早起き近場散歩…6
(『早起き近場散歩…5』のつづき)
●舵を右に転じて、浜離宮の石垣と緑を眺めながら北上。まだ早い時間とて園内に人影は見られず、水面に点々と水鳥が浮かぶのみで、実に静かです。
木々の向こうにビル群がそびえるおなじみの風景を目にし、この静けさを体感しつつ堤防に囲まれた内水面に浮かんでいると、まさに別天地のおもむき。浮世離れした、といったら大げさでしょうか。

●築地川水門を通って外界へ。風は凪いで、通航する船もまだ少なく、引き波に乱されることのない水面は、油を流したような、という形容がぴったりのてろりとした平らかさ。
朝の水面が見せるこういった表情、大好きです。水門の径間に水鳥が泳いでいるのも、実にのどかな感じがしていいですね。

●陽光を浴びるスイングゲートと、上部構造がなく、頭上の抜けた爽快さを愛でながら通航。出た後は隅田川を少し遡上し、新月島川へ。
浜前水門をくぐると、勝どきマリーナのスタッフが艇や桟橋の清掃をしていて、私の艇を見ると皆さんで「おはようございます!」と声をかけてくれました。ありがたいことです。こちらも気持ちよく挨拶を返しながら、微速でゆるゆると奥へ。

●以前も紹介した、「本橋発動機」の抜き文字が素敵なクレーンのある船台上には、渋いFRP艇が。ええと、昔のヤマハパスポート‥‥いや、違ったかな? とにかく前面2枚窓という、懐かしくなるようなカディのデザインに惹かれたものでした。
【撮影地点のMapion地図】
(令和3年11月14日撮影)
(『早起き近場散歩…7』につづく)

にほんブログ村

木々の向こうにビル群がそびえるおなじみの風景を目にし、この静けさを体感しつつ堤防に囲まれた内水面に浮かんでいると、まさに別天地のおもむき。浮世離れした、といったら大げさでしょうか。

●築地川水門を通って外界へ。風は凪いで、通航する船もまだ少なく、引き波に乱されることのない水面は、油を流したような、という形容がぴったりのてろりとした平らかさ。
朝の水面が見せるこういった表情、大好きです。水門の径間に水鳥が泳いでいるのも、実にのどかな感じがしていいですね。


浜前水門をくぐると、勝どきマリーナのスタッフが艇や桟橋の清掃をしていて、私の艇を見ると皆さんで「おはようございます!」と声をかけてくれました。ありがたいことです。こちらも気持ちよく挨拶を返しながら、微速でゆるゆると奥へ。

●以前も紹介した、「本橋発動機」の抜き文字が素敵なクレーンのある船台上には、渋いFRP艇が。ええと、昔のヤマハパスポート‥‥いや、違ったかな? とにかく前面2枚窓という、懐かしくなるようなカディのデザインに惹かれたものでした。
【撮影地点のMapion地図】
(令和3年11月14日撮影)
(『早起き近場散歩…7』につづく)

にほんブログ村
6月13日の水門たち
(『6月13日のトリさん』のつづき)
●雨降り続きで当然お出かけもできないので、いったん締めた6月13日の項を再開させていただきましょう。いずれもおなじみの顔ぶればかりですが、近況のスナップとしてご覧いただければ幸いです。
「たい焼きが電気ショックでシビレている」絵柄、と妄想解釈して早や12年、変わらぬ姿を見せてくれる古川水門を少し引き気味な位置から。こちらは防潮堤の外側とてテラスはありませんが、かえって水門の存在感は強調されて、硬質ないい雰囲気です。

●運河畔の開発著しく、周辺は大いに賑わっている天王洲水門を構造側から見て。紺色の塗色はまだつやがありますし、梁に施された三角形の模様が効いていて、引き締まった美しさを感じさせるのですが、くぐってスキンプレートを振り返ってみると‥‥。

