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2月18日の水路風景…2

(『2月18日の水路風景…1』のつづき)

294016.jpg新芝運河、藻塩橋の橋塔。遠くから見ている分には、あ、ちょっと変わった形だな、としか感じなかったのが、間近で見上げてみると、まあ念入りにトリさん避けのトゲが植えてあり、印象が一変しました。

トゲトゲの剣呑さもさることながら、その形から江戸時代の捕り物で出てくる刺股を連想させ、橋自体のイメージも、何やらアグレッシブに思えてくるほどでした。

294017.jpg高浜西運河、改架された高浜橋をくぐって。橋は竣工しているのですが、左右に設けられた仮橋はまだ撤去されておらず、こうしてくぐると錆色の鋼材で視界がいっぱいになり、架橋工事特有の景観が堪能できます。

桁下高が低いせいか、圧迫感とともに鉄の物量が強調されて、なぜか「鉄は産業のコメ」なるフレーズが脳裏に浮かんできたのでした。


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永代橋下流に到達した際、ちょうど上流から「松本型」水上バスが下航してきたので、スロットルを戻して艇を流れに立て、橋をくぐり切ったところで一枚。

「ホタルナ」でしたか。光線の角度もよろしく、まことにいいお顔。松本零士先生が逝去されても、「松本型」船隊は大川筋の顔として、末永く活躍してほしいものです。

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汐見運河を東航して京葉線の高架が見えるところまで来ると、警戒船が旗を振っているのに出くわしました。その向こうには、左手に送泥管を従えたポンプ浚渫船、右手には土運船とユンボ搭載浚渫船が見られ、結構な規模の川ざらえのようです。

警戒船の乗り組みさんに「通っていいですか?」と尋ねると「どうぞ。気をつけてお通りください!」と、丁寧に応対していただき、恐縮しつつ最微速通航。浚渫作業は止まっていましたが、作業艇が盛んに動き回って、何か調査をしているようでした。

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護岸にもやっていた揚錨船「あさぎり」。山吹色のジブが、濃緑色の船体とよいコントラストをなして、チャームポイントといってよい好ましい配色。

両舷に抱えた形の後付け部分、何んとなく「バルジ」と呼んでいますが、現場なりの正式名称はあるのでしょうか。世代的に船舶各部の呼称は、軍艦から知識を得たのでどうしてもそっち方面に偏ってしまいますが、検索したら出てくるかな。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月18日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 新芝運河高浜西運河隅田川汐見運河水上バス

12月28日のフネブネ…2

(『12月28日のフネブネ…1』のつづき)

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何しろようやく出会えた油槽船の荷役シーンですから、角度を変えてしつこく鑑賞します。さらに近づいて、船尾に書かれた船名が見えてきました。「第五興雄丸」(船の写真館)、166総t、全長43.05m、600PS、9.36ktとのこと。

以前「月島埠頭にて…1」で紹介した、銚子屋油槽船(株)船隊の一隻であり、「興運丸」の姉妹船です。船体塗色も揃えているのですね。

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すでに2月のタイトル画像でご覧に入れているので、少し目線の違うカットを。この量感あふれる幅広で扁平な船体、いかにも独航艀といった魅力にあふれた角度ですよね。深々と沈んだ喫水に、積載してきた油の重さが思われます。

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流速のまま流されつつ堪能して、お名残り惜しいですがお別れすることに。尾竹橋近くで今なおオーラを放つ油槽群とともに、都内の河川では数少なくなった貴重な舟航風景。末永く盛業されてほしいと願わずにはおれません。

291104.jpg下って浅草へ。年末のお休みに入ったとあって、船着場は結構な込みよう。テラスを散策する人出もそこそこあり、賑やかでした。

乗船待ちの「エメラルダス」、後部デッキのハンドレールは折りたたんでいましたが、美しく整備された姿はお変わりなく。通常タイプの船と違って水平面が少ないので、清掃は大変そうだなと想像しているのですが、いかがでしょうか。

291105.jpg両国橋近くで、ふたたびコンベア清掃船と行逢。「建河清 第7号」、こちらは船首両舷に乗り組みさんがタモ網を構えて乗り、今まさに作業中でした。

ドロロロンと爆音を響かせ、噴流を白く盛り上げながら急角度でくるくると転舵していて、ちょうど浮流ゴミを発見し、舵を取った瞬間に出会ったようです。応援したくなるような、なかなか勇壮なシーンでした。


(令和4年12月28日撮影)

(『12月28日のフネブネ…3』につづく)

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タグ : 隅田川独航艀水上バス清掃船

12月28日のフネブネ…1

(『令和4年度川走り納め・運河地帯』のつづき)

291096.jpg12月28の道々で出会った、フネブネの姿を以下にまとめます。年の瀬ながら水上は平日扱いとあって、働く船たちを多く目にすることができました。

尾久橋下流で行逢した、コンベア清掃船「建河清 第3号」。作業水域におもむく途中なのか、船首に乗り組みさんの姿は見えず、コンベアも作動させておらず巡航速度での遡上。陽を浴びて颯爽とした姿でした。


291097.jpg尾竹橋をくぐった直後、右手に目線がひゅっと吸い寄せられ、喜びのあまり妙な声が出ました! 橋本産業(株)荒川油槽所(『6月7日の隅田川…5』に詳細あり)に、独航艀が着いているのを初めて目に出来たからです!

