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霞ポート水門と管理橋…5

(『霞ポート水門と管理橋…4』のつづき)

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橋台に降りて、支柱の根元を観察してみると、桁側面に凹形の金具がボルト付けされており、支柱のレールにはまる格好になっていました。

凹形金具には、特にローラーなどは備えられていないようでしたから、橋が上下する際、軽く左右方向の振れ止めをしている程度で、あまり大きな力はかからないのでしょう。

92047.jpg降りたところの桁側面にはちょうど、銘板が掲げられていました。79年2月竣工、三井造船の建造とのこと。銘板の左、橋台との間にスリットが空いているのもよくわかりますね。

しかし、可動機構部分についての記載はなし。水門同様、どこか他のところにもう一枚、可動機構を施工したメーカーの銘板があったのかもしれません。


92048.jpg面白く思ったのは、4本の支柱すべてに凹形金物がかかっていたわけではなく、単なる平板のスライダーシューとされているものもあったこと。

写真は東側の信号付き支柱ですが、水門側は凹形金物で、反対に西側の水門側は平板でした。つまり、同じ型の金物が、点対称に配置されていたことになるわけです。このことからも、振れ止め以上の役割ではないことが実感できました。

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以上のことから、この管理橋は、水平にせり上がっていくタイプの可動橋であり、信号は桁の上昇時に、通行車輌や人を止めるものであることがわかったわけです。

せり上がるといっても、水門の扉体があるため、その下端と同レベルまで上がれば用をなせるのですから、実にささやかなもの。上下する高さは、2m強といったところでしょうか。

92050.jpg素人考えでは、橋の方をもっと高い位置に架ければ済むように思えるのですが…。可動橋を選択した理由は、どのあたりにあったのでしょう。取り付け道路の長さや勾配、予算などの関係から、橋を動かした方がベターであると判断されたのでしょうか。

また何より、橋がせり上がらなければならないだけの、高さを持った船がこの船溜に出入りしてこその可動橋ですから、どんな船の存在が、この橋を可動橋たらしめたのかも気になります。まあ、このあたりは意外と、「水の交流館」に展示されていたりするのかもしれませんが…。

しかし、面白いですね! お役所のものとはいえ、いち船溜の入口に架かる小橋梁が、結構なメカニズムを備えた可動橋だったなんて! こんな思いもよらない出会いや発見があるので、水郷地域の探訪はやめられないのです。


(24年5月4日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 霞ポート水門管理橋霞ポート水門

霞ポート水門と管理橋…4

(『霞ポート水門と管理橋…3』のつづき)

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さて、先ほどから気になって仕方がなかった、管理橋のかたわらに立つ信号です。

ご覧のとおり、大ぶりな2灯式の信号が両橋詰に1基づつ、えらく頑丈そうな支柱に乗って東西をにらんでいます。水門側にも一対、信号のない支柱が見えるのも気になりますね。

92042.jpg橋の名前は「霞ポート水門管理橋」と、まさにそのまんま。ありゃ、橋と橋台の継ぎ目、ゴムジョイントなんかがあるわけでなく、スリットが空いたままだ…。

こんな小さな橋に、分不相応ともいえる信号がなぜ設けられているのか、皆目見当がつかず、初めて見たときは、キツネにつままれた感じすらしました。



92043.jpgだいたい、なにゆえに道路の交通を止める必要があるのか…。水門の開閉に、クレーン車とか道路側からの操作が必要で、橋の上が占拠されるから? それとも、扉体が実は特殊構造で、一朝有事の際には(意味不明)津島屋閘門のように道路側へ倒れてくるとか? …などと、不条理な妄想をあれこれ広げてみたものの、どれも正解とは思えません。

ゴツイ支柱に近寄って、まじまじ観察してみると……。支柱の内側に、摺動部らしい光った部分があるのに気づかされました。あれ? 水門側の、信号なしの支柱にも、同じレール状の摺動部が…。あっ、そうか! これはもしかして!?



92044.jpg急いで法面に下りて、桁下にある例の「緩衝装置」をもう一度検分。

左からボックスに至る2本の銀色の管には、バルブがそれぞれ備えられ、ボックスの下から左右の脚に伸びている各3本には、やはり途中にコックが見える…。これ、緩衝装置などではなく、油圧か何かで脚を伸縮させるからくりじゃないか? 

桁下にある脚のヒンジ近くから、その両脇の壁に各1個取り付けられた筒状の機械に向かって、細いワイヤーが伸びているのが見えるけれど、これは上下に動いた距離を計測する機械かも…。う~ん、だとしたら、今まで見たディテールから考えても、そうに違いない!

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霞ポート水門管理橋は、可動橋だったんだ!