●継手の下端から昇ってきた錆が、何ともうらぶれた雰囲気で、少々哀れに思えるほど。絵柄の是非はともかく、地色がグレーということもあるのでしょうか、どこか間延びしたような感じがして、裏面とは対照的な風貌ですよね。
芝浦運河地帯周辺の水門て、日の出水門や目黒川水門みたいに、構造側に小さな絵がペイントされているとか(『日の出水門のウラ事情』参照)どこかバランスを欠いた謎の行動(?)がいくつか見られ、以前から気になっているのですが、天王洲水門も少しそのケがあるように感じられ、興味を引かれます。
●曇り空の下、汐留のビル街をバックにうっそりと立つ、汐留川水門。巻上機室と扉体は数年前に更新(『27年度川走り納め…9』参照)されましたが、左に併設されたぬめっとした不思議な外観の、排水機場の配管ケーシングは以前のまま。
浜離宮前水面‥‥築地川、汐留川の排水を担う重要な施設ですから、おいそれといじるわけにはいかないのでしょうが、周囲の水門も更新が進む折柄、外見だけでも考えられていいころですね。

●数少ないスイングゲート、築地川水門。ローラーゲートなら頭上に仰ぐ扉体も、通航しつつ触れるくらい間近に感じられるのは、このタイプのいいところ。湛水線から上の塗色はまだ鮮やかで、光量の少ない曇天ながら、目に沁みるような快さがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(令和3年6月13日撮影)
(『曳船の操舵席に吸い寄せられて』につづく)

にほんブログ村

「たい焼きが電気ショックでシビレている」絵柄、と妄想解釈して早や12年、変わらぬ姿を見せてくれる古川水門を少し引き気味な位置から。こちらは防潮堤の外側とてテラスはありませんが、かえって水門の存在感は強調されて、硬質ないい雰囲気です。

●運河畔の開発著しく、周辺は大いに賑わっている天王洲水門を構造側から見て。紺色の塗色はまだつやがありますし、梁に施された三角形の模様が効いていて、引き締まった美しさを感じさせるのですが、くぐってスキンプレートを振り返ってみると‥‥。

●継手の下端から昇ってきた錆が、何ともうらぶれた雰囲気で、少々哀れに思えるほど。絵柄の是非はともかく、地色がグレーということもあるのでしょうか、どこか間延びしたような感じがして、裏面とは対照的な風貌ですよね。
芝浦運河地帯周辺の水門て、日の出水門や目黒川水門みたいに、構造側に小さな絵がペイントされているとか(『日の出水門のウラ事情』参照)どこかバランスを欠いた謎の行動(?)がいくつか見られ、以前から気になっているのですが、天王洲水門も少しそのケがあるように感じられ、興味を引かれます。

浜離宮前水面‥‥築地川、汐留川の排水を担う重要な施設ですから、おいそれといじるわけにはいかないのでしょうが、周囲の水門も更新が進む折柄、外見だけでも考えられていいころですね。

●数少ないスイングゲート、築地川水門。ローラーゲートなら頭上に仰ぐ扉体も、通航しつつ触れるくらい間近に感じられるのは、このタイプのいいところ。湛水線から上の塗色はまだ鮮やかで、光量の少ない曇天ながら、目に沁みるような快さがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(令和3年6月13日撮影)
(『曳船の操舵席に吸い寄せられて』につづく)

にほんブログ村
7月12日の運河風景…5
(『「東京みなと丸」拝見!』のつづき)

●浜離宮の北東角を左折し、築地川の軸線に入ったところで、まあ、ガックリきました。フェンスで閉塞されている‥‥。
水面は見たところ奥まで平穏そのもので、特に大きい工事もしていないようなのに、これはどういうことでしょう。近々工事が始まるのでしょうか。南門橋との再度の逢瀬は、これでかなわなくなってしまいました。

●遠くで長声2発が聞こえたので、水上バスの進入を察して急いでフェンス前を離れ、邪魔にならないよう築地川水門の右側へ。間もなく、「リバータウン」が姿を現わしました。
この角度から進入シーンを眺めると、幅に余裕がないこともあってか、ズルズル‥‥と這い出てくる感じがして、ちょっと面白いものですね。
●浜離宮を離れてから隅田川を遡上し、月島川水門の前に新しく架かった人道橋を拝見。
桁下高を確保するためとはいえ、前後の取り付け道路が実に長大で、テラスを圧迫しているのが目立ちますね。表面は周りと揃えた石板張り風で、落ち着いた雰囲気に仕上がっていましたが。

