中川口閘門…4

(『中川口閘門…3』のつづき)

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階段の踊り場の柵にカメラを突っ込んで、後扉室周りを見下ろしたところ。

ううん、確かに眺められはするものの、何とももどかしい角度。特に閘室の様子は、ここからではほとんどわかりません。防音壁を横目でうらめしく見ながら、ディテールを観察することに。

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あっ、内扉室(運河側、低い方のゲート)が開いている! 階段から降りて、テラスに出たときには閉まっていたので、外扉室の裏側は撮り損ねましたが、これで二つのゲートが別々に操作できることが判明。

シリンダーの筒の上に取り付けられた、盲蓋をしたメーターらしきもの、開度計かな? よく見ると、右側に細いワイヤーが伸びて、端が扉体に結ばれているようなので、ワイヤーの繰り出し長さで開度を示す仕組みなのかもしれません。

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中川口閘門の一大特徴である、ゲートをまたぐ機側運転室(だと思う)。前後の妻板には、スピーカーと照明が備えられています。

どういったいきさつで設けられたのかわかりませんが‥‥以下妄想。通航量があまりにも多かったため、目視による迅速な操作を必要としたのか、一回の操作で、閘室に可能な限り船を詰め込むため、やはり目視しながら具体的な指示を出す必要があったのか‥‥。監視カメラが得難かった時代の、昭和38年竣工ならではの設備といえそうです。

206064.jpg階段から、運河北方を望んで。左側、テラスにぐっと張り出したような部分があり、閘門の鑑賞のために造られたしか思えないスポット。ここは訪問前に目星をつけていたので、後で行ってみることに。

手前のスペースはご覧のとおり工事中で、塀がめぐらされ入ることができませんでした。閘室のすぐ横まで入れたようなので、惜しいことではありました。

206065.jpg階段を下りて道路に出たところで、道の向こうに「喫茶 運河」を発見! 利根運河の運河駅、横利根閘門の閘門バス停に続くヒット。「キャナル」などの横文字に走らない点も、船頭的にポイント高し。

ゼヒお茶してみたかったのですが、誘惑を振り切って、閘門の見えるテラスへ続けて前進。さっき全力疾走した後遺症で、足がガクガクするのう‥‥(泣)。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…5』につづく)

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中川口閘門…3

(『中川口閘門…2』のつづき)

206056.jpgハァハァハァ‥‥。
堤防の階段を駆け上がったところで、息を整えるのももどかしく見やると、船はすでに閘室を出て、ゲートは全開の状態。

出閘シーンを逃したならば、せめて、ゲートが閉じるところだけはものせねば! テラスに降りてよいポジションを探すいとまもなく、その場に立ったままシャッターを切る、切る!

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早くも閉じはじめた! もはや、一歩たりとも動く猶予はなし。ズームで思い切りたぐって、とにかく撮ることに専念。間の悪さを呪うより、扉体の運転に出くわせたことを感謝せねばと、暑苦しい気持ちを込めて一枚、また一枚。

扉体を見てもわかるように、中川口閘門は外扉室・内扉室、二組のマイタゲートを持つ複式閘門です。これはシリーズの最初にも触れたように、運河内がN.P.+0.2~0.4mと、朔望平均干潮面より少し高いくらいの水位に設定されていて、海面の方が低くなるときもあるため。

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ううう、閉じるとなると早いなあ。なかなか整わない息を落ち着かせながら、名残惜しい気持ちで扉体の裏側を見送ります。扉体の斜接部に見える、水密材の木の色が妙に生々しく感じられる一瞬。

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ゲートが完全に閉じたのを見はからって、離れていた「きよかわ」がぐるりと円を描いて戻ってきた‥‥。どうするのかしらと眺めていたら、扉体ギリギリまで寄せて、乗り組みさんがタモ網で清掃作業を始めました。ご苦労さまです。

というわけで、何とか扉体の運転シーンは写真に納めることができました。この勢いで後扉室も見て回るぞ!

