震災後の水郷を訪ねて…5
(『震災後の水郷を訪ねて…4』のつづき)

●小野川水門に上がる道から、隣接する佐原ドック(『「水の郷さわら」を訪ねて…3』参照)を囲む堤防を見ると、こちらも一面、土嚢を重しにしたブルーシートをかぶせられていました。
地震でクラックが入ったか、法面の崩落があったのでしょうか。
●堤防の上に上がってみました。シートは堤内側だけでなく、堤外側にもかけられて、天端の道は補修されたらしく、まだ新しい砕石が敷いてありました。
ドックに浮かぶ浚渫船「利根号」は無事のようですね。
【撮影地点のMapion地図】
●堤防の上から、「水の郷さわら」を遠望すると、こちらも被害は少なくなさそう。船着場に至る階段の前に、大きな陥没や液状化の跡が見られ、柵で囲われて、一帯は立ち入り禁止になっているようです。
水ぬるむこの季節なら、小野川を通って佐原中心部に向かう便や、利根川遊覧のフネブネで船着場は引きも切らず、乗船を待つ人々で行列ができていてもおかしくないのですが、ご覧のとおりの寂しさ……。
●小野川水門の管理橋を渡り、河口北側にある河川敷の駐車場を見たところ。瓦礫の一時集積場として使われているようですね。
付近一帯の復旧だけでも、気の遠くなるような量の瓦礫や土砂を処分しなければならないことを思うと、胸の詰まる思いです。

●佐原市街のそこここに貼られていた、復興に向けての意気を示すポスター。「訪れていただくことが最高の復興支援」…近いうちの再訪を心に決めて、十六島へ向かうことにしました。
(23年5月2日撮影)
(『震災後の水郷を訪ねて…6』につづく)

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●小野川水門に上がる道から、隣接する佐原ドック(『「水の郷さわら」を訪ねて…3』参照)を囲む堤防を見ると、こちらも一面、土嚢を重しにしたブルーシートをかぶせられていました。
地震でクラックが入ったか、法面の崩落があったのでしょうか。

ドックに浮かぶ浚渫船「利根号」は無事のようですね。
【撮影地点のMapion地図】

水ぬるむこの季節なら、小野川を通って佐原中心部に向かう便や、利根川遊覧のフネブネで船着場は引きも切らず、乗船を待つ人々で行列ができていてもおかしくないのですが、ご覧のとおりの寂しさ……。

付近一帯の復旧だけでも、気の遠くなるような量の瓦礫や土砂を処分しなければならないことを思うと、胸の詰まる思いです。

●佐原市街のそこここに貼られていた、復興に向けての意気を示すポスター。「訪れていただくことが最高の復興支援」…近いうちの再訪を心に決めて、十六島へ向かうことにしました。
(23年5月2日撮影)
(『震災後の水郷を訪ねて…6』につづく)

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横利根閘門遊覧…1
(『「水の郷さわら」を訪ねて…5』のつづき)
●我々の乗るサッパが到着したので、案内されて桟橋へ。桟橋の表側は、頻発している佐原方面への便でふさがっているので、桟橋の手前、岸壁とのスキ間のようなところに着けてきました。
自分の乗る舟を撮り忘れてしまったので、胴の間に収まってから、向かい合った佐原行きのサッパを一枚。
●オーニング付きのサッパなので、眺望は残念ながらいま一つですが、大利根本流を楽しめて、しかも横利根閘門を水上から拝めるのなら、ぜいたくは言えません。
舟上から見る桟橋は、ご覧のとおりお客さんの列が途切れず、大賑わいのありさま。佐原の街並みを眺めながらの小野川遡上は、やはり人気が高いようですね。道の駅の駐車場が一杯ということもあり、佐原中心部にクルマを停めて、舟でこちらに向かうお客さんもいるようです。
●特に定員何名との指示はなかったこともあり、並んでいたお客さん全員を詰め込んで出発。もちろん足を伸ばせるような余地はなく、全員が正座か体育座り(笑)。
隣に座ったおばさんからは、「正座しどおしじゃ、学校で先生に説教されてるみたい」と、苦笑まじりのご意見も。まあ、肩を触れ合わせてお国なまりを聞くサッパの船旅も、悪くはありません。

