船橋港の水門と水路めぐり…8

(『船橋港の水門と水路めぐり…7』のつづき)

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海神水門の右手、東側にはご覧のような水面が広がり、船溜になっていました。北岸は石垣の法面で、漁舟が思い思いに杭を打ち、艫を並べて槍付けしており、南岸や奥は基礎護岸上に船台を設け、上架されている舟もあったりして、埋め立て前の漁村風景がそのまま封じ込められたような、別天地のおもむきでした。

奥の方には橋も見られたので、こちらも小河川か澪筋の名残かしら。奥まで探索してみたかったのですが、残念なことに写真右の上架艇から、左手にかけてロープが張られており、よそ者の進入を阻んでいました。

200062.jpg船橋の水路初訪の一つ目は、大満足の結果に終わり、勢いを得てお次の水門・水路へと向かうことに。栄水門を出て東航しましょう。

左手に伸びるコンクリート堤防、凹凸や目立った継ぎ目のない、胸のすくような一直線。向こうに高い建物が見えないのも手伝い、スクエアぶりが際立って見えます。



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これがお隣の水路の入口、日の出水門と日の出排水機場。例によって、水門の諸元を「管内概要」の一覧から引用すると、純径間12m、敷高A.P.-3m、昭和46年竣工とのこと。

向こうには大きな工場建屋や倉庫も見えて、沿岸の建物も楽しめそうですね。

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グリーンの扉体を仰ぎながら、進入とまいりましょう。すでに繋留するフネブネの姿が目に入り、「船いきれ」が感じられるのが嬉しくなります。

200065.jpgくぐった直後に振り返って。「きけん スピードおとせ!」の看板から、プレジャーの通航が多そうですね。

さてこの水路、暗渠さんぽさんの記事「ダイナミック・チバの暗渠と軍跡 船橋駅前編」によると、旧海岸線から上流部を山谷澪、下流部は本海川と呼ばれているそうです。「船橋市河川一覧表」では、本海川は362mとごく短く、ハテ? と思うところもなくはないのですが、海神川同様、間違いであれば訂正するとして、ここでは仮に本海川でタグをつけさせていただきましょう。
撮影地点のMapion地図

(28年12月31日撮影)

(『船橋港の水門と水路めぐり…9』につづく)

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タグ : 船橋港 海神川 日の出水門 本海川

船橋港の水門と水路めぐり…7

(『船橋港の水門と水路めぐり…6』のつづき)

200056.jpg西岸に突如現れた謎の張り出しを、通り過ぎてから振り返って。草木がこんもり繁って、放置されて久しい風ですが、昔は揚搭設備でもあったのでしょうね。

国土変遷アーカイブ・地図・空中写真閲覧サービスで、昭和22年9月8日・米軍撮影の「USA-M449-204」を見てみると、陰になってわかりづらいものの、船が数隻接岸しているのが見えました。やはり!


200057.jpg最奥部はもうすぐというところで、水路の真ん中に漁船が錨泊していました。右はやや狭く、杭も出ているため、トリさんの航跡ヨーソロ、で左へ。

奥に小さな水門が見えてきましたね! あれが可航区間のどん詰まり、この水路に入った第二の目的地であります。



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石垣の法面護岸を従えた、くたびれ加減もほどよい小さな水門に、左手にぴたりと寄り添う、後付け感ありありの古びた排水機場、さらに左にはそれより竣功年次の新しそうな排水機場と、可航区間の終点としては、てんこ盛りなストラクチャー。ぽつり、ぽつりと生えている木も、のどかな雰囲気をかもし出してよいものです。

Googleの地図によれば、排水機場は古い方が海神排水機場、新しい方は海神第二排水機場とありました。さて、この流れでゆくと、水門も海神水門でよさげな雰囲気ですが、検索の仕方が悪いのか、裏付けとなる資料が引っ掛かってきません。

