5月20日の築地川…5

(『5月20日の築地川…4』のつづき)

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回頭しながら、二つの径間をくぐりディテールを堪能して、南門橋との初邂逅を終えることにしました。これで、都内の可航水路にある震災復興橋は、すべて巡ったことになるのかな?

これからも出入り自由な状態が続くのか、環状線の工事もあるのでわかりませんが、ともあれ今日ここに来られた幸運を、喜びたいと思います。

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220043.jpg橋の近くにあった、櫓‥‥見附の跡でしょうか、台状に高めた石垣。

石垣の組み方は総じてとても丁寧で、これが江戸時代のものなら、かつて浜御殿であったことを実感させる施工ぶりではあります。当時の土木技術をかいま見られる遺構として、大切にしていただきたいですね。


220044.jpgふたたび雲が増えてきた空の下、今度は右手に木々と石垣、左手に桟道を見ながら、築地川をゆるゆると下って戻ります。最奥部から眺める川景色、とても新鮮。

江戸期の埋立によって生じた水路、またそのころの水辺のさまを今に残す都心の川という意味でも、南門橋と合わせて短区間ながら魅力のある水路と思います。チャーターボートの観光コースにも悪くないでしょうね。

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隅田川に出て取舵、スロットルを倒して遡上することにしました。近場に見ておきたいものがあったからです。

気持ちのよい風になぶられつつ見上げると、頭上を圧する築地大橋の構造が広がり、空はふたたび雲がまばらになって、青天井がのぞけてきました。

(30年5月20日撮影)

(『豊海橋の仮橋』につづく)

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タグ : 築地川 隅田川 南門橋

5月20日の築地川…4

(『5月20日の築地川…3』のつづき)

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南門橋右径間をくぐり終えて、微速で左回りに回頭しつつ、水面上から初めて見る築地川最奥部の光景。

暗渠のポータル、石垣に似せたコンクリートのフタで塞がれたのですね。左手奥は、海岸通りの拡幅で幅を狭められた、汐留川の北東端です。だいぶ前になりますが、確かここに環境局の小型清掃船が入っていた写真を、ウェブサイトで見た記憶があるのですけれど、記憶違いだったかな‥‥。

まあ、今日は河道を塞ぐフェンスが外れていて、南門橋をくぐれただけでも幸運と思わなければなりません。冒険は慎んで、橋見物に集中しましょう。

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220038.jpg近くで見ると、この橋脚部分の張り出しが滋味にあふれ実にいい感じ。橋詰のそれが直線を取り入れた、いわば角丸断面なのにくらべ、橋脚はほぼ半円断面で、円柱を思わせるまろやかさが、橋脚ということもあってかしっくりきます。

しかしこちら側は、汚れや白化がずいぶん目立ちますね。日照の差で乾燥しづらいからか、または車道に面していて、粉塵を浴びる確率が高いからでしょうか。

220039.jpgくぐってきた径間を振り返って。汚れてもむしろ味のうちと思えるのは、この豊かな装飾に負うところが大きいでしょう。デザインを担当した山口文象氏ご自身は、装飾を施すことはお好みでなかったようですが。

このあたり、「橋を透して見た風景」にも一項がありますが、ウェブ上では「建築家 山口文象」の「1924橋梁デザイン」に山口氏のインタビューがあり、南門橋の竣工時の写真も載っています。

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水鏡でできた、黒く縁どられた紡錘形の向こうに、築地川の初めて見る角度が。この温かみのある曲面と質量感。鋼橋では味わえない、RCアーチの醍醐味の一つですねえ。

(30年5月20日撮影)

(『5月20日の築地川…5』につづく)

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タグ : 築地川 南門橋 橋の裏側

5月20日の築地川…3

(『5月20日の築地川…2』のつづき)

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右手の桟橋が途切れ、最奥部の水面とともに、橋の側面が眼前に広がりました。ああ、さえぎるもののない、まさにクリアな状態で南門橋の全貌を拝める日が来ようとは。嗚呼。

光線の具合もよく、ビル群をバックにくっきりと浮かび上がったこの艶姿。かつての離宮の導入部として、デザインも特に意を用いられたと聞いています。ディテールを堪能するとしましょう。

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220033.jpg右側通航の原則に従って、右径間に舵を切りました。高欄のディテールが明らかになってくるとともに、アーチ下の黒々とした陰影が視界の面積を次第に占めて、この手の橋特有の質量感が迫ってきます。要石に擬した凸部、ボルト跡が見られることから、以前は何か別パーツが取り付けられていたようですね。

最奥部の水深ですが、右写真のとおり1.6から1.9mほど。先にも触れたように、かつては喫水の深いヨットがもやっていたくらいですので、途中の区間はまず十分な水深があります。最奥部に至って若干浅くなり、また凹凸はあるものの、モーターボートにとってはまったく余裕の数字です。

