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深谷水道の絵葉書と国内の地峡運河のことなど

(『深谷水道を通って…7』のつづき)

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何か調べたわけでもないのに、資料編‥‥というと大げさですが、古絵葉書の写真を肴に、深谷水道のあれこれをまとめてみたいと思います。よい機会なので、ついでですが国内に点在する地峡運河についても少し、暑苦しく語らせてください。

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タグ : 深谷水道浚渫船絵葉書・古写真地峡運河

深谷水道を通って…7

(『深谷水道を通って…6』のつづき)

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しばらく海上から南口の風物を眺めた後、再び水道へ進入。いわば流れに逆らい遡上する形ですから、回転数をぐっと上げ行き足をつけないと頭が振られたとき、姿勢を立て直しづらくなるのは川と同様。「ALBION」は微速ながら、力強い引き波を立てて北上します。足下から伝わってくる振動、流速を実感させていいですね。
(遡上時の動画はこちら

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K船長にお願いして、実は2往復していただきました。初回は興奮していて余裕がなかったものの、いったん北口に戻るとふと、水深がどんな様子になっているのか、改めて観察してみたくなったからです。やはり元からあった水域と、開鑿した区間は違うのかしら、また流速があるということは、堆砂で浅くなったりしているのかしら‥‥と。

ゆっくり流してもらいながら、魚探の感を注視。結果は‥‥水道北口の湾最奥部は4m~3m台後半、北口付近で徐々に浅くなり3m前後、岸に寄せると2mほどのところもありました。水道開鑿部に入ると3m前後で安定し、南口付近で2.6m程度と浅くなり、出ればまた急速に深くなる、といった感じ。"河口"で浅くなるあたり、川とよく似ています。

ちなみにカメラのタイムスタンプで通航時刻を見ると、北口~南口間が9:17~9:25。この日2月2日の日中の満潮が9:56で1.63m、朝の干潮は3:37で0.64m。満潮時に近い潮位でこの流速ですから、大潮の干潮時など急流河川顔負けの凄さなんだろうなあ、と想像したものです。

また大潮の干潮時は、2日のこの時点より2m近く水位が下がることを考えると、深谷水道自体の水深は小型船舶にとっても、決して十分とはいえなくなります。浚渫など、絶えざる整備が必要ではあるのでしょうね。
気象庁の潮位表『鳥羽』を参考にしました)

312123.jpgK船長のご協力のおかげで、水路バカとしての好奇心も満たせて、満足満足。2度目の遡上ということで余裕もでき、ゆっくり両岸の風物を堪能。

船首に立っていたら、猛禽類らしい大きなトリさんがしきりに低空飛行してきて、北上する艇をうろんげに偵察していました。トンビかしら? 釣った魚でも載せていたら、かすめ取ってやろうと思っていたのかな。

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お名残り惜しいですが、4度目の北口灯台を見ながら深谷水道ともお別れ。初めての地峡運河体験、素晴らしいひとときでした。

‥‥あ、雲が切れて、少し明るくなってきた。もちょっと遅い時間にお願いすればよかったのかな‥‥、と思っても後の祭り。

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「入港」の抜き文字に出迎えられて、深谷漁港水門を通りつつがなく帰港。K船長、諸々わがままをきいていただき、ありがとうございました!

次回は昔の絵葉書を紹介するとともに、深谷水道の来歴と、ついでに国内の地峡運河についても、いい機会ですから暑苦しく語りたいと思っております。少し時間をください。

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道の絵葉書と国内の地峡運河のことなど』につづく)

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タグ : 深谷水道英虞湾深谷漁港水門

深谷水道を通って…6

(『深谷水道を通って…5』のつづき)

312116.jpgおっと、深谷橋の南側に見とれすぎて、"現"深谷大橋の北側が撮れなかった‥‥。慌てて裏側にカメラを向けて一枚。

昭和53年竣工とのことですが、こうして見たかぎり結構な傷み具合ですね。特にボルトが多数打たれているせいもあるのか、継手の錆が特に進んでいて、ちょっと痛々しい感じすらします。


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南側に出て振り返ると、こちらも桁側面に白い汚れが点々と縦に走っており、加えて橋台も桁から垂れた錆でしょうか、赤茶色い汚れがべったりと付着していました。

塗装もそう古くは見えないし、竣工後46年経っていることからも、複数回は塗り替えていると思うのですが。南風が吹けば海からの飛沫をもろにかぶる、環境の厳しさが想像できますよね。鋼製橋には少々ツラい立地で、先代橋同様RCアーチにした方がよかったのでは、と思えたものでした。

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深谷大橋を過ぎれば、出口はもうすぐ。東岸には、深谷水道南口灯台が見えてきました。写真右手に伸びるテトラポッド組みの防波堤は、水道に波浪が直接打ち込まないよう、沖で南口の軸線をさえぎるような形になっています。

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水道南口を出て振り返ったところ。延長660mの水路の旅、充実したひとときでした。南口灯台は北口のそれと違い、露出した岩の上に直接建てられているのですね。

東側の防波堤が先端で西側へ折れているので、艇は南口を出ると、すぐ右(写真左)へ舵を当てないといけません。深谷橋・深谷大橋と南口灯台の3ショットをものしたかったのですが、ご覧のとおりちょっと残念な結果になりました。

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水道を出て周りを見回すと、荒々しい岩肌が露出した沿岸風景が広がり、風波の厳しさを感じさせます。西側には、バームクーヘンのような見事な地層が。K船長のお話では、「ブラタモリ」で紹介されたこともあるのだとか。

その手前、水際に見える各種の護岸も興味をそそられますね。石垣、粗い骨材がこの距離からでもわかるコンクリート製、そしてテトラポッドと、工法の変遷を物語るような光景ではありました。
撮影地点のMapion地図

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…7』につづく)

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タグ : 深谷水道橋の裏側

深谷水道を通って…5

(『深谷水道を通って…4』のつづき)

312111.jpg流速を実感しながらのひととき、左手に護岸天端と同レベルの一角が見えてきました。緑色の水を満たした、風呂桶のような丸い水槽が並んでいて、ホースでエアーを入れているようです。何か飼っているのかな?

