開田橋閘門を訪ねて…9
(『開田橋閘門を訪ねて…8』のつづき)

●銘板を見つけてホッとしたところで、陸上から閘門の外観を愛でておくことに。上の写真は南側から見たところ。扉体が影に隠れていると、何やらガッチリした橋脚といった風情。こういうローラーゲートとは真逆の“自己主張”しないあたりが、スイングゲートの特徴といえばそうではあります。
左は北側を橋上から見下ろして。右のケーシングが閘門、左が水門ゲートの動力設備になります。

●水門のマイタゲートは、橋上からの視点が最も迫力がありました。広大な径間と、「へ」の字を形作った斜接の様子が強調されて、これぞマイタゲート、といった魅力が感じられたものです。そういえばこのお話の最初に掲げた、Googleマップのスクリーンショットをよく見ると、全開状態のゲートが写っていますね。
●西側に回って、よい視点がないか歩きながら探したのですが、ゲートの存在感が薄く(笑)いま一つ。しかし、山並の緑が迫る鏡のような水面は、美しく心癒されるものがありました。
そうだ、手前に見える瓦屋根の長屋、関連施設ぽいですよね。近づいて検分してみましょう。

●おおお、「開田橋予備ゲート格納庫」! 大当たりでした! 建屋の長さからしてもちろん、水門ゲートを収めているのでしょう。ローラーゲートと違って常時水中にあり、清掃や再塗装などメンテナンスの難しいこの手のタイプにとって、迅速に交換できるよう準備しておくのは、必須といえますね。扉体の交換工事の際に必要な角落しも、当然中に備えてあるのでしょう。
水面上からはいうに及ばず、陸上からも大いに楽しませてくれた開田橋水閘門。北潟湖水域の塩分遡上防止と通船を担って、末永く活躍してほしいものです。
(元年11月23日撮影)
(『東尋坊に遊ぶ…1』につづく)

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左は北側を橋上から見下ろして。右のケーシングが閘門、左が水門ゲートの動力設備になります。

●水門のマイタゲートは、橋上からの視点が最も迫力がありました。広大な径間と、「へ」の字を形作った斜接の様子が強調されて、これぞマイタゲート、といった魅力が感じられたものです。そういえばこのお話の最初に掲げた、Googleマップのスクリーンショットをよく見ると、全開状態のゲートが写っていますね。

そうだ、手前に見える瓦屋根の長屋、関連施設ぽいですよね。近づいて検分してみましょう。

●おおお、「開田橋予備ゲート格納庫」! 大当たりでした! 建屋の長さからしてもちろん、水門ゲートを収めているのでしょう。ローラーゲートと違って常時水中にあり、清掃や再塗装などメンテナンスの難しいこの手のタイプにとって、迅速に交換できるよう準備しておくのは、必須といえますね。扉体の交換工事の際に必要な角落しも、当然中に備えてあるのでしょう。
水面上からはいうに及ばず、陸上からも大いに楽しませてくれた開田橋水閘門。北潟湖水域の塩分遡上防止と通船を担って、末永く活躍してほしいものです。
(元年11月23日撮影)
(『東尋坊に遊ぶ…1』につづく)

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開田橋閘門を訪ねて…8
(『開田橋閘門を訪ねて…7』のつづき)

●後扉室ゲートが静々と開いて、二度の通航も終わりが近づきました。開田橋閘門とも、名残惜しくもお別れです。
普段、ローラーゲートの閘門ばかり通航しているので、水しぶきを上げて開く扉体や大きな閘程、水垂れに備えて身構えるなど、ダイナミックな動きとちょっとした緊張感がつきものなのですが、スイングゲート閘門はそれと正反対の魅力がありますね! 音もなく、激しい動きもなく、あくまで穏やか。静謐こそこの種のゲートの身上ということが、改めて実感できました。
●社長にお願いして、もう一回水門ゲートの斜接部に近づいてもらい、まじまじと観察。この角度から見たかぎりでは、水密材はぴったり接しているようですが‥‥。
横利根閘門は、木製の水密材で断面ほぼ一杯に接するようなタイプでしたが、これは手前の平たく幅広のと、奥の太いのと、2条に分けているのでしょうか?

●吉崎屋マリーナに帰着。閘門好き冥利に尽きる楽しく貴重な体験ができたのも、不躾なお願いにもかかわらず社長が快くお引き受け下さり、自ら舵を取って艇を出してくださったおかげ。本当にありがとうございました!
さて、今度は陸上からの検分とまいりましょう。ウェブ上にも資料となるものが少ないので、何か諸元がわかるような発見があると嬉しいのですが。
●水上にあるときから気になっていた、開田橋東詰、閘門と隣接した場所にある瓦屋根の建物。変電設備とか、水閘門の関連施設くさいとにらんでいたのですが、どうでしょうか。
ガラスブロックの明り取りがあったりして、大きさからも公衆便所のような雰囲気ではありますが、正面は頑丈そうな鉄扉。むむ、いよいよ怪しいゾ!

