笹川湖で貸しボートを楽しむ…5
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…4』のつづき)
●最後の屈曲区間を曲がり切ったところで、姿美寿橋が見えてきました。こちらから眺めていると、森の間からヌッと姿を現したような感じで、また先ほどとは違った面白さが。
追い風を背に受けているので、ひと漕ぎで進むストロークがけた違い、まさに滑るような快さで、たちまち桟橋が近づいてきました。

●桟橋を横に見たところで、信地旋回の要領で艇を90度回し、そのままの姿勢で軽く逆に漕いで行き足を殺すと、スーッとリーウェイして定位置にピタリ。気持ちよく達着してもやいを取り、1時間に渡った笹川湖の水路行を終えたのであります。

●ボートを降りた後は、道の駅の向かいにある「片倉ダム記念館」を訪ねてみました。記念館とは銘打っているものの、スペースのほとんどはテナントの飲食店と休憩所、事務所などで、ダムに関する展示は一室のみというささやかなもの。
それでも、千葉のダム一覧地図や、地勢や地質、ダム工事についてのパネル展示など、ダムに関連したひととおりのことがらはわかりやすく解説されており、興味深く拝見しました。

●展示室の中央には、笹川湖一帯の模型がケースに入れられて展示されており、こちらもフムフムと鼻先を近づけて拝見。今回は姿美寿橋から上流に向かいましたが、下流のS字屈曲を抜けると、ダムサイトに出られるのですね。水面から見るダムの裏側、表のそれとはまた違った面白さがあることでしょう。
しかし、この幾多の谷筋をくまなく周るには、動力船でも一日ではきかなそう。橋も結構な数がかかっていますし、探索すれば文字通り、奥が深い水面といえそうです。
ダム湖に観光船が就航している例は、それこそ全国に多くありますが、これだけの谷筋を貸しボートで自由に、しかも気軽に(この二つ重要!)お散歩できる水面が、こんな身近にあるとは! 閉塞水面といえど、川や運河の探索に近い面白さが味わえる場所といえるでしょう。
【撮影地点のMapion地図】
(27年5月5日撮影)
(この項おわり)

にほんブログ村

追い風を背に受けているので、ひと漕ぎで進むストロークがけた違い、まさに滑るような快さで、たちまち桟橋が近づいてきました。

●桟橋を横に見たところで、信地旋回の要領で艇を90度回し、そのままの姿勢で軽く逆に漕いで行き足を殺すと、スーッとリーウェイして定位置にピタリ。気持ちよく達着してもやいを取り、1時間に渡った笹川湖の水路行を終えたのであります。


それでも、千葉のダム一覧地図や、地勢や地質、ダム工事についてのパネル展示など、ダムに関連したひととおりのことがらはわかりやすく解説されており、興味深く拝見しました。

●展示室の中央には、笹川湖一帯の模型がケースに入れられて展示されており、こちらもフムフムと鼻先を近づけて拝見。今回は姿美寿橋から上流に向かいましたが、下流のS字屈曲を抜けると、ダムサイトに出られるのですね。水面から見るダムの裏側、表のそれとはまた違った面白さがあることでしょう。
しかし、この幾多の谷筋をくまなく周るには、動力船でも一日ではきかなそう。橋も結構な数がかかっていますし、探索すれば文字通り、奥が深い水面といえそうです。
ダム湖に観光船が就航している例は、それこそ全国に多くありますが、これだけの谷筋を貸しボートで自由に、しかも気軽に(この二つ重要!)お散歩できる水面が、こんな身近にあるとは! 閉塞水面といえど、川や運河の探索に近い面白さが味わえる場所といえるでしょう。
【撮影地点のMapion地図】
(27年5月5日撮影)
(この項おわり)

にほんブログ村
笹川湖で貸しボートを楽しむ…4
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…3』のつづき)
●釣り人さんのお邪魔にならないよう距離を取りながら、朽木の林散策を楽しんでいると、早くも30分経過。今回は1時間の約束でしたので、そろそろ戻ることにしましょう。
後で聞いたところでは、小型船舶免許があれば、エレキモーター装備のボートも貸してもらえるとのこと。ううむ、動力があれば、もっと探索できたのに‥‥と悔しくなりましたが、後の祭り。

●帰路は順風となるので、だいぶ楽に移動できました。ここで一つ発見が。進行方向右手の岸を眺めていると、斜面を削って切り開かれたような、ゆるい傾斜地が露出しているのを発見。あれ、道路の跡じゃないか?
あっ、右にガードレールと、もと標識らしいポールが見える! 水没で使われなくなった、廃道に違いない!

