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都市計画運河橋梁に触れる

(『11月13日の水路風景』のつづき)

289041.jpg曙北運河を北上、左へ折れ汐見運河へ入ろうとしていたときのこと。越中島線の都市計画運河橋梁の、桁が目の高さくらいになっているのに気づき、ふと行き足を止めました。

この日は日中の潮位が高かったので、余裕で触れられるレベル。よし、ちょっと触っていこうと、妙な気を起こして舵を切ったのでした。


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桁下に頭を突っ込んだ状態でゴースターン、フロントグラスの線に合わせるようにして停止。風も流れも穏やかなので、ピタリと止まってくれました。

桁に触れると、手袋越しのざらりとした感触と、人差し指に陽光で温まったぬくもりが同時に伝わってきて、古豪鋼橋との文字通り「ふれあい」に、満足満足。

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せっかく鼻先で拝めるのだからと、これ以上ない間近からディテールを記録しておこうと考え、すぐ右手に見えたアングル材の継手を一枚。

塗膜が風化してはがれ、生じた錆が表面を流れて、褐色のまだら模様をつくっていくさまが、長い時間の経過を想わせ凄まじくもあり、また愛おしくもあり。

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桁裏をのぞくと、リベットの頭が弾けたような格好で、塗料が剥離しているのに目を奪われました。表面を流れた雨水がリベットの先に集まり、乾くのに時間がかかったせいでしょう。

腔腸動物の群落をのような桁裏の様子、こちらも過ごしてきた星霜が思われて、しみじみと見入ったものでした。
撮影地点のMapion地図

289045.jpgおまけ。桟橋に着けて艇の清掃をしていたら、久しぶりのクラゲ君ご来訪。ミズクラゲですか、傘をしきりにひらひらさせて、なかなか活発で元気そう。

表層の流れが桟橋と並行していたので、可愛らしい姿をしばらく堪能することができました。過去にも何度か紹介していますが、クラゲが桟橋に来ると、妙に嬉しくなってしまう性癖の持ち主です‥‥。

(令和4年11月13日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 曙北運河都市計画運河橋梁橋の裏側

3月6日の水路風景…12

(『3月6日の水路風景…11』のつづき)

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汐浜運河の東端を直角に曲がり、曙北運河を南下。都市計画運河橋梁の手前に架かるRC桁橋を、ちょうどJRバスが通過するところでした。

表面の質感からして、この橋も結構古そうですね。小さくてよく見えませんが、桁側面の凹部には「けたに注意」の看板が貼られています。

277057.jpg中途半端な角度ですが、都市計画運河橋梁の橋脚、いつ見ても不思議な形だなあと思っての一枚。

あと、桁側面の真ん中に「2」と書かれているのは、径間に番号を振ったもので、写真でも左手の上路式桁に「1」と書かれているのが見えますね。下路式桁の両端に短い上路式桁のある、3径間というわけです。


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277059.jpg橋をくぐったところで、たまには左斜め後ろからのイグアナ先生をと一枚。詰所と電柱があるので、全容を拝むのは難がある角度ですが。

そして久しぶりにズームでたぐったこれ。10年前の4月、「2月18日の運河風景…2」で紹介した旧イグアナクレーンのそれは、方向表示だけでしたが、現イグアナ氏はさらに定格荷重も明記されたという、好事家垂涎(?)の情報公開。

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そして鉄板の眺め。左手奥に黄色い運転台のキヤさんたちを従えて、うららかな陽射しを浴びつつも悠揚迫らぬ風情。やはりイグアナ先生には、美しい青空と穏やかな水面がよく似合います。
撮影地点のMapion地図

(令和4年3月6日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 曙北運河都市計画運河橋梁イグアナクレーン

散りぎわのお花見水路…1

190001.jpg4月9日土曜日はお休みをもらい、お世話になっている皆さんを招待して、近場の水路へお花見に出かけてきました。

3月21日は曇りの上小雨にたたられ(しかも早すぎてほとんど咲いていなかった)、その後も週末ごとに空模様がいま一つで出かけられず、ようやく得た好天にバンザイしたくなる思い。反航する港湾局監視船「はやみ」を眺めつつ、上機嫌で舵を桜のある方へ。

190002.jpgおなじみ曙北運河、越中島線の都市計画運河橋梁を前に。実はこの直前、レール運搬列車が渡っているのを目にしたのですが、気づくのが遅すぎ、残念ながら写真に納められませんでした。

満開の時期はすでに過ぎたものの、近所の桜はそんなに散っていなかったし、散ってもむしろ、花筏をかき分けての舟行きが期待できそう‥‥。そんなことを話しながら、いつものコースへ向かいます。

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都市計画運河橋梁に隣接した、JRバス車庫に至る道路橋をくぐると、左手にわずか6本とはいえ、咲き誇る桜並木が。導入部としては十分なボリュームで、これはイケる! と手ごたえを感じたものでした。

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続く汐浜運河北岸、東陽2丁目のテラス沿いも、だいぶ散っているとはいえイイ感じ。手前に並ぶモクレンの新緑もみずみずしく、桜を見上げながらのお散歩や、カメラを構える人も多く見られ、春らしい賑わいが感じられました。

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十字流を右折し、平久水門をくぐろうとすると‥‥あっ! 扉体に桜の花びらが貼りついている!

