調布取水堰を訪ねて…4
(『調布取水堰を訪ねて…3』のつづき)
●都内の4閘門で、唯一見ていなかった調布堰閘門を間近に堪能でき、凹んだ気分もすっかり抜けて上機嫌の船頭。
帰りの自転車も足取り軽く…とはまいらず、日ごろの運動不足がたたって、ペダルを踏むごとに汗だくの情けないありさま。対してちょぶさんは、さすが長距離の輪行で日々鍛えられているだけあり、軽やかなこと風のごとし。船頭儀、懸命に追いかけるだけで精一杯でございました、はい。
●おっと、丸子橋を渡る前に、ひとつ重要な一件をご案内いただいたのだった。
「白い棒が立っているのが見えるでしょう、あそこにいつもはボート屋さんが店を開いているんですよ」
ちょぶさんが指さす橋脚の左側を見ると、なるほど川岸の土が露出したあたり、白い棒が立っているのが見えました。
●しかし、本当に何もない! 「多摩川・丸子橋で手漕ぎボートに乗る」でもおわかりのように、屋根つきの桟橋だってあったはずですが、それが川原に陸揚げされたわけでもなく、ボートごとどこかへ曳航してしまったということなのでしょうか。痕跡も残さず、見事な撤退ぶりというほかありません。
まあ、大型台風も近づいていたことだし、大事を取ったに違いない、と思っていたら…「丸子ボート中原屋」のウェブサイトを見ると、
猛暑のためしばらくお休みとありました。
………いやあ……、ねえ?

●東京側にあった樋門。あああ、横を通ったのだから、銘板を確認してくればよかった。
まわりの法面が広い範囲でがっちり固められていて、何か位の高そうな、大事にされている印象。法面や階段に座って、ゆっくり川面を眺めたくなるスペースでもありますね。
●駐車場の前から、対岸の閘門を眺めたところ。手前では、腰まで水につかって釣りをしている人が…いや~、本当に浅いんだなあ。
水着で泳いでいる子供もいたし、バーベキューに興じるグループもちらほら。ご当地の手近なレジャースポットとして人気があるようですね。
●そうそう、ひとつお恥ずかしい話を。調布取水堰の存在を知ったとき、なぜ「調布」堰なのか、不思議にに思っていた時期がありました。なぜって、東京の南部になじみのない者としては、多摩川っぺりの調布というと、基地のある方の印象がどうしても強かったからです。
「何でまた、あんな遠いところの地名を冠したのだろう?」と…。堰のある東岸の地名が田園「調布」であることに、どういうわけだか、なかなか思いが至らなかったというお粗末でした。
●堰の後ろに広がる緑の丘、多摩川台といって公園があり、古墳もあるのですね。本当にこのあたりの地理にうとくて、お恥ずかしい。
しかし、ここがもし可航区間であったなら、江戸川の国府台に匹敵する、内水航路の景勝地になったに違いない…などと、しばし妄想。緑の丘と閘門、実にいい取り合わせじゃないですか。
がーちゃんご一家にはこの後、地元ならではのお店にご案内いただいたりと、楽しいひとときを過ごさせていただきました。本当にありがとうございました! これに懲りず、またよろしくお願いいたします…。
(23年7月18日撮影)
(この項おわり)

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帰りの自転車も足取り軽く…とはまいらず、日ごろの運動不足がたたって、ペダルを踏むごとに汗だくの情けないありさま。対してちょぶさんは、さすが長距離の輪行で日々鍛えられているだけあり、軽やかなこと風のごとし。船頭儀、懸命に追いかけるだけで精一杯でございました、はい。

「白い棒が立っているのが見えるでしょう、あそこにいつもはボート屋さんが店を開いているんですよ」
ちょぶさんが指さす橋脚の左側を見ると、なるほど川岸の土が露出したあたり、白い棒が立っているのが見えました。
●しかし、本当に何もない! 「多摩川・丸子橋で手漕ぎボートに乗る」でもおわかりのように、屋根つきの桟橋だってあったはずですが、それが川原に陸揚げされたわけでもなく、ボートごとどこかへ曳航してしまったということなのでしょうか。痕跡も残さず、見事な撤退ぶりというほかありません。
まあ、大型台風も近づいていたことだし、大事を取ったに違いない、と思っていたら…「丸子ボート中原屋」のウェブサイトを見ると、
猛暑のためしばらくお休みとありました。
………いやあ……、ねえ?