(24年5月4日撮影)

(『霞ポート水門と管理橋…5』につづく)

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タグ : 霞ポート水門霞ポート水門管理橋

霞ポート水門と管理橋…2

(『霞ポート水門と管理橋…1』のつづき)

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92032.jpg扉体裏側の全体像を…撮ったつもりだったのですが、ううむ、左右が切れてしまった。両端の縦に走っているガーダーの天地、三角に避けたような造りになっていますが、何か意味があるのかしら。

扉体右側に記されていた、塗装年月日(右写真)を見ると、平成12年3月。10年以上経っている割には、状態がいいですね。扉体574平米、管理橋385平米と書かれた表面積が印象的。574平米といえば、おおむね174坪…立派な一戸建て住宅の床面積くらいはありますね。

92033.jpg堰柱の管理橋側に掲げられていた銘板。昭和54年3月竣工とのこと。

黒御影石というのでしょうか、なかなか立派な銘板ですが、周囲の塗りこめ直した跡というか、ひび割れがちょっと気になります。


92034.jpgそして、下流側堰柱の側面にあった銘板2枚。こちらも塗りこめ直した跡が…。

左がゲート本体のもので、幅10m、高さ15.3m、長さ(水路方向の奥行きでしょう)15mの寸法があり、施工は株木建設株式会社。右が扉体のもので、純径間×扉高10m×6.7m、開閉速度0.3m/秒、扉体重量29.89t、三井造船株式会社の建造とありました。

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管理橋の取り付け道路をなかば降りた、西側からの眺め。船溜の東側には田んぼが広がり、岸に打ち寄せる波の音のほかは、虫の声ばかり。静かで、しかも広大な湖面が一望できる、実によいところでした。

ただ、沿岸が釣り人さんで賑わっているせいか、堤防道は結構な交通量があり、水門に気を取られてボーッとしていたら、背後にクルマが迫っていたことも何度かありました。

道の右側に立っている、変わった信号みたいなもの、すごく気になりますよね! これは後ほど検分するとしましょう。

(24年5月4日撮影)

(『霞ポート水門と管理橋…3』につづく)

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タグ : 霞ポート水門

霞ポート水門と管理橋…1

(『「保立食堂」で通運丸に出会う!』のつづき)

92026.jpg土浦訪問のシメは、桜川河口にある霞ポート水門にしました。過去ログ「空から水路をゆく!…4」でも紹介しましたが、このあたりにいくつか見られる「水門付き船溜」に惹かれるものがあり、近くに来たら一度訪ねてみたいと思っていたのです。

堤防道をたどってゆくと、分厚い雲の間からところどころ陽が射し、どこか神秘的な雰囲気の空をバックに、たたずむ水門が見えてきました(タイトル参照)。「西浦右岸 48.5km」の里程標を見て、ああ、ここもお役所的には川の一部だったっけ、と再認識。

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水門の左右だけ高水敷があったので、足がかりのない法面をへっぴり腰で滑り下り、まずは水門の正面を堪能。

側面の面積にくらべて窓が小さいせいでしょうか、肉厚に見える巻上機室に、構造側を表に向けたブルーの扉体が目立ち、シンプルな中にいかつさが感じられます。

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水路の脇まで寄って見上げてみると、扉体の下に朱塗りの管理橋が顔をのぞかせていました。扉体は天地寸法の少なさから、二段式のようですね。全開時の桁下高を稼いで、高さのある船が出入できるようにするためでしょう。

ん? 管理橋があるのだから、高さは橋の桁下高に規制されるのか…。と思って管理橋に目をやると、妙な部分があることに気づかされました。

92029.jpg橋台に凹みが造ってあって、何やらつっかい棒のようなものが見えたのです。橋を支えているようですが、それにしては華奢すぎるような。棒の上端、桁とのヒンジのあたりは、伸縮する造りになっているようですね。何かの緩衝装置かしら。

何やら配管やボックスも見えるし、興味を覚えたのですが、こちらの解明はさておいて、ひとまず水門のディテールへ目を向けることに。


92030.jpg扉体はやはり、二段ローラーゲートでした。錆だれもなくよい状態だったものの、扉体下端のガーダーには、ごっそり土が乗っていました。閉じたときに堆積土を拾ったのでしょう、まるで園芸用の土のように黒く肥えており、雑草も生え放題ですね。

水郷の本を読んでいると、浅くなったエンマの底土をさらって田んぼに盛る話が出てきますが、この扉体に乗った土の肥え具合を見て、なるほどとうなずかされたものです。
撮影地点のMapion地図

(24年5月4日撮影)

(『霞ポート水門と管理橋…2』につづく)

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タグ : 霞ポート水門霞ヶ浦