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花畑運河再訪…7

(『花畑運河再訪…6』のつづき)

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260062.jpg花畑水門を離れて、両岸の釣り人さんに挨拶しながら後進で離脱、適当なところで転回して帰路へ。

右写真、富士見歩道橋の低さも改めて。3つの橋はおおむねA.P.+1.4m以下にならないとクリアできないので、仮に花畑水門が開いていても、綾瀬川上流の攻略は時間が限られそう。まあ、大潮の干潮時以外くぐれない、綾瀬新橋よりはマシではありますが‥‥。

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恐らく次に訪ねたときは、もう失われているであろう六ツ木水門を仰いで、名残を惜しみました。光のない信号を前にすると、やはり寂寥感が胸に迫るものがあります。

径間が狭まり、水深が浅くされれば、航行できないことはないにしても、進入はためらってしまうに違いありません。テラスや桜並木が築造され面目を一新した花畑運河‥‥、竣工の際はぜひ、テラスに説明板を設けて、物流に貢献した事蹟を顕彰していただきたいものです。

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260065.jpg雲で陽射しがさえぎられ、寒さが厳しくなってきました。両岸に残るマイタゲート跡を眺めながら、花畑運河とお別れです。

利根運河が導水路に転用され、可航環境を失って久しい今、二河川をショートカットする内陸の運河としては、抜けられずとも貴重な可航状態を保っていた花畑運河。大きな変化を前にした姿を目の当たりにできて、何よりではありました。

(令和2年12月29日撮影)

(『令和2年度川走り納め…7』につづく)

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タグ : 花畑運河中川花畑水門六ツ木水門

花畑運河再訪…6

(『花畑運河再訪…5』のつづき)

260056.jpg雪見橋のテラス区間を出たところで、魚探の感を記録。12年前の通航時と同様で、西に進むほど少しづつ水深が増していることに変わりはありませんでした。

これは、六ツ木水門が常時開で、中川との間で水の代謝をしており、わずかづつ中川が運んできた土砂が堆積しているのに対し、花畑水門が常時閉で、開放する時間も月一回程度とわずかであり、また開放した際も、流れは中川から綾瀬川へ向かっているため、と見てよいでしょう。

そうそう、環境整備事業で唯一解せなかった、水深をA.P.-0.5mにかさ上げする件ですが、「第4回 花畑川環境整備事業の説明会及び意見交換会」(PDF・足立区)に理由が明記されていたので、ここで引用しておきましょう。

10ページ「7-2 水質について」に、「滞留時間(水の入れ替え時間)が長くなると、アオコが発生するなどの水質悪化を引き起こす恐れがあります。
本整備事業では、新水門(4.5m)に合わせて水量を減らすことで、入れ替え時間を短くして水質の保全を行います。

‥‥なるほど、水門が樋門化されて狭くなった分、水の代謝が現在の水深では滞りがちとなり、汚濁が懸念されるので、水深を浅くして貯留量を減らすということですね。

しかし、流れの方向が東から西へ向かう造りになっているのなら、花畑水門をまめに開き、適宜綾瀬川へフラッシュ放水みたいな形で流下させた方が、工事の必要もなくよいような気もするのですが、いかがでしょう。まあ、各河川の決められた流量や水門の管理上、面倒な点もありそうなので、水深減少が採られたのは、それなりの理由があるのでしょうね。

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花畑水門と月見橋が近づいてきました。花畑水門は、綾瀬川から訪ねた平成21年3月以来、11年ぶりです。手前の人道橋が桁を補修され、きれいになったほかは、水門も周囲も特にお変わりないようですね。

運河西端付近は特に釣り人さんが多く、さすがに緊張させられたのですが、「お邪魔します、すみません、すぐ戻りますんでちょっと通らせてください!」と両岸におられた皆さんに声をかけたところ、「はーい」「おーう」と、元気よく応えてくれました。ありがとうございます。

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今回は、少しだけ踏破区間を伸ばすことになりました。花畑水門の扉体周りを観察しておきたくなり、月見橋の真下まで入ることにしたのです。

橋台と緩い法面の基礎護岸が迫り、幅は半分以下に。風向きの関係か、水門近くの水面には細かいゴミがたまり、水面にしわが寄ったようになっています。

260059.jpg月見橋の手前には3径間の人道橋が併設されており、橋脚はご覧のとおり重厚で、護岸から離れてはいるものの、橋台のような風情です。

これも岸に橋台を設けるより、基礎工事ほかの点で施工が楽なため、採られた方法のように思えました。雪見橋、桜木橋と同じ伝なのでしょう。


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こちらは六ツ木水門のように、マイタゲートの痕跡は残っていないか‥‥と、左右を見回しながら扉体ギリギリまで寄せてみて、アッと声を上げました。手前にある戸溝に角落しがはめ込まれている! 完全閉塞か?

