津島屋閘門…4
(『津島屋閘門…3』のつづき)
●東側ゲートの横にあった、河川管理区域境界標。
このあたり、阿賀野川の堤防が迫り、周辺機器や標識がところせましと密集して、イイ感じに狭苦しいのですが、どこか水郷の仲江間閘門や、加藤洲閘門を思わせる雰囲気があります。盆のような低地の縁、水位低下化河川の終端部にある閘門は、やはり似たような感じになるのでしょうか。

●西側(低水位側)ゲートを南岸東側から見て。外観は普通のローラーゲートとそう変わりありませんが、巻上機室の下が少し寂しいのと、後ろにガイドレールを支える側壁が追加されているのが違います。
●少し離れて、排水機場の建物(左奥)とゲートを西側から見たところ。排水機場の取水口からは、阿賀野川の水が音を立てて流れ込んでいました。通船川の浄化水として導水しているのでしょう。
ゲート手前の護岸は、最近改修されたのか、コンクリートの肌がまだ新しいのはともかくとして、こちらも扉体正面をさえぎるように出っ張っているのが気になります。注排水ゲートが出っ張っていることといい、どうも微妙に難儀(?)な点が目につく閘門ですね。

●西側ゲート側面を北岸から眺める(上写真)と、すっきりした感じの南側と雰囲気ががらりと変わって、ディテールが豊富ですね。
特に、たすきがけしたターンバックルで締められた階段の支柱、どこか古典味を感じさせる造作です。
右の写真は、堰柱側面に掲げられた通航方法。日曜祝日・年末年始が休みなのは、扇橋・荒川の両閘門と同じですね。
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門の周辺…1』につづく)

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このあたり、阿賀野川の堤防が迫り、周辺機器や標識がところせましと密集して、イイ感じに狭苦しいのですが、どこか水郷の仲江間閘門や、加藤洲閘門を思わせる雰囲気があります。盆のような低地の縁、水位低下化河川の終端部にある閘門は、やはり似たような感じになるのでしょうか。

●西側(低水位側)ゲートを南岸東側から見て。外観は普通のローラーゲートとそう変わりありませんが、巻上機室の下が少し寂しいのと、後ろにガイドレールを支える側壁が追加されているのが違います。

ゲート手前の護岸は、最近改修されたのか、コンクリートの肌がまだ新しいのはともかくとして、こちらも扉体正面をさえぎるように出っ張っているのが気になります。注排水ゲートが出っ張っていることといい、どうも微妙に難儀(?)な点が目につく閘門ですね。


特に、たすきがけしたターンバックルで締められた階段の支柱、どこか古典味を感じさせる造作です。
右の写真は、堰柱側面に掲げられた通航方法。日曜祝日・年末年始が休みなのは、扇橋・荒川の両閘門と同じですね。
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門の周辺…1』につづく)

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津島屋閘門…3
(『津島屋閘門…2』のつづき)
●以下、津島屋閘門のディテールと気に入ったアングルなどを。
山の下閘門もそうでしたが、「津島屋閘門排水機場」と、閘門と排水機場を一つの施設として扱っているのがご当地独特の感じがします。
巻上機室下には、緑青の色が渋い立派な銘板が(下写真)。「屋」の字だけ微妙に小さいのがキュート。鋳物っぽいですが、中には鋳物らしく装った叩き出しのガラである場合もあるので、ここからでは何ともいえません。

●例のぼっこり出っ張った注水ゲートの脇に、計器がありました。扉体の開度計かしらと思って近づくと、さにあらず水位計。
基準はT.P.でしょうか、針はおおむね0.85mを指しています。通船川がT.P-1.65mとすれば、阿賀野川との水位差は2.5mと、信濃川とのそれより若干高いことになりますね。ちなみに目盛板には、昔の東芝のロゴがありました。
●堰柱前面には、「閘室充水ゲート機側操作盤」なるボックスが。注水用のゲートのみをマニュアル操作できるスイッチボックスですね。
津島屋閘門、山の下閘門排水機場の管理下にあるのですが、次回掲げる通航法によると、通航する際は山の下閘門に申請せよ、とのことでしたので、遠隔操作での運転ではなさそうですね。通航のたびに人が出張ってきて、機側で操作するのでしょう。
●通航船舶の最大寸法を告示した説明板。この「舟またはいかだ」という文言、どこの閘門でもこの手の告示に盛り込まれていますが、「筏なんかもう通らないよねえ…」と、ちょっとさびしい気持ちで眺めるのが常でした。
しかし、先ほど見たように通船川ではいまだ、筏輸送が現役なわけで、この点むなしさ(?)を感じなくてよい、数少ない例であることを思うと、なんだか愉快になってきました。まあ、こちらまで筏がやってくることはまずないのでしょうが、そこはそれ。
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…4』につづく)

