大船津の通運丸


例によって、水運時代のイメージ探しの続きですが、久しぶりに川蒸気の写った絵葉書を入手できたので、ご覧に入れます。キャプションは「利根の沿岸 鹿島鳥居河岸の景」とあり、他の絵葉書同様、撮影年などの記載はありませんでした。

「鹿島鳥居河岸」とは、鹿島神宮の浜鳥居がある鰐川畔、大船津のことですね。以前訪ねて、過去ログの「大船津水門めぐり…1」で紹介したことがあります。香取、鹿島、息栖の三社をめぐる航路は、江戸川~利根川を通しで航行する長距離航路が廃れた後も、結構にぎわったとのこと(過去ログ『水郷案内のパノラマ地図』参照)ですから、あるいはこの写真も、大正も後半か、もしくは昭和に入ってからのものかもしれません。

桟橋にもやう和船たち越しに、達着せんとする川蒸気と、桟橋で船の到着を待つ人々を眺めた構図はなかなか風情があり、桟橋の取り去られた杭の列や、薄く棚引いた川蒸気の煙もよく効いていて、往時の水郷情緒が満喫できる一枚といっていいでしょう。

いにしえの水郷風景も、もちろん好きなのですが、やはり気になるのは川蒸気のディテールです。何分サイズも小さいこととて、得られる情報にも限度はありましょうが、そこはそれ、拡大して検分したくなるもの。

煙突に巻かれた白線は1本、これだけでも通運丸はほぼ決定なのでしょうが、念のため、外輪カバーに書かれた文字をよく見ると…一番右の字は「通」に見えます。まず、通運丸の一隻と見て間違いありますまい。

ほか、写真から読み取れるディテールで、いくつか気になるところを挙げておくと…。

光の具合か、屋根のキャンバーが妙に深く見えますね。屋根に乗っている丸太のようなものは、竿にしては太いので、倒したマストでしょうか。また、外輪カバー側面に、少し離したような形で取り付けられた、二本の棒のようなものは何でしょう? 下に行くほど開いた取り付け方から見て、カバー側面を接舷時に保護する、ガードフレ-ムのようにも思えます。

あまり妄想をたくましくし過ぎて、間違ったことを書いてもいけませんから、ここまでとしておきましょう。詳しいところをご存じの方がおられたら、ぜひご教示いただきたいものです。

杭や桟橋が水面に影を落とす静かな河畔に、パドルホイールが水をかくザンザンという響きと、船を待つ人々の会話がかすかに聞こえてきそうな水郷風景! 「大水運時代」の面影を色濃く残したこの時代の川景色の素晴らしさ、やはり陶然とさせるものがあります。

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タグ : 通運丸 川蒸気船 鰐川 水郷 大船津 絵葉書・古写真