●ビンゴ!銘板がありました!左の銘板は水門ゲート、右は閘門ゲートと、二つ揃って掲げられており、思わずニンマリ。
水門は実に、径間18m。扉体の天地は2.5mなので、水深は2mほどといったところ。そして肝心な開閉方式が、「内外水位差による自動開閉及び油圧シリンダによる補助開閉式」! やはり、扉体をフリーにしてあるんですね!
閘門の方を拾ってみると、径間3.5mと、文句なしの極小閘門です。他にゲート設備の記載はないので、推測したとおり注排水のバイパスはなし。設置はどちらも平成16年9月、メーカーは高田機工とのこと。イヤ~、知りたかったことがいっぺんに解明できて、もう小躍りしたくなったことではありました。
【撮影地点のMapion地図】
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…9』につづく)

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●後扉室ゲートが静々と開いて、二度の通航も終わりが近づきました。開田橋閘門とも、名残惜しくもお別れです。
普段、ローラーゲートの閘門ばかり通航しているので、水しぶきを上げて開く扉体や大きな閘程、水垂れに備えて身構えるなど、ダイナミックな動きとちょっとした緊張感がつきものなのですが、スイングゲート閘門はそれと正反対の魅力がありますね! 音もなく、激しい動きもなく、あくまで穏やか。静謐こそこの種のゲートの身上ということが、改めて実感できました。

横利根閘門は、木製の水密材で断面ほぼ一杯に接するようなタイプでしたが、これは手前の平たく幅広のと、奥の太いのと、2条に分けているのでしょうか?

●吉崎屋マリーナに帰着。閘門好き冥利に尽きる楽しく貴重な体験ができたのも、不躾なお願いにもかかわらず社長が快くお引き受け下さり、自ら舵を取って艇を出してくださったおかげ。本当にありがとうございました!
さて、今度は陸上からの検分とまいりましょう。ウェブ上にも資料となるものが少ないので、何か諸元がわかるような発見があると嬉しいのですが。

ガラスブロックの明り取りがあったりして、大きさからも公衆便所のような雰囲気ではありますが、正面は頑丈そうな鉄扉。むむ、いよいよ怪しいゾ!

●ビンゴ!銘板がありました!左の銘板は水門ゲート、右は閘門ゲートと、二つ揃って掲げられており、思わずニンマリ。
水門は実に、径間18m。扉体の天地は2.5mなので、水深は2mほどといったところ。そして肝心な開閉方式が、「内外水位差による自動開閉及び油圧シリンダによる補助開閉式」! やはり、扉体をフリーにしてあるんですね!
閘門の方を拾ってみると、径間3.5mと、文句なしの極小閘門です。他にゲート設備の記載はないので、推測したとおり注排水のバイパスはなし。設置はどちらも平成16年9月、メーカーは高田機工とのこと。イヤ~、知りたかったことがいっぺんに解明できて、もう小躍りしたくなったことではありました。
【撮影地点のMapion地図】
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…9』につづく)

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開田橋閘門を訪ねて…7
(『開田橋閘門を訪ねて…6』のつづき)
●閘門を出た後は、社長にお願いして開田橋の下に入ってもらい、水門であるマイタゲートを裏側から眺めてみることに。
桁下高が低いことと、扉体自身が天地寸法がないこともあいまって、実寸以上に大きい径間に見えますね。ここで「あ‥‥アレッ?」と思うところがあって、さらに近づいてみると‥‥。

●扉体の合わせ目、斜接部分にすき間があって、向こうの光が見える!
ということは、全閉時にしっかりロックされているわけではなく、ゆる~く閉じているだけということ? 潮位が高くなれば水圧で密着し、上流側が増水すれば開いて排水するという、あなたまかせのゲートというわけでしょうか。小さい水門には今でもそういう仕組みのものがありますが、こんなに大きな水門で見るのは初めてだなあ‥‥。
●桁下から出るとき、社長が「ここに銘板がありますよ!」と笑顔で指さしながら、舵を切って撮りやすいポジションに持って行ってくれました。
いや、“水門マニア”のココロをよく理解してらっしゃる! 近づいてから見てみると、水門や閘門のものではなく、開田橋の銘板でしたが、ありがたくスナップ。平成16年4月竣工、オリエンタル建設の施工と判明。

