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東横堀川散策…5

(『東横堀川散策…4』のつづき)

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高速出口に近いビットには、屋形船が一艘もやわれていました。直線でまとめられた、窓の大きな甲板室、垂直面が茶、水平面が赤系の塗装もメリハリがあってよろしく、モダン屋形船といった感じ。

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ありゃ、スワンボートも! お願いすれば乗れたのかしら。おっさん一人で乗るのも不審な気がして眺めるだけに留めましたが、池や湖でない都市河川で、こういった種類の遊船を目にするのは珍しく、色めきだってしまいました。

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しばらく眺めていたら、トリマランのフローティングサイクルというべき艇で、桟橋用ポンツンを組んだラフトに、オーニングと座椅子を東屋のようにあつらえたものを曳航して、流路の真ん中へ曳き出す作業をしているのが目に入りました。ラフト東屋の上で、一杯やったり食事したりできるのかしら。

う~ん、これは閘門が閉鎖されていて、通航が絶えている期間ならではのサービスなのかな? さておき、ここに至って、にぶい私もようやく気付かされました。ここはただの船着場ではなく、川遊びの拠点みたいなところなのかもしれません。

305081.jpgテラスにあった案内図によると、正式名称は「本町橋船着場(暫定)」のようですが、船着場を含めたこの一帯、大阪市が肝煎で勧めた「水辺のにぎわい創出」ほかを主眼に設けられたスペースで、一昨年8月に完成したそう。

(参考:『【本町橋】2021年8月に開業したβ本町橋(ベータ本町橋)』、『β HOMMACHIBASHI』)‥‥なるほど。街中にあるアクセスのよい舟遊びの拠点として、高架下水路をアクティブに活かしているといった意味では、注目に値しますね。

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大正2年竣工の本町橋にたどりついた時点で、お昼も近づき時間切れとなりました。会合はすぐ横のホテルで行われるので、時間いっぱいまであれこれ眺めて回れたのは何よりでありました。

ご存じのとおり大阪最古の現役道路橋ですが、天地の詰まった鋼アーチに、重厚な装飾を施された橋脚と、東京にはない風貌を持った外観にほれぼれ。
閘門閉鎖で通航船がなかったのは残念だったものの、お散歩ならではの河畔のディテールを堪能することができて、楽しいひとときでした。
撮影地点のMapion地図

(令和5年9月30日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 東横堀川高架下水路

東横堀川散策…4

(『東横堀川散策…3』のつづき)

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大手橋の上から、川面と高架の織りなす風景を眺めて。この視点から見ると、東京でいうと日本橋川より、竪川に似ているなあと思える角度。低地を掘り割った直線水路ということもあるでしょう。

高架の高さが竪川にくらべ、低いまま一定していながら、橋脚の塗色がクリーム系のせいでしょうか、どこかほんわかとのどかな雰囲気も感じられます。似ているようで、やはり東京と一味違った、大阪の高架下水路なのだなあと改めて思った次第(当たり前ですが)。

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両岸ともしばらく河畔に接した道がないので、東岸の一通を選び、町工場が点在する街並みを眺めながらしばらく歩いていたら、高速1号環状線、本町出口のある手前あたりで、ふたたびテラスが出現。

今度はずいぶんと広く造りも本格的で、まだ竣工して間もない新しい感じがします。公共施設やホテルが集中している地域なので、再開発の一環として造成されたように思える雰囲気でした。柵や護岸の構造から、船着場も兼ねているようです(次回言及します)。観光船らしいフネブネが、何隻ももやわれているのが目に入りました。

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対岸にはオープンの観光艇2隻が、低くかぶさる高速道路のランプを、格好の舟屋(?)にしてもやっている姿も。ここは船社の拠点的な船着場なのですね。

いや、たくさんのフネブネを目にしてしまうと、閘門が修理中で閉鎖されているのが、いかにも惜しいと思えてきたものです。閘門が通航できていれば、ここで出船入船を眺めて楽しんだり、あわよくば短区間の乗船もできたのかも。自らのタイミングの悪さを呪いたくなりました。