そこでGoogleストリートビューに望みを託し、開いてみると‥‥おお! かろうじて水門の東岸が写っており、堰柱に「船橋市 海神水門」の銘板が掲げられているのを確認! ありがたやありがたや。

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水門の手前には2個のブイが浮き、左から伸びる排水機場の吐口が、水面下にありそうなので離れたところから鑑賞。巻上機はラック、径間は4~5mといったところでしょうか。一見して、竣工時から船の通航を考えていなさそうに思えましたが、どうでしょうか。

堰柱の天端左右、まるで耳のように突き出ている持ち送りが、ちょっとしたチャームポイント(?)。肌の質感からして、竣工後、優に半世紀以上は経っていそうです。右側の堰柱、傾いているような‥‥カメラのズームが歪ませたのかな? しかし、左の排水機場、堰柱の幅半分も浸食して、後付けにしたって、どうにかならなかったかと思わせるものがありました。

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排水機場の古びた窓枠や、錆びた水管に惹かれたのはもちろんですが、目線が吸い寄せられるのはやはり、第二排水機場のぶっとい管が突っ込んでゆくさま。何かの拍子で艇が吹き寄せられて、ペラでも当てたらゴーン、とすごくいい音がしそう。

海神水門から上流が、いわばホンモノの海神川になるわけですが、水門が常時閉とくれば、のぞき込むこともできません。ともあれ、古びた水門や排水機場がおりなす、袋小路のひなびた雰囲気、よいものでした。
撮影地点のMapion地図

(28年12月31日撮影)

(『船橋港の水門と水路めぐり…8』につづく)

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タグ : 船橋港 海神川 海神水門

船橋港の水門と水路めぐり…6

(『船橋港の水門と水路めぐり…5』のつづき)

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5基のクレーンが並んだはす向かいの東岸には、もう一つクレーン付き建屋がありました。こちらも同様に妻を塞がれ、すでに使われていないものですが、狭い水域にこれだけの艀荷役用クレーンがひしめいているというだけで、もの凄いお得感があります。

200052.jpg正面から見上げて‥‥う~ん、近づきすぎて失敗しました。妻の上端には、「大和陸運倉庫(株)船橋倉庫」と社名が。日本通運に似た書体なのが魅力的ですね。

かつての豊洲運河なども、いくつもの艀荷役用クレーンが水面に突き出し、港湾情緒あふれる光景が展開されていたことを思い出しました。東京は今やほとんどがマンションに建て替えられ、跡形もありませんが、船橋はまだ、かつてをしのぶよすがが残っています。

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さらに進むと西岸に現れた、双子の球形ガスタンク。新河岸川で見るような、都市ガスのそれにくらべるとずいぶん小さく、可愛らしい感じすらしますね。

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200055.jpgガスタンクのあるあたりで、河道は軽く西へ屈曲し、可航区間の最終コースへ入ってきました。パースがついたように、幅が次第に狭まると同時に、護岸も石垣の法面となり、旧海岸線から沖合に向けて進んだ、埋め立ての歴史を思わせるような風情に。

沿岸が工場敷地で、道路も接していないせいか本当に静か。たまに飛ぶ水鳥のほか、行く手の水面を乱すものはなく、ひたすら青空を映した水鏡を眺めての水路行です。

水深はクレーン群の前からふたたび浅くなり、ガスタンクを過ぎあたりの感が右の写真、2mで一旦水平になったところ。最奥部にはもう一つ、見てみたい物件もあるので、このまま最微速前進とまいりましょう。
撮影地点のMapion地図

(28年12月31日撮影)

(『船橋港の水門と水路めぐり…7』につづく)

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タグ : 船橋港 海神川

船橋港の水門と水路めぐり…5

(『船橋港の水門と水路めぐり…4』のつづき)

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200047.jpg芝浦シャリングのクレーンをぐっと仰いで一枚。ところどころ錆や下塗りがのぞいていますが、まだ現役といっても十分通じる外観です。

