新潟の川蒸気・安進丸の「*」は‥‥

●「新潟の川蒸気史覚え書き」の冒頭に掲載したこの1枚。萬代橋北詰にもやう、安進丸とみられる外輪川蒸気の写真で、外輪カバーの「『*』に見える文字は、社章など何かのシンボルだろうか?」と疑問を呈して、そのまま調べもせず(ごめんなさい)早や8年。
ちなみに上に掲げたものは、「新潟の川蒸気ふたたび」に再録した、同じ写真の高解像度版です。
●新潟訪問の際にも資料をご案内いただいてお世話になった、新潟市歴史博物館・みなとぴあのTwitterを先日、たまたま発見。興味深く拝読していたところ、いきなり8年来の謎が解明して、躍り上がったのであります!
前同、川蒸気船を運営していた安進社です。#エア博物館 pic.twitter.com/rUr3RyjWvH
— 新潟市歴史博物館(みなとぴあ) (@minatopia) May 10, 2020
●「*」が社名の上と外輪カバーに!! 旗も掲げられている!
この扱いから見て、社章と思って間違いないでしょう。8年来の謎がおかげさまで氷解、みなとぴあのウェブご担当様に、厚く御礼申し上げます!
●絵柄からして、最初、引き札か何かと思っていたら、この一つ前のツイートによれば、明治22年刊の「北越商工便覧」掲載のものだそう。
明治の中ごろとて、社屋も普通の商家らしい造りで、道ゆく人もほとんどが和装のようですね。しかし、この単純明快な社章の由来を知りたいものです。意外と「外輪のスポークから採った」とか、意匠にたがわずシンプルな理由だったりして。
みなとぴあ「新潟市の文化財」展では会期途中に数点展示替えがあります!前期は5月12日(日)まで。
— 新潟市歴史博物館(みなとぴあ) (@minatopia) April 30, 2019
初代五姓田芳柳が描いた「新潟萬代橋」図(明治21年)もその1点。写真をもとに描いたという本図、通行人のにぎわいや汽船発着場の「安進社」社旗は芳柳の演出によるもの。お見逃しなく! pic.twitter.com/APLHQX8TZE
●過去のツイートを追って拝見してゆくと、安進社の社章がもう一つ見つかりました。こちらは初代の五姓田芳柳(生没年:文政10年~明治25年)による、北詰から見た萬代橋を描いた絵画。橋を渡る一人一人の仕草や装い、親柱の文字一つ一つ、それに遠くの川面には川蒸気船もと、細部まで描き込まれていて、眺めているだけで楽しくなりますよね。
こちらの絵が嬉しかったのは、安進社の社章の色が赤かったことを、今に伝えてくれたことです。安進社は、明治19年に安全社と彙進社が合併してつくられた船社ですが、当時の経営者たちは、企業のイメージカラーというべき真っ赤なアスターリスクに、どんな想いを込めたのでしょうか‥‥。

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初めて臨検されたときの思い出

先ほど、昔の書類を探す用事があり、古いクリアファイルをひっくり返していたら、懐かしいモノが出てきて、思わずニンマリしました。いってみれば「臨検好き」になった、きっかけの産物だったからです。
まあ、とても自慢できることではなく、むしろ恥ずべきことなのですが、懐かしさが勝ってしまったので、何かの参考にでもなればと、思い出されたあれこれを、例によって垂れ流させていただきます。
【▼「続きを読む」をクリックしてご覧ください】
くぐって、見上げて、航跡を追って
●昨年の記事、「11月29日の水路風景」に載せた写真の前後のカットで恐縮ですが、改めて眺めてみて、このときのワクワク感が思い出され、しまっておくのも惜しくなったので、落ち穂拾い的にまとめてみました。

●他船の航跡をなぞって狭窄部通過、というだけでもちょっとしたイベント(?)ですが、加えて幅のある橋と水門を連続してくぐるのが、視界に豊かな変化を与えてくれて、ほんのわずかな時間ながら、高揚感のある舟行きになったのでしょう。

