8月13日の綾瀬水門

(『8月13日の上平井水門…2』のつづき)

209061.jpg道々のことは例によって措くとして、綾瀬水門から荒川に出るとしましょう。緑の堤防を従えて逆光の中うっそりと立つ一径間のゲート、都内の水門でも、独特の風情がある好ましい表情。

中川水門でも結構な流速があったので、こちらでは少しじっくり楽しませてもらおうと、スロットルをしぼり減速、まずは様子を見ることに。

209062.jpg
うひょひょう、吸い込まれる吸い込まれる! 土色の水面が径間に向かって、放射状の縮緬ジワをつくっており、さらに側壁が狭まったところで、くっきりと横一線を描いている! あの線から向こうは、明らかに水面の勾配があるのです!

観察しながら一航過してゆっくり回頭、流速に沿って下航するには、最初の姿勢が肝心ですから、よーく狙いを定めてちょい増速。さて、吸い込まれますか!

209063.jpg
うひゃひゃひゃ、はやい速い! 一線を越えたとたん、スゥーッと体が持ってゆかれる感覚とともに、頬をなぜる風もかすかに強くなる、この快さと緊張感!

側壁の凹凸で、チャパチャパと小さな音をたてる水面を横目でチラ見するのも面白いもの。いってみれば、もの凄く緩慢かつ、静かで地味なウォーターシュートといったところでしょうか?

209064.jpg

209065.jpg堪能し過ぎて、慎重にすべき舵を誤り、ちょっと姿勢を崩してしまいヒヤリ。さらにちょい増速し立て直します。ちなみに綾瀬水門、ゲートの前後に、ご覧のような角落しの戸溝が新設されていました。

角に立っていた釣り人さんにお詫びしながら、高水敷の水路を離脱、荒川へ。ほんの一瞬ではありましたが、流れに乗るスリルを久しぶりに楽しめて、嬉しいひとときではありました。
撮影地点のMapion地図

(29年8月13日撮影)

(『源森川水門、竣工間近』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 綾瀬川 荒川 綾瀬水門

8月13日の上平井水門…1

(『8月13日の新砂水門』のつづき)

209051.jpg荒川を遡上して、中川水門から中川へ入りましょう。このすぐ上流にある上平井水門の、更新工事を見ておきたかったのです。

この時間帯は、中川から荒川への流れがあり、写真でも硬くさざ波立った水面が、荒川の流速で右へ押しやられているのがわかります。長声を鳴らしつつ進入、ガクガクと振動する艇に流速を感じながら、水門をくぐりました。


209052.jpg
出てすぐ左へ向き直ってみると、第三径間の扉体と巻上機室がすっかり取り外され、かつてと雰囲気がガラリと変わった上平井水門の姿が、前方に広がりました。

角落しで塞がれた径間に接して、ジブを高々ともたげたクレーン船、曳船などがもやい、叢雲をバックにどこか勇壮な雰囲気。近づいて観察してみましょう。

209053.jpg
堰柱はすっかり足場で覆われ、中の様子はうかがい知れません。径間を塞ぐものは角落しというより、細長い角棒状の鋼函のようですね。

手前、台船上に積み上げられたコンクリート塊に、「6.1t」「6.6t」などと、0.1t単位で重さを大書きしてあり、また土嚢も多く積まれているのも気になります。クレーンが作業する際のカウンターウェイトなのか、もしかしたら、鋼函の中に入れて重石にでもするのかしら、などと妄想。

209054.jpg
一見して、何よりショックというと大げさですが、実際残念に思ったのが、鋼製部分の汚れや褪色です。

209055.jpg扉体には泥色の湛水線が付着し、美しいマルーンに塗り上げられた梁も、水垂れ状の痕が無数に付き、全体に薄汚れた印象は否めません。

上平井水門といえば、カラーリングのセンスの良さと、大面積の扉体や梁を活かした、塗装の美しさに惹かれたものですから、これは残念を通り越して、哀れを誘いました。何分この規模ですから、工事は長きにわたるものと思いますが、この姿がずっとさらされると思うと、同情を禁じ得ませんでした。
撮影地点のMapion地図

(29年8月13日撮影)

