阿賀野川頭首工を愛でる…11

(『阿賀野川頭首工を愛でる…10』のつづき)

193121.jpg頭首工の上流側に歩いてゆく間にも、陽はぐんぐん高くなり靄も次第に吹き払われて、ずいぶん明るくなってきました。可愛らしい花が咲き乱れる水際の草原越しに、光に満ちあふれた川面を一枚。

せっかくここまで来たのですから、できるだけ水面近くの目線から、朝日を浴びる頭首工を眺めてみたいものです。へっぴり腰で法面を降り、下の護岸に立って西へ目を向けると‥‥。

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おおお! 何ていうんでしょう、この凛とした、力強い中にも暑苦しさを感じさせない、引き締まった面持ち。昨日の午後には見られなかった、新しい一面に触れた気分です。

真正面から注ぐ、朝日の効果が絶大であるのはいうまでもありませんが、各堰柱に掲げられた抜き文字のナンバーが、表情をきりりと引き締めているのだと悟りました。書体がまとう雰囲気か、掲げた位置の塩梅によるものか、たかが数字などと片付けられない佳さを感じたものです。

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ああ、舟通しの凛々しさたるや。たぐって眺めるとさらに素敵。これで通航シーンが眺められたら、もっと素敵‥‥いや、無いものねだりはよしましょう。

たとえ稼働するところは拝めなくとも、腰を落ち着けてじっくりと、昼夜から朝にかけての表情の変化や、あらゆる角度から現役閘門を愛でられたのは、自艇の行動範囲でもほとんどなかった、貴重極まりない体験。これもホテルさきはなあったればこそ、ありがたやありがたや。

193124.jpg洪水吐ゲートの堰柱たちもズームで。いやもう、ナンバーフェチになりそうです。扉体のそれは都内にも見られるし、堰柱のナンバリングだって過去に目にしているのですが、ここは何かが違う。なぜだろう。

陽射しはますます強くなり、堰柱たちのディテールもよりシャープになってきました。今日も好天で、陽気がよくなりそうですね。あっ、そろそろ戻らなければ‥‥。


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お別れ前の一枚。山深い谷間が平野に開けゆくところに在って、13,000ha余をうるおす頭首工の頼もしさ、ディテールの豊かさ。そして何より、上流への通船の希望をつなぐ、舟通しの魅力と存在感!  

今回、絶好の場所に宿を得たことで、足かけ2日頭首工漬けといってよいほど、心ゆくまで楽しむことができました。雪の季節の表情も、さぞ素晴らしいことでしょう、いずれ機会があったら、ぜひ訪ねてみたいものです。

(28年5月29日撮影)

(『丘の上の高架水路!』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…10

(『阿賀野川頭首工を愛でる…9』のつづき)

193116.jpg翌朝、普段のねぼすけには珍しく、5時に目が覚めました。朝霧がからむ早朝の頭首工も拝んでおきたいものと、一枚余分にはおって河畔へ出かけてみました。

こりゃ「夜討ち朝駆け」だ‥‥いや、夜討ちはしませんでしたが、こうして気軽に飛び出せるのも、頭首工の見える宿に泊まったおかげ。昼間は初夏の陽気だったとはいえ、山間とあってさすがに早朝は肌寒いもの。冷気に身震いしながら、林の中の道を急ぎます。

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橋詰から舟通しを望む法面上に出てみると‥‥うひょ~!

稜線をすべる朝霧が、上りつつある陽光を半ば透き通らせ、風に波打つ川面も白く輝いて、神々しいばかり。河水の水気をたっぷり含んだ爽やかな冷気も嬉しく、寒さを忘れて夢中でシャッターを切りました。

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昨日と同じく法面をこわごわ降りて、護岸上から。逆光がきつすぎて舟通しのディテールはつぶれてしまいますが、この角度の方がより夜明けらしいかも。背後の山々のシルエット、乱反射でオレンジ色に染まった雲がとてもきれい。

上流からの風は思ったより強く、低い場所に立っているせいもあるのか、しぶきがやたらと顔に当たります。はて、洪水吐ゲートからの放水がしぶきになって飛んでくるのかしら、と思っていたら、違いました。