305076.jpgテラスにはこんな看板も。第二寝屋川の近くにある下水処理場から、処理水を延長3㎞の管を敷設して導水し、大阪城外濠とともに、東横堀川の河水浄化に役立てているのだそう。

しかし、「超高度処理水」とは‥‥。下の図で説明されている濾過法、詳しくないのでよくわかりませんが、こう書かれるときっと凄い新技術に違いないと思えてしまいます。はい。

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北側を見て。このテラスとなった場所も、かつては奥に見えるような、河畔に接した土地に軒を接して建物が密集していたのでしょう。

ビルの谷間に切り開かれたような、陽の降り注ぐちょっと独特の空間。高架下水路の造形をゆっくり愛でるのにも、最適の場所といえるかもしれません。
撮影地点のMapion地図

(令和5年9月30日撮影)

(『東横堀川散策…5』につづく)

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タグ : 東横堀川高架下水路

東横堀川散策…3

(『東横堀川散策…2』のつづき)

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テラスの南側には、大手橋が見えました。こちらも平野橋同様3径間で、大正15年竣工。ご覧のとおり、日本橋川に架かる錦橋を思い起こさせるデザインのコンクリートアーチ。いやもう、高架下に加えてこうも雰囲気が近いと、大阪に来た実感が薄くなりそうです。

橋にもっと近づいて愛でたかったのですが、テラスの南端は柵で塞がれていて、道に戻らざるを得ませんでした。路上から鑑賞してみるとしましょうか。

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少し歩いて、西詰から見てみると‥‥おお、親柱に備えられた橋灯、素敵ですね! 青銅色の灯器、柱状部とも八角形で揃えた二基並列。基部にあしらった三角形は、何か意味があるのかな?

これが両橋詰の親柱だけでなく、橋脚ごとに設けられ、合計八基が並んでいるあたり、ずいぶん贅沢な感じがしますね。

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ちょっと気になったのがこの階段。橋台と駐車場の地所には挟まれて、人が一人ようやく通れるような狭い階段が、切通しのように河畔へ下っているのでした。

チェーンが渡されていたこともあり、立入禁止と解して降りてみはしませんでしたが、吸い込まれそうなオーラを発していて誘惑を振り切るのに苦労しました。

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橋詰の向かいには、素敵な近代建築が。外壁はきれいで、植栽も剪定されており、現役の建物というより記念物的な雰囲気がします。近づいて拝見してみましょう。

305072.jpg左手の玄関らしい戸口にプレートが見えたので読んでみると、「泉吉株式會社」「岸本事務所」「財團法人 報國積善会」、右の縦書き2枚はそれぞれ「泉吉エステート有限会社」「岸本開発株式会社」とありました。

そして左下のプレートには「登録有形文化財」と。やはり! 「登録有形文化財 岸本瓦町邸(報國積善會)」によると、鉄鋼商岸本商店の経営者、岸本吉左衛門の元邸宅で、昭和6年の竣工だそう。大手橋との相性も良い風格ある建築物、よい目の保養になりました。
撮影地点のMapion地図

(令和5年9月30日撮影)

(『東横堀川散策…4』につづく)

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タグ : 東横堀川高架下水路

東横堀川散策…2

(『東横堀川散策…1』のつづき)

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平野橋から北、東横堀川閘門の閘室を望んで。台船に備えられたクレーンが動いていて、盛んに作業をしているさまを拝見。台船の左、戸袋に収まったマイタゲートの扉体が見えますね。

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クレーンが玉掛けしているものをよくよく見てみると‥‥板囲いして止水した中で吊り上げられようとしているのは、マイタゲートの扉体でしょうか?

