あやめ祭りの水郷風景…3
(『あやめ祭りの水郷風景…2』のつづき)
●ハスの葉がさらさらと音を立てながら、舟縁を擦って後ろへ流れてゆくのは、何とも心地よいもの。
ハスの葉の間にぽつぽつと浮かぶ、小粒のウキクサたちにも惹かれるものがありました。子供のころ、公園の池などで拾ってきて、金魚鉢に浮かべておくと、分裂して増殖するのが面白く、飽かず眺めたことを思い出したのです。

●エンマに架かるいま一つの木橋を、先行するサッパがくぐるところを一枚。水面のハス、水際のあやめから、橋詰に幹を傾ける柳、藤棚の向こうに立つポプラ、そして中高の橋…と、水郷らしいシーナリィが凝縮されて、精緻な箱庭を眺めているようでした。
●園内の水路を一巡りして、サッパは元の乗り場へもどってきました。乗船待ちの列が、藤棚の下からはみ出るほどの盛況です。
わずか15分ほどの舟行きでしたが、あやめ祭りの賑やかさとともに、竿さす昔ながらのサッパを味わうことができて、思った以上に楽しめました。

●花のたぐいには、トンとうとい無粋者ながら、これだけのあやめをそろえて咲かせるには、なみなみならぬ丹精が必要だということはわかります。これからも水郷の名物として、たくさんの人が訪れますように。
水生植物園を出たところで、目についたのがご覧の幟。伊能忠敬を主人公とする、NHKの大河ドラマを実現させようとのキャンペーン中で、署名も受け付けていました。
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…4』につづく)

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ハスの葉の間にぽつぽつと浮かぶ、小粒のウキクサたちにも惹かれるものがありました。子供のころ、公園の池などで拾ってきて、金魚鉢に浮かべておくと、分裂して増殖するのが面白く、飽かず眺めたことを思い出したのです。

●エンマに架かるいま一つの木橋を、先行するサッパがくぐるところを一枚。水面のハス、水際のあやめから、橋詰に幹を傾ける柳、藤棚の向こうに立つポプラ、そして中高の橋…と、水郷らしいシーナリィが凝縮されて、精緻な箱庭を眺めているようでした。

わずか15分ほどの舟行きでしたが、あやめ祭りの賑やかさとともに、竿さす昔ながらのサッパを味わうことができて、思った以上に楽しめました。


水生植物園を出たところで、目についたのがご覧の幟。伊能忠敬を主人公とする、NHKの大河ドラマを実現させようとのキャンペーン中で、署名も受け付けていました。
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…4』につづく)

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あやめ祭りの水郷風景…2
(『あやめ祭りの水郷風景…1』のつづき)
●サッパには、靴を脱いで座るゴザ敷きのものと、土足のまま乗れるベンチの2種類がありました。我々の乗ったのはベンチ式で、ラッキーなことに一番前の席。
乗り込んでいるうちにも、サッパは次々と発着して、お客さんをさばいてゆきます。乗船待ちの列も、あっというまに伸びて、乗り場は大賑わいです。

●女性の船頭さんが竿をあやつって、満員のサッパを器用に転回させ、船着場を離れて水路をゆっくりと南下開始。
現在の与田浦やエンマをゆくサッパとの一番の違いは、手が触れんばかりの距離にハスの葉が浮かび、あやめがそよいでいること。ハスの花のつぼみが、水面に浮かぶ葉の間からピョコンと顔を出しているのも、間近に見られるのが新鮮でした。
●ハスの葉が舷を擦り、あやめの群落が両岸を埋める、「分け入り感」濃厚なより細い水路へ。動力船ではペラがからんでとても入れない、まさに竿舟の独壇場ともいうべき、かつてのエンマを髣髴できそうなこの狭さ、のどかさ!
昔の十六島は、それこそ葉脈のように無数のエンマが広がっていたわけですが、エンマの中でも特にハートをわしづかまれたのが、それこそ舟1隻分の幅しかないような、草に埋もれんばかりの極狭水路。
もちろん実見したわけではなく、いくつかある水郷の写真集で見たのですが、そんな「非動力船専門の可航水路」ともいうべき存在にグッときていたこともあり、感動が深かったのです。