●いったん距離を取ってもらい、水閘門の全景を一枚。堰柱のない型式のゲートなので、ご覧のとおり外観はあっさり目、存在感があるのは橋のみといってよいほど。その筋の人でなければ、水門や閘門があるなんてわからないでしょう。
左右に見える瓦屋根の建物は、どうやら水閘門の関連施設みたいですね。ゲート関連の銘板があるかもしれませんし、後で見に行ってみましょう。

●ふたたび閘門を通って帰路へ。極小スイングゲート閘門を2度も通れる日など、人生のうちでそうそうあるものでなし、よきかな、佳き哉。秋も深まってのこととて陽射しも低く、逆光続きだったので、イイお顔を記録できてこれまた眼福です。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…8』につづく)

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桁下高が低いことと、扉体自身が天地寸法がないこともあいまって、実寸以上に大きい径間に見えますね。ここで「あ‥‥アレッ?」と思うところがあって、さらに近づいてみると‥‥。

●扉体の合わせ目、斜接部分にすき間があって、向こうの光が見える!
ということは、全閉時にしっかりロックされているわけではなく、ゆる~く閉じているだけということ? 潮位が高くなれば水圧で密着し、上流側が増水すれば開いて排水するという、あなたまかせのゲートというわけでしょうか。小さい水門には今でもそういう仕組みのものがありますが、こんなに大きな水門で見るのは初めてだなあ‥‥。

いや、“水門マニア”のココロをよく理解してらっしゃる! 近づいてから見てみると、水門や閘門のものではなく、開田橋の銘板でしたが、ありがたくスナップ。平成16年4月竣工、オリエンタル建設の施工と判明。

●いったん距離を取ってもらい、水閘門の全景を一枚。堰柱のない型式のゲートなので、ご覧のとおり外観はあっさり目、存在感があるのは橋のみといってよいほど。その筋の人でなければ、水門や閘門があるなんてわからないでしょう。
左右に見える瓦屋根の建物は、どうやら水閘門の関連施設みたいですね。ゲート関連の銘板があるかもしれませんし、後で見に行ってみましょう。

●ふたたび閘門を通って帰路へ。極小スイングゲート閘門を2度も通れる日など、人生のうちでそうそうあるものでなし、よきかな、佳き哉。秋も深まってのこととて陽射しも低く、逆光続きだったので、イイお顔を記録できてこれまた眼福です。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…8』につづく)

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開田橋閘門を訪ねて…6
(『開田橋閘門を訪ねて…5』のつづき)
●すでに後扉室の扉体は閉まり始めていて、入口の説明板でいう「SW2」が引かれたことがわかりました。もう一隻の船長が入閘してから引いたのでしょう。
写真は前扉室側のそれで、こちらは下航時の操作専用です。帰路に引かせてもらったのですが、ゴム被覆のない化繊のロープで、さっきのヒモみたいにベタベタはしていませんでした。

●間なしに前扉室の扉体が開きはじめました。う~ん、さっきはわずかながらでも水位差があったように見えたのですが、こうして近くで観察してみると、ほぼゼロみたいですね。
イヤしかし、スイングゲートが動くのを、こんな間近で見下ろせる日が来るなんて‥‥。長生きはしてみるものですじゃ。

●スキンプレートの左右の端に黒い水密ゴムを見せ、扉体が大きく開いてきました。動作はきわめてゆっくりで、水面に波紋や渦もほとんどできないほど、そろりそろりといった感じ。
通ってみて気づいたのは、ゲートは前後とも、戸袋ともいうべき全開時の扉体が収まる凹部は、設けられていないのですね。また前扉室は開が常態のため、外側に下航用の操作スイッチはなく、閘室に入ってから先ほどのヒモを引くことになります。

●閘程は無きにひとしくとも、もの凄く充実した通航のひとときを過ごして、説明板の言に従えば閘室を“脱出”! 北潟湖の真水域に入りました。
取舵を切った後ろから、お知り合いの艇が爆音を轟かせて出きて、出閘シーンも同時に眺められと、まあ眼福の連続であります。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…7』につづく)

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写真は前扉室側のそれで、こちらは下航時の操作専用です。帰路に引かせてもらったのですが、ゴム被覆のない化繊のロープで、さっきのヒモみたいにベタベタはしていませんでした。

●間なしに前扉室の扉体が開きはじめました。う~ん、さっきはわずかながらでも水位差があったように見えたのですが、こうして近くで観察してみると、ほぼゼロみたいですね。
イヤしかし、スイングゲートが動くのを、こんな間近で見下ろせる日が来るなんて‥‥。長生きはしてみるものですじゃ。

