あの錦橋が光り輝いている件…2

(『あの錦橋が光り輝いている件…1』のつづき)

95021.jpg錦橋が迫ってくると、まず表面の質感が、以前とずいぶん違っていることに気づかされました。ご覧のとおりテラテラのツルツル! 色は白というより、ごく薄いグレーなのですね。

以前が油っ気の抜けきった、カサカサの乾燥肌なら、今は保湿成分配合の化粧水でン十歳は若返った、といったところでしょうか。工場の床などでよく見かける、エポキシ塗装を施したようです。

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中央径間をくぐると、そのテラテラぶりがより実感できました。タイトルにもすでに掲げましたが、水面や外からの光をあまさず反射して、高架下より、橋の下のほうがかえって明るく感じるという異常な事態

かつては、表面がコンクリ打ちっぱなしのつやなしで、しかも黒く煤けて光を吸収しやすいことも手伝い、昼なお暗いドーム空間でしたから…。まるで別世界に来たようです。

95023.jpgくぐってから高欄を見上げると、おお、高欄の窓にも、緑に塗り上げられた装飾が一つ一つはめ込まれて、ボロボロにやせ細っていた桟もふくよかな丸みを取り戻し、面目を一新していました。よかったねえ(涙)。

竣工時の写真を入手できていないので、装飾が復元であるかどうかはわかりませんでしたが、一見した限りでは復興橋のイメージを損なっておらず、橋全体の雰囲気ともよくマッチしており、嬉しくなりました。

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下流側、少し離れてから振り返りつつ、錦橋にお別れ。今度は上の道を渡りに来てみよう! 

アーチの衝突痕や剥離した部分もすっかり補修され、煤けてまだらだった表面も、昭和2年竣工とは思えない美しさに。85年を経て、高架下を明るく照らす橋になろうとは、誰が想像しえたでしょうか。

今回の補修で何より嬉しかったのは、原形を損なわないやり方でなされたこと。タイルを張ったり、過度の装飾を施すなどして、イメージが一変してしまう例も少なくありませんでしたから、竣工当時をしのばせるシンプルな外観が保たれたことは、橋好きの目から見て慶事といってよいでしょう。

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いま一度、平成21年10月18日に撮った下流側からの姿を。ううむ、本当に見違えるようだ…。

欲をいえば、中央径間のアーチリング頂部に、銘板も復活させていただきたいですね。せっかくここまで修復したのに、銘板の跡にボルトのみ突き出させておくのは、画龍点睛を欠くといってよいと思います。

ともあれ、貴重な震災復興橋の一つであり、両端径間のアーチが2分の1という、数少ない型式ということもあって、原形を保った修復がなされたことを喜びたいと思います。照り(?)のある塗装も、高架下で橋の存在感を示す意味から考えれば、悪くないでしょう。

ちなみに、都内600余橋の故事来歴を収録した大冊「東京の橋」(石川悌二著・新人物往来社・昭和52年)には、一ツ橋も神田橋も載っているのに、なぜか錦橋は収録されていません。これも「錦橋の呪い」なのかしら?


(24年6月3日撮影)

(『常磐橋哀歌』につづく)

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タグ : 日本橋川 錦橋 高架下水路 橋の裏側

あの錦橋が光り輝いている件…1

(『6月3日の神田川』のつづき)

95016.jpg日本橋川に入り、おなじみの物件たちを眺めながらのんびり下航。通航船が結構ある(この日はプレジャー1隻、船宿ほかの遊覧船4隻と反航)こともあって、雉橋のある直角に近い屈曲区間では、衝突を避けるため長声を鳴らしながら微速で突入。干潮時とあって、両岸に露出した基礎護岸が目立ち、緊張感のある川景色をつくっています。

日本橋川は、ひとつ楽しみにしていたものがあったんですよ。「24年1~3月のご案内」のコメント欄で、ともさんから教えていただいた、錦橋修復の一件。さて、どんな具合になっているのか…。

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おおお、白く光り輝いている! 

上流側から見て、まだ距離これだけがありながら、まるで別物のようにキレイになっているのがわかりました。頭上低く迫る高架の影をものともしない、白亜の輝き! これはかなり、手の込んだ修繕がなされたに違いありますまい。

もっとも、これまでの錦橋がどんな状態だったかわからなければ、船頭の驚きも実感できない方が多いでしょうから、まずは過去の惨状(といっては語弊がありますが)からご覧いただくとしましょう。
撮影地点のMapion地図

95018.jpg平成19年9月24日、下流側から見た中央径間。ピンの甘い写真で恐縮です。コンクリ打ちっぱなしの表面はまだらに汚れ、アーチリングの下部は、浮流物の衝突によるものか、剥落がはなはだしく、とても味わいのある古び方をしているとは、いえない状況にあるのがわかるかと思います。

高欄の窓にはそれぞれ、何やら横木が無造作にくくりつけられているのも悲惨さをいや増しており、橋上の結構な通行量がなければ、水面から見たかぎり、廃墟寸前といってもいい過ぎでない外観です。

95019.jpg平成21年10月18日に撮った、やはり下流側の橋脚周り。高欄にくくりつけられていた横木は消えていますが、高欄の桟が剥落でやせ細り、それこそつついたら折れそうな、頼りなげな太さになっているのがわかります。ここには本来、鋳鉄か何かの装飾がはめ込まれていたのでしょうか。橋脚の上端は、人一人が入れるような、可愛らしいバルコニーに造ってあるものの、数年前の時点から柵がされて、入れないようになっていました。

仮に構造的には問題がないとしても、この外観では、くぐる人も渡る人から見ても、不安にさせられたことでしょう。私はてっきり、間もなく架け替えられるのだから、こうして放置されているのだと思っていたくらいです。


95020.jpgこれも上と同日の撮影。しかし、本当にいい写真がないなあ…。通るたびにカメラを向けているものの、なぜか、そのほとんどがボケボケのブレブレになってしまうのです。

私はこれを「錦橋の呪い」と呼び、放置された橋が、撮られることを拒むオーラを発散しているんだと、決めつけていたほど(うそ。今考えました)です。

錦橋の特徴や諸元、また劣化の問題については、橋梁趣味の大先輩である「Bridge Watching」さんの「錦橋」に語り尽くされているので、ぜひご覧ください。ちなみに管理者は千代田区で、「平成23年度 工事等予定箇所」(PDF)によると、「橋梁長寿命化修繕計画」という名称で補修と補強がなされたとのことで、同時に常盤橋も施工されたようです。


(24年6月3日撮影)

(『あの錦橋が光り輝いている件…2』につづく)

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