●こりゃイイものを見つけたと、テンション急上昇。右へ切れば、推力がなくなった分、風で横流れして姿勢が崩れます。左に大回りして、距離を取りつつ風上に切り上がりながら近づき、両舷停止。
おおお、沈みゆくガードレールを真上から眺められるなんて! 澄んだ水を透かして見える底は、まさしく道路の滑らかさ。クルマの走ることのなくなったかつての道の上を、小魚がついついと泳いでゆく姿も見られました。
●ガードレールとこの標識ポールの様子から、ここは十字路だったのでしょう。釣り人さんの間では「ガードレールポイント」「廃道ポイント」とか、名付けられることもあるのかしら、と妄想。
妄想のオカズだけでなく、朽木の林といい、廃道といい、ダム湖ならではの情景が初体験できて、楽しい船行きではありました。訪ねてよかったです。
【撮影地点のMapion地図】(←多分このへん)

●たどってきた谷筋を戻りながら、改めて一枚。体力の乏しさから、ごく短い距離ではありましたが、「山間の可航水路」の味、しかと堪能できました。次回はエレキモーター付きにするぞ!
走りながら妄想するのは、分水界を挟んだ浅い谷筋を掘り下げ、つなげた江戸以来の水路を、川汽船就航でさらに拡幅・浚渫し、堰と閘門の併用で水量を確保して云々と、SFじみた水路原理主義の世界。笹川湖の「川景色」は、そんな妄想をかきたてるのに、充分過ぎるものがありました。
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…5』につづく)

にほんブログ村

後で聞いたところでは、小型船舶免許があれば、エレキモーター装備のボートも貸してもらえるとのこと。ううむ、動力があれば、もっと探索できたのに‥‥と悔しくなりましたが、後の祭り。

●帰路は順風となるので、だいぶ楽に移動できました。ここで一つ発見が。進行方向右手の岸を眺めていると、斜面を削って切り開かれたような、ゆるい傾斜地が露出しているのを発見。あれ、道路の跡じゃないか?
あっ、右にガードレールと、もと標識らしいポールが見える! 水没で使われなくなった、廃道に違いない!

●こりゃイイものを見つけたと、テンション急上昇。右へ切れば、推力がなくなった分、風で横流れして姿勢が崩れます。左に大回りして、距離を取りつつ風上に切り上がりながら近づき、両舷停止。
おおお、沈みゆくガードレールを真上から眺められるなんて! 澄んだ水を透かして見える底は、まさしく道路の滑らかさ。クルマの走ることのなくなったかつての道の上を、小魚がついついと泳いでゆく姿も見られました。

妄想のオカズだけでなく、朽木の林といい、廃道といい、ダム湖ならではの情景が初体験できて、楽しい船行きではありました。訪ねてよかったです。
【撮影地点のMapion地図】(←多分このへん)

●たどってきた谷筋を戻りながら、改めて一枚。体力の乏しさから、ごく短い距離ではありましたが、「山間の可航水路」の味、しかと堪能できました。次回はエレキモーター付きにするぞ!
走りながら妄想するのは、分水界を挟んだ浅い谷筋を掘り下げ、つなげた江戸以来の水路を、川汽船就航でさらに拡幅・浚渫し、堰と閘門の併用で水量を確保して云々と、SFじみた水路原理主義の世界。笹川湖の「川景色」は、そんな妄想をかきたてるのに、充分過ぎるものがありました。
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…5』につづく)

にほんブログ村
笹川湖で貸しボートを楽しむ…3
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…2』のつづき)
●向かい風に抗して、漕ぎ進むこと約10分、すでに汗だくの情けなさ。いや、そよ風とはいえ、3人分の荷重を抱えて、風上に切り上がるのはひと仕事で、エンジンのありがたみを実感した次第であります。
進むにつれて、両岸の景色に変化が見られました。水際まで迫った森が少し後退し、地肌が透けて見えてくるとともに、朽ちた木々が水面に顔をのぞかせるようになったのです。

●枝をすっかり落とし、白く乾いた肌をさらす朽木たちのおりなす奇観、まさにダム湖の贅といってよいでしょう。
動力艇であれば、いつ船底を食い破られるか、首をすくめながらの船行きとなるところですが、ローボートというのはその点気楽なものです。仮にコツンとやっても、行き足が止まるだけで、大したことはありません。
●最初の朽木たちを見たのは、合流点の鼻先。通りすぎざまにのぞいたこちらの谷も、またよい雰囲気。
今まで通ってきた谷にくらべると、少し水際がなだらかで、上陸できる岸辺もありそう。屈曲しつつ枝分かれしてゆくいくつもの谷間、探索欲をそそられます。
●面白くなって、朽木の林の濃い方へ濃い方へと乗り込んでゆくうち、はまり込んだような形になり、抜けだすのにひと苦労。
しかし、この絡み合ったような造形、恐ろしげでもあり、興味深くもあります。こういった木々のあるあたりが、魚の棲息に適していて、釣り人さんのよいポイントとなるに違いありません。

●正面に、白い岩肌をところどころに見せた、断崖絶壁といってよい光景が広がってきました。もし、これが汽船も通るような可航水路にあったら、景勝地として名物になりそうですよね。
ちょうど目の前に姿のよい朽木が来たので、断崖をバックに一枚。
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…4』につづく)

にほんブログ村

進むにつれて、両岸の景色に変化が見られました。水際まで迫った森が少し後退し、地肌が透けて見えてくるとともに、朽ちた木々が水面に顔をのぞかせるようになったのです。

●枝をすっかり落とし、白く乾いた肌をさらす朽木たちのおりなす奇観、まさにダム湖の贅といってよいでしょう。
動力艇であれば、いつ船底を食い破られるか、首をすくめながらの船行きとなるところですが、ローボートというのはその点気楽なものです。仮にコツンとやっても、行き足が止まるだけで、大したことはありません。