●ちょうどお昼どきで日が高かったこともあり、光線の塩梅もよろしく、橋や水門のディテールもくっきり。

●さらに、橋と水門が落とす影に入った屋形船が、サッと黒く沈み、しばらく後また陽なたに出て、細部を取り戻す面白さ。そして桁下のディテールがあらわになり、頭上をすっかり覆うと、今度は水門がじわじわと全貌を現わす‥‥。
微速に抑えていても、エンジンの爆音とハルが奏でる水音が、両の橋脚と桁裏に反射して、「くぐる充実感」を味わえるときでもあります。

●水門の影から出つつある屋形船の船尾から、複雑な構造が織りなす、佃水門の美しさとボリュームに目線を移して‥‥。ちょっとしたフィナーレといっても、大げさでなく思える瞬間。
頭上を横断する大きな構造物が続くと、こんなにも「移動感」(?)があるのだなあと、今さらながら再認識させられるものがありました。やはり水路の面白さの一つは、橋や水門あってこそのものがあります。
【撮影地点のMapion地図】
(27年11月29日撮影)

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●他船の航跡をなぞって狭窄部通過、というだけでもちょっとしたイベント(?)ですが、加えて幅のある橋と水門を連続してくぐるのが、視界に豊かな変化を与えてくれて、ほんのわずかな時間ながら、高揚感のある舟行きになったのでしょう。

●ちょうどお昼どきで日が高かったこともあり、光線の塩梅もよろしく、橋や水門のディテールもくっきり。

●さらに、橋と水門が落とす影に入った屋形船が、サッと黒く沈み、しばらく後また陽なたに出て、細部を取り戻す面白さ。そして桁下のディテールがあらわになり、頭上をすっかり覆うと、今度は水門がじわじわと全貌を現わす‥‥。
微速に抑えていても、エンジンの爆音とハルが奏でる水音が、両の橋脚と桁裏に反射して、「くぐる充実感」を味わえるときでもあります。

●水門の影から出つつある屋形船の船尾から、複雑な構造が織りなす、佃水門の美しさとボリュームに目線を移して‥‥。ちょっとしたフィナーレといっても、大げさでなく思える瞬間。
頭上を横断する大きな構造物が続くと、こんなにも「移動感」(?)があるのだなあと、今さらながら再認識させられるものがありました。やはり水路の面白さの一つは、橋や水門あってこそのものがあります。
【撮影地点のMapion地図】
(27年11月29日撮影)

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川っぺりは事件の匂い(なのか?)
●マリーナで、配布物のラックをふと見たら、「水の都 TOKYO LOCATION MAP ウォーターサイドのロケ地をめぐろう」と題した、二つ折のきれいな刷りものが目に留まり、手に取ってみました。都の産業労働局観光部が発行した、観光ガイドといったところです。
●「ロングバケーション」、「荒川アンダー ザ ブリッジ」ほか、ドラマや映画に縁遠い船頭でも、聞き覚えのあるタイトルがいくつか。ははあ、こうして眺めてみると、水辺が舞台となったお話も結構あるものだなあ、と感心しきり。
●そういえば、以前ご一緒した「新・鉄子の旅」のほあしかのこ先生に、「水辺の描写がキレイですよ!」とすすめられて、以来すっかりはまってしまった漫画「3月のライオン」も、佃島をモデルにした河畔の街が舞台の一つになっており、中央大橋や霊岸島の水位観測所、果ては住吉水門(過去ログ『住吉水門をくぐる』参照)までが背景に登場したりして、物語に彩りを添えていました。

●まあ、「TOKYO LOCATION MAP」に紹介された映画やドラマを、ひとつも見たことがないのが痛いところなんですが‥‥。
無理に話をつなげてみると、自分的に「水辺が出てくるドラマ」としてすぐに思い出されるのは、いわゆる「サスペンス劇場」のたぐい。お休みの日の午後なんかに再放送されている、「××殺人事件」などと題した探偵もののあれです。
●連れがこの手のドラマの熱心なファンで、私が見ているわけではないのですが、「岩淵水門が出ているよ!」「永代橋が見えてる!」とご注進されると、のぞきに行ってしまうことも一度や二度でなし。この数年、そんなことを繰り返して得た感想は、「この手のドラマ、主な舞台でないにせよ、水辺シーンの登場する確率がえらく高いんだなあ」ということでした。

