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野田市郷土博物館を訪ねて

2月28日は、東京マラソンと津波で騒然としている都内を出て、野田市に向かいました。午前中は、みぞれ混じりの冷たい雨が降るあいにくの天気でしたが、昼近くには幸い小雨となり、傘をささずとも動けそうな雲行きとなってきました。

野田といえば、ご存知のとおり古くからの醤油の産地。江戸川の水運と結びついて発展したこの街には、そのあゆみを顕彰した、ささやかながら立派な博物館があります。

25006.jpgというわけで、本日最初の目的地は、野田市郷土博物館。クルマを降りて、丹塗りの塀沿いに歩いてゆくと、折からの雨に瓦を光らせた、重厚な門が見えてきました。
ここは、もと醤油醸造家の茂木佐平治氏の旧宅で、博物館はその敷地内に建てられており、大正末に建てられた旧宅も改修されて、集会所や事務所として利用され、見学も可能です。

博物館をのぞくと、中は人でいっぱいで、係の方にたずねると、地元の方たちが日本舞踊の発表会をしているとのこと。もうすぐ終わるとのことでしたので、先に茂木氏旧宅を見学しつつ、待つことにしました。
撮影地点のMapion地図

25007.jpgさすが醤油醸造家の住まいだっただけあって、間取りや廊下も広々として、まるで旅館のよう。本来の姿を保存しながらも、最近改修されたようで木の香もかぐわしく、美しい庭や、欄間の飾りを眺めて楽しみました。

一室は資料室を兼ねた事務所になっており、図録や研究誌の販売もされていました。「水運に関連した本はありませんか?」と若い学芸員さんにたずねると、「写真が語る野田の歴史と文化―市民がつづる郷土への想い」という大冊の写真集がおすすめとのこと。
開いてみると、いっせいに白帆を上げて江戸川を遡上する高瀬舟の船団、野田醤油工場の河岸風景、利根運河を航行する曳船などの写真がたくさん載っており、即購入決定。いい本に出会えました!

25008.jpg茂木氏旧宅を出て、前庭に建つ博物館へ。入口の右には、私好みのゴッツイ機械が。一見、据え置き型の蒸気機関かな、と思わせる外観ですが、空気圧縮機(コンプレッサー)とありました。

説明によると、従来、人力で行なってきた醤油の攪拌作業を、明治の後半ごろより機械化して、こういった空気圧縮機を用い、圧縮空気で行なうようになったのだそう。大正11年12月、山崎鉄工所製、キッコーマン醤油㈱寄贈、とありました。さすがキッコーマン。


25009.jpgこちらが博物館の建屋。昭和34年4月開館だそうで、当時のモダニズムを感じさせる、よい雰囲気の建物ですね。発表会のあとかたづけをしている中、失礼させていただき、展示を拝見。

醤油関連の展示は、400年の歴史を持つ土地柄とあってさすがに充実しており、特に圧巻だったのは、野田醤油寄贈の醸造所のジオラマ。水運関連も、キッコーマンの帆印を染め抜いた、高瀬舟の大型模型あり、船具ありと見せてくれます。

個人的には、和船型の船体を持つ発動機船、「第十萬寿丸」の鮮明な進水写真が、特に印象に残りました。高瀬舟や川蒸気船の写真は、そこそこの数が公表されてはいるものの、個人船主の発動機船は、まだまだ少ないからです。もし未収録であれば、ぜひ図録に掲載していただきたい写真でした。

25010.jpg残念ながら、あまり時間がなかったので、早々に失礼させていただきましたが、楽しめました。前庭に植えられた、梅の花が満開でキレイですね。

この後は、かねてから予定の講座に参加せんと、野田市役所へ…。


(22年2月28日撮影)

(『「水運講座」を受講する』につづく)

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タグ : 野田市郷土博物館博物館