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目標、武蔵!…2

(『目標、武蔵!…1』のつづき)

16031.jpg風上に切り上がるようにして、じりじりと近づいてみました。横目でにらむエスコートの曳船は、特に動きなし。どやされるといけないので、慎重に…。

薄霞む水平線近くのフネブネは、泊地に憩う碇泊船たち。天を突く紅白のジブと秋の海、静かで、幻想的な風景です。



16032.jpg
フックのちょうど真下に、さらに沖合いに浮かぶ「第五十吉田号」が見えたので一枚。
もう間もなく、トラスの待つ富津へ向けて移動を始めるのでしょうね。

16033.jpgバドン氏が「真横から見ると、ヘビがこうニョロニョロッとしているようにも見えますよね」と、新説を開陳。タラバガニといい、ヘビといい、重鎮お二人の豊潤な想像力には遠く及ばないと、頭をたれる船頭。

あれ? 「武蔵」が、後ろに向かって少しづつ移動しているような…。中央に小さく見える煙突からは、盛んに排気を吹き上げて、何か補機を運転している模様。自力での移動は、できないはずですが…。

16034.jpg船尾をふと見ると、水面に向かって放水している…、ははあ、アンカーチェーンを引き絞って、後ずさっているのですね。放水は、アンカーチェーンについた泥を、洗い流すためのものでしょう。

わざわざ沖までやって来た甲斐あって、岸近くで作業に奮闘しているときとは、一味違った表情を見ることができ、大いに満足。
帰途は追い波となるので、だいぶ船足を落としたつもりでしたが、佐藤氏やバドン奥様にはしぶきがかかってしまい、ご迷惑をおかけしました(涙)。

16035.jpg午後の柔らかい陽射しが影を作る、新砂水門に迎えられて、砂町運河に帰還。お疲れさまでした。

マニアパレルの創作活動に、少しでもお役に立てたのか…。若干の不安は残しつつも、団地という新しい水辺の楽しみと、最低橋から巨大クレーンまで、秋晴れの下お三方と存分に味わうことができ、楽しい船行きの一日でありました。
撮影地点のMapion地図

(21年9月20日撮影)

(この項おわり)

【追記】たった今発表された、バドン氏の新作。その名も起重機船Tシャツ」!

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タグ : クレーンバージ深田サルベージ武蔵吉田組第五十吉田号新砂水門砂町運河

目標、武蔵!…1

(『9月20日の臨海大橋』のつづき)

16026.jpg時は少々遡りますが、臨海大橋に針路を定めたその時、第三航路の延長線上はるかに、沖がかりする2隻のクレーンバージが見えたのです。まだ富津に、向かっていなかったんだ…。

指呼の間とも思える巨船を目にして、攻めずにおらりょうかと血湧き肉躍るのがオトコの気持ち(…)。針路、起重機船にヨーソロ!

16027.jpg遮るもののない海上では、遠くのものが近くにあるように見えてしまうのは、ままあることですが、今回は相手が巨大なだけに、なおさらそう感じられたようです。走っても走っても、なかなか近づいてこない…。
GPSで位置を見たら、旧江戸川河口の南、はるか沖合いで、5kmは優に走っていました。

激走12分で、ようやくブームの文字が読める距離まで接近。船は深田サルベージ建設の「武蔵」と判明。ブームが西を向いているところを見ると、船尾からアンカーを入れた、単錨泊でしょうか。

16028.jpg「武蔵」を数百m隔てた右手には、一隻の曳船が漂泊中。どうやら彼が、「武蔵」の警戒船を努めているようですね。

エスコートがいるとなれば、あまり不用意に近づくと、彼らに迷惑をかけることになります。少し間合いを取って、観賞することにしましょう。

16029.jpg
周囲に比較するもののない海上とはいえ、近づくにつれ、その圧倒的な質量が視界一杯に迫ってきます。やはり、やはりデカイ!

