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5月1日の江戸川…9

(『5月1日の江戸川…8』のつづき)

191051.jpg流れ下ってきたひとかたまりの枝葉に惹かれてパチリ。豪雨の後や増水時によくみられる、枯草や枯れ枝のそれではなく、茎も葉も青々としているのが、何やら新鮮で目を奪われました。

穏やかな川面は水質のコンディションもよろしく、ハルに触れるさざ波の感触も下流から変わらず、眠気を誘いそうな柔らかな感じ。舵を預けていたら、本当に眠ってしまいそうな穏やかさです。

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河道がぐっと東に振れたところで、県道295号線上葛飾橋が見えてきました。

この橋、今までと違うのが、バックに高い建物が少なくなるせいか、どこか寂寞とした雰囲気をまとっていること。ここから上流は、次第に可航環境が厳しくなる区間だけに、下流部と中流部を分かつというか、異なる世界への門のようにも感じられ、ディテールの乏しさもあいまって、印象深い橋なのです。

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久しぶりに訪ねたことだし、ぐっと仰いで橋の裏側も。すっかり褪せてしまった塗色に、平成5年、初めて訪ねたときのうだるような暑さを思い出しました。
撮影地点のMapion地図

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ここから先は、浅瀬や砂洲も少なくなく、今までのようにのほほんとはしていられない区間。遠く望む三郷排水機場のあたりには、PWCが集結して盛んに爆音を立てていました。

前回触れたように、三郷船着場あたりまで遡上すれば、中之島付近が浚渫されたかどうかも確かめられたのですが、どういうわけだかピンとくるものがあり、これも久しぶりに「あっ、呼ばれていないな」との天啓(単なる妄想)が‥‥。
というわけで、14:37をもって転回、下航することにしました。

191055.jpg帰路はひとつ、面白い出会いがありました。柳原水門の付近まで下ってきたら、後ろからビィィィンとかん高い音とともに、マルチコプタータイプのドローンが、我が艇の上空を高速航過! 

きっとカメラもついていて、操縦者は我々のことを見ているに違いないと、嬉しくなって手を振ったものです。一旦遠ざかったものの、旋回してきて今度は船首から、頭上スレスレまで高度を下げ、挨拶するように飛び去ってゆきました。

(28年5月1日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 江戸川橋の裏側

5月1日の江戸川…8

(『5月1日の江戸川…7』のつづき)

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松戸船着場。フェンダー付きの岸壁一面、上流側に階段式、下流側にスロープを備えた立派なもの。「江戸川管内緊急用船着場」(PDF)によると、全長30m、河口からの里程19㎞とのこと。

ん? 上流側に人影が‥‥。先ほどと違って防災訓練ではなさそうだし、何かを待っているような雰囲気。もしかして、船が来るのかしら。

191047.jpg松戸市街のビル群を遠望。回転レストランらしい、円盤型の構造物を頂いたビルが目立っているのは、初めて訪ねたときから変わっていません。今も現役なのでしょうか。

帰宅後検索したら、「松戸ビル」(超高層ビルと風景写真のきりぼう)がヒット。昭和49(1974)年竣工、平成15年までホテルニューオータニ松戸が14~20階にテナントとして入っており、本家同様スカイラウンジもあったとのこと。勉強になりました!

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変則3径間という形の面白さ、径間角の石材が渋さを演出しておりと、魅力的な外観の小型水門・赤圦樋門。

水とみどりと歴史の回廊マップ(松戸地区)~水とみどり~」(松戸市HP)によれば、創設は何と文化10(1813)年! 江戸時代からこの地にある、歴史ある樋門だったのですね。ちなみに現樋門は昭和32年の竣工、こちらも60年になんなんとする古豪であります。

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その上流にある樋野口樋管も一枚。坂川の調整を担うという意味では、赤圦樋門と同様なものの、こちらは背後右側に見える樋野口排水機場とセットで、いわば機力排水の放流口と見てよいでしょう。地味な存在ですが、佐藤師匠のFloodgates List 16には、しっかりリストアップされており、さすがとしかいいようがありません。

191050.jpg松戸の屈曲を離れると、流路を県境が横切っており、東京都から埼玉県に入ります。流路中央に出ると、写真のようにところどころ感が跳ね上がる箇所もあるものの、水深はおおむね3m台~4m弱をキープしていて、まずまずの可航環境。

そうそう、可航環境で思い出した! 
だいぶ前になりますが、「緊急船着場と緊急用河川敷道路」(南流山通信)と題した記事を発見。船着場の詳しい情報が載っているのに惹かれて、興味深く拝読していたら、「三郷緊急用船着場までの江戸川の航路となる部分の浚渫(平成22年度までの予定)が進められています」なる下りが! 当然ながら、目を剥いてものすんごく意識したわけであります。

Googleの航空写真で、三郷船着場までの河道を眺めてみたかぎりでは、岸沿いの砂洲や浅瀬こそあまり変わっていないものの、三郷中之島(『江戸川・三郷中之島覚え書き』参照)西側にあった浅瀬が、無くなっているように見えたのです! 佐藤師匠と訪ねたのが平成21年7月、記事の文言を信じれば、その直後に浚渫されたということでしょうか?