●少々過積載気味のサッパは、船足を深く沈めて佐原港(そう、川の駅は、間違いなく『佐原港』の復活でしょう!)を離れ、雄大な利根本流へ。
船首のタテイタをさざ波がどしん、どしんと叩き、冷たい川風とともに、快いピッチングが体に伝わってきます。広々とした川面、さえぎるもののない空、利根川はやはり、いいものですね。
●雲ひとつない快晴とあって、ここ下利根流域も結構な出船があり、行きかう観光船のほかにも、疾走するモーターボートが何隻か見られ、川面は賑やかです。
あの艇も、どこかの閘門をくぐってきたのかなあ…。霞ヶ浦・北浦を控える内水域の理想郷、釣りに遠乗りにと、皆さん楽しまれたことでしょう。
(22年5月2日撮影)
(『横利根閘門遊覧…2』につづく)

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自分の乗る舟を撮り忘れてしまったので、胴の間に収まってから、向かい合った佐原行きのサッパを一枚。

舟上から見る桟橋は、ご覧のとおりお客さんの列が途切れず、大賑わいのありさま。佐原の街並みを眺めながらの小野川遡上は、やはり人気が高いようですね。道の駅の駐車場が一杯ということもあり、佐原中心部にクルマを停めて、舟でこちらに向かうお客さんもいるようです。

隣に座ったおばさんからは、「正座しどおしじゃ、学校で先生に説教されてるみたい」と、苦笑まじりのご意見も。まあ、肩を触れ合わせてお国なまりを聞くサッパの船旅も、悪くはありません。

●少々過積載気味のサッパは、船足を深く沈めて佐原港(そう、川の駅は、間違いなく『佐原港』の復活でしょう!)を離れ、雄大な利根本流へ。
船首のタテイタをさざ波がどしん、どしんと叩き、冷たい川風とともに、快いピッチングが体に伝わってきます。広々とした川面、さえぎるもののない空、利根川はやはり、いいものですね。

あの艇も、どこかの閘門をくぐってきたのかなあ…。霞ヶ浦・北浦を控える内水域の理想郷、釣りに遠乗りにと、皆さん楽しまれたことでしょう。
(22年5月2日撮影)
(『横利根閘門遊覧…2』につづく)

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「水の郷さわら」を訪ねて…5
(『「水の郷さわら」を訪ねて…4』のつづき)
●続いて2階の防災教育展示室も拝見。機械類に吸い寄せられて、1階の方を先に見てしまいましたが、むしろこちらがメインと言ってよいでしょう。
治水・利水から舟運の歴史に至るまで、利根川流域に関することを網羅した展示で、ちょっとした博物館並みの充実した内容。個人的には、横利根閘門の紹介にかなりのスペースを割いていたのを興味深く拝見。詳しい構造の解説はもとより、竣工図面も大きく掲げられて、楽しめました。

●「治水技術発見コーナー」に展示されている、浚渫船「利根号」の大型模型もなかなか。浚渫船の模型自体が珍しいですから、このあたりは旧建設省の面目躍如といったところ。窓配置など、細部が異なるところを見ると、竣工当時の姿を模型化したものでしょうか。
●屋外展示で一つ忘れ物。こちらは建設機械群と離れて、建物正面に置かれていた、加藤製作所製のディーゼル機関車とトロッコ2輌。
建設機械が発達する前は、こうした車輌が狭軌の仮設軌道上を走って土を運び、堤防や河川の浚渫工事に活躍したのですね。
しかし、せっかく建屋を新調したのですから、さして大きくない車輌類は、屋内に収容できるつくりにした方が良かったのでは…。雨ざらしでは、いずれ錆びてくるのは目に見えていますからね。
●賑やかな屋台村で、ご当地産素材を使った昼食を済ませた後は、お楽しみの遊覧船へ。
屋台に並んで、受付があったので行ってみると、コースが3つあり、所要時間は約30分とのこと。うち津宮~仲江間閘門と、横利根閘門~水郷大橋のどちらにしようか悩んだのですが、ここはやはり、水上から見たことのない横利根閘門がよろしかろうと、切符を購入。
●船着場に下りてみると、乗船待ちの列は衰えておらず、サッパの発着は引きもきりません。もっとも、左側に並んでいる人たちは、小野川を遡って佐原中心部に向かう便を待つ人たちで、こちらは船着場で切符を購入する別会計。
我々の乗る舟は、桟橋右側の手前に着くとのこと。開設間もないとあって、案内の方も慣れないのか、少し混乱がありましたが、船腹は充分なせいか、さほど待たずに乗ることができました。
(22年5月2日撮影)
(『横利根閘門遊覧…1』につづく)

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治水・利水から舟運の歴史に至るまで、利根川流域に関することを網羅した展示で、ちょっとした博物館並みの充実した内容。個人的には、横利根閘門の紹介にかなりのスペースを割いていたのを興味深く拝見。詳しい構造の解説はもとより、竣工図面も大きく掲げられて、楽しめました。

