西広堰…4

(『西広堰…3』のつづき)

139016.jpg用水路沿いの公園…「西広堰農村公園」を、少し歩いてみることにしました。夕闇が迫り、しんしんと寒気が染み入ってくる時間帯にもかかわらず、ジョギングや、犬の散歩をする人など、結構な利用者が見られました。

道は未舗装ながら小石が敷かれ、護岸は木製、橋もそれに合わせて木橋がかけられるなど、「公園」を名乗るだけあって隅々まで整えられた印象。水の方は、農閑期とあって通水しておらず、養老川に近い区間は浅く溜まっている程度で、進むにつれて乾いた河底が露出するようになりました。

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東屋のある屈曲部を過ぎ、ほぼ北西に向かう河道に沿って歩いてゆくと、小さな樋門を発見。いや、樋門…なのかしら?

扉体を上下させるものと、塵芥取りの格子をメンテナンスするためでしょうか、大小3つものホイストを備えた、まだ真新しいもの。背後の建物は、公民館にしてはちょっと妙な雰囲気だったので、揚水機場か何かと思われます。

139018.jpgそして、樋門(?)の数m下流にあった、コレ! 小さな堰ですよね? 橋と作業足場を兼ねた梁、堰柱もすべて、混じりっ気なしの木製。これも板羽目堰同様、技術伝承のために復元保存されているのでしょうか。こじんまりとまとまった可愛らしさ、大いに惹かれます。

一見したところでは、扉体というか、角落としの装着方法がいま一つわかりません。戸溝が切っていないところを見ると、水圧で角落としを密着させる方式なのかな? 堰柱の上に彫られた、ホゾのような凹部の用途も気になります。
撮影地点のMapion地図

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遠くから踏切の音が聞こえてきたので、小湊鉄道の線路のある方を眺めていると、間なしに3輌編成のディーゼルカーがやってきました。

いまや珍しくなったタイプの気動車ですが、美しく整備されているようで、背後の住宅群がなければ、40年くらい前の田園風景といっても通じそうです。

139020.jpg静かな夕暮れの中、水門や水路風景を眺めながらお散歩できて、楽しいひとときでした。田んぼの中の道を歩いていると、チュンチュンと元気な鳴き声とともに、田んぼの真ん中からスズメの大群が飛び立って、電線にびっしりと留まり、まさに鈴生り。

寒いのでしょう、羽をふくらませてボールのようです。田んぼで落ち穂を拾って、満腹したことでしょうね。


(25年12月8日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 養老川 西広堰 樋門

西広堰…3

(『西広堰…2』のつづき)

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西広堰を離れ、上流側に歩いて、先ほど見えた床固というか、堰堤の真横から眺めてみました。二段に造られた低い堰の上を、河水が音を立てて越流しています。

139012.jpgこの堰堤こそ、旧西広堰…現在は「西広板羽目堰」として保存され、数年ごとに組み立て・倒伏が実演されている、明治時代に考案された一種の可動堰の基礎部分。実演のたびにテレビなどで報じられるので、ご覧になった方も少なくないでしょう。

幅61mの堰堤を前に、水を湛えた木製の堰が一瞬にして倒され、水がどっと流れだす勇壮なシーンが思い出されました。一度見てみたいものです。護岸上には、板羽目堰の組み立てや回収に用いるのか、FRP和船が保管され、柵は開閉できるようになっていました。

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この一帯はご覧のとおり、ちょっとした広場になっていて、「西広板羽目堰資料保管庫」と大書きされた看板の両脇に、説明板らしいものも見られます。保管庫はこの西側にあり、板羽目堰を構成する部材の収納と、展示・休憩室を兼ねているのだとか(『自然の力をしなやかに調和させた先人の知恵「養老川西広板羽目堰」農林水産省)。

広場になっているのは、堰の部材を保管庫から出し入れする、作業スペースとみてよいでしょう。右に見える樋門は、堰上げられた河水を田畑に取水する、導水路のものでしょうか。説明板を見に行ってみましょう。

139014.jpg説明板のアップ。西広板羽目堰の構造や歩みが簡潔にまとめられ、写真や図面も添えられて、市を挙げて技術伝承と保存につとめていることが感じられました。次の実演は、いつになるんだろう…。

ちなみに、「西広板羽目堰における伝統工法・技術の評価」(PDF)には、原理や構造の詳細はもちろん、最盛期、養老川に6ヶ所も存在した板羽目堰の歴史についても触れられており、一読をお勧めします。

実演時の動画もいくつかアップされているようですが、「西広 板羽目堰」(You Tube)が解像度はいま一つであるものの、短くまとまっており、雰囲気はよく伝わってきます。

139015.jpgこちらは、周辺の案内図。堰上げられた水を導く灌漑用水路に沿って、小湊鉄道の近くまで散策路が整備されているのですね。

検索してみたところ、この水路に沿ったお散歩道は「西広堰農村公園」(もったねえよいちはら)というそう。記事を読んでみると、おお! 養老川も水運が盛んだった時代があったんだ! 