今まで通ってきた谷にくらべると、少し水際がなだらかで、上陸できる岸辺もありそう。屈曲しつつ枝分かれしてゆくいくつもの谷間、探索欲をそそられます。

しかし、この絡み合ったような造形、恐ろしげでもあり、興味深くもあります。こういった木々のあるあたりが、魚の棲息に適していて、釣り人さんのよいポイントとなるに違いありません。

●正面に、白い岩肌をところどころに見せた、断崖絶壁といってよい光景が広がってきました。もし、これが汽船も通るような可航水路にあったら、景勝地として名物になりそうですよね。
ちょうど目の前に姿のよい朽木が来たので、断崖をバックに一枚。
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…4』につづく)

にほんブログ村
笹川湖で貸しボートを楽しむ…2
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…1』のつづき)
●ボートハウスすずきの店に入ると、壁の塗装も三和土もきれいで、まだ新しい感じ。軒下には、写真のようなゴムキャタピラを履いた、エンジン付きカート(?)が何台も並んでいて、珍しく眺めました。
受付でローボート1時間分の料金を払い、救命胴衣を受け取って、奥さんらしい方の案内で桟橋へ。釣り人さんのための施設とあって、単なる遊びでボートを漕ぎに来るのは、珍しいようでした。

●桟橋への道は、きれいにコンクリート舗装されてはいるものの、思ったよりずっと急な坂です。坂を下りながら聞いたお話では、釣り人さんのほとんどはエレキモーター(電動船外機)をつけて出かけるとのこと。
なるほど、重たいモーターとバッテリーを借り出して、この急な坂を上ってまた返納するとなれば、エンジン付きのキャタピラ車が必要なはずです。桟橋にも、同じカートが何台も停められているのが見えました。

●桟橋から、先ほど渡ってきた姿美寿橋を間近に見上げて。
長い橋脚の向こうに見える、もくもくと茂る両岸の緑、草深い渓谷をゆく水路の魅力がすでに全開状態!
●「細い方がスピードが出るけれど、安定がいいから幅のある方がいいでしょう」との奥さんの勧めで、箱造り似の船首をもつローボートに乗り込み、いざ湖面へ。
出た直後は向かい風で、ちょっとでも気を抜けば艇は後ずさるため、筋力の乏しい船頭としては、苦しいスタートとなりました。それでも木々を通して降りてくるひんやりとした冷気や、ときおり跳ねる魚影に励まされて、風に頭を振られながら前進微速。

●いや~、思ったとおりの「山間水路」っぷり! 緑に消えゆく屈曲の向こうが、いかにも果てしなく続いてゆくように感じられて、よきかな、佳き哉。
勘十郎堀も可航水路として現存していれば、こんな水路風景が楽しめたに違いない‥‥。おっと、釣り人さんの艇がちらほら見えてきました。運動性の乏しい(体力もないし)手漕ぎ艇、風向と推力を考えて、今から距離が取れるよう、変針しておかなければ。
【撮影地点のMapion地図】(←多分このへん)
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…3』につづく)

にほんブログ村

受付でローボート1時間分の料金を払い、救命胴衣を受け取って、奥さんらしい方の案内で桟橋へ。釣り人さんのための施設とあって、単なる遊びでボートを漕ぎに来るのは、珍しいようでした。

●桟橋への道は、きれいにコンクリート舗装されてはいるものの、思ったよりずっと急な坂です。坂を下りながら聞いたお話では、釣り人さんのほとんどはエレキモーター(電動船外機)をつけて出かけるとのこと。
なるほど、重たいモーターとバッテリーを借り出して、この急な坂を上ってまた返納するとなれば、エンジン付きのキャタピラ車が必要なはずです。桟橋にも、同じカートが何台も停められているのが見えました。

●桟橋から、先ほど渡ってきた姿美寿橋を間近に見上げて。
長い橋脚の向こうに見える、もくもくと茂る両岸の緑、草深い渓谷をゆく水路の魅力がすでに全開状態!

出た直後は向かい風で、ちょっとでも気を抜けば艇は後ずさるため、筋力の乏しい船頭としては、苦しいスタートとなりました。それでも木々を通して降りてくるひんやりとした冷気や、ときおり跳ねる魚影に励まされて、風に頭を振られながら前進微速。

●いや~、思ったとおりの「山間水路」っぷり! 緑に消えゆく屈曲の向こうが、いかにも果てしなく続いてゆくように感じられて、よきかな、佳き哉。
勘十郎堀も可航水路として現存していれば、こんな水路風景が楽しめたに違いない‥‥。おっと、釣り人さんの艇がちらほら見えてきました。運動性の乏しい(体力もないし)手漕ぎ艇、風向と推力を考えて、今から距離が取れるよう、変針しておかなければ。
【撮影地点のMapion地図】(←多分このへん)
(27年5月5日撮影)
(『笹川湖で貸しボートを楽しむ…3』につづく)

にほんブログ村