●「治水技術発見コーナー」に展示されている、浚渫船「利根号」の大型模型もなかなか。浚渫船の模型自体が珍しいですから、このあたりは旧建設省の面目躍如といったところ。窓配置など、細部が異なるところを見ると、竣工当時の姿を模型化したものでしょうか。

建設機械が発達する前は、こうした車輌が狭軌の仮設軌道上を走って土を運び、堤防や河川の浚渫工事に活躍したのですね。
しかし、せっかく建屋を新調したのですから、さして大きくない車輌類は、屋内に収容できるつくりにした方が良かったのでは…。雨ざらしでは、いずれ錆びてくるのは目に見えていますからね。

屋台に並んで、受付があったので行ってみると、コースが3つあり、所要時間は約30分とのこと。うち津宮~仲江間閘門と、横利根閘門~水郷大橋のどちらにしようか悩んだのですが、ここはやはり、水上から見たことのない横利根閘門がよろしかろうと、切符を購入。

我々の乗る舟は、桟橋右側の手前に着くとのこと。開設間もないとあって、案内の方も慣れないのか、少し混乱がありましたが、船腹は充分なせいか、さほど待たずに乗ることができました。
(22年5月2日撮影)
(『横利根閘門遊覧…1』につづく)

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「水の郷さわら」を訪ねて…4
(『「水の郷さわら」を訪ねて…3』のつづき)

●防災教育展示室は、従来屋外に置かれていた、工作機械類をまとめた部屋。主に旧建設省・佐原工作出張所で使われていたものだそうです。
床はコンクリート打ちっぱなし、天井は梁やダクトがむき出しで、人によっては殺風景と思われるような部屋ですが、かえって無骨な黒塗りの機械たちにはふさわしい雰囲気で、現役時代を髣髴させるような佳さがありました。
●部屋の真ん中に置かれていた、土工用トロッコも悪くないのですが、何より黒光りする機械たちの重量感に圧倒され、もうお菓子の家に迷い込んだ子供状態。職業柄、工作機械とか製造ラインのたぐいに弱いこともあり、しかも撫で回し放題とあって、顔がゆるみっぱなし。
写真はエアーハンマー(空気槌)。鍛冶屋さんが赤めた鉄片を前に金槌をふるう、あのトンテンカンを機械化したものです。こっこの、剛性の権化のような鋳物のフレームがもうアレだ(どれだ)!
この他、大小の旋盤、ボール盤、穿断機、ウィンチ用据置ディーゼルエンジンなどがありました。

●こういう真鍮の銘板を目の当たりすると、もう泣けてくるからやめてほしい。いややめないでほしい。(どっちなんだよ!)
何分、長期間屋外に雨ざらしになっていたので、分厚く再塗装されてはいるものの、はた目にも傷んでいるのは見て取れましたが、銘板を塗り潰したりせず、磨き出しにしてくれたのは嬉しい気遣いでした。
また屋外の展示物同様、説明にメーカー名は入っていなかったのですが、こちらは銘板で確認はできるのであまり気になりませんでした。購入年については、本文中で言及しているものもあり、それによると昭和30年前後のものが多いようでした。

●いまや塗料に分厚く覆われて、物言わぬ黒いオブジェと化してはいるものの、交錯する巨大ピニオンやスパーを透かし見るのは、この上なく楽しいもの。
例え動かなくとも、これは芸術作品などでなく、やはりホンモノです。軸受けのメタルやグリスカップの蓋と、一つ一つのディテールに意味があるものを眺めるのは、文章を読み解くような面白さがありますね。

●しつこいですがもう一枚。ちなみに上は穿断機、下は正面盤なる大型旋盤。
この変速ドラム?の段々にハートわしづかまれました。
(22年5月2日撮影)
(『「水の郷さわら」を訪ねて…5』につづく)

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●防災教育展示室は、従来屋外に置かれていた、工作機械類をまとめた部屋。主に旧建設省・佐原工作出張所で使われていたものだそうです。
床はコンクリート打ちっぱなし、天井は梁やダクトがむき出しで、人によっては殺風景と思われるような部屋ですが、かえって無骨な黒塗りの機械たちにはふさわしい雰囲気で、現役時代を髣髴させるような佳さがありました。

写真はエアーハンマー(空気槌)。鍛冶屋さんが赤めた鉄片を前に金槌をふるう、あのトンテンカンを機械化したものです。こっこの、剛性の権化のような鋳物のフレームがもうアレだ(どれだ)!
この他、大小の旋盤、ボール盤、穿断機、ウィンチ用据置ディーゼルエンジンなどがありました。

