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利根川河口堰閘門を訪ねて…3

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…2』のつづき)

293011.jpgゲートを眺めてウロウロしていたら、対岸方向から船が近づいてきました。戸立て造りの船首、サッパぽいスタイルで、胴の間にオーニングを張っています。

間なしに、タァン! と鋭い音がして、思わず首をすくめました。銃声だ‥‥サッパの船首に乗っていた人が銃を構えていて、発砲したようです。水鳥の多い水域だし、鴨猟だろうと見当がつきました。


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銃声が鳴った瞬間、水面に浮いていた無慮大数の水鳥たちが、驚いて一斉に飛び立ちました。数が数だけに、まあ、凄いのなんの。羽音だけで、ザァーッと豪雨のような音がするのですね。

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空を埋め尽くさんばかりの大集団、映画の一幕を思わせる壮観に、口あんぐりで見とれてしまいました。鴨たちには申しわけないですが、この一瞬に立ち会えたことは幸運でしたし、またこれだけの鳥たちを養うに足る、大利根の豊かさも実感できたことではありました。

293014.jpg目線を川面に戻してみると、おや! 鴨猟のサッパがすぐそこにいて、しかも閘室に入ろうとしているじゃありませんか! 下流側へ通閘するんだ!

ということは当然、ゲートの運転が目の当たりにできるわけで‥‥このときこの場に居合わせたさらなる幸運に、目尻を下げつつも興奮で浮足立ちました。



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閘室に入ったサッパが、セルフ操作の把手を引いたようで、信号が赤に変わり、回転灯が回って警報音が鳴りだし、扉体が下がり始めました!

たまたま通閘に居合わせたことは、過去何度かありましたが、希少なことには変わりありません。強い風になぶられながら動画を撮ったりして、大いに楽しんだのでありました。

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…4』につづく)

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タグ : 利根川河口堰閘門閘門利根川

利根川河口堰閘門を訪ねて…2

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…1』のつづき)

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ススキの茂みと柵の間をカニのように横這いして、閘門の上流側が何とか望める場所に陣取りました。何分逆光とて黒くつぶれてしまいましたが、コンクリートの構造物が発散するこの質量感、間近でなくては味わえないもので、来てよかったとしみじみ。

293007.jpg少しディテールを拾ってみようと、左側の堰柱基部をズームでたぐって。半円形のバルコニーに惹かれますよね。一度立ってみたくなります。

三色信号の灯器、回転灯、スピーカーと通航船艇に向けた設備も見られ、現役閘門の鼓動が伝わってきます。扉はアルミ製ですが、もとは庇のように鉄製で、後に更新されたのでしょう。


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これは後扉室のものですが、堰柱に振られた番号、下流側は板状の素材を抜いて作ったものなのに、上流側は黒地に黄色のペイントなのですね。これは他の堰柱も共通仕様でした。

なぜか、閘門の前扉室のみこのペイント番号が施されていないあたり、仲間外れのようで少々哀れな気もしますね。なぜでしょう?

293009.jpg同じ場所から上流側を望んだところ。広大な川面に、堰柱同様番号を大書きした、水位観測施設が点々と並ぶ川景色、もうカッコいいのなんの。ホシハジロでしょうか、都内の川ではまずお目にかかれない、おびただしい数の鴨が浮かんでいるのも圧倒されます。

おまけに左手奥、萩原閘門まではるかに望め、飽きさせることがありません。下利根は本当に楽しいところですね!

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もう一つ目を奪われたのが、対岸近くに錨泊していたこの台船。グラブ式浚渫船なのか、クレーン船なのか判じかねていたら、国土交通省 霞ヶ浦河川事務所のツイートで、ゲート工事のための足場を組むのに出動したクレーン船と判明。

この幅で、閘門を通ってきたのかしら? それとも水門をいったん開放して通したのか、もしや解体して陸送してきたのか‥‥。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…3』につづく)

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タグ : 利根川河口堰閘門閘門利根川

利根川河口堰閘門を訪ねて…1

293001.jpg2月12日、1月に続いてあんば様に詣でてきました。お願いしていた一件が成就し、そのお礼参りというわけです。

朝一番でお参りした境内は、掃き清められた参道にまだ茅の輪があって、清々しい雰囲気。この後昇殿参拝に申し込み、各地から訪れた崇敬者とともに、神前に額づいて御礼申し上げてきました。


293002.jpg参拝の後はドライブがてら、未訪物件を二つ見て回ることにしました。まず訪ねたのは、利根川河口堰閘門。

常陸利根川と利根川の合流点近くにあり、背割堤上および、常陸川大橋~利根川大橋の道路も2車線かつかつで、しかも交通量も多いときては停めるところがなく、15年前(過去ログ『常陸川閘門…1』参照)は通過しながら写真を撮っただけで、長い間再訪する機会がなかったのでした。

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今回、Googleマップで停める場所を検討。背割堤上の下流側、管理道路が伸びていますが、十字路からすぐのところで閉鎖されているわけです。ここにチェーンが渡されていたとしても、クルマ2~3台分なら停められそうと踏み、入れなければスルーすればいいやと、北東側から進入。

結果は、釣り人さんのクルマが1台あったものの、余裕で停めることができ、胸をなでおろしました。風は強いですが幸い好天、閘門見物にうろついてみるとしましょう!

