご了承ください。しかし、やはりはめ込みなどせず、画像を載せてリンクだけ張っておく方が正解のようです。

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タグ : 水理模型江戸川旧江戸川閘門