他の砂洲や浅瀬がほぼそのままのようであることから、低水敷すべての浚渫はあきらめ、想定された河用船が通れる最低限の澪筋のみ、確保する方針で掘り下げたのかもしれませんね。以上は確認情報ではなく、船頭の妄想ですので、間違っていたらごめんなさい。

(28年5月1日撮影)

(『5月1日の江戸川…9』につづく)

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タグ : 江戸川赤圦樋門樋野口樋管松戸船着場

5月1日の江戸川…7

(『5月1日の江戸川…6』のつづき)

191041.jpg左手、葛飾区側にもくもくとした質感の木立が‥‥。緑の法面越しにのぞける、雰囲気のよさに惹かれて一枚。お社があるのでしょうか。

Googleマップの航空写真で確認してみたら、やはり葛西神社の杜とのこと。堤防が高められる前は、社殿が川面に姿を映し、もしかしたら、上下する高瀬舟の乗り組みからも信仰を集めたのかな‥‥、と妄想。


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191043.jpg屈曲した河道がほぼ北東に向いたあたりで、次の橋が見えてきました。こうやって切り取ると、まるで新幹線の電車が両岸から渡ってくるように見えますね。

この橋、現在建設中の外環道の一部で、新幹線のように見えたのは、上を開いた円筒形に造られた防音壁。前回来たときにはまだ基礎工事中で、影も形もなかった橋です。


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外環道の両脇を挟むように渡る、国道298号葛飾大橋を仰いで。光線の塩梅もよろしく、薄いグレーの塗装もまだきれいで、「ああ、トラスっていいなあ‥‥」と思わずつぶやいてしまう端正さ。

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そのすぐ上流、県道54号葛飾橋は、対照的に表面がだいぶくたびれて、ちょっとかわいそうな感じすらします。松戸市街のビル群も間近に迫り、河道が西へ大きく曲がる地点。風が運ぶ川面の匂いも心地よく、鼻歌交じりで遡上続行であります。
撮影地点のMapion地図

(28年5月1日撮影)

(『5月1日の江戸川…8』につづく)

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タグ : 江戸川

5月1日の江戸川…6

(『5月1日の江戸川…5』のつづき)

191036.jpg柴又付近の江戸川といえば、やはり外せないのがご存知、金町浄水場の取水塔。独特のスタイルはもとより、可航河川で間近に見られる上水道の取水塔としても、希少な存在でしょう。

下流側から遠望したかぎりでは、以前と変わりのない様子。しかし、時間が少し遅かったようで、光線の塩梅があまりよくありません。久しぶりにぐっと寄せてものしたかったのだけれど、どうでしょうか。

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下流側、丸いつば広帽をかむった第三取水塔から。ううん、やっぱり逆光で黒く沈みがち‥‥。少しはすから眺めると、流路方向に合わせて扁平な、楕円の断面になっているのがよくわかります。

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そしてトンガリ帽子の第二取水塔。真正面を狙ってみたものの、当たり前ですがなおさら逆光がきつくなり、完全に失敗。それでも、戦前竣工らしい風格のあるディテールを堪能できて、大いに満足でした。

取水塔左側、釣りでしょうか、水際に腰掛けるおじさまが、のんびりとした実にいい雰囲気を醸し出していますね。水辺の散策を楽しむ人々が多いこともあり、いうまでもなく、引き波厳禁の最微速で遡上しています。

191039.jpg取水塔のすぐ上流にあるのが、緑に塗り上げた桁の国道6号水戸街道、新葛飾橋。おや、一本上流の常磐線江戸川橋梁の右側、台船群がいるようですね。

近づいてみると、小型曳船2隻に、クレーン搭載一隻を含めた台船数隻がメザシにもやっていました。橋脚の耐震補強はすでに終わっているようだし、何の工事かな? これが船団を組んでぞろぞろと、数隻づつ江戸川閘門を通ってきたわけで、通閘シーンを見てみたくなるような陣容ではありました。

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撮影地点のMapion地図

(28年5月1日撮影)

(『5月1日の江戸川…7』につづく)

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タグ : 江戸川金町浄水場取水塔

5月1日の江戸川…5

(『5月1日の江戸川…4』のつづき)

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191032.jpg矢切の渡しを最微速で航過しつつ、自艇の行動範囲内で唯一、現役の渡船場風景をスナップ。矢切側、柴又側とも続々とお客さんが詰めかけ、おおいに賑わっています。この好天となれば、川面に繰り出したくなりますよね。

ところで、一見地味な渡船にもちゃんと、船名がついているのをご存知でしたか。小さくですが、船首の舷側に名前が書かれているのが見えますね。矢切側の舟は新矢切丸、柴又側のそれは第一矢切丸とありました。

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これは帰路のスナップですが、いいタイミングで両岸の桟橋を離れたときに出くわしたので、振り返って一枚。二隻の大きさでもわかるように、写真左、柴又側渡船場の方が上流に位置しています。

これだけの大きさ、しかも人を多く乗せた平底舟で流路を横切るとなれば、流速や風の影響も大きく、相当な技量を要するでしょう。まず上流に船首を向けて力漕し、流路中央あたりで変針、流速を利用しつつ下るような形で対岸につける‥‥と想像していたら、矢切の渡船場を出た舟は、ほぼまっすぐに柴又側目指して河道を横断! さすがベテランと、舌を巻いたものでした。

191034.jpgこのあたり、高水敷の高さがきわめて低く、我が木っ端ブネ程度の目線でも、地表(?)を見渡せる楽しさがあります。そして水際には、ほどよい水気と堆積土の栄養で環境がよいのか、ご覧のとおり木々や雑草がこんもり。

下写真、目線を斜め前方に移してみると、水際のみずらりと木が並んで見え、自然にできた水路の街路樹‥‥水路樹?といってもいいくらい! 

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もちろん水際には、鋼矢板など何らかの護岸が施してあると思われますが、それを覆い隠すように木や草が生い茂って、独特の川景色をかたちづくったのでしょう。水辺を縁取るように伸びゆく「水路樹」の列‥‥江戸川でも好きな風景の一つです。

(28年5月1日撮影)

(『5月1日の江戸川…6』につづく)

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タグ : 江戸川矢切の渡し