検索してみると、「【重要】東横堀川水門の「航路閉鎖に関するお知らせ」について(令和5年8月21日 更新)」(大阪市)が見つかりました。「施設点検の結果から『南側ゲートの取替工事』を行うため、令和5年5月8日(月曜日)から航路閉鎖いたしますのでお知らせします。」とあり、来年2月29日までの期間、通航ができないとのこと。

マイタゲートの交換工事をそのものが珍しくもあるので、しぼんだ気分も少し持ち直したものの、ローラーゲートにくらべて大がかりとなる工事を目の当たりにし、この種のゲートの維持が大変な仕事であることが感じられたものでした。

305065.jpg観光船で賑わう川面が眺められなかったのは残念でしたが、静かな街場の川もまた佳きもの。高架下水路であることも手伝って、日本橋川にいるような気分になり、大阪である実感が薄くすらなります。

平野橋西詰の南側に設けられた、河畔のテラスに降りてみました。河道を埋め立てて造られたここは、周囲より一段低くなっています。橋を眺めるにはよさそうだな‥‥。

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‥‥と思ったものの、高架橋脚やテラスへの階段があって、こちらから全貌を眺めるのは難しいことがわかりました。こちらは階段の途中から何とか写したもの。どこか華奢な感じのする構造、高欄の装飾と、昭和戦前らしさを感じさせるディテールがいいですね。

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テラスからの視点だとご覧のとおり。もそっと高架の高さがあれば、だいぶ違うんですがねえ‥‥。

平野橋は昭和10年竣工、河中に二つの橋脚を持つ3径間なのですが、左手はテラスの築造によって植栽の陰になり、全容が一望できない状態。東京にも同様の例があるとはいえ、難しいところではあります。
撮影地点のMapion地図

(令和5年9月30日撮影)

(『東横堀川散策…3』につづく)

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タグ : 東横堀川東横堀川閘門閘門高架下水路

東横堀川散策…1

(『淀川畔を歩いて…2』のつづき)

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会合の時刻も迫る中、最後は東横堀川をお散歩してみようと思い、高麗橋の東詰から500mほど歩くことにしました。

東横堀川といえば、河上ほぼ全区間を阪神高速1号線が走る、大阪を代表する高架下水路。古い橋も多く架かり、日本橋川と似た雰囲気なのが親しみが持てて、惹かれるものがあるのです。

305059.jpg東詰北側の橋詰広場には、ご覧のような石碑と石柱があり、高麗橋の歴史が記されていました。

石碑によると、創架は伝慶長9(1604)年。江戸時代の高麗橋は公儀橋で、西詰に制札場も設けられており、さらに明治に入ると里程原標も置かれたそうで、東京の日本橋クラスといってよい重要な橋だったのでしょう。明治3年鉄橋に改架、現在のRC橋は昭和4年竣工。鉄橋時代の錦絵は「淀川の川蒸気を眺めて」で紹介しましたよね!

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さて、高麗橋からお散歩を始めたのは、わけがあります。大阪ならではの街場の閘門、東横堀川閘門を、橋上から眺めてみたかったから。14年前観光船で通った(『東横堀川閘門…1』ほか参照)ここ、今でも変わっていないかな‥‥。

‥‥工事で休止中でした。
あわよくば、閘門の扉体としては珍しいサブマージブル・ラジアルゲートが開閉するシーンを見れるかも、と期待していたのですが。調べておかなかった自分が悪いので、これは仕方がありません。変わらぬいかつい姿を目にして、久闊を辞するにとどめました。

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左手、ゴツいロッドやシリンダーがあるあたり、柵上に浪花のサギさんがむくむくしていました。こちらも東京の川同様、餌となる魚は少なくないようですね。

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閘門をもう少し、違う角度から眺められるかな‥‥と河畔をうろついてみたものの、建物が密集していて視点が得られず、結局次の平野橋から眺めることに。

高架橋脚に貼り出された、注意書きを一枚。タイトルには「東横堀川閘門」、問い合わせ先は「東横堀川水門」、通航は3日前までFAX(!)要連絡‥‥14年前とまったく変わっていません。東京のそれと大きな違い、通航に手続きが必要というあたり、う~んと唸ってしまうのですが、地元の方はどうお考えなのでしょう。
撮影地点のMapion地図

(令和5年9月30日撮影)

(『東横堀川散策…2』につづく)

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タグ : 東横堀川東横堀川閘門閘門高架下水路水辺の鳥たち