つづく日鉄住金鋼板は3連、こちらは基部のトラスが曲線を描いていて、少し竣工が古そうな印象。いずれも陽光を浴びて輝き、また水面のゆらぐ反射を桁裏に映してと、存分に構造美を堪能させてくれました。来てよかった‥‥。


200048.jpg護岸に目線を移すと、澄んだ水をとおして基礎護岸が透けて見え、白く貝がついた表面に、過ごしてきた星霜を感じさせるものが。

塞がれた壁面から、何やら排水を取っているらしいパイプが、竹やりよろしく突き出ているのを見ると、現役を退いて久しい感じがありありですね。荷役を止めて、どのくらいたつのでしょうか。


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帰路、上流側から眺めた全容もここにまとめます。ああ、この角度も威容が感じられていいなあ。

護岸に寄せてクレーンだけ見ていると、それほどではなかったのが、こうして離れてみると塞いだ妻板が目立ち、引退した空気が色濃く漂ってきますね。

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しかし、5基のクレーンが肩を並べたその密度、存在感は抜群で、東京近郊の水路でも希少な存在といってよいでしょう。これに匹敵するのは、見明川河口の鉄鋼通り(過去ログ『見明川…4』参照)くらいですが、あちらは一軒づつ独立しており、5基が束になってのしかかってくるインパクトとは、だいぶ違うような気がします。

ともあれ、クレーン群をこの目でじっくり眺められて、目的の一つが達成できて嬉しいかぎり。海神川(かどうかはわかりませんが)、まだ見どころがあるので、さらに奥へ。

(28年12月31日撮影)

(『船橋港の水門と水路めぐり…6』につづく)

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タグ : 船橋港 海神川

船橋港の水門と水路めぐり…4

(『船橋港の水門と水路めぐり…3』のつづき)

200041.jpg栄水門の管理橋をのぞけば、海神川(?)ではじめての橋くぐりです。京葉線に湾岸道路、そして東関道と橋が集中する、湾奥の水路ではおなじみの光景が、ここにもありました。

近づいてみると道路だけでなく、水管橋も複数併設される集中渡河点で、仰いだときの交錯する面白さもなかなかのものです。


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200043.jpg橋をくぐりながら、魚探の感に目を向けてみると、いったん2m台後半まで上がった水深が、なだらかな斜面を描いて3m台に入ってゆくところでした。流速はごく緩いとはいえ、潮とのせめぎ合いがある最下流部ともなれば、河口に近い側に泥土が堆積し、少し浅くなるのはうなずけるところではあります。

とはいえ、安定した可航水深が確保されているのは、ここが単なる小舟艇の船溜に留まらない、もっと大きな用途があったに他ならないでしょう。

そう、上の写真にも、橋の上流側にチラリと見えていますが、ここは立派な実用舟航水路だったのです! そしてこれが、船橋を訪ねたくなった理由の一つでもありました。

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ズラリと並んだ、クレーン付き建屋群!

新旧、長短とスタイルもさまざまなクレーンが、水面に大きく張り出した姿を映しながら、軒を接してひしめき合う姿、まさに圧巻。 好天下、陽射しを浴びて輝く姿を、今日このときに拝めたこと、天に感謝したくなるような素晴らしい水路風景! 大げさではなく、一期の思いがしたものです。

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繋留船や障害物はないようだし、せっかくなのでぐっと寄せて、クレーンの真下から楽しむことにしました。地図によると、手前の二つが芝浦シャリング、その向こうは日鉄住金鋼板とあり、おなじみの古賀オールとご同業か、近い業種のようです。

もっとも、建屋の開口部は何らかの形で塞がれていて、工場は操業しているものの、クレーン群はすでに現役ではない様子。バージがひしめき、クレーンが唸りを上げて荷役していた、かつてをしのんでの鑑賞となりました。
撮影地点のMapion地図

(28年12月31日撮影)

(『船橋港の水門と水路めぐり…5』につづく)

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タグ : 船橋港 海神川