(『8月13日の上平井水門…2』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 荒川 中川 中川水門 上平井水門 台船

新砂水門を俯瞰する…3

(『新砂水門を俯瞰する…2』のつづき)

208011.jpg
クルーザーが狭窄部を抜けたところで、ようやく、やっと最初に目指していたものを眺め始めたというていたらく。ズームでたぐり改めて観察してみると、鋼矢板で囲まれ、水を抜かれた現場がひときわ存在感を放つ角度ではあります。水門の正面に立ち塞がるような格好というのも、インパクトを増しているのでしょう。

左側の護岸上には、大型のクレーンが2基、現場にジブをもたげて在り、鋼矢板上に設けられた足場にも、数台の重機など車輌が見えますね。

208012.jpg
現場をアップで。向こう側、水門の対面には浚渫船が1隻、囲壁に横付けしています。望の大潮を2日後に控えているとあって、ちょうど写真を撮ったころが満潮時、推算潮位は191㎝。吹き寄せやちょっと高い引き波があれば、易々と水がなだれ込みそうなギリギリ感! もちろんポンプは、十分な能力が備わっているのでしょうが‥‥。

新しい新砂水門が建設される?」でも、国土地理院の空中写真で紹介しましたが、現新砂水門の建設時も、ほぼ同様の工法で基礎工事を行っていたわけです。現水門の竣工から40年余りを経て、新水門の工事をリアルタイムで目にできること、馴染みの水門ということも手伝い、興味も一段とそそられるというものです。

208013.jpg
新砂水門を初通航した20ン年前‥‥そのどっしりとした、巌のごとき風貌に、まさか引退する日が来るとは想像もしていませんでしたが、彼も形あるもの、船頭同様、よわいを確実に重ねていたのであります。数年後には、この水門風景も過去のものになるんだなあ。

208014.jpgさて、暑い中せっかく訪ねたこともあり、水門以外も物見高く見物してから帰りましょう。高欄の外側に身を乗り出すと、何ていうんでしょう、傘をかむった二段のランプケースが。火屋の黄色がそのまま灯火の色なら、橋脚の位置を示す標識灯、「橋脚灯」と思われます(海上保安庁作成のPDF『航路標識の基本ルール』16ページに詳しく載っています)。

この灯火は海上橋梁に設けられるもので、河川のそれには設置義務はないはずですから、荒川河口橋は海に架かる橋として扱われていることになります。本船航路、すなわち砂町運河に出入りするガット船が通る橋なので、このやり方もうなずけますね。


208015.jpgのぞき込んでみると、腹がスースーするようなはるか下に、錆色の防護工が見えました。コレ、艇から間近に眺めると、何かとぶつかってひしゃげた様子が、いかにも恐ろしげなんですよね。

最近の大型橋梁で、これを設ける例は珍しいと思いますが、やはり輻輳水域であり、何より本船の通航があることから、対船舶という意味で、特に設けられたのでしょうか。

(29年8月6日撮影)

(この項おわり)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 荒川 砂町運河 新砂水門

新砂水門を俯瞰する…2

(『新砂水門を俯瞰する…1』のつづき)

208006.jpg鋼矢板で狭められた狭窄部を抜けると、客船は舵を右に当て、河道中央に向けて変針してきました。ほぼ正面から見る形になり、甲板室が角張っていることから、まるで箱が走ってくるようです。

ふと、二層の甲板室の上にもデッキがあることから、この船なら鋼矢板で仕切られた中も、間近で見下ろせるだろうな‥‥と、ちょっとうらやましく思ったり。

208007.jpg
近づいてきたところで、ズームでたぐり寄せて一枚。この船、アニバーサリークルーズの「セレブリティ2」だそう。過去一度だけですが、砂町運河で走っているのを見たことがあります。スマートさはないものの、収容力重視らしい角張ったスタイルはどこかユーモラスで、カタマランというのも湾奥の遊覧船では珍しいですね。

ちなみにアニバーサリークルーズ、川蒸気を思い起こさせるデザインの河用客船として、以前から強く惹かれている「マルコポーロ」も船隊の一員なのですね。

208008.jpg「セレブリティ2」は荒川に出ると、軽く取舵に当てて行き足をつけ、警戒船のかたわらを通り過ぎてゆきました。これから河口の橋梁群をくぐり、陽の落ちる前に、お客さんをお出迎えといったところでしょうか。