シャッターを何回か押した後、ほんの一瞬でゴースターンをかけて離れたので、よく確かめる余裕はありませんでしたが、帰宅後に写真で観察してみると、角落しにしてはどうもおかしい。アルミの生地みたいな色でしかも円筒みたいだし、戸溝の天端には何か箱型の機械が。

もしかして、アバ(浮き)をフェンスとしてはめてあり、扉体に水面のゴミが寄せないようにしているのかも‥‥。天端にある機械は、小型の巻上機なのかしら、と想像。根拠はありませんが、水門を定期的に点検運転している以上、完全閉塞はおかしいですものね。まあ、謎は残りましたが、思い切って近づいてこその新発見だったので、よしとしましょう。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…7』につづく)

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タグ : 花畑運河花畑水門

花畑運河再訪…5

(『花畑運河再訪…4』のつづき)

260051.jpg雪見橋のテラスの間に入りました。テラスは南北橋詰から、東西に長く伸びた計4本、延長は東西合わせて約100m。橋詰から緩いスロープ状となり、突端に行くにつれ低めてある形です。

護岸は石積みの法面で、テラス区間の河道幅は実質15~6mほどと見られ、法勾配が緩いことをのぞけば、整備事業竣工後の幅に近い感じですね。

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雪見橋東側に近づいて。橋台から管路が突き出て、桁側面を金具で架設され渡っています。フラットで径間の狭いRC桁、河道に大きく張り出した橋台と、桜木橋と本当によく似たタイプですね。

検索したら、「東京の橋:雪見橋」に銘板の写真が掲載されていました。平成23(2011)年3月竣工とのこと、前回訪問の2年3ヶ月後ですから、訪問後間なしに改架工事が始まったのでしょう。昔の面影を残した唯一の橋だったので、改架前にくぐることができて幸運でした。

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帰路に撮ったものですが、西側の側面も。こちらはグレーの樋がかぶさった何かが、やはり桁側面に沿わせて架設してあります。電路でしょうか。

桜木橋のとき、巨大な橋台は伏越があるせいかしら、と想像しましたが、雪見橋を見てちょっと考えを改めなければ、と思いました。

震災復興橋の「鋼桁橋のラーメン橋台橋」と似たような伝で、架橋工事中も両岸の道路を塞がないようにするため、あえて橋台を川表に張り出したタイプを採り、河道内のみで工事が完結するよう配慮したためなのかも、と妄想。地盤が脆弱で基礎工事が大掛かりになること、流量がなく径間が狭くても差しつかえない、という要素もあるかもしれません。

260054.jpgテラスの護岸ですが、石を荒く積んだだけかと思ったら、よく見るとコンクリートの法面に装飾として玉石を並べ、しっかり固めた形のものとわかりました。

こちらも釣り場としては足場がよいせいか、突端には気持ちよさげに竿をかざす釣り人さんが。「申しわけないです、ちょっと通らせてください」と声をかけると、幸い快く糸を収めてくれました。


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テラス区間を抜ければ河道幅は旧に復し、上空を横切る首都高三郷線と、正面に花畑水門を望む西端の最終区間に。

錆色の鋼矢板が露出した低い堤防、ところどころ陥没した基礎護岸と、昭和の艀船運河のそのものといってもよい硬質な眺めも、整備事業が進められたあかつきには失われる運命。この日このときの運河風景を、この目で見ておけることこそ幸いと思えたものでした。
撮影地点のMapion地図

(令和2年12月29日撮影)

(『花畑運河再訪…6』につづく)

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タグ : 花畑運河花畑水門

花畑水門との再会

(『綾瀬川再訪…6』のつづき)