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ザン、ザンと断続的な音を立てて、扉体の天端からオーバーフローしている水が、風にあおられて飛んできていたのです。単なる吹き寄せか、それとも上流部の雨で水位が上がったのか、これも前日の穏やかな表情とは違った勇壮なシーンで、早起きしてよかったと思えたものです。

193120.jpg法面上にふたたびよじ登って、ふと下流側を望むと、遠く馬下橋が朝日を浴びて、ほんのり赤味がかった姿を見せていました。両岸の森はまだ朝霞にけぶっていますが、視界が徐々に開け、いかにも川面から一日が始まったような感じがして、よいものですね。

そうだ、頭首工を上流側から眺めてみよう! 橋同様、朝日に輝く美しい姿を拝めるかもしれません。

(28年5月29日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…11』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…9

(『阿賀野川頭首工を愛でる…8』のつづき)

193111.jpg阿賀野川頭首工を心ゆくまで堪能し、快い疲れを覚えながら宿に帰り一息ついたところで、部屋の外がにわかに騒がしくなりました。聞けば、日中に立津川漕艇場で出会った「ばんえつ物語号」の上りが、間もなく通過するとのこと。

宿泊客の皆さんと、ホテル前の道路に出て待ち構えていると、ボッボコ、ボッボコと腹に響くようなドラフト音とともに、C57がヌッ、といった感じで登場。

日中とは違い、登り勾配のおかげで迫力あるサウンドが楽しめたものの、法面の藪がえらい繁茂ぶりで、列車の姿はよく見えなかったのがちょっと残念ではありました。

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頭首工の周りをうろつきまくったせいで、いうまでもなく汗だくです。温泉で汗を流し、部屋で夕涼みがてら頭首工の姿を眺めるという、何とも優雅かつ贅沢なひととき。

夕陽が堰柱を朱に染め、霞みゆく山並みをバックに、落ちる陽に合わせて刻々と表情を変えてゆく水門と閘門を、いながらにしてほしいままにできる部屋! この宿を選んで本当によかった‥‥。

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193114.jpg陽がすっかり落ちて、宵闇に沈みゆく頭首工の表情。橋上の街灯が点々と灯り始め、川面の白波や扉体などのディテールが、漆黒に溶けてゆくさまを、飽きず眺めていました。

右は手持ちで撮ったのでブレてしまいましたが、街灯だけでなく、巻上機室の一部は、室内の照明をつけてあるのですね。扉体の天端が反射して、赤い塗色がぼうっと浮かび上がって見えます。

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夜半に目が覚めて、やはり頭首工の様子が気になってしまい、そっと布団を抜け出して窓辺へ。今度はブレないように、カメラを窓枠に置いて撮ってみました。

宵の口と違って、ホテルの部屋から漏れる光もなく、黒々と広がる闇の中、頭首工だけが息づいているかのような、真夜中の表情。夜の冷気に霧がかかっているのか、明かりがたんぽぽの綿毛のようにほわっと霞んで、実に幻想的でした。

(28年5月28・29日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…10』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…8

(『阿賀野川頭首工を愛でる…7』のつづき)

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「阿賀用水左岸取付橋」の真下、左岸取水口の樋門の堰柱に掲げられていた「阿賀野川頭首工のあらまし」。これで全体の概略はもとより、不明だった各部の寸法も載っていて、フンフンと興味深く拝見。

舟通しの延長33mは、図面上の寸法から見て、閘室有効長と考えていいのかな? いやそれより、目を剥いたのは赤矢印をつけた部分! 舟通し上流側に、1本だけではあるものの、背割堤が長く伸びている! 
もしこれが現実にあったら、通航船の進入は格段にやりやすくなります。ではなぜ、本来ないものが描いてあるのか‥‥。計画だけで、最初からなかったのか、それとも撤去されたのでしょうか?