これだけの物体が、水の上に微動だにせず在る、その事実だけで感動させられてしまう巨船の偉大さ。我々の乗る木っ端ブネは、さして波は高くないとはいえ、もう大揺れに揺れているのですから、なおさらです。

16030.jpg迫り来るクレーンの影を前に、真剣さを増すオトコたちの表情。いや、嬉しくてニヤついていたかもしれませんが、写真の背中は真剣そのものなので、たてまえはそういうことで。ええ。

佐藤氏がポツリと「色がタラバガニっぽいですねえ、うん、タラバガニ」。ああ~、ブームの先がちょっと折れているのも、カニの足っぽい…。


(21年9月20日撮影)

(『目標、武蔵!…2』につづく)

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タグ : クレーンバージ深田サルベージ武蔵東京港臨海大橋曳船

超弩級! クレーンバージ船隊…4

(『超弩級! クレーンバージ船隊…3』のつづき)

以下3枚、交錯するワイヤーとブーム、そしてトラスの競演に惹かれて、やたらとアップで撮ってみたものを…お目汚しまで。

14016.jpg
ひと束何本あるのかわかりませんが、空を舞うワイヤーが、まるでカスミ網か、手伸べ素麺のような質感に見える…。
本当は1本の直径が、少なくとも私の足くらいはあるのかな? ご存知の方、ご教示ください。

14017.jpg
今回、もっとも魅力的に思えた角度。
「武蔵」が角柱、「第五十吉田号」が円柱、「海翔」がトラスと、個性がはっきり見て取れるのが面白く、その他細かい部分でも構造に違いがあるのがわかり、各船の設計思想が感じられるようで、興味が尽きません。

14018.jpg
スケール感が狂わされっぱなしの中、トラス上の右端に、詰所らしい小屋がひとつ、ぽつんと乗っているのを発見。
詰所がモノサシとなって、寒気がするほど素敵な巨大っぷりを表現できたかしらと、一人で悦に入っている一枚。

14019.jpg西側からクレーン群を眺めつつ漂泊していると、爽やかな好天に恵まれたせいか、プレジャーボートが頻繁に通過してゆきます。皆さんも私同様、巨船たちの威容を楽しまれたことでしょうね。

こちらは、風裏になっていることもあり波も静かで、光線も良く、アイドリングでゆっくり観賞するには、もってこいの環境でした。

14020.jpg名残惜しいですが、そろそろおいとましましょう。

わが国の海洋土木界の雄が、三隻も集合するのは、もちろん滅多にないこと。イヤ、これを逃したら、まず一生お目にかかることは叶いますまい。
浜出しや架設は見られなくとも、三隻揃い踏みで、トラスに玉掛けしたスタンバイの雄姿を間近に拝見できたのは、やはり貴重な体験で、本当に来て良かったと思えたものです。
撮影地点のMapion地図

(21年9月6日撮影)

【21年9月12日追記】浜出しの様子は、がーちゃんさん(がーちゃんフォトアルバム Vol.2)が、「東京港臨海大橋のトラス」でレポートされています。ぜひご覧ください。

(この項おわり)

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タグ : 東京港臨海大橋クレーン船寄神建設海翔吉田組第五十吉田号深田サルベージ武蔵

超弩級! クレーンバージ船隊…3

(『超弩級! クレーンバージ船隊…2』のつづき)

14011.jpgさっきから、全貌を目の当たりにしているはずなのに、艇の位置が西に動くにつれ、視界の情報量がうなぎのぼりに増えてゆく感じ…。

まあ、光線の塩梅がよくなったのですから、当たり前ではありますが、逆光の中で眺めるそれとは、段違いの迫力です。


14012.jpg
質量過剰。ただ、その一言。 

もう、皆さんよくご存知でしょうが、各船名と能力を改めて書き留めておくと…。
手前から、寄神建設の「海翔」、4,100t吊。吉田組「第五十吉田号」、3,700t吊。そして深田サルベージ建設「武蔵」、3,700t吊。
三隻の最大荷重を合計すると、11,500t! 自衛隊のイージス護衛艦も、軽々と持ち上げてしまう力量があるわけだ…。さすが、日本起重機船界の三英傑(?)。