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高水敷に降りて、まずは側面から前後扉室の両ゲートを一枚。冬枯れのススキ原越しに15年ぶりの再会です。

右側、前扉室は下利根流域に点在する閘門・水門たちと共通の、直線的なあっさり目のデザイン。左の後扉室は、河口堰ゲートと揃えたとおぼしき、堰柱上に大きな巻上機室が載ったかたちで、ずいぶん印象が異なります。

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上流側、前扉室から攻めてみることに。利根川河口堰は、閘門を含めた堰柱すべてに番号が振られていて、前扉室手前の堰柱がそのアンカー、13番というわけ。

扉体の汚れや信号の灯器、スピーカーなどのディテールに、現役閘門の息吹を感じて吸い寄せられる思い。近づいて堪能とまいりましょう。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…2』につづく)

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前川二閘門の変化…5

(『前川二閘門の変化…4』のつづき)

292021.jpg前扉室ゲート越しに西、潮来市街方に伸びる前川の川面を眺めて。青空を映す静かな水面には、鴨たちが点々と浮かび、実にのどかな雰囲気。

いつか前川十二橋のコースで船頭組合に事前に交渉して、大洲閘門をくぐってみたいものと夢見てきましたが、どうも遅きに失したようですね。残念ですが、古豪極小閘門が稼働状態にあった川景色を、この目で眺められただけでもよしとしなければなりますまい。

292022.jpg
橋上南寄りから閘室、操作室を見下ろして。水位差が少ないこともあり、こうして見たかぎりでは、現役時とそう変わらない雰囲気。ここがセルフ操作に更新されず、旧来の有人運転式のまま残されたわけは、どのあたりにあったのでしょう。もちろん通航頻度の低さが、理由の一つとは思いますが。

292023.jpg
後扉室の向こうに伸びる河道に目をやると、南岸が新たに土盛りされ、低いながら堤防として強化されているように見えました。以前からこうだったかな? いずれにせよ、二つの閘門を含め、前川に大きな変化が訪れていることは感じられたものです。

292024.jpg
前扉室の前の護岸に、片足立ちでひょろ長く伸びて、魚を探す風情の鷺さんを一枚。いつもながら飄々とした表情で、周りの雰囲気まで可笑しみに包まれたような気分にさせてくれます。

292025.jpg水郷を離れて、自宅へ帰る前にまず自艇に立ち寄り、カディのハッチ裏側、ラッチに下げる形であんば様のお札を奉安。手を合わせて、今年の水路行の安全をお願いしました。

これが正しいやり方なのかわかりませんが、十数年来この方法で奉って、大きな事故もないため、まずご機嫌を損ねるようなことはないものと思われます。

何より今年は、早々1日からお札の霊験を痛感させられたこともあり、やはり利根川高瀬舟の船頭や船主が崇敬したお社、あんば様のご加護あっての我が川ップネだと、敬意を新たにしたものでした。

(令和5年1月2日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 前川大洲閘門閘門水郷水辺の鳥たち

前川二閘門の変化…4

(『前川二閘門の変化…3』のつづき)

292016.jpg
大洲閘門に到着、水際に降りて、閘室を見通せるところからのぞき込んでみると‥‥ああ、やっぱり。前後の扉室が開放されていました‥‥。

前川の水位低下化区間が周囲の河川と水面を一にし、東西を守っていた二閘門とも開放状態とあっては、お役御免だと感じても、あながち外れた妄想ではないでしょう。

292017.jpg閘室上を渡る橋の上から、後扉室のゲート周りを眺めていたら、扉体の上にくつろぐ鳩さんの姿が。巻上機にかぶせられた、ステンレスのケーシング内に営巣しているのですね。

平成20年、初めて訪ねたとき(過去ログ『大洲閘門…1』ほか参照)から、鳩がいついているのを見ていましたから、ここはよほど環境がよいのでしょう。


292018.jpg
橋を渡って南岸に出、西側の前扉室を眺めてやろうと水際へ。そこそこ幅のある舗装道路が閘室を覆い、さして高さのないコンクリート生地のゲートが二つ、うっそり頭を出している風景‥‥。

ゲート設備だけ見るとうらぶれた雰囲気ながら、暗い感じがしないのは、水郷らしく周りが開けているのと、冬の穏やかな好天で陽光が降り注いでいるせいでしょうか。

292019.jpg
さて、水際に降りてみると、ひとつ衝撃が。

この水門より先は
通行許可のない船は
入れません

※農業用水路のため 
潮来市 土地改良区 
潮来市


292020.jpg米島閘門にはなかったので、ようやく、といった感じもしましたが、ここで初めて、一般船艇の自由通航が禁じられた区間であることがわかったわけです。

一時的なものなのか、このまま河川の改修とともに、両閘門とも撤去の方向に進むのか‥‥。もともと通航量が僅少な区間でしたから、水郷からまた一つ、極小閘門のある風景が失われるであろう、そんな気がしてなりません。
撮影地点のMapion地図

(令和5年1月2日撮影)

(『前川二閘門の変化…5』につづく)

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タグ : 前川大洲閘門閘門水郷