193107.jpgそこで気になったのが、管理棟前の水面にぽつりと顔を出していたコレ! 位置的にもちょうど、閘室側壁の延長線上で、図面と照らし合わせると、背割堤の先端とほぼ同じのようです。

妄想するに、造ってはみたものの、後に樋門からの取水や土砂吐ゲートの機能を阻害することがわかって、改修時に撤去されたのか、それとも図面上の計画だけで、建設前に同様のことが指摘され、最初から造られなかったのか‥‥。でも後者とすれば、コレが痕跡のように残されたのは、ちょっと腑に落ちませんよね。

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謎を残しつつも、舟通しをものするベストポジションを求めて下流側へ。危なっかしい足取りで法面を駆け下り、護岸上の平場でつんのめるようにして踏みとどまって、やおら顔を上げると‥‥おお!

ここは結構いいかも! 目線がちょっと高いけれど、舟通しそのものの質量を味わうには、十分すぎる距離の近さ。堰柱基部から、手前に伸びる2本の背割堤、丸められた天端の感じが、ちょうど前に伸ばしたネコの足のようで、エジプトのスフィンクスを連想させるものがありますね。

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扉体のディテールをとらえておきたいと、もう少し正面に近い立ち位置を探して、さらに下流側からズームで狙ってみました。

陰っていた陽射しも戻り、白く輝く堰柱を振り立てて、威風堂々の面持ち。この日一番のお気に入りとなりました。

193110.jpg気になっていた扉体もズームでたぐって一枚。先ほど橋の上から見つけた、天端近くに切られた二つのスリットから、水がほとばしっているのが見えました。

前扉(上流側の扉体)にも、同様のスリットが設けられているとすると‥‥これは、閘室内の水位を保ちながら、少しづつ水の入れ替えをし、水質の悪化を防ぐ手立てなのではないでしょうか。

そういえば、「釜口水門を訪ねて…4」で、閘室の中に大量の魚が閉じ込められて、腐臭を放っていたことがありましたっけ。いずこの閘門も通航量は決して多くありませんから、この工夫はまことに的を射たもので、感心させられたものでした。

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…9』につづく)

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阿賀野川頭首工を愛でる…7

(『阿賀野川頭首工を愛でる…6』のつづき)

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193102.jpg北岸に戻って、少し上流側から見たところ。この角度からの堰柱ずらりも佳し。起伏ゲート頂部の、三角形に突き出したスポイラーやアイなど、ディテールも間近に眺められて、橋の上とはまた違った面白さがあります。

ここで、橋脚の上流側天端の側面に、抜き文字のナンバーが振ってあるのに気づかされました。先に「堰柱のないゲート」などと書いてしまいましたが、ナンバーの振り方からすると、これも堰柱の一つとして、ちゃんと員数に入れられているようですね。

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橋を南に戻り、管理棟へ至る通路上から舟通しを眺めて。こちらは舟通しのそれとは違い、特に立入禁止の表示がなかったので、ちょっと失礼してみたら、ご覧のとおりなかなか結構なビューポイント(船頭的に)。

片側だけ設けられた巻上機室に、どこか軽快な感じを覚えながら、構造は全体的に肉厚で、頼もしさもあるという相反するところに惹かれるものが。抜き文字のナンバーもよく似合っています。

しかし、堰のたぐいに設けられた閘門って、普通は土中に埋め込まれている閘室部分の構造が、いわば丸出しでさらされているわけですよね。独立した一つの施設として視覚できるところに、醍醐味があるのかもしれません。

あと、通航者目線で考えると、下流側とは違い、背割堤もなくいきなりゲートというのが、何とも恐ろしいというか、怖気をふるうというか。せめて片側だけでも背割堤が伸びていると、文字どおり寄る辺があって、眺めている側としても精神的にラクになるんですがねえ。

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193105.jpg気になっていた管理棟も、近寄って見上げてみました。計画高水位の上に建物を上げた意図はわかるものの、改めて見るとやはり強烈です。

あっ、通路の鋼桁に銘板らしきものが。ズームでたぐって撮ってみると、錆で全体の判読は難しいものの、「阿賀用水左岸取付橋」という名前が読めました。なるほど、樋門から取り入れた用水路をまたぐ、橋の扱いだったのですね。とすると、当初は開渠だったのでしょうか。
撮影地点のMapion地図

(28年5月28日撮影)

(『阿賀野川頭首工を愛でる…8』につづく)

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