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水郷ちょい散歩…4

(『水郷ちょい散歩…3』のつづき)

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管理橋上から閘室と後扉室ゲートを眺めて。直下の水面を見ると、扉体からの滴による小さな波紋がまだぽつぽつと続いていて、閘門らしさを感じさせ風情がありますよね。

ちなみに十六島にある閘門の"ビッグ3"は、附洲の浪逆浦閘門が径間6.4m・閘室長25m、マイタゲートの横利根閘門が径間10.9m・閘室長90.9m、そしてこの新横利根閘門が径間15m・長さ40m。径間数mクラスの小閘門が多い十六島とその周辺では、これらも大型の部類といえるわけです。

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309018.jpg同じく管理橋の上から、新横利根機場の建屋を。15年前の写真と見くらべてみましたが、古びただけで大きな変化はないようです。東端にある附洲のそれと並んで、十六島を護る排水機場の中では大型の、いわばフラッグシップ。十六島の内水は地域の排水を維持するため、水位低下化河川となっていますから、これらの設備が洪水時だけでなく、常時稼働していることが大前提なわけです。

右写真は、前扉室堰柱に掲げられた銘板群。上から竣工時の関東地方建設局によるもの、平成7年3月に水資源開発公団が掲げたもの、そして先ほど後扉室にもあった、平成26年のバイパスゲート更新時のもの。

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前扉室の川表‥‥常陸利根川の高水敷から仰いでみました。扉体と巻上機の重量を支える鋼桁の存在が強調されて、魅力的な角度です。

しかし、枯れているとはいえ、蔦が左の堰柱から巻上機室前面を覆っているのは、壁面がコンクリート生地とあって劣化を促進しそうで、ちょっと心配になります。

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せっかく久しぶりに訪ねたのだからと、前扉室堰柱の銘板も。閘門の銘板、こういう毛筆ベースの青銅色エンボスのタイプが、風格があっていいですよねえ。

揮毫者の名前が入っていないことが多いですが、慣習的に担当部署の部長さんとかなのかしら。このあたり、機会があったらお話を伺ってみたいものです。

(令和6年1月2日撮影)

(『水郷ちょい散歩…5』へつづく)

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水郷ちょい散歩…3

(『水郷ちょい散歩…2』のつづき)

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後扉室前から南、横利根川の流路を望んだところ。穏やかな水面と、平坦で開けた両岸が織りなす川景色、まさに水郷風景、といいいたくなる爽快さ。

右手、鋼板のスロープが見えるところはマリーナで、何かのイベントでもあるのかクルマが盛んに出入りし、賑わっていました。

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閘室横に移動し、前扉室ゲートを愛でて。こうして切り取ると、堤防の高い割に扉体が低く異様に見えますが、管理橋の桁下高を稼ぐために、その前後のみ土を盛っているだけで、実際の堤防がごく低いのはご存じのとおりです。

信号の灯器が、管理橋の桁中央でなく右端に寄せて設けられているのが、ちょっと変わった感じ。高欄には電路の管が数本併設されて、閘門を構成する設備の一部であることが実感できます。

309013.jpgふと足元に目をやると、柵に放置されたもやいがあって、表面に見慣れた黒い貝がびっしり、付着しているのに気づきました。えっ、これはエンジンクランプによく付いている、カラスガイ(正しい呼び名かどうかわかりませんが)じゃないか!

海水の混じる汽水域でない、淡水でもいるのかしらと首をかしげていたら、国内固有種のカラスガイは淡水域に生息しているもので、海水・汽水域にいるのは、よく似た外来種のムラサキイガイなんだそう。なるほど。

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水郷の閘門とくれば、ごく一部を除いてセルフ操作と相場が決まっているもの。管理者による遠隔操作の閘門しかない東京水路の民としては、どうにもうらやましいものがあります。

やはり操作用把手‥‥プルスイッチ群に目が吸い寄せられてしまうのは、閘門好きとしても大きな魅力の一つであるからでしょう。何度か体験させてもらいましたが、いいものですよそりゃもう。

