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阿賀野川頭首工を愛でる…5

(『阿賀野川頭首工を愛でる…4』のつづき)

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193092.jpg管理橋を渡り切って、北詰から眺めたところ。いつもの寄り道的な水門鑑賞と違って、時間はたっぷりあるので、河原に降りて舟通しに迫ってみようと、田圃を横切って護岸上へ。いやもう、宿が近いというのはありがたいことであります。

全貌を収めようと下流側に歩くにつれ、水音はくぐもったように遠くなり、視界は次第にゴロタ石と床固で占められて、ちりちりと照り返しがきつくなってきました。

193093.jpg護岸から河原までは高さがあって、仮に飛び降りても非力な船頭では、上がってこられるかどうか不安があります。

下流へ向かって歩きながら降りる場所を探していたら、ちょうど石が盛り上がっているところを発見。一歩一歩、ぐらつく石を確かめながら、おぼつかない足取りで河道中央へ向かって前進開始。


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不安定なゴロタ石に、足首をグキッとやりそうになりながら、どうやら河原の尽きるところまで来ました。ちょうど3径間のローラーゲートを正面にした位置で、扉体の高さが右から順に縮まってゆくのが、目の当たりにできました。まさに階段状で、ド・レ・ミと音階でもつけたくなるくらい。

一息ついてぐるりを見回し、河水の匂いがたちのぼり、足元を洗う水音が耳に心地よい爽快感を味わいながら、舟通しを眺めるのによい角度を探しにかかりました。

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とりあえず、今立っている位置からズームで。やっぱり低い目線から狙った方が、堰柱の高さが強調されて、よりカッコよく見えます。

周囲の状況から、後扉が見えるようなポジションは得難そうではあったので、せめてもっと近いところで堪能してみたいと、瀬の限界線に沿って、上流側へ歩いてみることにしました。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…6』につづく)

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タグ : 阿賀野川阿賀野川頭首工阿賀野川頭首工舟通し閘門

阿賀野川頭首工を愛でる…4

(『阿賀野川頭首工を愛でる…3』のつづき)

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193087.jpg管理橋を半ばまで進んで、南側を振り返ったところ。ずらりと並んだ堰柱を橋上から眺めるのは、いつもながら爽快感があるものです。

舟通しからこちら、3径間はローラーゲートで、正式名は洪水吐ゲート。普段は閉鎖されて水面を堰上げ、増水時はその名のとおり堰柱高さいっぱいまで開放され、河水をすみやかに流下させるわけです。

各堰柱には、それぞれの扉体の銘板が掲げられていたのですが、ホテルから遠望したかぎりではどれも同じみたいだったし、最初の銘板一枚で、以下同文とお茶を濁せる(?)かしらと思っていたら、違いました。

径間は確かに3つとも同寸法だったものの、扉高がNo.1から順に5.5m、5m、4mと、段階的に天地を縮めて造っていたのです。

どういった理由からこうなったのか、まさか、河床断面を素直になぞって図面を引いたのかしら? などと妄想しましたが、本当のところはわかりません。これも後で、改めて見てみることにしました。


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北側の2径間は、「越流型鋼製自動顛倒ゲート」、いわゆる起伏ゲートです。のぞき込んでみると、小石の堆積した水たたきから、油圧シリンダーの腕が斜めに伸びて、扉体をつっかえていました。

193089.jpgご覧のとおり堰柱のないゲートのため、銘板を掲げる場所に窮したのでしょう、ローラーゲートの一番北側の堰柱に、2径間まとめた銘板がありました。

この2径間だけメーカーが違うのはともかく、ローラーゲートと竣工がちょうど1年ずれているのは気になりました。短期間ながら、先代の扉体があったということでしょうか。角落しみたいなものをはめ込んで、しばらくしのいでいたのかな?

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ここで、橋上から下流側を見下ろしてみると、おお! 床固(根固、護床工とも)のブロックが、キラキラ光る水面に点々と頭をのぞかせて、なかなかキレイ。どこか地紋を思わせる眺めです。

形からして、メタクロス共和コンクリート株式会社)かしら。‥‥いや、この類が検索ですぐ出てくるなんて、本当にいい時代になったものですじゃ。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…5』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…3

(『阿賀野川頭首工を愛でる…2』のつづき)

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193082.jpgこの、後扉室の堰柱に至る橋の上からならば、閘室を存分に眺められそうなのですが、ご覧のとおり立入禁止の札が掲げられているとあらば、あきらめるほかありません。