●スキンプレートの左右の端に黒い水密ゴムを見せ、扉体が大きく開いてきました。動作はきわめてゆっくりで、水面に波紋や渦もほとんどできないほど、そろりそろりといった感じ。
通ってみて気づいたのは、ゲートは前後とも、戸袋ともいうべき全開時の扉体が収まる凹部は、設けられていないのですね。また前扉室は開が常態のため、外側に下航用の操作スイッチはなく、閘室に入ってから先ほどのヒモを引くことになります。


取舵を切った後ろから、お知り合いの艇が爆音を轟かせて出きて、出閘シーンも同時に眺められと、まあ眼福の連続であります。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…7』につづく)

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開田橋閘門を訪ねて…5
(『開田橋閘門を訪ねて…4』のつづき)
●前扉室の扉体が閉じると、すぐに後扉室が運転を始め、手前にゆっくりと開きはじめました。
やはり、海側が少し水位が高かったのか、閘室の中の水面がゆらゆらとさざ波立ち、水が流入していることが感じられました。でも水位差はほとんど無きに等しいようで、側壁の湛水線とくらべてみても、ほんの10㎝ほどといったところでしょうか?

●扉体がほぼ開ききったところ。今度は扉体の動きに吸いつくようにして、水面に浮いていた木っ端屑やらが手前に出てきました。前扉室が常時開放だと、吹き寄せでゴミが閘室内に溜まってしまうようですね。
扉体が動くのを避けて間合いを取っていた社長、スロットルをコツンと前進に入れて、ゆっくりと艇を閘室へ進入させます。むふふ、楽しくてニヤケますのう‥‥。

●説明板に描かれていたとおり、左手の側壁には2基の蛍光灯が備えられていて、また両側とも全長に渡り、ハンドレールが設けられていました。
ぶら下げたチェーンやロープより、がっちりと固定されたハンドレールの方が艇を安定して引き寄せられるので、通航艇も使い勝手がよいでしょうね。もっとも、これは閘程がきわめて少なく、小型艇しか通らない極小閘門ならではの設備といえます。

●社長は艇を惰力でずんずん進ませ、ついには扉体に軽くコツン! いや~、こんな間近で閘門の扉体を拝めるなんて、貴重な体験でありますよ。せっかくなので扉体をナデナデ。
さて、なぜこんな奥まで艇を進ませたかというと、ちゃんと理由がありまして‥‥。
●もう一隻、通航艇があったから、でした。こちらは社長のお知り合いで、入閘前の待ち時間に雑談したり、バケツに入った魚をもらったりと、楽しいやり取りも。
お知り合いの「どこ行くの?」の問いに、「水門マニアのお客さんを案内してるんだよ!」と、これまた楽しそうに答える社長(GJ!)。ノリのよい社長につられて私も「水門マニアで~す!」と自己紹介してしまいました。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…6』につづく)

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やはり、海側が少し水位が高かったのか、閘室の中の水面がゆらゆらとさざ波立ち、水が流入していることが感じられました。でも水位差はほとんど無きに等しいようで、側壁の湛水線とくらべてみても、ほんの10㎝ほどといったところでしょうか?

●扉体がほぼ開ききったところ。今度は扉体の動きに吸いつくようにして、水面に浮いていた木っ端屑やらが手前に出てきました。前扉室が常時開放だと、吹き寄せでゴミが閘室内に溜まってしまうようですね。
扉体が動くのを避けて間合いを取っていた社長、スロットルをコツンと前進に入れて、ゆっくりと艇を閘室へ進入させます。むふふ、楽しくてニヤケますのう‥‥。

●説明板に描かれていたとおり、左手の側壁には2基の蛍光灯が備えられていて、また両側とも全長に渡り、ハンドレールが設けられていました。
ぶら下げたチェーンやロープより、がっちりと固定されたハンドレールの方が艇を安定して引き寄せられるので、通航艇も使い勝手がよいでしょうね。もっとも、これは閘程がきわめて少なく、小型艇しか通らない極小閘門ならではの設備といえます。

●社長は艇を惰力でずんずん進ませ、ついには扉体に軽くコツン! いや~、こんな間近で閘門の扉体を拝めるなんて、貴重な体験でありますよ。せっかくなので扉体をナデナデ。
さて、なぜこんな奥まで艇を進ませたかというと、ちゃんと理由がありまして‥‥。

お知り合いの「どこ行くの?」の問いに、「水門マニアのお客さんを案内してるんだよ!」と、これまた楽しそうに答える社長(GJ!)。ノリのよい社長につられて私も「水門マニアで~す!」と自己紹介してしまいました。
(元年11月23日撮影)
(『開田橋閘門を訪ねて…6』につづく)

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