206060.jpgガクガクする足にムチ打ちつつ、今度はゆっくり歩いて、名四国道の歩道に上がる階段、先ほどとは反対の北側に到着。ここなら南側より、いくらかは観察しやすそうではあります。

ご覧のとおり、橋上の歩道は防音壁が高々とつらなって、眺望はゼロといってよい厳しい環境。踊り場から後扉室だけはのぞけますが、視界は広くなさそうですね‥‥。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…4』につづく)

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中川口閘門…2

(『中川口閘門…1』のつづき)

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テラスを北上しつつ、立ち止まってはカメラを向けることを繰り返して、次第に近づいてきました。左から閘門、緑の建物が中川口ポンプ所とその吐口、竣工当初からの樋門と配置が明瞭に見て取れます。

もっと知りたい中川運河」(PDF)によれば、竣工からしばらくは、干潮時に扉体を開放し自然排水するのみだったが、松重ポンプ所が昭和12年に竣工してからは、中川口で導水し、松重ポンプ所から堀川に排水する循環ができるようになったとのこと。当初ここには排水機場はなく、干潮時の排水と導水を兼ねた、樋門のみだったことがわかります。

206052.jpgテラスの階段から南側を見たところ。閘門から南は堤防の高さがあるので、階段で乗り越えてテラスに降りるしくみです。

実によくできたテラスで、東屋やベンチなど憩いの場としての施設だけでなく、ところどころに張り出しやバルコニーを設け、閘門の稼働を絶好の視点で楽しめるような配慮がなされていました。

そうそう、「もっと知りたい中川運河」の地図によると、このすぐ近くに「運河神社」もあるとのこと! ぜひお参りしたかったのに、知らずに惜しいことをしました‥‥。

206053.jpg
近づいたのはいいのですが、今度は扉体が護岸の陰に隠れて、よく見えなくなってしまいました。むう。

閘室のすぐ傍らまで公園化されており、普段は通航が観察できそうではあったのですが、残念なことに工事中で囲われていて入れず、眺められる視点は限られそうです。仕方がないので、かねて目星をつけていた、名四国道中川運河橋の歩道に至る階段の途中(橋上は防音壁があり、見下ろすことができません)から、のぞき見られるか試してみることに。

206054.jpgぐんぐん上がる気温と、体力のなさも加わって、額に汗しつつ階段を上ると‥‥。ううん、木が邪魔してよく見えないなあ。ギギギ。

首を伸ばして、少しでも閘室を眺めようと悪戦苦闘していたら‥‥。
何と! 見覚えのある船影が、ゆっくりと姿を現したじゃありませんか!


206055.jpg
その派手な塗装、間違えっこありません。ついさっき、堀川口防潮水門で見た清掃船「きよかわ」だ! いや、同タイプの姉妹船かもしれませんが、とっともかく、これから間なしにゲートが稼働し、通航する様子が見られるんだ!

次はいつ訪ねられるかわからない客地、この機を逃すことなどできますまい。
即座に応戦を決意し、150mを全力疾走!
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…3』につづく)

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中川口閘門…1

(『堀川口防潮水門…4』のつづき)

206046.jpg次に目指したのは、中川運河南端。いわずと知れた、名古屋を代表する運河の玄関口であります。目的地は西岸なので、どこかで運河を渡らなければならないのですが、迷わず第一橋である中川橋をえらびました。

中川橋は、運河開鑿に合わせ昭和5年に竣工した美しい鋼タイドアーチ橋ですが、橋を横にずらせて活かしつつ、橋台の更新をするという数年来の大工事中。

今年2月、新橋台の工事がようやく成って、元の位置に納まったばかり。まだ開通はしておらず、引き続き下流側に設けられた仮橋が、道路として供されていました。

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西岸のテラスから見たところ。まだ真新しい、真紅の塗装が目に沁みるよう。やはり橋や水門は、赤系の色に限りますねえ。ここまで手間をかけて、昭和初期の橋を現役に留めるところが素晴らしいです。背景に見える大観覧車は、臨海部の遊園地「シートレインランド」のもの。運河や閘門が一望できそうですね、後で行ってみましょう。

工事については、「中川橋(中川運河)架け替え工事」(『アレコレコレクション』さんより)が、この5年間の様子を豊富な写真で記録しておられ、一見の価値あり。

206048.jpg中川橋を眺めている同じ位置から、180度向きを変えると、北側はるか向こうに見えるのが第三の目的地、中川口閘門! いや~、積年の念願かない、ついに訪ねられたと感慨もひとしおです。

せっかくですから、久しぶりに「運河論」(矢野剛著・昭和10年)をひもといて、「第十款 中川運河」の項目より、少し引用させていただきましょう。漢数字の使い方は原文ママです。