●そしてエンマといえば、木で造られた中高の橋! クロ(あぜ道)とクロを結んで、サッパの舟行きをさまたげないように、高々と中央径間を持ち上げた丸太の橋は、十六島を象徴する風物の一つであったといっても、いい過ぎではありますまい。地面の低さと、舟航が最優先だった十六島の土地柄が、凝縮されたような存在です。
写真集で見たかつての橋たちは、これより細い材を組み合わせた華奢な感じのもので、手すりも片側だけか、両側ともないタイプがあったようです。もちろん園内の橋ともなれば、いかな水郷風景の保存が眼目とはいえ、再現にも限度があることでしょうね。
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…3』につづく)

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乗り込んでいるうちにも、サッパは次々と発着して、お客さんをさばいてゆきます。乗船待ちの列も、あっというまに伸びて、乗り場は大賑わいです。


現在の与田浦やエンマをゆくサッパとの一番の違いは、手が触れんばかりの距離にハスの葉が浮かび、あやめがそよいでいること。ハスの花のつぼみが、水面に浮かぶ葉の間からピョコンと顔を出しているのも、間近に見られるのが新鮮でした。

昔の十六島は、それこそ葉脈のように無数のエンマが広がっていたわけですが、エンマの中でも特にハートをわしづかまれたのが、それこそ舟1隻分の幅しかないような、草に埋もれんばかりの極狭水路。
もちろん実見したわけではなく、いくつかある水郷の写真集で見たのですが、そんな「非動力船専門の可航水路」ともいうべき存在にグッときていたこともあり、感動が深かったのです。

●そしてエンマといえば、木で造られた中高の橋! クロ(あぜ道)とクロを結んで、サッパの舟行きをさまたげないように、高々と中央径間を持ち上げた丸太の橋は、十六島を象徴する風物の一つであったといっても、いい過ぎではありますまい。地面の低さと、舟航が最優先だった十六島の土地柄が、凝縮されたような存在です。
写真集で見たかつての橋たちは、これより細い材を組み合わせた華奢な感じのもので、手すりも片側だけか、両側ともないタイプがあったようです。もちろん園内の橋ともなれば、いかな水郷風景の保存が眼目とはいえ、再現にも限度があることでしょうね。
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…3』につづく)

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あやめ祭りの水郷風景…1

今回はまず、十六島の水生植物園から。実は、毎年のように来ていながら、あやめの盛りを一度も見たことがありませんでした。ご当地が最も賑わうこの時季はどんなものなのか、初めてなので楽しみです。
水生植物園前の駐車場に到着すると、いつもと勝手が違い、クルマや観光バスがぎっしり。うわさどおりの繁盛ぶりを目の当たりにして、嬉しくはなったものの、入れなかったらどうしよう…と不安になっていたら、ちょうど一台出るクルマがあって、辛くも収まることができました。

●ではさっそく、水郷佐原水生植物園の園内へ。「あやめまつり」「香取市」と書かれたぼんぼりが立ち並ぶ園内は、あやめを愛でる人たちでなかなかの盛況。この日、24日があやめ祭りの最終日とのことで、水郷の一番華やいだ雰囲気を味わうには、駆けこみセーフといったところです。
【撮影地点のMapion地図】

このような古い農具が展示されているのは、土地改良がおこなわれる以前の、いにしえの水郷風景を保存しようというのが、水生植物園の設立趣旨の一つでもあるため。運動は苦手ではありますが、この踏み車の「体験揚水」(?)があったら、ぜひ参加してみたいところです。

●水辺を埋め尽くすあやめの見事さと、その銘柄の多彩さに目を奪われながらも、やはり一番のお目当ては、園内の水路を竿さしてめぐる、サッパでの遊覧!
この角度から見ると、可憐なあやめの群落越しにゆくサッパ、その向こうには真っ直ぐにのびるポプラの木々と、古きよき水郷を思い起こさせる風景が展開されていて、ますますそそるものが。舟の乗り場に急ぎましょう。

幸いにして並ぶ人は少なく、一回の順番待ちですぐに乗ることができました。もう10分遅れていたら、長蛇の列となっていたところです。
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…2』につづく)

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