クルーザーは、吹き寄せられてだいぶ上流へ移動していましたが、待ちかねたように前進を始め、すでに船首波を白く盛り上げていました。


208009.jpg
水門工事の様子を見に来たとはいいながら、なかなかご本尊に目線がいかないな。まあ、せっかく訪ねたことだし、物見高く眺めてみたいものです。

運河入口の南岸に、設けられたこれは信号所というべきでしょうか。フェンスで囲まれた草地の一角に、小さな詰所と電光掲示板を備えたもので、係の方が常駐し、信号を現示するとともに旗を振っています。ちょうど「通航可」を示す、緑の〇が表示されました。詰所の中、扇風機が見えることから、もしかしてクーラーはないのかしら‥‥。ご苦労さまです、どうかお身体にお気をつけて。

208010.jpg
運河を上航するクルーザーを見送りつつ、ようやく水門工事を眺めてやろうと、カメラを構えなおしました。いや、この高さから見下ろすと、改めて航路の狭さが実感できます。おおむね4分の1といったところでしょうか。本船進入時のご苦労が想われました。

(29年8月6日撮影)

(『新砂水門を俯瞰する…3』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 砂町運河 荒川 新砂水門

新砂水門を俯瞰する…1

208001.jpg
ここしばらく、なかなかまとまった時間が取れず、水の匂いからもだいぶ遠ざかっている気が。そんな中、一昨日は午後遅く用足しが済み、夕方少し時間ができたので、かねてからやってみたかったことを実行することにしました。

歩きはじめて5分、陽射しはもとより、風も濃厚な湿度をはらんでいるのですでに汗だく。救いなのは、勇壮な入道雲がむくむく盛り上がっていること。刻々と形を変えるさまを眺めていると、少しですが暑さを忘れることができます。

208002.jpg
いま歩いているのは、荒川河口橋の上流側歩道。自艇では、それこそ先代艇の時代から数えきれないほどくぐってきて、クルマでも結構な頻度で渡っているのですが、自分の足で歩くのは初めて。

208003.jpgやってみたかったのは、現在工事が進んでいる新・新砂水門の現場の様子を、水面からでは得られない、高い視点から眺めてみたいということ。艇を準備して、水路に出る時間の余裕はなくとも、これなら楽しめるでしょう。

さて、陽射しにじりじり焼かれながら橋の坂道を歩くうち、上に掲げた親柱の手前、取付道路の脇に、道路工事の施工業者の看板を、ずらりと掲げた凹部が。その右隣、「この通りは駐車禁止になります」の注意書きに、「東京水上警察署」の文字が! 水上署は、平成20年で湾岸署になったはずなのに‥‥。この看板、いつからあるんだろう?

208004.jpg
橋が高度を上げると、荒川の川面が見えてきました。台風の影響か、少し強めの南風が入って、水面は細波立っています。

手前には、交互通航である新砂水門の工事区間を管制する、警戒船が赤旗を立てて遊弋しています。その向こうは通航の許可待ちでしょう、黒い船体のフライブリッジ付きクルーザーが漂泊中。さらに対岸には新左近川水門や、夏の陽光に輝く高速道路も見えてと、視点を移してゆく楽しさがある川景色。クルマの車窓からではなく、荒川を歩きながら眺めるのは久しぶりなので、「ああ、キレイだなあ」と、しみじみ口をついて出てしまうほどでした。

208005.jpg
さらに進み、そろそろ新砂水門が見えるころ‥‥と振り返ってみると、おお! ちょうど工事区間を抜けて、客船が一隻出てくるところだ!

視界の端に見えた、矢板で囲まれた工事現場のことはたちまち吹っ飛んで、この客船を少しでもいいポジションでとらえようと、先を急ぐことに。暑いし坂道だけど走るぞ!
撮影地点のMapion地図

(29年8月6日撮影)

(『新砂水門を俯瞰する…2』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 荒川 砂町運河 新砂水門 新左近川水門