●たびたび水路行に同行いただいている、特撮ファンのF記者によれば、3~40年前の特撮ドラマも水辺確率が高く、特に戦闘シーンが埋立地や河川敷、ときには水門の上でバトルを演じる例もあったとのこと。
●ううむ、ドラマの世界だけ拾ってみると、水辺にはつねに死体が上がって、刑事や探偵が息せき切って走り、特撮ヒーローが怪人と血で血を洗う死闘を繰り広げているという、事件の絶えない恐ろしい場所になってしまいます。
極端に考えれば、テレビドラマ漬けの人は、「川っぺりイコール剣呑な場所」と刷り込まれてしまう恐れがある(あるいは、あった)ということでしょうか?
●ドラマを作られている方からすれば、単に人気が少なく、特段の許可も不要でロケがしやすいから、といった理由で、特に意識して水辺に走っているわけではないのかもしれません。
ともあれ、「××殺人事件」が冠されれば、パブロフの犬さながらに川景色を期待してしまい、ドラマ自体にはさほど関心をよせていないおっさんが、ドラマ好きのおばさんのせいで約一名でき上がった、というお話でした。はい。

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●「ロングバケーション」、「荒川アンダー ザ ブリッジ」ほか、ドラマや映画に縁遠い船頭でも、聞き覚えのあるタイトルがいくつか。ははあ、こうして眺めてみると、水辺が舞台となったお話も結構あるものだなあ、と感心しきり。
●そういえば、以前ご一緒した「新・鉄子の旅」のほあしかのこ先生に、「水辺の描写がキレイですよ!」とすすめられて、以来すっかりはまってしまった漫画「3月のライオン」も、佃島をモデルにした河畔の街が舞台の一つになっており、中央大橋や霊岸島の水位観測所、果ては住吉水門(過去ログ『住吉水門をくぐる』参照)までが背景に登場したりして、物語に彩りを添えていました。

●まあ、「TOKYO LOCATION MAP」に紹介された映画やドラマを、ひとつも見たことがないのが痛いところなんですが‥‥。
無理に話をつなげてみると、自分的に「水辺が出てくるドラマ」としてすぐに思い出されるのは、いわゆる「サスペンス劇場」のたぐい。お休みの日の午後なんかに再放送されている、「××殺人事件」などと題した探偵もののあれです。
●連れがこの手のドラマの熱心なファンで、私が見ているわけではないのですが、「岩淵水門が出ているよ!」「永代橋が見えてる!」とご注進されると、のぞきに行ってしまうことも一度や二度でなし。この数年、そんなことを繰り返して得た感想は、「この手のドラマ、主な舞台でないにせよ、水辺シーンの登場する確率がえらく高いんだなあ」ということでした。

●たびたび水路行に同行いただいている、特撮ファンのF記者によれば、3~40年前の特撮ドラマも水辺確率が高く、特に戦闘シーンが埋立地や河川敷、ときには水門の上でバトルを演じる例もあったとのこと。
●ううむ、ドラマの世界だけ拾ってみると、水辺にはつねに死体が上がって、刑事や探偵が息せき切って走り、特撮ヒーローが怪人と血で血を洗う死闘を繰り広げているという、事件の絶えない恐ろしい場所になってしまいます。
極端に考えれば、テレビドラマ漬けの人は、「川っぺりイコール剣呑な場所」と刷り込まれてしまう恐れがある(あるいは、あった)ということでしょうか?
●ドラマを作られている方からすれば、単に人気が少なく、特段の許可も不要でロケがしやすいから、といった理由で、特に意識して水辺に走っているわけではないのかもしれません。
ともあれ、「××殺人事件」が冠されれば、パブロフの犬さながらに川景色を期待してしまい、ドラマ自体にはさほど関心をよせていないおっさんが、ドラマ好きのおばさんのせいで約一名でき上がった、というお話でした。はい。

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