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山の下閘門もそうでしたが、「津島屋閘門排水機場」と、閘門と排水機場を一つの施設として扱っているのがご当地独特の感じがします。
巻上機室下には、緑青の色が渋い立派な銘板が(下写真)。「屋」の字だけ微妙に小さいのがキュート。鋳物っぽいですが、中には鋳物らしく装った叩き出しのガラである場合もあるので、ここからでは何ともいえません。


基準はT.P.でしょうか、針はおおむね0.85mを指しています。通船川がT.P-1.65mとすれば、阿賀野川との水位差は2.5mと、信濃川とのそれより若干高いことになりますね。ちなみに目盛板には、昔の東芝のロゴがありました。

津島屋閘門、山の下閘門排水機場の管理下にあるのですが、次回掲げる通航法によると、通航する際は山の下閘門に申請せよ、とのことでしたので、遠隔操作での運転ではなさそうですね。通航のたびに人が出張ってきて、機側で操作するのでしょう。

しかし、先ほど見たように通船川ではいまだ、筏輸送が現役なわけで、この点むなしさ(?)を感じなくてよい、数少ない例であることを思うと、なんだか愉快になってきました。まあ、こちらまで筏がやってくることはまずないのでしょうが、そこはそれ。
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…4』につづく)

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津島屋閘門…2
(『津島屋閘門…1』のつづき)
●南側から高水位側ゲートと堤防を見たところ。このあたりの通船川の南岸は土地が低く、阿賀野川の水位とほぼ同じか、少し低いぐらいです。
対して北岸は小高くなっており、かつての砂丘がつくった地形のようでした。まさに阿賀野川の旧河道を髣髴させる地形といえます。

●変わった点・その3がこの扉体。一見、普通のローラーゲートのようですが、スキンプレートが垂直でなく、水面に対して斜めになっており、また扉体の両脇か、上端にあるはずのワイヤーが、手前の水面に消えているなど、いくつかおかしなところが目につきますね。
●堰柱側面のアップ。戸当りのガイドレールが途中から閘室側に折れているあたり、明らかに普通のスライドゲートやローラーゲートと違いますね。
レールの形からすると、扉体は引き上げられてから、スキンプレートを上にして仰向けに倒れるようなしくみになっていることがわかります。
●扉体の裏側を見たところ。このゲート形式、「運河と閘門」のリストによると「展開式スルースゲート」とありました。
「展開式」なる呼び名にはちょっと違和感がありましたが、なるほど、低水位側の扉体(下写真)を見ても、ローラーは無いようでしたので、扉体が戸当りに面接触するスルースゲート(スライドゲート)の一種なのでしょう。
変わった型のゲートということもあり、ぜひ通航シーンを見てみたいと思って(残念ながら、もちろんこの日は通船なし)いたら、「水と土の芸術祭 山の下閘門」(新潟見どころナビ)のスライドショーに写真を発見!
いや~、ガバーッと倒れた扉体から、雨のように滴が降ってくるダイナミックな姿が、しかも連続写真で! ありがとうございました!

●低水位側ゲートから東を見て。こちらから眺めると、2mはありそうな水位差や、意外と華奢に感じられる扉体の構造、閘室が曲がっているため、はすに配された二つのゲートなど、独特のディテールが見て取れます。
しかし、このゲート形式、扉体の大きさの割には堰柱が低く収まる、という長所はあるにしても、ワイヤーが常時水に浸かっているため、整備性は良くなさそうですし、通航船から見ても、滴が降ってくるエリアがローラーゲートにくらべて広いなど、短所も少なくなさそうな気が…。他にこの形式の水門や閘門があったら、見てみたいものです。
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…3』につづく)

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対して北岸は小高くなっており、かつての砂丘がつくった地形のようでした。まさに阿賀野川の旧河道を髣髴させる地形といえます。

●変わった点・その3がこの扉体。一見、普通のローラーゲートのようですが、スキンプレートが垂直でなく、水面に対して斜めになっており、また扉体の両脇か、上端にあるはずのワイヤーが、手前の水面に消えているなど、いくつかおかしなところが目につきますね。

レールの形からすると、扉体は引き上げられてから、スキンプレートを上にして仰向けに倒れるようなしくみになっていることがわかります。

「展開式」なる呼び名にはちょっと違和感がありましたが、なるほど、低水位側の扉体(下写真)を見ても、ローラーは無いようでしたので、扉体が戸当りに面接触するスルースゲート(スライドゲート)の一種なのでしょう。
変わった型のゲートということもあり、ぜひ通航シーンを見てみたいと思って(残念ながら、もちろんこの日は通船なし)いたら、「水と土の芸術祭 山の下閘門」(新潟見どころナビ)のスライドショーに写真を発見!
いや~、ガバーッと倒れた扉体から、雨のように滴が降ってくるダイナミックな姿が、しかも連続写真で! ありがとうございました!