14013.jpg船隊のほぼ真横に来たあたりで、岸壁の角近くにもやっていた自航式の小型クレーン船が動き出し、目の前を横切ってゆきました。

巨船を背景に見ているので、ついうっかり、「小型」などと書いてしまいましたが、木っ端ブネからすれば充分に大きいのは言うまでもなく、黄色く塗られたクレーンも、少なく見積もって100tくらいの力量はありそうです。

14014.jpg船名は「おやしお」。これも、深田サルベージの持ち船ですね。塗色のせいか、ちょっと古典的なスタイルにも見え、好きなタイプです。

帰宅してから「おやしお」の要目を見てみると、正式には揚錨船…、つまりバージの錨を打ったり、回収したりする役目の船だそうです。クレーンの巻上荷重は80tと、想像したのと近い数字でした。

14015.jpg
ううう…いやもうタマランです!

しつこいですが、トラス君がもう、往時の輝きを失っている(笑)と言っても、言い過ぎではない小さな存在に見える角度。
もう少しガマンすれば、このデカイ人たちは帰るからね、それまでの辛抱だ…などと、慰めてあげたくなるような、そんな気持ちにさせられました。まあ、実際には台風の接近で、二度に渡って作業が延期されているので、トラス先生にとっては、針のむしろが当分続くのかもしれません…。
(この後のカットは、タイトルでご覧ください)

(21年9月6日撮影)

(『超弩級! クレーンバージ船隊…4』につづく)

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タグ : 東京港臨海大橋クレーン船寄神建設海翔吉田組第五十吉田号深田サルベージ武蔵揚錨船

超弩級! クレーンバージ船隊…2

(『超弩級! クレーンバージ船隊…1』のつづき)

14006.jpgほぼ真後ろから見たところ。繰り返しになりますが、あの比類なき存在感を誇っていたトラス先生が、今や本当に小さく、まるで囚われの身のよう…。

この角度から眺めて気づかされたのは、三隻の間に、台船が二つかませてあること。これでお互いをガッチリ固定し、三隻が一体となって、橋脚のところまでトラスを運ぶ手筈なのでしょう。

14007.jpg上の写真では、挟まれた台船がちょっとわかりにくいかと、アップで一枚。

船尾のフェアリーダーからは、手前の海中に向かって、何本もの錨綱が繰り出されているのも見えました。これだけの排水量と、風圧側面積を持つ巨船を、寸分の狂いなく固定するだけでも、大変な仕事でしょうね。

14008.jpg西側には、いま一隻の警戒船が。通船タイプで、派手な吹流しを掲げており、背後のブームが赤白の対空警戒色(?)であることもあいまって、なかなかカラフル。

クレーンに横付けされている曳船たちも、単独で見れば結構な大型船なのでしょうが、なにしろ御大たちのデカさが半端ではないので、えらく小さい船に見え、スケール感が狂わされること、はなはだしいものがあります。

14009.jpg

西側に移動するにつれて、光線の具合がよくなり、ディテールやブーム側面のレタリングが、はっきりと見て取れるまでになりました。秋晴れの空をバックに眺める、ツートンカラーの美しさは、大げさですが息を呑むほど…。

これが昨今の煙突や一部の水門の如く、ひたすら目立たないよう、まるで迷彩(笑)のように空に溶け込む塗装がなされていたら、これほどクレーン船隊に惹かれはしなかったでしょう。
かような武骨筋のモノ(?)は、やはり毅然とあってほしい…、そういった思いを再認識させた一瞬でした。

14010.jpg写真の、ずらり並んだブイの群れは、明らかにアンカー(錨)を打った位置に、目印として設けたものでしょう。

このブイ群を目安として、内側に入らないようにしながら拝見していたところ、警戒船からも特におとがめはなく、ゆっくり楽しむことができました。



(21年9月6日撮影)

(『超弩級! クレーンバージ船隊…3』につづく)

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