上流側の堰柱には、舟通しゲートの銘板がありました。6m×6m、水深仮に1mとして、スリットのフロー分をさらに引くとしても、閘程4m以上あり、結構なものですね。最上川のそれ同様、閘室長が載っていないのは残念でした。

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橋の上からの舟通し鑑賞は、眺められるアングルが限られ、これ以上は難しいようです。岸か本流内のブロックの上からでも、後で改めて堪能するとしましょう。

しかし、閘程だけ見ると、満潮時の荒川や扇橋を上回るであろうこの舟通し! こうして横から見ても、なるほど閘室の側壁も高く、ボリューム満点で通りでがありそうですね。阿賀の里遊覧船のオプションで、舟通し通航コースとかできないかしら。

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舟通しのすぐ隣、唯一放水しているNo.3ゲートの真上とあって、地響きをともないそうな激しい水音が、足下から絶え間なく聞こえてきます。

上流側をのぞき込むと、真っ赤な扉体の下から、流れるというより「疾る」という文字が似合いそうな、白く泡を噛む激流が垣間見られました。こちらの扉体は、泥の付着もなく塗面もきれいですね。

193085.jpg上流側に出たついでに、右岸取水口の樋門を一枚。一径間多い4径間で、外観も異なり、左岸の樋門とはまた違った顔つきですね。

先ほど見た、頭首工の大きな銘板によると、右岸取水量が最大34.32立米/秒、左岸が最大15.33立米/秒とありましたから、右岸は左岸のそれの倍以上の能力があることになります。

【新発田】くらしを守る阿賀野川頭首工」(新潟県HPより)に、各取水口から分岐する用水路の地図が載っています、ご参考まで。また記事によると、頭首工は平成21~23年度に大きな改修・更新工事を行ったとのこと、竣工年にくらべて、よい状態に保たれている理由がわかりました。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…4』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…2

(『阿賀野川頭首工を愛でる…1』のつづき)

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193077.jpg最初の径間にあるゲートを見下ろしたところ。銘板によると土砂吐ゲート、扉体寸法は15m×5.5m、佐世保重工業製。

完全に閉鎖されており、表面は越流時の泥で汚れています。下流側は水たたきが透けるくらいの浅さでしたから、水位差は扉体高に近いと見てよいでしょう。とすると、舟通しの閘程もそのくらいあるのか‥‥。



193078.jpgちょっと戻ってから下流側へ、3径間ある魚道も見ておきましょう。

‥‥まあ、堰のたぐいにある魚道というものは、舟通しの航路に激流を吹きつけ、通船にとってはた目にもぞっとしない存在であることが多いのですが、この魚道もその例に漏れないようですね。個人的には、吐口に板状の構造物を立てて、閘室の方に行かないよう導流したくなります。

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気になる舟通しの直上から、下流側を見て。右側、巻上機室に至る管理橋、さみだれ大堰舟通しのそれに勝るとも劣らない、下腹スースー感が‥‥。右端、下流はるかに霞むのは、国道290号線馬下橋。左にはホテルさきはなも見えますね。

堰柱間に渡された管理橋上に、閘室を照らす夜設のライトが見られるくらいの、至ってシンプルなディテール。右の堰柱には銘板らしきものがあったのですが、遠くてうまく撮れませんでした。‥‥イヤしかし、眺めるにつけ、通航するにはいかに厳しい環境か、覚悟を突きつけてくるような視点ではあります。

排水が終わり後扉が開いたら、回転数を思い切り上げて閘室からラビットスタート、左から叩きつける魚道からの激流に負けじと、大きく取舵でカウンターを取りつつリーウェイを抑え込み、それが済んだら正面に立ちはだかる岸めがけて突進、ギリギリまで我慢してから面舵でかわし、ゴロタ石の洲と床固のブロックを避けつつ河道中央へ‥‥。

‥‥と、脳内シュミレーション、イヤ妄想するだけで怖気をふるうものが。通航された方の体験談を、ぜひ伺いたいものです、はい。

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妄想はさておき、閘室のディテールは如何とのぞき込んでみたところ、高欄の外側にあるステンレスのダクトが邪魔をして、真下が見られずこれが精一杯。閘室内は満水で、壁面の様子もわかりませんでしたが、周りのあっさり具合からして、繋船設備は特にないように思えました。

目についたのは、扉体の上端近く、左右に一つづつスリットが切られ、排水させるようになっていること。オーバーフローで扉体を痛めないためか、通航船への配慮かわかりませんが、珍しいやり方ではありますね。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…3』につづく)

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