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管理橋へ向かって上る法面の途中から、扉体を見下ろして。上端左右に突き出た休止フック、メンテナンス用の梯子など、ディテールが見て取れ一人うなずく不審者。

径間を通して、水面にさざ波を作りながら冷たい川風が吹き抜ける、静かなひととき。閘門散策の醍醐味の一つは、この川風と静けさかも知れません。


(令和6年1月2日撮影)

(『水郷ちょい散歩…4』へつづく)

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水郷ちょい散歩…2

(『水郷ちょい散歩…1』のつづき)

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15年ぶりの訪問ということも手伝い、ディテールをあれこれ拾っておきたくなりました。まずは目の前にある後扉室ゲート、西側堰柱に掲げられた銘板から。星霜(?)を経ただけあって、風格が増してきましたね。

以前と違うのは、真下にもう一枚、バイパスゲートのプレートが取り付けられていたこと。平成26年3月、飯田鉄工株式会社とありました。設備を更新した折のものでしょう。

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309008.jpg対岸に目をやると、併設の排水機場‥‥「水機構新横利根機場」の建屋が。質実剛健、堅牢そうな外観は以前と変わっていません。

建屋の右手、柵沿いに掲げられた「新横利根閘門の通航について」と題した看板もズームでたぐって一枚。通航船艇の大きさは長さ37m、幅14.6m、水面上の高さ5.5m、喫水3.2mまで。水上バスクラスの観光船でも、余裕をもって通航できる大きさです。

引っかかったのはその下の図。一瞬閘室を描いたものかと思ったら、上に常陸利根川、下に利根川とあったので、えらく圧縮されているものの、横利根川の流路全体と、その南北に設けられた二つの閘門を示したものと判明。で、二つとも閘門の名前が、新横利根閘門‥‥ううむ(笑)。その下、本文にはちゃんと横利根閘門と書いてあるのに、惜しいことでした。


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目線を看板からさらに右へ移すと、排水機場の塵芥スクリーンに設けられた、除塵機が。15年前とくらべると、塗り替えがされていないようでだいぶ褪色や錆が進み、少々痛ましい感じです。

鉄道の転車台や天井クレーンと同様、短いながら線路の上を移動する機械に、この手の小さな機側操作室‥‥というか運転台がついているの、軽くですが萌えてしまう性癖。溜まったガシガシと塵芥を掃除しながら、ごろごろと横移動するさま、一度見てみたくもあり。

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後扉室の西側堰柱横に、バイパスゲートの巻上機があったので、銘板だけズームでたぐって記録。田原製作所、右の刻印は「1974-3」でしょうか。閘門の竣工年、昭和49年と同じですね。

先ほど見た新しい銘板のこともあって、巻上機周りごと更新されたのかと思ったら、どうやら扉体だけの新製だったようです。社紋は田原のTを3つ放射状に並べ、漢字の田に似せたのでしょうか。こういう味わい深いマークのたぐいも、今や少なくなりました。

(令和6年1月2日撮影)

(『水郷ちょい散歩…3』へつづく)

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水郷ちょい散歩…1

309001.jpg遅ればせながら、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

能登半島の震災、羽田の航空機事故、小倉の大火と惨事が相次ぎ、祝辞を口にするのもはばかられるような年明けとなってしまいましたね‥‥。そんな中、2日は恒例のあんば様(阿波大杉神社)へ、艇のお札をいただきに初詣。帰路は少しだけ寄り道して、水郷散歩をしてきました。

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あんば様は例年のごとく、朝から大いに賑わっていました。雲が多く気温の上がらない日でしたが、参詣者の熱気は寒風を吹き飛ばすかのよう。昨年のお札を納め、拝殿で航行の安全と被災者の皆様の無事を祈願し、新しいお札をいただいて、駐車場も混雑しているので早々に神社を離れました。

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お昼までまだ時間があるため、水郷の風光を愛でながらのんびりドライブ。2ヶ所ぐらい寄り道できるでしょうか。

