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英虞湾遊覧船に乗って

(『深谷水道の絵葉書と国内の地峡運河のことなど』のつづき)

312133.jpg伊勢志摩方面の水路趣味徘徊の締めくくりは、賢島から英虞湾をめぐる遊覧船に乗ることにしました。あいかわらず陽は射さず、美しい内海の風景を前にして惜しいところではありましたが、大いに楽しめました。

ほか、前後の道々で目にした物件や街並みについても、落ち穂拾い的にここへまとめさせていただきます。

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タグ : 英虞湾賢島賢島遊覧船

深谷水道を通って…7

(『深谷水道を通って…6』のつづき)

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しばらく海上から南口の風物を眺めた後、再び水道へ進入。いわば流れに逆らい遡上する形ですから、回転数をぐっと上げ行き足をつけないと頭が振られたとき、姿勢を立て直しづらくなるのは川と同様。「ALBION」は微速ながら、力強い引き波を立てて北上します。足下から伝わってくる振動、流速を実感させていいですね。
(遡上時の動画はこちら

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K船長にお願いして、実は2往復していただきました。初回は興奮していて余裕がなかったものの、いったん北口に戻るとふと、水深がどんな様子になっているのか、改めて観察してみたくなったからです。やはり元からあった水域と、開鑿した区間は違うのかしら、また流速があるということは、堆砂で浅くなったりしているのかしら‥‥と。

ゆっくり流してもらいながら、魚探の感を注視。結果は‥‥水道北口の湾最奥部は4m~3m台後半、北口付近で徐々に浅くなり3m前後、岸に寄せると2mほどのところもありました。水道開鑿部に入ると3m前後で安定し、南口付近で2.6m程度と浅くなり、出ればまた急速に深くなる、といった感じ。"河口"で浅くなるあたり、川とよく似ています。

ちなみにカメラのタイムスタンプで通航時刻を見ると、北口~南口間が9:17~9:25。この日2月2日の日中の満潮が9:56で1.63m、朝の干潮は3:37で0.64m。満潮時に近い潮位でこの流速ですから、大潮の干潮時など急流河川顔負けの凄さなんだろうなあ、と想像したものです。

また大潮の干潮時は、2日のこの時点より2m近く水位が下がることを考えると、深谷水道自体の水深は小型船舶にとっても、決して十分とはいえなくなります。浚渫など、絶えざる整備が必要ではあるのでしょうね。
気象庁の潮位表『鳥羽』を参考にしました)

312123.jpgK船長のご協力のおかげで、水路バカとしての好奇心も満たせて、満足満足。2度目の遡上ということで余裕もでき、ゆっくり両岸の風物を堪能。

船首に立っていたら、猛禽類らしい大きなトリさんがしきりに低空飛行してきて、北上する艇をうろんげに偵察していました。トンビかしら? 釣った魚でも載せていたら、かすめ取ってやろうと思っていたのかな。

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お名残り惜しいですが、4度目の北口灯台を見ながら深谷水道ともお別れ。初めての地峡運河体験、素晴らしいひとときでした。

‥‥あ、雲が切れて、少し明るくなってきた。もちょっと遅い時間にお願いすればよかったのかな‥‥、と思っても後の祭り。

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「入港」の抜き文字に出迎えられて、深谷漁港水門を通りつつがなく帰港。K船長、諸々わがままをきいていただき、ありがとうございました!

次回は昔の絵葉書を紹介するとともに、深谷水道の来歴と、ついでに国内の地峡運河についても、いい機会ですから暑苦しく語りたいと思っております。少し時間をください。

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道の絵葉書と国内の地峡運河のことなど』につづく)

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タグ : 深谷水道英虞湾深谷漁港水門

深谷水道を通って…5

(『深谷水道を通って…4』のつづき)

312111.jpg流速を実感しながらのひととき、左手に護岸天端と同レベルの一角が見えてきました。緑色の水を満たした、風呂桶のような丸い水槽が並んでいて、ホースでエアーを入れているようです。何か飼っているのかな?

対岸も、こちらほどではないですが低くなっているところをみると、流路を直角に横断する形で、もとからあった谷筋なのでしょう。天端はテラス状になっている区間が多いので、お散歩したら楽しいでしょうね。

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屈曲にさしかかると早速、繁茂する木々の向こうから橋が顔をのぞかせてきました。深谷水道開鑿と同時に架けられたRCアーチ、深谷橋ですね! この区間のハイライトともいえる場所です。

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深谷橋を正面から。径間と天地の比率がバランスがとれていて、佳い雰囲気の橋ですよね。アーチの向こうに斜にかかった青い鋼桁橋は、国道260号線深谷大橋。昭和53年にこの橋が架かると、深谷橋は深谷大橋の名前を譲って、人道橋となったそう。いわば新旧の深谷大橋が並んで現存しているというわけ。

深谷橋の前後の護岸は、既存の凸型ブロック護岸より前進して、フラットな新しい護岸で改修されていますね。橋の表面もエポキシ塗装なのか、近年補修されたように見受けられるので、同時期に施工したのでしょうか。

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深谷橋の北側の側面、西詰を見上げて。ああ、暗いのでいま一つディテールがはっきりしないのは残念‥‥。

のっぺり気味の外観ですが、アーチの頂部には要石様の装飾が施され、側面の擁壁もアーチリングと天端近くをのぞいた部分は凹に造られて、控えめながら単調さを救っているのが古豪橋らしさといえそう。橋台もコンクリート生地ながら石積み風に刻みを入れてあり、竣工当時の志摩を代表する橋としての気遣いが感じられます。