しかし、かつて6ヶ所も板羽目堰があったということは、少なくとも春から秋にかけて、舟航が途絶していたということですよね? 記事中にある「堰が開放されるまで船上に足止めされた人々」前後の文章からすると、舟運のため、割と頻繁に堰が倒伏されていたようにも読めますが、果たしてどんな形で折り合いをつけていたのでしょうね。
撮影地点のMapion地図

(25年12月8日撮影)

(『西広堰…4』につづく)

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タグ : 養老川 西広堰 西広板羽目堰 樋門

西広堰…2

(『西広堰…1』のつづき)

139006.jpg近づいて管理橋をよく見てみると、クルマが通れそうな幅員があるようで、橋脚ごとに街灯も備えられ、単なる人道橋とは思えない雰囲気。

今回、対岸には行ってみなかったのですが、ここから眺めたかぎり、管理橋の対岸は取り付け道路がつながっているように見えました。本来は車道橋として造られたものの、北岸に土地の確保ができず、こちらは暫定的に階段のみとされたのかもしれません。

139007.jpg管理橋に上がれなかったので、堰柱の銘板は確認できなかったものの、管理橋の桁側面に橋のメーカーズプレートを発見。

何分夕方ということもあり、数枚撮ったのですが、どれもピンボケで判読が難しいありさま。1977年3月竣工であることがわかっただけでも、よしとしなければならないでしょう。


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139009.jpg堰柱はまったく飾り気のない、質実剛健といった雰囲気。巻上機室は両岸が上流側1枚窓、中央の2基が幅広で、2枚窓となっていました。

扉体を上流側に回って眺めてみると、スキンプレート一面にべったりと、泥の汚れがこびりつき、塗色もほとんど見えないくらいです。農業用水の取水堰として、水田に湛水させる時季は常時閉となるためでしょう。


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上流側から、西広堰の全景を眺めて。簡素ながら頼もしいその姿、泥にまみれた働きものの偉丈夫といったところでしょうか。

堰の周辺は駐車場に加えて、散策道として擬木の柵や緑地が整えられているのですが、高い柵と松などの植木に邪魔されて、全体像を心おきなく眺められる場所に乏しいのが、ちょっと残念でした。


(25年12月8日撮影)

(『西広堰…3』につづく)

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タグ : 西広堰 養老川

西広堰…1

139001.jpg12月8日は、千葉県市原市を訪ねた帰り、養老川にある水門、西広堰(さいひろぜき)に立ち寄ってみました。着いたときは16時を回り、すでにあたりは薄暗くなっていましたが、静かで広々とした夕景の中、たたずむ水門もよいもので、短時間ながら楽しめました。

北岸から西広堰に近づくと、数台分ながら駐車場が設けられ、水門好きには嬉しい環境。北側の県道140号線からの道は、細く危険な区間もあるので、西側の市原バイパスから入った方がよいでしょう。

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さっそく岸の柵に駆け寄って、下流側から眺めてみました。オレンジ色の管理橋にさえぎられて、こちらからは扉体を見ることはできませんが、3径間の結構なボリュームを持つ水門であることがわかります。

向こうの水面には、床固のような落差が見えますね。これも有名な物件です、後で行ってみましょう。

139003.jpg同じ場所から、下流側を眺めて。向こうに見える橋は、国道297号線・市原バイパスの西広橋。感潮域なのか、冬になり流量が減っているのか、南岸には大きな泥の洲が広がっています。

田んぼでもみ殻を焼いたのでしょうか、煙の匂いがうすうすとただよい、夕凪で鏡のようになった川面とあいまって、ひなびた冬枯れのムード満点といったところ。雲の合間からのぞく夕焼けが、水面に映ってきれい。あれ、水面に顔を出しているのは…。

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やはり、沈船でした。残骸から察するに、17ftくらいのバウカディ艇でしょうか…合掌。ここもかつては、船影の絶えない時代があったのかなあ…と、あれこれ想像。

139005.jpgこれだけ立派な管理橋が併設されており、橋にも乏しいとなれば、地域の交通路として開放されていて、自由に渡れるに違いない…と思っていたらさにあらず、入口は施錠されていました。

階段のゆるい傾斜からして、純粋に管理のため造られたとは思えません。以前は通行可だったのかもしれませんね。

というわけで、堰柱のディテールや、そこに掲げられているであろう、銘板のたぐいは撮ることがかなわず、少々残念ではありました。
撮影地点のMapion地図


(25年12月8日撮影)

(『西広堰…2』につづく)

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