本運河は大正一三年一一月都市計畫事業として開設確定し、運河法に依る免許を受け、名古屋市に於て大正一五年度から起工し、昭和七年一〇月一日竣功し、同年一二月二〇日から開通して居る。

諸元が列挙されている中から一つ、興味深いのは料金設定。
閘門通航料‥‥船舶一入河に付噸數に依るものは一噸に五銭以内、石數に依るものは一〇石まで毎に八銭以内、間數に依るものは一間に付八銭以内
このころは、和船式の積載量である「石」や、間尺で容積を示す艀が多かったことをうかがわせ、惹かれるものがあります。

中川運河は、名古屋港で瀬取りした艀を、直接笹島貨物駅隣接の船溜まで乗り入れさせ、併せて沿岸に製造業・物流業を誘致し、商工業地帯としての発展を図るものでした。つまり、鉄道と舟運の効率的な結節が目的の一つだったわけです。

関東にも、近い性格の新規開鑿運河がありました。京浜工業地帯の草分け的埋立地である安善町・末広町から、京浜電鉄(現京浜急行)の八丁畷駅までを結んだ川崎運河(大正11年竣工、延長1350間=約2.5km)です。過去ログ「京浜運河を散策する…2」でも少し触れましたが、大半は埋め立てられたものの、現在その一部が旭運河となって残っています。

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さて、テラスをずんずんと肩をいからし鼻息荒く北上し、ほど良いところでぐっとズームして、ゲートをアップで一枚。扉体直上に管理橋が渡され、その上に機側運転室らしいボックスを重ねている独特の風貌。信号が位置的に前照灯のようで、どこかラッセル車を思わせる面構えだなあ、というのが第一印象でした。

ちなみにこの閘門、運河竣工当初からのものではありません。このシリーズの冒頭でも紹介した「中川運河」にも述べられているように、「中川口第二閘門」として昭和38年に竣工したもの。元からあった第一閘門は平成3年に廃止、跡地に中川口ポンプ所が設けられ、現存していません。

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閘門からぐっと右端まで振って、排水機場のゲートらしい部分を同じくアップで。この7径間あるアーチの部分は、どうやら竣工当初からのもののようですね。昔の絵葉書や史料がいくつか手持ちであるので、後ほどまとめて掲げ、現在の写真と比較して楽しんでみましょう。

左端に見える「放水注意」の看板が、黄色いランプを交互に点滅させていたので、排水機場が運転していたのかもしれません。
撮影地点のMapion地図

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…2』につづく)

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堀川口防潮水門…4

(『堀川口防潮水門…3』のつづき)

206041.jpg
高欄にもたれて水門を眺めていたら、ヌッ、といった感じで突如船が出現、驚かされました。
うおおお、本船だ!

回転数を押さえていたせいか、爆音も直前まで聞こえず、不意を突かれたと同時に大喜び。これで、マイタゲートの本領発揮の瞬間、本船の通航が拝めるんだと!

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船名は「さんこう金栄」。見たところ、東京港でいう「えど」のような集油船のようでしたが、いかがでしょうか。船橋の横にもタイヤのフェンダーを備えているあたり、大型の本船に接舷する用途が垣間見えます。

引き波もほとんど立たないくらいの最微速で歩かせながら、軸線は右から2番目の下航径間にピッタリと合わせ、すでに通航の構え。ちょっと緊迫するような雰囲気に、こちらも息を呑みながら船尾を正面に見る位置に移動。これはイイ瞬間に出くわせたものだ‥‥。

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船首が径間の下流側をかわった刹那、爆音が高まって、プロペラ後流が白く泡立ちました。

船橋を備え、マストを高々と上げた船が水門をくぐる、しかもそれを俯瞰できる幸せ! いや~、最高ですわ!

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206045.jpg後流がさらに盛り上がり、「さんこう金栄」は軽く面舵に当てて、港内へ向け行き足を上げ離脱。わずかな滞在時間に、マイタゲートの本領を発揮したシーンを拝めて、まことに幸いではありました。

最後にポンプ所の説明板をカメラに収めて、慌ただしく次の物件へ。名古屋を代表する舟航施設といってもいい過ぎでない、アレを前にしてさらにテンションが上がります!

(29年5月3日撮影)

(『中川口閘門…1』につづく)

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