写真は国道125号線、新利根川沿いの光景。雲の多い日でしたが、このときはしばらく晴れ渡り、低い堤防上の枯れた並木がくっきりと川面に姿を映す、美しい川景色を眺めることができました。

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国道51号線を北上、北利根橋南詰で右折し常陸利根川の堤防道に入ってすぐ、新横利根閘門に到着。平成28年1月、対岸、牛堀の権現山公園から眺めたことはありましたが、現地に足を踏み入れたのは平成21年1月以来。実に15年ぶりです。

堤防道が、管理橋の高さに合わせてぐっと勾配を増してゆき、そのサミットに屹立するゲート。実に水郷らしい閘門風景で、心洗われる思いがしたものです。

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昔と同じ角度から、後扉室と前扉室を一枚に収めて。少し雲が出てきましたね。通航があって間がなかったのか、後扉室の扉体からは滴が垂れて、水音を立てていました。

平成21年の写真と見くらべたところ、左の堰柱上端、巻上機室と接するあたりが、欠け落ちているのが目につきました。凍結膨張か、それとも震災時の揺れが原因なのか‥‥強度上の影響はあまりなさそうですが、ちょっと心配になりますね。
撮影地点のMapion地図

(令和6年1月2日撮影)

(『水郷ちょい散歩…2』へつづく)

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1月2日の水郷風景…2

(『1月2日の水郷風景…1』のつづき)

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ところどころでスナップしながら、閘室北岸をお散歩です。雲一つない好天とあって、どこを撮ってもディテールくっきりで、気持ちのよいこと。

光線の角度もよいので、レンガの朱と扉体の黒のコントラストも目に快く、この時代の構造物らしい味わいを、改めて噛みしめたことではあります。

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215013.jpg外観はほぼ原形を保ちながら、扉体の更新と電動・セルフ操作化を成し遂げ、逆水防止こそ横利根水門に譲ったとはいえ、今なお通船の役目を果たす古豪。水運華やかなりしころを知る閘門数ある中で、横利根閘門は幸せな部類に属するといってよいでしょう。

北西側、後扉室(?)は逆光に沈んでいましたが、河中には釣り人さんの小舟が何組か見られ、いつもと変わらぬのどかな雰囲気でした。

215014.jpg23年5月2日、「震災後の水郷を訪ねて…7」のときは、方々にクラックが入り、寸断されていた遊歩道も当然ながらきれいに修復されて、冬枯れの芝生に陽光が降り注いでいました。

ところで、水郷汽船が健在だったころ、佐原を発した船は、必ず閘門を通って牛堀・潮来に向かったわけです。当時の時刻表や観光案内パンフには書かれていないけれど、確かこのあたりにも船着場があった記述を、どこかで読んだような‥‥。思い違いかしら。

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‥‥というわけで、例によって国土変遷アーカイブ・空中写真閲覧システムの力をお借りし、昔の様子を見てみることに。意外や、あまりよい写真がなく、何とか判別できそうなのをここに掲げさせていただきました。昭和37年5月14日、国土地理院撮影の「MKT622-C18-27」をトリミングしたものです。

白飛びしてわかりにくいですが、画面ほぼ中央、閘門の左上に桟橋があり、割と大型の船が横付けしていますね。桟橋の設けられた岸は、道路に接して大きな平地と建物が見え、船着場の設備が整えられているように思えます。

かつては水郷大橋北詰であるここが、水郷十六島の陸路の玄関口でありました。横利根橋南詰には「閘門前」バス停と、待合所を兼ねた観光協会直営の売店があり、現在は中洲の水生植物園前に移設されている、徳富蘇峰の「水郷之美冠天下」の碑も、もともとはこの地に建立されていたのです(参考:『水郷の原風景』千葉県立大利根博物館)。

船着場が設けられていても、決しておかしくない土地柄だったわけで、バスとの連絡も考えられていたのではないでしょうか。この点もう少し調べて、改めてお話しできればと思います。

(30年1月2日撮影)

(『1月2日の水郷風景…3』につづく)

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タグ : 横利根川水郷横利根閘門閘門