対岸も、こちらほどではないですが低くなっているところをみると、流路を直角に横断する形で、もとからあった谷筋なのでしょう。天端はテラス状になっている区間が多いので、お散歩したら楽しいでしょうね。

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屈曲にさしかかると早速、繁茂する木々の向こうから橋が顔をのぞかせてきました。深谷水道開鑿と同時に架けられたRCアーチ、深谷橋ですね! この区間のハイライトともいえる場所です。

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深谷橋を正面から。径間と天地の比率がバランスがとれていて、佳い雰囲気の橋ですよね。アーチの向こうに斜にかかった青い鋼桁橋は、国道260号線深谷大橋。昭和53年にこの橋が架かると、深谷橋は深谷大橋の名前を譲って、人道橋となったそう。いわば新旧の深谷大橋が並んで現存しているというわけ。

深谷橋の前後の護岸は、既存の凸型ブロック護岸より前進して、フラットな新しい護岸で改修されていますね。橋の表面もエポキシ塗装なのか、近年補修されたように見受けられるので、同時期に施工したのでしょうか。

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深谷橋の北側の側面、西詰を見上げて。ああ、暗いのでいま一つディテールがはっきりしないのは残念‥‥。

のっぺり気味の外観ですが、アーチの頂部には要石様の装飾が施され、側面の擁壁もアーチリングと天端近くをのぞいた部分は凹に造られて、控えめながら単調さを救っているのが古豪橋らしさといえそう。橋台もコンクリート生地ながら石積み風に刻みを入れてあり、竣工当時の志摩を代表する橋としての気遣いが感じられます。

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くぐった直後、振り返って南側を。こちらはご覧のとおり水管橋(?)が間近に並行しているので、鑑賞には少々難があるかも。それでも、緑濃い両岸をバックにした姿は風情があります。開鑿・架橋時の昭和7年といえば、震災復興橋たちとほぼ同世代、雰囲気的にも近いものがあって、初見ながら親しみが持てました。

深谷橋や水道については、竣工間もなくに撮影した写真の古絵葉書を入手してあるので、まとめ記事的に別項を設けて、改めてご覧に入れたいと思います。
撮影地点のMapion地図

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…6』につづく)

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タグ : 英虞湾深谷水道

深谷水道を通って…4

(『深谷水道を通って…3』のつづき)

312106.jpg深谷水道北口灯台をもう一枚。表面はタイル張りのようで、黒い銘板も見えたため、ディテールをとらえようとズームでたぐって何回か頑張ったのですが、光量不足ですべて失敗。悲しい(泣)。

他力本願で恐縮ですが、表面のディテールや銘板の文面は、「深谷水道北口灯台」(まっちのブログ)に詳しいので、ぜひご覧ください。銘板では初点が昭和46年11月、リンク先の記事によると、灯質は単閃緑光だそうです。

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「ALBION」は軸線を水道中央に向けると、行き足をぐっと絞りました。流路は半ばで写真左方向、東へゆるく屈曲していて、ここから出口は見通せません。元地形のためなのか、流速や風波を勘案しての結果かはさておき、出口が見えないのはワクワクして、通航の充実感が違います。

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流速なのか、それとも追い風のせいなのか、スルスル‥‥と引き寄せられるような感覚で進入。心なしか、水の色も湾内と違ってきて、エメラルドグリーンに近くなったような。両岸にはところどころ平地が見られ、家並が顔を出すようになってきました。地峡運河沿いの家、いいなあ。

護岸は凸断面のブロックに法勾配をつけて組み合わせた、いかにも堅牢そうな外観のもの。大きくすき間を作ってあることから、消波効果も狙ったものなのでしょう。通航は結構頻繁だそうで、引き波も絶えないでしょうから、これは大いにうなずけました。

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進入後少ししてから、北口を振り返ったところ。向こうも木々の茂る湾奥の崖線しか見えないとあって、山間の峡谷水路に分け入ったおもむき。ああ、こんなに青空が見えているのに、何で陽が射さないのか‥‥。

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ここでK船長からお声がかかりました。「見てください。今(ペラを)止めたんですけど、流れの速さがこれだけあるんですよ!」。おお、それは興味を惹かれますね。どれどれとモニターをのぞき込んでみると‥‥。

2.5kt!
ちなみに時刻は8時59分、満潮を約1時間後に控えた時点で、この流速です! 若干の行き足や追い風が加わっていたとしても、相当なものですよね。大潮の干潮に向かうころになったら、さぞ凄いんだろうなあ‥‥。

(令和6年2月2日撮影)

(『深谷水道を通って…5』につづく)

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タグ : 英虞湾深谷水道