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タイトルにも掲げた写真をトリミングして、要石ぽい部分のアップを。高欄の連続したアーチ様デザイン、その上に連なる歯状装飾、アーチのリム、「要石」の天端の処理と、まあ細やかなこと。

「要石」に話を戻すと、最初は橋名板の跡かしらと思っていたものの、よく見ると中央の穴に、切断されたコードが出ていますね。橋側灯を外したとみて間違いないでしょう。

紅林章央氏の著書「橋を透して見た風景」を開いたところ、竣工間もないころと思われる南門橋の写真が掲載されており、橋側灯があったことが確認できました。

220035.jpgあまりよく撮れなかったのですが、黒く沈むアーチの裏側にスッ、といった感じで、対角線を描いていた波紋の反射が気になっての一枚。

装飾は袖高欄まで連続しており、水面近くの階段状に末広がった処理も地味に素敵。いや~、本当に来てよかったですわ‥‥。
撮影地点のMapion地図

(30年5月20日撮影)

(『5月20日の築地川…4』につづく)

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タグ : 築地川 南門橋 橋の裏側

5月20日の築地川…2

(『5月20日の築地川…1』のつづき)

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220027.jpg左側は浜離宮の緑が、もくもくとひとかたまりのようになって連なり、水面低くまで枝葉を茂らせている幽谷のおもむき。

右側は錆色の桟橋構造が続き、環状線の工事が進行中であることを示しています。あっ、河道を塞いでいたフェンス、桟橋の脚にからめて避けてあるんだ。また工事たけなわになったら、通れなくなるのかなあ。


220028.jpg「船いきれ」に満ち満ちていたかつてを思うと、ちょっと寂しくはあるのですが、最奥部まで難なく入れるこの日を迎えられたのも、繋留船が一掃されたればこそ。

緑のヒサシの下、木漏れ日を受けてのぞける石垣の美しさも堪能できて、日本橋川同様の歴史を感じさせる水路風景。この石垣も、江戸時代の築造なのかしら?


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浜離宮の内堀に水を通づる水門のあたり、フェンスにお行儀よく留まった鵜さんの姿が。

折からの陽射しにツヤツヤとした羽毛が輝いて、健康優良児ぶりをアピール。餌のお魚も豊富ですもんね。

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桟橋が途切れて、いよいよ最奥部が迫ってきました! いや、南門橋がさえぎるものなく迫ってくるこのひととき! 橋の下まで繋留船が詰まっていて、近づき難かったころを思えば夢のよう。この一点に限っていえば、繋留船の適正化は実に英断でありました。

水深は全く問題なし。最近まで、多数のヨットがもやっていたくらいですから‥‥フィンキールを持つ、喫水の深~い艇の停泊環境があったとなれば、たかが小型モーターボートが余裕しゃくしゃくなのもむべなるかな。橋をくぐって、向こう側に出るのも問題なさそうです。
撮影地点のMapion地図

(30年5月20日撮影)

(『5月20日の築地川…3』につづく)

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タグ : 築地川

5月20日の築地川…1

(『5月20日の巡視船…4』のつづき)

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晴海で巡視船群を堪能した後は、隅田川に河口から入って築地川水門へ。更新工事終了後、通航するのは初めてです(工事中の様子は昨年の記事『5月7日の川景色…2』参照)。何か変化はあるでしょうか。

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戸袋に納まった扉体をよく見てみると、構造材の形が変わっています。更新されたようですね。色は従来と同じですが、真新しい肌を近くに眺めながら、長声を鳴らし気持ちよく通航。

220023.jpg同じような写真で恐縮ですが、右上の木の板で覆われた張り出し、以前からあるんですが何でしょう。装飾でウッディー(笑)に仕上げたわけではなさそうですが、フェンダーとしては板厚が薄いような。

左上に少し顔を出した黄色い手すりは、扉体解放時に向こうへ渡るための繰り出し式可動橋ですね。お好きな向きには気になる存在でしょう。


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水上バスの進入もなさそうだし、久しぶりに築地川をのぞいてみようかと、微速で鼻先を突っ込んでみると‥‥。
おお! フェンスがなくなっている!
ということは最奥部まで入って、南門橋をくぐれるんだ!

もうテンションはデッドフル状態。昨年5月7日は、河道半ばにフェンスが張られていて悔しい思いをしたので、なおさらです。いや~嬉しいなあ!

220025.jpg静かな河道を微速で進みながら、一人ニヤケるおっさん。人影もなく、眠ったように静まり返った浜離宮船着場も、いつもとは3倍増し(弊社比)で素敵に見えるなあ。うひひ。

繋留船だけでなく、沈船まであって船影濃かったかつてを知る身としては、少々寂しいものがありますが、何はばかることなく築地川をゆけるのは、まっこと幸せなこと。目指すは震災復興橋、南門橋!
撮影地点のMapion地図

(30年5月20日撮影)

(『5月20日の築地川…2』につづく)

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タグ : 築地川 築地川水門