●東京側にあった樋門。あああ、横を通ったのだから、銘板を確認してくればよかった。
まわりの法面が広い範囲でがっちり固められていて、何か位の高そうな、大事にされている印象。法面や階段に座って、ゆっくり川面を眺めたくなるスペースでもありますね。

水着で泳いでいる子供もいたし、バーベキューに興じるグループもちらほら。ご当地の手近なレジャースポットとして人気があるようですね。
●そうそう、ひとつお恥ずかしい話を。調布取水堰の存在を知ったとき、なぜ「調布」堰なのか、不思議にに思っていた時期がありました。なぜって、東京の南部になじみのない者としては、多摩川っぺりの調布というと、基地のある方の印象がどうしても強かったからです。
「何でまた、あんな遠いところの地名を冠したのだろう?」と…。堰のある東岸の地名が田園「調布」であることに、どういうわけだか、なかなか思いが至らなかったというお粗末でした。

しかし、ここがもし可航区間であったなら、江戸川の国府台に匹敵する、内水航路の景勝地になったに違いない…などと、しばし妄想。緑の丘と閘門、実にいい取り合わせじゃないですか。
がーちゃんご一家にはこの後、地元ならではのお店にご案内いただいたりと、楽しいひとときを過ごさせていただきました。本当にありがとうございました! これに懲りず、またよろしくお願いいたします…。
(23年7月18日撮影)
(この項おわり)

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調布取水堰を訪ねて…3
(『調布取水堰を訪ねて…2』のつづき)
●法面の上から上流側を眺めて。ご覧のとおり結構な傾斜と高さがあり、階段があるところはよいのですが、ブロックの法面をそのままよじ登ると、ちょっと足がすくむ高さで、思わずへっぴり腰に。
堤防と堰柱を結ぶ鈑桁の管理橋が気になりました。上流と下流のゲートに各1本架かっていますね。

●真横に来たところでまた法面に登り、管理橋をアップで。竣工当時か、もしくは戦後間もなくに架けられたものらしく、期待どおりリベットばりばりでよい感じ。
橋脚につま先立ちしている、支承があまり見たことのない形で、これも気になります。ハの字に開いているのは、何か意味があるのでしょうか。
●上流側ゲートの側面には、岩淵水門などと同様、過去の洪水時の水位が記録されていました。つい最近、平成19年にもA.P.+8.6mまで増水したことがあるのですね。計画高水位はA.P.+10.22mとのこと。
青く塗られたいかつい樋は、魚道のフラップゲートを起伏させるための、長いロッドを収めているものです。
●上流側から眺めて。仮に上流から来て通航するとして、どうすればよいのでしょう。堰柱上にはこちらを向いている監視カメラはないようでしたが、堤防上の管理事務所にはあるのかしら。
しかし、閘門の左右には背割堤も何もないため、入閘するときちょっとでも操艇をあやまったら、魚道か水門に吸い込まれてしまいそうで怖いです。
カヤックなど軽く、喫水が浅い艇なら、オーバーフローする水に押し流されて、ゲートの上に乗り上げてしまいそう…などと、マイナス思考の妄想がぐるんぐるん回りました。

●でまあ、やはり意識が吸い寄せられてしまうのが、この管理用テンダー。
堰の上流なら、水深があるので機走できそうですが、閘門を通って下流に行くとなると、どうでしょうか。自分なら、やはりエンジンはチルトアップしておいて、棹でそろそろと歩かせたいところです。
(23年7月18日撮影)
(『調布取水堰を訪ねて…4』につづく)