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くぐった直後、振り返って南側を。こちらはご覧のとおり水管橋(?)が間近に並行しているので、鑑賞には少々難があるかも。それでも、緑濃い両岸をバックにした姿は風情があります。開鑿・架橋時の昭和7年といえば、震災復興橋たちとほぼ同世代、雰囲気的にも近いものがあって、初見ながら親しみが持てました。

深谷橋や水道については、竣工間もなくに撮影した写真の古絵葉書を入手してあるので、まとめ記事的に別項を設けて、改めてご覧に入れたいと思います。
撮影地点のMapion地図

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…6』につづく)

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タグ : 英虞湾深谷水道

深谷水道を通って…4

(『深谷水道を通って…3』のつづき)

312106.jpg深谷水道北口灯台をもう一枚。表面はタイル張りのようで、黒い銘板も見えたため、ディテールをとらえようとズームでたぐって何回か頑張ったのですが、光量不足ですべて失敗。悲しい(泣)。

他力本願で恐縮ですが、表面のディテールや銘板の文面は、「深谷水道北口灯台」(まっちのブログ)に詳しいので、ぜひご覧ください。銘板では初点が昭和46年11月、リンク先の記事によると、灯質は単閃緑光だそうです。

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「ALBION」は軸線を水道中央に向けると、行き足をぐっと絞りました。流路は半ばで写真左方向、東へゆるく屈曲していて、ここから出口は見通せません。元地形のためなのか、流速や風波を勘案しての結果かはさておき、出口が見えないのはワクワクして、通航の充実感が違います。

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流速なのか、それとも追い風のせいなのか、スルスル‥‥と引き寄せられるような感覚で進入。心なしか、水の色も湾内と違ってきて、エメラルドグリーンに近くなったような。両岸にはところどころ平地が見られ、家並が顔を出すようになってきました。地峡運河沿いの家、いいなあ。

護岸は凸断面のブロックに法勾配をつけて組み合わせた、いかにも堅牢そうな外観のもの。大きくすき間を作ってあることから、消波効果も狙ったものなのでしょう。通航は結構頻繁だそうで、引き波も絶えないでしょうから、これは大いにうなずけました。

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進入後少ししてから、北口を振り返ったところ。向こうも木々の茂る湾奥の崖線しか見えないとあって、山間の峡谷水路に分け入ったおもむき。ああ、こんなに青空が見えているのに、何で陽が射さないのか‥‥。

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ここでK船長からお声がかかりました。「見てください。今(ペラを)止めたんですけど、流れの速さがこれだけあるんですよ!」。おお、それは興味を惹かれますね。どれどれとモニターをのぞき込んでみると‥‥。

2.5kt!
ちなみに時刻は8時59分、満潮を約1時間後に控えた時点で、この流速です! 若干の行き足や追い風が加わっていたとしても、相当なものですよね。大潮の干潮に向かうころになったら、さぞ凄いんだろうなあ‥‥。

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…5』につづく)

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タグ : 英虞湾深谷水道

深谷水道を通って…3

(『深谷水道を通って…2』のつづき)

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水門が魅力的過ぎて引っかかってしまいましたが、深谷水道へ向かう道々にお話を戻しましょう。

K船長のご案内で、英虞湾奥の風物を眺めながら進む、初体験の志摩の海。一見青空がのぞいているように見えますが、山並みが黒く沈んでいることからもおわかりのように、雲は厚く陽が射すまでには至らず、まあ寒いこと。澄んだ海と緑濃い両岸が織りなす、風光明媚な景色なのに残念。雨が降らなかったことを、せめてもの幸いとするしかありません。

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K船長にお願いして、「ALBION」のGPSモニターをのぞかせてもらいました。深谷漁港から出て西航、浦山の半島をかわして、180度回頭し深谷浦に入ったところ。

水面上に、緑の点線で囲われたエリアが両岸沿いにありますね。これはご当地の名物、真珠貝の養殖筏を繋留するため指定されたエリアで、航路はそれらに挟まれたわずかな幅しかないとのこと。6ktほどの行き足で、ゆっくり進みます。

312103.jpg真珠貝の養殖筏と作業小屋。真珠貝はデリケートで、水温が低くなると死滅するので、今でも水温によってはごっそり"お引越し"をすることがあるのだとか。深谷水道も、水温低下の対策で開鑿されたと聞いています。

かつての東京湾奥も、航路以外はびっちり海苔ヒビで埋められていた時代があったのを、ふと思い出させる光景ではありました。


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沿岸のほとんどは山裾がすとんと海に落ち込む、典型的なリアス式海岸。もくもくと木々が繁る山肌を間近に見ながら、奥部に向けてゆっくりと東航してゆくのは、分け入ってゆく感覚が面白いもの。関東ではまず体験できない水路風景で、志摩の海に来たという実感が迫ってきます。

山裾を一つ過ぎたところで、岬状の突端に白い灯台のような構造物が見えてきました。灯台といえば、見通しのよい高所や防波堤の先端にあるものと相場が決まっているので、山肌に隠れるように立つさまを初見したときは、相当な違和感があったものです。あれが‥‥!

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深谷水道北口灯台!
そう、ここが国内でも数少ない地峡運河の一つ、深谷水道の入口。もし最近の竣工なら、漁港の突堤にあるような鋼管を立てた灯標で簡単に済ませてしまいそうですが、小なりといえどこうして立派な灯台を設けたあたり、この事業の重要性と期待度、そして関わった人々の心意気を見たような気分になったものでした。

シンプルながら堅牢そうな灯台を見上げながら、いよいよ来たんだ、という気持ちが盛り上がり、寒空の下テンションも急上昇! さあ、通り初めとまいりましょう!
撮影地点のMapion地図

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…4』につづく)

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タグ : 英虞湾深谷水道