「マルは」印のタンク群を、初めて意識したのは20年くらい前でしょうか、こちらの通航頻度が少ないせいもあってなかなか出会えず、ついに! といった感じでまあ、それは高揚したものでした。

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上流側からだと逆光で黒く沈んでいたのが、下流へ移動するにつれ塗色やディテールが判別できるようになって、再微速に流速が加わった速さで流しながら、まじまじと観察。

船尾寄り舷側からの排水が、下流側へ長く白い尾を引いていて、流速が目視で感じられるあたり、いかにも河用船艇の着桟といった感じがして、実によいものですね!

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荷役の準備をしているのか、甲板中央では3人のヘルメットをかむった乗り組みさんが、忙しそうに作業中です。お仕事中の皆さんには失礼ですが、こういうシーンを目にすると、感極まってウルウルしそうになるんですよ。東京近郊でも数少ない実用舟航河川の、生きているあかしなのですから。

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もう一つ、今回のハイライトといってよいポイントがこれ。「折りたたみ式操舵室の折りたたみかけ」です!

湾内から河川へ入る独航艀は、航行河川によっては橋の桁下高が低いため、折たたみ式の操舵室を備えている例が少なくありません。しかし、折りたたんでいる途中の様子が、またラッキーなことに前妻と左側板を残した状態で眺められたのは、何よりでした。左手前に置いてあるのは、外した屋根のようですね。

ワイパーや旋回窓といった電動部分が、フリーのコードでつないである様子がわかります。しかし、下がヒンジか何かで固定されているとしても、鋼板製のこれをロックを外しながら、一枚一枚手作業で倒すのは、重量を考えると大変そう。動力化はされていないんですよね?
撮影地点のMapion地図

(令和4年12月28日撮影)

(『12月28日のフネブネ…2』につづく)

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タグ : 隅田川清掃船独航艀

令和4年度川走り納め・隅田川…5

(『令和4年度川走り納め・隅田川…4』のつづき)

291076.jpg隅田川だけでないので看板に偽りありで恐縮ですが、ご容赦ください。

両国橋まで下ってくると、高欄にちょっと不思議な横断幕が。
この先 両国橋 航路幅 減少 注意!
‥‥見たところ、この先に工事区間はなさそうだし、文言に違和感があるなあと首をかしげながら、くぐってみると‥‥。

291077.jpg
逆光でよく見えなかったのですが、橋の直下に来てようやく判明。桁下を覆う形で、足場がかかっていたのですね。なるほど、空間を圧迫しているので、航路幅は狭くなるゆえんです。

でも、横断幕の文言に感じた違和感は、いま一つぬぐい去れないものが。両国橋そのものなのに、「この先」とは? くぐった下流側だと思ってしまうのが、普通のような気がするんですけれど‥‥。

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竪川水門の前を通り過ぎようとして、ちょっと待て! と急減速、転回して近づいてのスナップ。竪川水門の前にも、大島川水門や月島川水門同様、テラスを結ぶ橋が架けられたのですね。

まだ橋脚(いや『橋台』なのか?)に鋼桁が架設されただけで、取付道路などはこれからの状態。既設の他所同様、水門の全貌が見られなくなったのは残念な半面、完成したらお散歩してみたくなる気持ちもありと、複雑ではあります。

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291080.jpg隅田川派川から春海運河へ抜けつつ、豊洲貯木場跡を一枚。全容を収めるのは久しぶりかも。青空の下水面を分ける柵列、爽快な眺めですね。

こちらに艇を向けたのは、都港湾局専用線の遺構、晴海橋梁の様子を見ておきたかったから。人道橋化工事は進捗したでしょうか?
撮影地点のMapion地図

(令和4年12月28日撮影)

(『令和4年度川走り納め・晴海橋梁』につづく)

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タグ : 隅田川春海運河竪川水門

令和4年度川走り納め・隅田川…4

(『令和4年度川走り納め・隅田川…3』のつづき)

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尾竹橋下流、町屋7丁目付近のS字屈曲を過ぎてからの川景色をいくつかスナップ。京成本線のトラスを振り返って。

テラス化著しい隅田川ですが、このあたりは基礎が造成された段階で、堤防もコンクリート生地のまま手が入っていない状態。いわば昔ながらの風景が残された区間なわけで、武骨な古豪鋼橋がよく似合うところでもあります。

291072.jpg‥‥まあ、再三同じことを騒いでおり恐縮ですが、千住大橋の鑑賞環境の残念さを再確認しつつの航過。

桁下高自体が低いのもさることながら、梁(横桁)が突き出た形で走っており、さらに流路に対してはすになっているので、独航艀など大型船艇の通航には障害となっているところ。豊海橋のように、ジャッキアップしていただけるとよいのでしょうが、規模が大きいだけに難しそうですね。

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千住汐入大橋まで下ると、「ああ、帰ってきた」という気分になるのですから、何とも不思議なもの。旧綾瀬川との合流点でもあり、自艇での通航頻度が高いからでしょう。

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291075.jpg水神大橋下流、汐入公園の前まで来ると、クレーン船を中心に、台船、曳船など数隻がひと固まりとなった工事船団が。この下流側では曳船が盛んに動き回っていたので、アンカーやスパッドを打ち錨泊する準備をしていたのでしょう。

そして賑わう年末の雰囲気を頭上や両岸に感じながら、気持ちよく吾妻橋を通過。河畔の建物のも橋も、陽光ですべてがうららかに輝いて上機嫌、足取りも軽やかに下ります。
撮影地点のMapion地図

(令和4年12月28日撮影)

(『令和4年度川走り納め・隅田川…5』につづく)

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タグ : 隅田川クレーン船