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堤防と堰柱を結ぶ鈑桁の管理橋が気になりました。上流と下流のゲートに各1本架かっていますね。

●真横に来たところでまた法面に登り、管理橋をアップで。竣工当時か、もしくは戦後間もなくに架けられたものらしく、期待どおりリベットばりばりでよい感じ。
橋脚につま先立ちしている、支承があまり見たことのない形で、これも気になります。ハの字に開いているのは、何か意味があるのでしょうか。

青く塗られたいかつい樋は、魚道のフラップゲートを起伏させるための、長いロッドを収めているものです。

しかし、閘門の左右には背割堤も何もないため、入閘するときちょっとでも操艇をあやまったら、魚道か水門に吸い込まれてしまいそうで怖いです。
カヤックなど軽く、喫水が浅い艇なら、オーバーフローする水に押し流されて、ゲートの上に乗り上げてしまいそう…などと、マイナス思考の妄想がぐるんぐるん回りました。

●でまあ、やはり意識が吸い寄せられてしまうのが、この管理用テンダー。
堰の上流なら、水深があるので機走できそうですが、閘門を通って下流に行くとなると、どうでしょうか。自分なら、やはりエンジンはチルトアップしておいて、棹でそろそろと歩かせたいところです。
(23年7月18日撮影)
(『調布取水堰を訪ねて…4』につづく)

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調布取水堰を訪ねて…2
(『調布取水堰を訪ねて…1』のつづき)

●ステンレスパイプ組みの頑丈そうな柵に、有刺鉄線がぐるぐると巻きつけられ、ただでさえ剣呑な雰囲気のところへ持ってきて、「侵入者は警察に通報します」とは穏やかではありません。
すでに上水道の取水は止めているとはいえ、やはり水道局の管理する施設、水源地に準ずる、厳重な管理が求められているということなのでしょうか。
●水面に近い低い位置から撮ってみたくなり、柵の間に手を突っ込んで一枚。右手から魚道、閘門、そしてゲートが2径間。その左手には角落しによる堰が5径間あり、川崎側にはわずかですが固定堰の部分もあります。
「調布取水堰」(京浜河川事務所・橋の写真館)によると、昭和11年竣工とのこと。都内にある現役の閘門では、もっとも古いものなのですね。
過去ログ「多摩川こわい…10」ほかでも紹介したように、今は河床が上がり、通船はほとんどないと思われますが、かつては上流部からの筏による原木輸送を中心に物流路として利用されていたため、閘門が設けられたのでしょう。
●閘門の真横近くは、柵に加えて高々とネットが張られ、ますます観察が難しい状況に。仕方なく法面によじ登って、高い目線から一枚。下流側の堰柱上にチョコンと乗っかった、運転室がかわいらしい感じですね。
上流側ゲートは、船が通ったら頭をぶつけそうな、微妙な位置で開放されているのが気になります。水位差の少ない、堰に設けられた閘門ということもあり、バイパス装置のない、扉体を細めに開けて注排水する略式のものでしょう。

●運転室が気に入ってしまった。装飾はないものの、エッジの立った直線的な堰柱にくらべて、わずかに面を取った丸みのあるデザインが、微妙な違和感をかもし出しているのもステキ。後年の増設のように感じられますが、いかがでしょうか。
手前角にポツンと留まった、カラス君の姿もわびしさがあって、イイ感じです。
●そして閘室の側壁に目線を落とすと、お定まりのトリさん社交場状態(笑)。やはりカワウ君が一番多く、羽を乾かしたり、べったり座り込んだり、羽づくろいをしたりとくつろぎ放題。
側壁の天端、フンで真っ白ですねえ…。こうして見ているあいだにも、気持ちよさそうに爆撃を繰り返しており、代謝のよさと爆撃量の多さ(?)に、何か底知れぬ生命力を感じたような気がしたものです。
(23年7月18日撮影)
(『調布取水堰を訪ねて…3』につづく)