点検運転か、高潮位(7日は朔の大潮で、翼8日の夜の満潮は、推算潮位2.02m)で一時閉鎖したのでしょうか? いずれにせよ、扉体が水に浸かってから、そんなに時間は経っていないでしょう。なじみの水門の、こんな風流な表情を見るのは、もちろん初めてです。貴重なシーンを頭上に気分も盛り上がり、おっさんニヤつきながら不気味に遡上続行であります。
撮影地点のMapion地図

(28年4月9日撮影)

(『散りぎわのお花見水路…2』につづく)

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タグ : 砂町運河曙北運河汐浜運河平久川平久水門都市計画運河橋梁

「都市計画運河橋梁」!

156001.jpg8月17日は、前日の天気予報では終日快晴と出ていたものの、明けてみると果たして、分厚い曇り空。「なあに、これも朝凪のうちで、間なしに晴れるだろう」とマリーナに到着してみると、まあ、見慣れた煙突までが先端を雲に隠してしまうほど。もはや霧といってよいくらい。

猛暑続きの中で珍しく、夜間に24℃くらいまで気温が急降下したせいでしょう。夏の涼しい朝、無風時に視程が急速に悪化するというのは、湾奥ではよくあることですが、出くわしたのは久しぶりとあって、そりゃもう、やる気の萎えることったらありません。

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とはいえ、雨は降らなそうだし、風が出れば青空ものぞくであろうと、気を取り直して出港。空同様、心晴れぬ気持ちを抱えながら、まずは曙北運河へ。

イグアナクレーンが睥睨する、汐見運河との丁字流近く、越中島線の鈑桁橋をまずは一枚。ガスるほどの無風のおかげで、水面はぬめったように平らかですが、何分この薄暗さでは、水鏡も楽しめないや‥‥と、ゼイタクな不満を抜かす船頭一人。
撮影地点のMapion地図

156003.jpg触れんばかりの低い桁を、くぐりざま見上げて(18日からのタイトルは、この一瞬後のシーン)。こうしてアップで見ると、だいぶ痛みが目立ってきましたねえ。

リベット組みの古い橋、かつこの付近では最も低いということもあって、親しく思ってきた橋の一つですが、どういうわけだか、名前や銘板の有無には、まったく注意を払わずにきてしまいました。きっと「越中島線・曙北運河橋梁」とでもいうのだろう‥‥と、軽く考えていたふしがあります。

ところがこの日は、これまたどうしたことか、「そういえば、この橋の銘板て見たことないな。どこかにあるのかな?」と、見まわしてみる気になったのが妙なところ。

晴れぬ空に気をもんでいたおかげか、だとしたら、このお天気に感謝しなければなりますまい。まあ、不注意と気まぐれ、ここに極まれりで、ほめられた話ではありません。

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で、くぐりつつ見回してみると、あった! 北側側面の東詰です。‥‥えええ?

都市計画運河橋梁!

その古さと外観からして、地名の入った単純明快な名前を想像していたので‥‥。予想を裏切られたどころか、斜め上に突き抜けたようなネーミングにびっくり。悪いけど、全然似合ってない(ごめんね)!

しかし、この名前はどこから来たのでしょう。荒川放水路が荒川と名を変えても、橋の方は元のまま「荒川放水路橋梁」を名乗り続ける伝で、曙北運河はかつて、「都市計画運河」を名乗っていたのでしょうか?一部の幹線道路が、「都市計画×号線」などと呼ばれていたのと、近いものも感じます。

橋梁趣味書の草分け「東京の橋」の著者、伊東孝氏の講演記録「川崎の都市計画と運河計画」(PDF)によれば、戦前の旧都市計画法にもとづいて、造られた運河もあったとのこと。
もしかしたら、戦前の曙北運河は、旧都市計画法のもとに造られた数少ない運河のうちの一つで、それを記念した命名だったのかしら‥‥? 以上はもちろん、単なる妄想に過ぎないので、ご存知の方がおられたら、ぜひご教示いただきたいものです。

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で、やはり気になるのが、塗装表記の下の銘板。暗くてブレたのと、文字がつぶれて読めない箇所もありますが、書き出してみると‥‥。読めない文字は〇で示しました。間違いがあったらごめんなさい。

 昭和五年(午〇〇‘56’)
 東京石川島造船所製作
   活荷重 KS-18
   鉄  道  省
-------------
  〇 八幡製鉄所
材 L 製鉄所 日本鋼管會社
料 〇 浅野造船所
  鋲(?) 浅野小倉製鋼所


昭和5年生まれの、震災復興橋と同世代といってよい橋。こちらは名前と違って、予想通りといったところ。しかし、付き合いが短くないのも手伝って、名前のインパクトは相当なものでした。ユルい、ひらがな系の橋名とは対極の位置にありそうなこの名前、驚きはしましたが、嫌いではありません。一発で覚えたし。

(26年8月17日撮影)

(『大島川水門の工事…1』につづく)

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タグ : 曙北運河都市計画運河橋梁