3031.jpg2ヵ月半ぶりの再会ながら、初めてこの目で見る、花畑水門の表側。

ご覧のとおり、水門は閉鎖が常態のため、中川から入って花畑運河を走ってきても、綾瀬川には抜けられず、もちろん水門の表側を見ることはできなかったので…。大げさではなく、ちょっとした感動がありました。


3032.jpg私はどういうわけだか、水門の写真は、真っ正面から撮るのが好きです。
陸の上からでは、はすからしか撮れないような場所にあっても、水上に浮いていれば、向き合うポジションが取りやすいからかもしれません。ここでももちろん、正面から「いいお顔」を一枚。

屈曲の外側、しかも凹部とあって、水門前の水面に、ゴミがたまりやすいのが残念ですが…。

3033.jpg非情に赤を示す信号の横には、色あせた看板が掲げられていました。「水質浄化のため水門閉鎖する場合があります」。

航行水路メモの「花畑川」でも触れましたが、中川から花畑運河を経て、綾瀬川に浄化用水を導水するため、連日時間を定めて、開放していた時期もあるようですね。

現在は、月に一度のメンテナンス時以外、固く閉ざされた開かずの門。
運転されるのは、平日の午前中で、さらに、綾瀬新橋や花畑運河の各橋がくぐれる潮時を考えると、私が自艇でこの水門をくぐり、向こう側に出るのは、今のところ、ほぼ不可能と言ってよいでしょう。残念…。

3034.jpg上流側から、はすに眺めて。この角度から見ると、側面の階段が強調され、また違った表情を見せてくれます。
これであともう少し、高速道路が手前にのいてくれたら…というのは、ちょっとゼイタクですか。

扉体水面近くの汚れが、波状の模様を描いているのが気になります。なぜでしょう?
撮影地点のMapion地図


3035.jpgここで、花畑運河を走った際の「水路をゆく」の記事に、リンクを張りたいところですが…。
現在、母屋のあるDoblogが障害復旧中で、昨年8月5日から、今年2月7日までの記事が落ちてしまっているため、残念ながらリンクが張れません。

そこで改めて、昨年12月30日に撮った、花畑水門の裏側の写真を掲げておくことにします。
この水門が開いて、花畑運河が、本来のショートカット水路としての機能を復活するのは、いつの日でしょうか。


(21年3月15日撮影)

【22年8月23日追記】花畑運河については、過去ログ「花畑運河を走る…1」~「花畑運河を走る…7」を参照ください。

(『綾瀬川再訪…7』につづく)

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タグ : 綾瀬川花畑運河花畑水門

綾瀬川再訪…6

(『綾瀬川再訪…5』のつづき)

3026.jpg環七通りを渡す、加平橋が近づいてきました。

簡素な外観の鋼桁橋とはいえ、いままで視界に入ってきたものが、全体的にグレーがかっていただけに、ウグイス色に塗り上げられた桁が、やけに美しく見えてしまいます。



3027.jpgその後ろに控える高速道路は、ジャンクションと見まがう規模の、加平出入口。

小菅ジャンクション同様、こちらも道路が形づくった三角形の真ん中に、太い水管橋が渡されていました。快晴をバックに眺める、道路の描くカーブと水管橋の直線がおりなす造形は、なかなか魅力的なものがあります。


3028.jpg加平出入口を過ぎると、ふたたび単調な川景色が続きます。
水深も2mとそこそこあり、直線河道とくれば、陽気がいいこともあって眠くなりそう。もっとも時折、ゴミの固まりが流れてくるので、気は抜けません。

写真は、加平出入口上流の電路橋。側面に張られた看板には、「東京電力ケーブル専用橋 桁下6.0m」とありました。


3029.jpg高圧鉄塔の近くにあった、小さな樋門。

大規模な河道改修があった地域だけに、今も派川や旧河道の跡が、用排水路として息づいていると思うと、興味を惹かれるものがあります。




3030.jpg果てしなく続くかと思えた、直線河道の終点近く、屈曲部の外側に、本日の目的地、その2が見えてきました!

花畑運河(花畑川)の西口、花畑水門です。昨年末、花畑運河から裏側を見て以来、ぜひ表側も拝んでみたいものだと、こうしてやってきたのです!
撮影地点のMapion地図


(21年3月15日撮影)

(『花畑水門との再会』につづく)

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