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●ステンレスパイプ組みの頑丈そうな柵に、有刺鉄線がぐるぐると巻きつけられ、ただでさえ剣呑な雰囲気のところへ持ってきて、「侵入者は警察に通報します」とは穏やかではありません。
すでに上水道の取水は止めているとはいえ、やはり水道局の管理する施設、水源地に準ずる、厳重な管理が求められているということなのでしょうか。

「調布取水堰」(京浜河川事務所・橋の写真館)によると、昭和11年竣工とのこと。都内にある現役の閘門では、もっとも古いものなのですね。
過去ログ「多摩川こわい…10」ほかでも紹介したように、今は河床が上がり、通船はほとんどないと思われますが、かつては上流部からの筏による原木輸送を中心に物流路として利用されていたため、閘門が設けられたのでしょう。

上流側ゲートは、船が通ったら頭をぶつけそうな、微妙な位置で開放されているのが気になります。水位差の少ない、堰に設けられた閘門ということもあり、バイパス装置のない、扉体を細めに開けて注排水する略式のものでしょう。

●運転室が気に入ってしまった。装飾はないものの、エッジの立った直線的な堰柱にくらべて、わずかに面を取った丸みのあるデザインが、微妙な違和感をかもし出しているのもステキ。後年の増設のように感じられますが、いかがでしょうか。
手前角にポツンと留まった、カラス君の姿もわびしさがあって、イイ感じです。

側壁の天端、フンで真っ白ですねえ…。こうして見ているあいだにも、気持ちよさそうに爆撃を繰り返しており、代謝のよさと爆撃量の多さ(?)に、何か底知れぬ生命力を感じたような気がしたものです。
(23年7月18日撮影)
(『調布取水堰を訪ねて…3』につづく)

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調布取水堰を訪ねて…1

そうだ、「多摩川・丸子橋で手漕ぎボートに乗る」(がーちゃんフォトアルバムVol.2)で紹介されていた、多摩川の貸しボートに乗りに行こうと思い立ち、ろくに準備もせず、午後になってバタバタと出かけたのが、つまづきのはじまりでした。
●丸子橋を渡って川崎側に着いたものの、河川敷の駐車場への入口がわからない…。ずっと下流のガス橋まで連れて行かれたり、しばらく付近をぐるぐる回ったりした後、ついにギブアップ。
がーちゃんご一家家長・ちょぶさんに電話で助けを乞うと、横目で見つつ何度も通り過ぎていた、「ゴルフ場入口」と書かれたところが入口であることがあることが判明。
脱力しつつ駐車場に入ると、ちょぶさん、halcoさん、がーちゃんが自転車で様子を見に来てくださり、恐縮至極。ここでちょぶさんより重要な情報が!
ボート屋さんはお休み
だそうです…ガックリ。だから事前に電話で確かめればよいものを、過去ログの「がっかりしたけれど…1」から、まったく学習していません。

●やる気が萎えて凹む船頭に、せっかく来たのだから、自転車で調布堰の閘門を見に行きましょうよ、と優しく誘ってくださるちょぶさん。お言葉に甘えて、halcoさんの自転車をお借りし、地元民・ちょぶさんの豪華ガイド付きで丸子橋を渡り、閘門見物と相成りました(写真は帰路撮影)。
ちょぶさんの後ろについて走りながら、丸子橋の曲線美に惚れ惚れ。川風も気持ちがよく、お陰さまで凹んでいたやる気も、ずんずんと快復してきました。

ズームでぐっと寄ってみる(下写真)と、おお、下流側扉体のオーバーフロー、魚道の様子とディテールが手に取るように分かりますね。落差がそうあるわけでもないのに、堰の小瀑布が放つ涼しい風が、ここ橋の上まで流れてくるのがわかりました。


水位計測施設の向こう、法面には今でもずいぶんいかつい柵が設けられていますね。以前拝見した記事「調布取水堰閘門」のように、うまく写真が撮れるかしら。
【撮影地点のMapion地図】
(23年7月18日撮影)
(『調布取水堰を訪ねて…2』につづく)

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