●ほぼ正面から。太鼓に反った橋というのは、シンプルな鋼桁橋でも見た目が柔らかい感じでよいものです。
水門への見通しが桁で少し悪くなったとはいえ、信号を橋の側面にも設けるとは。巻上機室、扉体前、そして橋にと3つも。賑やかなことになりましたね。
●桁の右側に銘板らしいものが見えたので、流速で流されるのをだましながら近づいて、何とか撮れたのがこれ。ボケてしまいましたが、かろうじて判読はできます。
正式名称は「月島川水門テラス連絡橋」、製作は矢田工業とのこと。もう供用されたでしょうか。川面と水門が堪能できるスポット、ぜひ一度お散歩に訪れてみたいものですね。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年7月12日撮影)
(『7月12日の運河風景…6』につづく)

にほんブログ村

●浜離宮の北東角を左折し、築地川の軸線に入ったところで、まあ、ガックリきました。フェンスで閉塞されている‥‥。
水面は見たところ奥まで平穏そのもので、特に大きい工事もしていないようなのに、これはどういうことでしょう。近々工事が始まるのでしょうか。南門橋との再度の逢瀬は、これでかなわなくなってしまいました。

●遠くで長声2発が聞こえたので、水上バスの進入を察して急いでフェンス前を離れ、邪魔にならないよう築地川水門の右側へ。間もなく、「リバータウン」が姿を現わしました。
この角度から進入シーンを眺めると、幅に余裕がないこともあってか、ズルズル‥‥と這い出てくる感じがして、ちょっと面白いものですね。

桁下高を確保するためとはいえ、前後の取り付け道路が実に長大で、テラスを圧迫しているのが目立ちますね。表面は周りと揃えた石板張り風で、落ち着いた雰囲気に仕上がっていましたが。

●ほぼ正面から。太鼓に反った橋というのは、シンプルな鋼桁橋でも見た目が柔らかい感じでよいものです。
水門への見通しが桁で少し悪くなったとはいえ、信号を橋の側面にも設けるとは。巻上機室、扉体前、そして橋にと3つも。賑やかなことになりましたね。

正式名称は「月島川水門テラス連絡橋」、製作は矢田工業とのこと。もう供用されたでしょうか。川面と水門が堪能できるスポット、ぜひ一度お散歩に訪れてみたいものですね。
【撮影地点のMapion地図】
(令和2年7月12日撮影)
(『7月12日の運河風景…6』につづく)

にほんブログ村
5月20日の築地川…5
(『5月20日の築地川…4』のつづき)

●回頭しながら、二つの径間をくぐりディテールを堪能して、南門橋との初邂逅を終えることにしました。これで、都内の可航水路にある震災復興橋は、すべて巡ったことになるのかな?
これからも出入り自由な状態が続くのか、環状線の工事もあるのでわかりませんが、ともあれ今日ここに来られた幸運を、喜びたいと思います。

●橋の近くにあった、櫓‥‥見附の跡でしょうか、台状に高めた石垣。
石垣の組み方は総じてとても丁寧で、これが江戸時代のものなら、かつて浜御殿であったことを実感させる施工ぶりではあります。当時の土木技術をかいま見られる遺構として、大切にしていただきたいですね。
●ふたたび雲が増えてきた空の下、今度は右手に木々と石垣、左手に桟道を見ながら、築地川をゆるゆると下って戻ります。最奥部から眺める川景色、とても新鮮。
江戸期の埋立によって生じた水路、またそのころの水辺のさまを今に残す都心の川という意味でも、南門橋と合わせて短区間ながら魅力のある水路と思います。チャーターボートの観光コースにも悪くないでしょうね。

●隅田川に出て取舵、スロットルを倒して遡上することにしました。近場に見ておきたいものがあったからです。
気持ちのよい風になぶられつつ見上げると、頭上を圧する築地大橋の構造が広がり、空はふたたび雲がまばらになって、青天井がのぞけてきました。
(30年5月20日撮影)
(『豊海橋の仮橋』につづく)

にほんブログ村

●回頭しながら、二つの径間をくぐりディテールを堪能して、南門橋との初邂逅を終えることにしました。これで、都内の可航水路にある震災復興橋は、すべて巡ったことになるのかな?
これからも出入り自由な状態が続くのか、環状線の工事もあるのでわかりませんが、ともあれ今日ここに来られた幸運を、喜びたいと思います。