●こういう真鍮の銘板を目の当たりすると、もう泣けてくるからやめてほしい。いややめないでほしい。(どっちなんだよ!)
何分、長期間屋外に雨ざらしになっていたので、分厚く再塗装されてはいるものの、はた目にも傷んでいるのは見て取れましたが、銘板を塗り潰したりせず、磨き出しにしてくれたのは嬉しい気遣いでした。
また屋外の展示物同様、説明にメーカー名は入っていなかったのですが、こちらは銘板で確認はできるのであまり気になりませんでした。購入年については、本文中で言及しているものもあり、それによると昭和30年前後のものが多いようでした。

●いまや塗料に分厚く覆われて、物言わぬ黒いオブジェと化してはいるものの、交錯する巨大ピニオンやスパーを透かし見るのは、この上なく楽しいもの。
例え動かなくとも、これは芸術作品などでなく、やはりホンモノです。軸受けのメタルやグリスカップの蓋と、一つ一つのディテールに意味があるものを眺めるのは、文章を読み解くような面白さがありますね。

●しつこいですがもう一枚。ちなみに上は穿断機、下は正面盤なる大型旋盤。
この変速ドラム?の段々にハートわしづかまれました。
(22年5月2日撮影)
(『「水の郷さわら」を訪ねて…5』につづく)

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「水の郷さわら」を訪ねて…3
(『「水の郷さわら」を訪ねて…2』のつづき)
●「たちばな」から建物の裏手に回ったところが、重機類の屋外展示。これは3台あるキャタピラ車の一つで、堤防の雑草を刈る草刈車なのだそう。
転輪や緊張機構など、下回りにどこか古典味を感じて吸い寄せられたのですが、説明に製造年が書いていないので、やはり物足りないものが。ぜひ従来どおり、メーカー名と製造年も書いていただきたいものです。
●浚渫船常陸号に搭載されていた渦巻ポンプ。川底の泥を水ごと吸い込んで、パイプで土運船や陸上に送る形式の浚渫船だったのですね。
利根川下流資料室時代は、この他にも船があったはずですが、朽ちて撤去されてしまったのでしょうか、見当たりませんでした。

●展示物の前から佐原ドックを見下ろすと、浚渫船「利根号」がもやっていました。昨年夏、「佐原出港」でタヌキ島にいたのを見たときは、船体は色あせ、甲板に草が生えてえらくうらぶれた感じでしたが、見違えるようですね。
こちらも、道の駅開設に合わせて化粧直しされたのでしょう。
●ここでいったん屋内に入り、防災教育展示室へ。風がさらりとしているせいか、そんなに暑いとは思いませんでしたが、やはり日陰に入るとひんやりして、陽射しが強かったことを感じさせました。
こちらには、従来屋外に展示されていた、工作機械類が収められているはずです。
●おっと、展示室の入口右手に飾られている絵、横利根閘門を描いたものじゃないですか! 現在の横利根水門ができる前、横利根橋から見た光景でしょうか。静かな夕暮れの水鏡に、レンガの堤体とマイタゲートを映す閘門、素晴らしい絵ですね。
これは本気で欲しい! 複製でもいいから、部屋に飾ってみたい! 説明には、なぜか所蔵者の名前だけで、肝心の作者名が書いてありませんでした。
…あれ? もしかして、屋外展示のメーカー名を書かないのと、同じ伝なのかしら?
(22年5月2日撮影)
(『「水の郷さわら」を訪ねて…4』につづく)

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転輪や緊張機構など、下回りにどこか古典味を感じて吸い寄せられたのですが、説明に製造年が書いていないので、やはり物足りないものが。ぜひ従来どおり、メーカー名と製造年も書いていただきたいものです。

利根川下流資料室時代は、この他にも船があったはずですが、朽ちて撤去されてしまったのでしょうか、見当たりませんでした。

●展示物の前から佐原ドックを見下ろすと、浚渫船「利根号」がもやっていました。昨年夏、「佐原出港」でタヌキ島にいたのを見たときは、船体は色あせ、甲板に草が生えてえらくうらぶれた感じでしたが、見違えるようですね。
こちらも、道の駅開設に合わせて化粧直しされたのでしょう。

こちらには、従来屋外に展示されていた、工作機械類が収められているはずです。

これは本気で欲しい! 複製でもいいから、部屋に飾ってみたい! 説明には、なぜか所蔵者の名前だけで、肝心の作者名が書いてありませんでした。
…あれ? もしかして、屋外展示のメーカー名を書かないのと、同じ伝なのかしら?
(22年5月2日撮影)
(『「水の郷さわら」を訪ねて…4』につづく)

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