●低水位側ゲートから東を見て。こちらから眺めると、2mはありそうな水位差や、意外と華奢に感じられる扉体の構造、閘室が曲がっているため、はすに配された二つのゲートなど、独特のディテールが見て取れます。
しかし、このゲート形式、扉体の大きさの割には堰柱が低く収まる、という長所はあるにしても、ワイヤーが常時水に浸かっているため、整備性は良くなさそうですし、通航船から見ても、滴が降ってくるエリアがローラーゲートにくらべて広いなど、短所も少なくなさそうな気が…。他にこの形式の水門や閘門があったら、見てみたいものです。
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…3』につづく)

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津島屋閘門…1
(『通船川の貯木場』のつづき)
●貯木場の次に訪ねたのは、通船川の東の端、阿賀野川と接するところにある、津島屋閘門です。
この閘門を知ったのは、おなじみ大先達・日本の川と災害さんの記事、「阿賀野川 通船川水門と津島屋閘門」なのですが、写真を拝見したときから、いくつか気になるところがあって、機会があったらぜひ訪ねてみたいと思っていました。
写真は、阿賀野川畔の土手の上から津島屋閘門を眺めたところ。細い道をくねくねとたどってゆくと、静かな住宅地のただ中にヌッ、と現れるあたりも魅力的です。

●正面から。巻上機室には「津島屋閘門排水機場」と大書きされた看板が掲げられています。土手が迫っているだけに、高水位側ゲートの周囲はいかにも窮屈ですが、それがまた、こじんまりとまとまった魅力を醸し出しているようですね。
この津島屋閘門、他の閘門にはあまりない、変わったところがいくつかあって、気になる存在でした。この写真でも、すでにそのうち二つが見て取れます。
●変わった点・その1が、この注水ゲート。バイパス管を経て、閘室に入る水を制御するスライドゲートです。
上の写真でもわかるように、護岸からぼこり、と出っ張っており、ただでさえ広くない可航幅を、しかもゲートの直前で狭めているという異様さ! いかにも後付け臭く思えますが、もし竣功時からこうだとしたら、相当変わった設計ではないでしょうか。ちなみに、閘室内の排水ゲートも同様でした。

●視界をさえぎっていた横長の看板は…、と表を見ると、例の河川標識でした。お天道様と河川標識は、信濃川・阿賀野川流域ではどこでもついて回るようです。
●変わった点・その2は「曲がった閘室」。たとえ河道が曲がっていても、閘室だけはまっすぐ造るのがほとんどですが、津島屋閘門はご覧のとおり閘室を曲線に造っており、二つのゲートも正対していません。
正確にいうなら、写真の左側がカーブしていて、写真右側は排水機場がある関係か、直線状の護岸となっていますが、河道の屈曲区間上にあることは変わりありません。
すぐ向こうが直線河道なのですから、少しずらして造ればよさそうなものですが、何か理由があったのでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…2』につづく)

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この閘門を知ったのは、おなじみ大先達・日本の川と災害さんの記事、「阿賀野川 通船川水門と津島屋閘門」なのですが、写真を拝見したときから、いくつか気になるところがあって、機会があったらぜひ訪ねてみたいと思っていました。
写真は、阿賀野川畔の土手の上から津島屋閘門を眺めたところ。細い道をくねくねとたどってゆくと、静かな住宅地のただ中にヌッ、と現れるあたりも魅力的です。

●正面から。巻上機室には「津島屋閘門排水機場」と大書きされた看板が掲げられています。土手が迫っているだけに、高水位側ゲートの周囲はいかにも窮屈ですが、それがまた、こじんまりとまとまった魅力を醸し出しているようですね。
この津島屋閘門、他の閘門にはあまりない、変わったところがいくつかあって、気になる存在でした。この写真でも、すでにそのうち二つが見て取れます。

上の写真でもわかるように、護岸からぼこり、と出っ張っており、ただでさえ広くない可航幅を、しかもゲートの直前で狭めているという異様さ! いかにも後付け臭く思えますが、もし竣功時からこうだとしたら、相当変わった設計ではないでしょうか。ちなみに、閘室内の排水ゲートも同様でした。

●視界をさえぎっていた横長の看板は…、と表を見ると、例の河川標識でした。お天道様と河川標識は、信濃川・阿賀野川流域ではどこでもついて回るようです。

正確にいうなら、写真の左側がカーブしていて、写真右側は排水機場がある関係か、直線状の護岸となっていますが、河道の屈曲区間上にあることは変わりありません。
すぐ向こうが直線河道なのですから、少しずらして造ればよさそうなものですが、何か理由があったのでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(23年8月10日撮影)
(『津島屋閘門…2』につづく)

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