石垣の組み方は総じてとても丁寧で、これが江戸時代のものなら、かつて浜御殿であったことを実感させる施工ぶりではあります。当時の土木技術をかいま見られる遺構として、大切にしていただきたいですね。

江戸期の埋立によって生じた水路、またそのころの水辺のさまを今に残す都心の川という意味でも、南門橋と合わせて短区間ながら魅力のある水路と思います。チャーターボートの観光コースにも悪くないでしょうね。

●隅田川に出て取舵、スロットルを倒して遡上することにしました。近場に見ておきたいものがあったからです。
気持ちのよい風になぶられつつ見上げると、頭上を圧する築地大橋の構造が広がり、空はふたたび雲がまばらになって、青天井がのぞけてきました。
(30年5月20日撮影)
(『豊海橋の仮橋』につづく)

にほんブログ村
5月20日の築地川…4
(『5月20日の築地川…3』のつづき)

●南門橋右径間をくぐり終えて、微速で左回りに回頭しつつ、水面上から初めて見る築地川最奥部の光景。
暗渠のポータル、石垣に似せたコンクリートのフタで塞がれたのですね。左手奥は、海岸通りの拡幅で幅を狭められた、汐留川の北東端です。だいぶ前になりますが、確かここに環境局の小型清掃船が入っていた写真を、ウェブサイトで見た記憶があるのですけれど、記憶違いだったかな‥‥。
まあ、今日は河道を塞ぐフェンスが外れていて、南門橋をくぐれただけでも幸運と思わなければなりません。冒険は慎んで、橋見物に集中しましょう。

●近くで見ると、この橋脚部分の張り出しが滋味にあふれ実にいい感じ。橋詰のそれが直線を取り入れた、いわば角丸断面なのにくらべ、橋脚はほぼ半円断面で、円柱を思わせるまろやかさが、橋脚ということもあってかしっくりきます。
しかしこちら側は、汚れや白化がずいぶん目立ちますね。日照の差で乾燥しづらいからか、または車道に面していて、粉塵を浴びる確率が高いからでしょうか。
●くぐってきた径間を振り返って。汚れてもむしろ味のうちと思えるのは、この豊かな装飾に負うところが大きいでしょう。デザインを担当した山口文象氏ご自身は、装飾を施すことはお好みでなかったようですが。
このあたり、「橋を透して見た風景」にも一項がありますが、ウェブ上では「建築家 山口文象」の「1924橋梁デザイン」に山口氏のインタビューがあり、南門橋の竣工時の写真も載っています。

●水鏡でできた、黒く縁どられた紡錘形の向こうに、築地川の初めて見る角度が。この温かみのある曲面と質量感。鋼橋では味わえない、RCアーチの醍醐味の一つですねえ。
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…5』につづく)

にほんブログ村

●南門橋右径間をくぐり終えて、微速で左回りに回頭しつつ、水面上から初めて見る築地川最奥部の光景。
暗渠のポータル、石垣に似せたコンクリートのフタで塞がれたのですね。左手奥は、海岸通りの拡幅で幅を狭められた、汐留川の北東端です。だいぶ前になりますが、確かここに環境局の小型清掃船が入っていた写真を、ウェブサイトで見た記憶があるのですけれど、記憶違いだったかな‥‥。
まあ、今日は河道を塞ぐフェンスが外れていて、南門橋をくぐれただけでも幸運と思わなければなりません。冒険は慎んで、橋見物に集中しましょう。


しかしこちら側は、汚れや白化がずいぶん目立ちますね。日照の差で乾燥しづらいからか、または車道に面していて、粉塵を浴びる確率が高いからでしょうか。

このあたり、「橋を透して見た風景」にも一項がありますが、ウェブ上では「建築家 山口文象」の「1924橋梁デザイン」に山口氏のインタビューがあり、南門橋の竣工時の写真も載っています。

●水鏡でできた、黒く縁どられた紡錘形の向こうに、築地川の初めて見る角度が。この温かみのある曲面と質量感。鋼橋では味わえない、RCアーチの醍醐味の一つですねえ。
(30年5月20日撮影)
(『5月20日の築地川…5』につづく)

にほんブログ村